何処からか轟音が響いていた。
音の所在はもはや分からない。
今この街は百年ぶりの戦火に曝されている。
違うのは、爆撃機がサーヴァントという神秘存在に置き換えられている事。
そして連合と枢軸などという単純な陣営戦とは比べ物にならない程多くの思惑と因縁、そして願望が絡み合っている事。
「……」
少女達の頭数は三つ。
誰もが普段は、誰かを笑顔にしているアイドル。
ユニットは違えどきらびやかな世界で輝き続ける少女達。
しかし彼女達の間に会話はなかった。
険悪な仲だとか諍いがあっただとかそういう訳ではない。
むしろその逆だ。
彼女達は結集してからずっとお互いを支え合い、励まし合ってきた。
はっきり言葉にしなくとも、摩美々が、にちかが、そして真乃が…いつも自分以外の誰かの心の柱になってきた。
それでも電話が切れ、今まさに戦火の爆心地で戦っている彼と通話が途絶えればどうしても彼女達の心には影が差す。
下手な期待も悲観も口にしたくない。
彼女達は皆そう思っていた。
かと言って雑談に興じる気分には流石になれない。
その結果が沈黙。
誰もが固唾を飲んで、端末が着信音を鳴らす時を待っている状況。
早朝の公園でアイドルが三人。
スマホを眺めるでもなく互いに語らうでもなく、ただ黙って身を落ち着かせている。
状況が状況でなければ非行の匂いすらするだろう凪を切り裂いたのは、事もあろうに彼女達の待ち望んでいた着信音だった。
ただそれは少女達の端末から鳴り響くものではなかった。
少し遠くの位置から、けたたましく響いてきている。
「え…何ですかこれ」
「近くに、誰かいるとか……?」
「んー…。スマホの着信音にしちゃ音が大きすぎる気がするケド」
すっくと立ち上がるのは摩美々。
他の二人も彼女に続く形で音の方へと足を進める。
音の出どころはすぐに判明した。
結論から言うと不審者ではなく、なんてことはない。
公園に備え付けられていた電話ボックスの中。
今となっては絶滅危惧種となりつつある、緑の公衆電話から響く音だった。
「あー。そういや聞いたことあります。公衆電話にも電話番号は設定されてるから、番号さえ知ってればかけることも出来るとか」
気が抜けたように言うにちか。
緊張して損した、とばかりの表情だ。
真乃もホッと胸を撫で下ろし安堵しているが、唯一摩美々だけは違った。
「…んー」
「別に出なくていいと思いますよ。戻りましょ」
「いや、そうじゃなくてさー。ちょっとおかしくない?って思って」
へ? と首を傾げるにちか。
電話ボックスの扉を開けながら摩美々は続ける。
「東京中が大変なことになってるのに、わざわざこんな時に公衆電話に電話かけるー? 普通」
「それ、は…。いやでも、何かのっぴきならない事情があってやってるのかもしれないですし」
「うん、私もそう思う。だけど…ふふ、あの人のが感染っちゃったのかなー」
にちかの言った通り、番号さえ分かれば公衆電話に電話を掛けることは可能だ。
が、この国では基本的に犯罪に悪用される危険性を考慮しそれらの電話番号は非公開とされている。
だから公衆電話のベルを鳴らせる人間は、余程の情報通か…もしくは脛に傷ある輩の場合が多いと。
田中摩美々は健在だった頃の"彼"から聞いたことがあった。
あの時は単なる雑談の延長線で披露された豆知識程度に受け止めていたのだが――もしかすると彼は、こういう状況まで見越していたのだろうか。
あの人ならやりかねないですねと微笑みながら、摩美々は受話器に手を掛けた。
「一回気になった事を見逃しちゃうのは、何かムズムズして」
そして引き上げ耳元まで運ぶ。
それから口を開き発話した。
「…もしもし?」
『連合だ』
開口一番、通話の相手が発した言葉。
それを聞くなり摩美々の行動は早かった。
本来は福祉の意味合いで備え付けられた、公衆電話の音量調節機能。
受話器のセットボタンを押して起動し、ダイヤルで音量を最大にする。
携帯電話のスピーカー通話とまではいかないが、人っ子一人いない早朝の公園であれば十分な音だ。
“今此処にはライダーさんもアーチャーさんも居ない…。
私の脳みその出来なんてたかが知れてるし、二人にも会話の内容を共有した方が絶対良い筈……っ”
突然の行動の意味は説明するよりも実際に聞いて貰った方が早いだろうと判断する。
その上で緊張で貼り付く喉に唾液を行き渡らせ、摩美々はまず質問した。
「随分まどろっこしい方法でお電話してくるんですねー、びっくりしちゃいました。
ちゃんと方舟(わたしたち)の番号登録しといてくださいよー…死柄木さん」
「「しが…ッ!?」」
此処でにちかと真乃の二人も状況を理解する。
通話の相手は、連合。
Mではなく彼らの王であることはまだ幸いか。
アシュレイやメロウリンクの居ない状況で、"彼"と並ぶ頭脳を持つ蜘蛛の相手をするのは絶望的が過ぎたから。
『仕方ねえだろ。先刻の番号に掛けたが何コール鳴らしても出やしねぇ』
「あぁ…それは確かにそうでしょうねー。今ちょっと取り込み中なんで。こう言えば死柄木さんなら分かりますよねー?」
『まぁな。だからジジイに渡されてた番号…お前らの居場所の候補に電話掛けたんだ。流石に一発目で繋がるとは思わなかったけどな』
逆探知されてるじゃないですか…というにちかの声が少女達の緊張感をいっそう高める。
刑事ドラマの中でしか聞かない単語だが、相手が相手だ。
ちっとも非現実的には感じられない。
