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超日常・夏の旅3
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黒い霧はまだ晴れず、再び集まってきた。
海の怪物の仲間が更に集まり、海を埋め尽くしている。
海の怪物の仲間が更に集まり、海を埋め尽くしている。
ククク……
ククククク……
ククククク……
桜華
海のあそこ……ま、まずいです!
海のあそこ……ま、まずいです!
紬
海の怪物の数……増えてない?
海の怪物の数……増えてない?
???
ククク……
ククク……
???
シシシ……
シシシ……
イズン
この声、さっきまでと少し違わない……?
この声、さっきまでと少し違わない……?
大きな海の怪物と細長い海の怪物が、混沌の海にそびえ立つように立っていた。
???
ククク……その通り……
ククク……その通り……
イズン
海の怪物が……しゃべった?
海の怪物が……しゃべった?
桜華
ははは話ができるの!?ひぃっ!
ははは話ができるの!?ひぃっ!
???
ククク……紹介しよう、これは私の兄弟……
ククク……紹介しよう、これは私の兄弟……
???
シシシ……シシシ……
シシシ……シシシ……
細長い海の怪物が大きな海の怪物の横に立った。
桜華
ええ……?海の怪物の兄弟……?
さっきまで戦ってた怪物ですら倒すの大変だったんですよ……どうして……こんなの勝てるわけありません……。
ええ……?海の怪物の兄弟……?
さっきまで戦ってた怪物ですら倒すの大変だったんですよ……どうして……こんなの勝てるわけありません……。
イズン
怖がらないで、桜華ちゃん。みんなで力を合わせれば……!
怖がらないで、桜華ちゃん。みんなで力を合わせれば……!
???
ククク……ハハハハハ!そんなの意味のないあがきさ……!!
クク、水中の世界では私こそが絶対的な王者!
ククク……ハハハハハ!そんなの意味のないあがきさ……!!
クク、水中の世界では私こそが絶対的な王者!
???
シシシ……兄貴、こんな雑魚ども片づけるのに兄貴が出るまでもない。僕が……。
シシシ……兄貴、こんな雑魚ども片づけるのに兄貴が出るまでもない。僕が……。
???
ククク、そうかい?……では行きたまえ、我が兄弟よ。
……だが……気を付けてくれ……私になるべく近づかないでくれ……。
ククク、そうかい?……では行きたまえ、我が兄弟よ。
……だが……気を付けてくれ……私になるべく近づかないでくれ……。
細長い海の怪物は前に出ると力強くうなずいた。
???
シシシ。ではこの僕が蹴散らしてくれよう——!
シシシ。ではこの僕が蹴散らしてくれよう——!
細長い海の怪物は頭をもたげ、突撃するような姿勢をとった。
紬
どうしよう!?
どうしよう!?
桜華
こここ攻撃してくるみたいです!
こここ攻撃してくるみたいです!
イズン
一体どんな攻撃をしてくるの!?みんな、気を付けて!
一体どんな攻撃をしてくるの!?みんな、気を付けて!
???
シシシ、では僕が……
シシシ、では僕が……
———プスッ。
空気で膨らませたものに穴が空いた音がした。
桜華
?
?
紬
?
?
祈
?
?
???
…………?
…………?
……
シュ〜シュ〜——空いた穴から空気が勢いよく抜けていく。
大きな海の怪物は次第に小さくなり、やがてしぼんだ皮が貼りついたサメの体が残った。
シュ〜シュ〜——空いた穴から空気が勢いよく抜けていく。
大きな海の怪物は次第に小さくなり、やがてしぼんだ皮が貼りついたサメの体が残った。
???
シ?シシ……シ……?
シ?シシ……シ……?
紬
こ……これって?
こ……これって?
エーリヴァーガル
ふふふ……海の怪物の「正体」ね?
ふふふ……海の怪物の「正体」ね?
ドドドン——
進撃せよ!進撃せよ!
いけない!首領たちがまだこの先にいる!止まるんだ!
押さないで——なっ——急には止まれないよ——
ドドドン——
突撃し始めた小さな海の怪物たちは、もはや止まることができなかった。突進する軍勢のように、雪崩のように前進していった。
進撃せよ!進撃せよ!
いけない!首領たちがまだこの先にいる!止まるんだ!
押さないで——なっ——急には止まれないよ——
ドドドン——
突撃し始めた小さな海の怪物たちは、もはや止まることができなかった。突進する軍勢のように、雪崩のように前進していった。
シシシ……ちょっと……あなたたち……待って……
———プスッ。
また何かに穴が空く音がした。
シュ〜シュ〜——
空気がもれると細長い海の怪物の形もひしゃげ、しぼんだ皮が貼りついたカジキの体が残った。
また何かに穴が空く音がした。
シュ〜シュ〜——
空気がもれると細長い海の怪物の形もひしゃげ、しぼんだ皮が貼りついたカジキの体が残った。
グレフォシー
ククク……ハハハハハハハハハハ……
ククク……ハハハハハハハハハハ……
「元・海の怪物」は、そのバカ騒ぎの様子を笑いながら仕方なさそうに眺めていた。
グリファル
シシ、シ……?
シシ、シ……?
紬
破けて縮んだと思ったら……サメとカジキ?
破けて縮んだと思ったら……サメとカジキ?
ドドドドン——
ブレーキ——早くブレーキ——
押さないで——早くブレーキ——
おい、魚間距離に注意しろって言ったろ——離れろって——来るな——!!おい!!
プスッ。プスッ。プスッ。プスッ。
何かが破けるような音が続いた。
まるでドミノ倒しのように、海上の海の怪物軍団の前進は未だ止まらず続いていた。
その中に見覚えのある二つの人影が見て取れた——
ブレーキ——早くブレーキ——
押さないで——早くブレーキ——
おい、魚間距離に注意しろって言ったろ——離れろって——来るな——!!おい!!
プスッ。プスッ。プスッ。プスッ。
何かが破けるような音が続いた。
まるでドミノ倒しのように、海上の海の怪物軍団の前進は未だ止まらず続いていた。
その中に見覚えのある二つの人影が見て取れた——
サメ娘
ヒイイ——
ヒイイ——
タコ娘
何が起きたの——
何が起きたの——
紬
……進行役の人たち?
……進行役の人たち?
タコ娘
ただ夏の旅のリアリティ番組の進行役とそっくりなだけなんだから……。
ただ夏の旅のリアリティ番組の進行役とそっくりなだけなんだから……。
紬
それって自分でばらしてるようなものだよね……!
それって自分でばらしてるようなものだよね……!
イズン
……つまり……進行役の二人は……初めから海の怪物にさらわれてなんかいなかったということね?
……つまり……進行役の二人は……初めから海の怪物にさらわれてなんかいなかったということね?
神格たちは呆れた顔で、破けた被り物だらけの水面と、被り物から出てきた魚の群れを見た。
エーリヴァーガル
グレフォシー………………?
ふふ、そういう事だったの。
バビロン全海域の管轄権を持つという「海域の王者」。
最近、何をしてるか聞かないと思ってたけど、ここで撮影の準備をしてたのね……ふふふ。
グレフォシー………………?
ふふ、そういう事だったの。
バビロン全海域の管轄権を持つという「海域の王者」。
最近、何をしてるか聞かないと思ってたけど、ここで撮影の準備をしてたのね……ふふふ。
グレフォシー
クク……これほど現実味のある刺激と衝突を表現すれば、世界一魅力的な番組になるはずだった。それに、この番組には多額の投資をしているのさ。だから爆発的な人気を誇る番組にしなければならなかったのさ…で。
しかしまさかエーリヴァーガルさんに気づかれていたとは……。道理でイベントのお誘いをお受けになられたわけだ。クク……少し意外に思っていたところでした。
クク……これほど現実味のある刺激と衝突を表現すれば、世界一魅力的な番組になるはずだった。それに、この番組には多額の投資をしているのさ。だから爆発的な人気を誇る番組にしなければならなかったのさ…で。
しかしまさかエーリヴァーガルさんに気づかれていたとは……。道理でイベントのお誘いをお受けになられたわけだ。クク……少し意外に思っていたところでした。
エーリヴァーガル
ふふふ……バビロンの反省室で見聞きできるものは、外界よりも多かったりするのよ。
ふふふ……バビロンの反省室で見聞きできるものは、外界よりも多かったりするのよ。
ノーデンス
つまり……みんなが絶望するような事件が起きたように見せたのも……「番組の魅力」を高めるためだったの?
つまり……みんなが絶望するような事件が起きたように見せたのも……「番組の魅力」を高めるためだったの?
グレフォシー
ク……それは、その……みなさんに普段とは違う体験をして頂こうと思ったわけでして……。
ク……それは、その……みなさんに普段とは違う体験をして頂こうと思ったわけでして……。
紬
……そんなこと言って、本当は視聴率目当てでしょ!
……そんなこと言って、本当は視聴率目当てでしょ!
ノーデンス
う〜ん……シャベルがなんだかもっと活躍したいと言ってるような。
う〜ん……シャベルがなんだかもっと活躍したいと言ってるような。
桜華
私のこの水鉄砲……結構威力あるんですよ?
私のこの水鉄砲……結構威力あるんですよ?
水鉄砲を構えた。
シャベルを構えた。
——こうして夏の騒乱は幕を閉じた。
シャベルを構えた。
——こうして夏の騒乱は幕を閉じた。
グレフォシー
ク、クク……ク……。
ク、クク……ク……。
…………
——島、夏の日の風、日差し、砂浜、そして海岸。
——島、夏の日の風、日差し、砂浜、そして海岸。
紬
桜華ちゃん、しっかりひろってね——
桜華ちゃん、しっかりひろってね——
桜華
よいしょ!このビーチバレーという遊び、蹴鞠より難しいね…………あっ、いきなり顔めがけて飛んできた!?
よいしょ!このビーチバレーという遊び、蹴鞠より難しいね…………あっ、いきなり顔めがけて飛んできた!?
紬
気を付けて、桜華ちゃん!私が守ってあげる——よいしょっ——打ち返したわ!
気を付けて、桜華ちゃん!私が守ってあげる——よいしょっ——打ち返したわ!
桜華
ありがとう、紬——見て、私も紬のことちゃんと守ってあげられるから——よいしょっ——
ありがとう、紬——見て、私も紬のことちゃんと守ってあげられるから——よいしょっ——
祈
フフッ、エヘヘヘヘ……。
フフッ、エヘヘヘヘ……。
審判席に座っていた祈が目を輝かせている。
祈
待ってました?祈が一番期待してたラブラブなシーン!…………ふふふ……早く撮影を終えて、すぐに結婚しようよ!
待ってました?祈が一番期待してたラブラブなシーン!…………ふふふ……早く撮影を終えて、すぐに結婚しようよ!
……審判席のそばの砂浜には、砂で作られた大きな教会が立っている。
シュ〜ッ!シュ〜ッ!シュ〜ッ!
桜華
エーリヴァーガルさん待ってください……ええっ!打たれた部分の水着が溶けてませんか!?
エーリヴァーガルさん待ってください……ええっ!打たれた部分の水着が溶けてませんか!?
イズン
早く逃げないと——
早く逃げないと——
紬
ちょっとエーリヴァーガルさん!その水鉄砲に今度は何を入れたのよ——
ちょっとエーリヴァーガルさん!その水鉄砲に今度は何を入れたのよ——
……
…………
…………
桜華
ふう……アクシデントはありましたが、みなさんと色々なことができて忘れられない夏休みになりました。
ふう……アクシデントはありましたが、みなさんと色々なことができて忘れられない夏休みになりました。
イズン
それにこの前の事があったから、撮影チームの人たちに超豪勢な思いをさせてもらえましたし。
それにこの前の事があったから、撮影チームの人たちに超豪勢な思いをさせてもらえましたし。
紬
まあ、それくらい当たり前よね。
とにかく今はビーチを楽しまないと——あれ?
あの木の後ろにあるのは——カメラ!?
まあ、それくらい当たり前よね。
とにかく今はビーチを楽しまないと——あれ?
あの木の後ろにあるのは——カメラ!?
祈
あっ、それにサメの尾ひれが見えるよ!
あっ、それにサメの尾ひれが見えるよ!
紬
グレフォシーさんね、コソコソ隠れて撮影するなんて——
グレフォシーさんね、コソコソ隠れて撮影するなんて——
グレフォシー
ククク……
ククク……
紬
あなた……まだ撮影してるの?
あなた……まだ撮影してるの?
グレフォシー
クク……まあ気にしないでください。皆さんは引き続き夏休みをお楽しみください……クク……あと少しで番組も終了ですよ。
クク……まあ気にしないでください。皆さんは引き続き夏休みをお楽しみください……クク……あと少しで番組も終了ですよ。
イズン
まったく……。
まったく……。
グレフォシー
あら、ククク、巻貝のお嬢さん、気を使ってくれてありがとうございます。フフ……
あら、ククク、巻貝のお嬢さん、気を使ってくれてありがとうございます。フフ……
…………
撮影チームの宿
シュー……
シュー……。み、つ、け、た……
撮影チームの宿
シュー……
シュー……。み、つ、け、た……
休憩所
シュー……
シュー。み、つ、け、た。
シュー……
シュー。み、つ、け、た。
撮影現場
み、つ、け、た……
み、つ、け、た……
サメ娘
だ、誰の声!?
だ、誰の声!?
サメ娘
ああ、海の怪物伝説ね…………。
ああ、海の怪物伝説ね…………。
タコ娘
ででででも、海の怪物ってあたしたちが化けてたんじゃなかったっ………………け?
ででででも、海の怪物ってあたしたちが化けてたんじゃなかったっ………………け?
サメ娘
えっ?
えっ?
タコ娘
ええええっ?
ええええっ?
サメ娘
……つまり……
……つまり……
タコ娘
ほ……
ほ……
サメ娘
……本………物……の海の怪物?
……本………物……の海の怪物?
…………
ククク……
クククク……………………バシャンッ!
ククク……
クククク……………………バシャンッ!
海域の王者は勢いよく海に飛び込むと、あっという間にその場を離れていった。背びれが遠く離れていくのが見えた。
(遠くから)ククク……撮影なんかしている場合ではありません……ククク……海の怪物……とにかく逃げなければ——
ビーチに巻貝が転がっている。
少女はかがんでそれを拾った。
少女はかがんでそれを拾った。
ノーデンス
……見つかったよ。
……見つかったよ。
慌てた様子で海のかなたへと消えていく魚の影を見届け、ノーデンスは微笑んで言った。