それに事実、こうして居場所ドンピシャで着信音を鳴らされているのだし。
「…アイドルの電話逆探知するとか、ストーカーさんの専売特許だと思ってました」
『そうビビらなくてもいい。今はまだ方舟(そっち)との付き合いを破棄する気はねえよ』
「そりゃどうも。それでー…王様直々に何の用なんですか、私達に」
投げかけた、当然の疑問。
それに対して返ってきた答えは、しかし摩美々の予想を完全に超えていた。
『海賊同盟の片割れを殺した。スカイツリーの霊地は制圧した』
…、……。
……沈黙が数秒続いて。
ようやく絞り出した声は、自分でも驚く程に乾いたものだった。
動揺と緊張を隠せていない、そんな声であったと後に
田中摩美々は述懐する。
「…………はい? えぇー、と…。それ、マジで言ってますー……?」
『マスター共々跡形もなくこの世から消してやったよ。霊地を横取りされる心配ももうない』
それは紛れもなく…彼女達"地平聖杯戦線"にとっては会心の戦果。
恐ろしい大海賊の片割れが死に、二つある霊地の一方が友軍によって抑えられた。
これ以上の戦果はないと言ってもそう過言ではないだろう。
なのに摩美々が言葉を詰まらせにちか達が言葉を失った理由は一つ。
他でもない"連合"が先にそれを成し遂げてしまった、という点だった。
スカイツリーに現れた皇帝を屠っただけなら素直に安心も出来る。
だが。そもそも彼らがスカイツリーを狙っているのには理由があるのだ。
スカイツリーは…正確にはそれが聳える土地は、霊地だから。
手にした者を強化し高みへ上り詰めさせる龍脈が眠っているから――
『"龍脈の力"は俺が回収した。心配しなくても誰にも渡さないさ』
「…っ!」
そしてそれを連合が。
その王が抑えたという事はつまり、未来の脅威が一つ増えたという意味で受け取って差し障りない。
大海賊の失脚と王の覚醒。
天秤に掛けた時、果たして勝るのはどちらだろうか…。
苦い顔をしている事を悟られないよう意識して声色を作りながら――摩美々は浮かんだ疑問を口にした。
「それはそれは、おめでとうございますー…。ところで一個聞いてもいいですかね。
今までの連合さんだったら、こういう連絡は"M"さんが掛けてきてたと思うんですケドー……なんで今回は死柄木さんが直々に、なんですー?」
『"M"は死んだ』
「…、……。……え?」
その事実は。
摩美々にとって…ともすれば
死柄木弔が霊地を制圧した事実よりも大きな衝撃だったかもしれない。
"M"が死んだ。
田中摩美々のかつてのサーヴァント"W"。
ウィリアム・ジェームズ・モリアーティと長きに渡ってしのぎを削った悪の大蜘蛛が、死んだと言ったのか。
『最後の最後まで他人を手のひらで転がしてやがったよ。ムカつくジジイだったぜ、つくづくな』
それはきっと喜ぶべき事なのだろう。
何故なら敵連合という組織を支えるブレインはもうこの世に無いのだ。
無論、方舟は連合との融和の可能性を捨て去った訳ではない。
訳ではないが――それでも"M"の存在は純粋にとても大きな脅威だった。
その彼が消えた。
もう二度と、蜘蛛の糸に怯える必要はない。
そう分かっているのに、何故だかそんな気分にはなれなくて。
気付けば摩美々は自分でも「あ、今私変なコト言ってる」と自覚してしまうような事を口に出していた。
「あはは。そっか…そうですかー。じゃあもう何処にも居ないんですね、"
ジェームズ・モリアーティ"は」
『流石に三人目は居ねえだろ。お前の所のと、俺の所の。これで全部に決まってる。あんなのがそうホイホイ転がってて堪るか』
「同感です。でも…どっちも消えちゃった。あなたの所の"モリアーティ"は、何を遺してくれましたかー?」
『…力。そっちは?』
「希望。ですかね」
視界の端で二人が慌てている。
にちかが「ちょ! 真名!」とか言っている声はきっとあっちにも届いているだろう。
でもその名前を出して困る事はきっともうない。
もうないのだ、二度と。
ジェームズ・モリアーティは死んだのだから。
犯罪界のナポレオンは教壇を退いた。
クライム・コンサルタントは閉業した。
後に残されたのは"彼ら"に導かれた自分達。
力と希望を託された、モリアーティの子供達。
「ま、摩美々さん! なに仲良く話してんですか、ヤバいですって!」
「…ごめんごめん。なんか感慨深くなっちゃってー」
「時と場合を考えてくださいよ~っ! こっちはハラハラしながら聞いてんですよ!! ずっと!!!」
これ以上はギャラリーの身が保たなそうだ。
そう判断して、摩美々は思考を切り替える。
思い出話の時間は此処までだ。
もうウィリアムは居ない。
彼に救われた者、彼に育てられた者として。
今この時は自分が方舟の代表として受話器の向こうの魔王と渡り合わなければ。
「それで。要件は戦勝報告だけですか?」
『正確にはもう一つだな。こっちはまぁ、提案みたいなもんだが』
「…提案」
反芻するように呟いて続きを促す。
背筋に一筋、冷たい汗が伝うのが分かった。
『お前ら、今マスター同士で寄り合ってんだろ? サーヴァント全員出払わせて…市街地ド真ん中の公園で』
「まあ…そうなりますねー」
『馬鹿げてんな。いくら何でも不用心過ぎだろうが。火事場泥棒宜しくマスター狩りしてる連中が居るとか考えねえのか?』
「そこはまぁ、考えすぎたらキリがないですしー。で…結局何なんです? まさか心配してくれてるんですかー?」
『あぁそうだよ。心配してやってるんだ、同盟相手として』
くつくつと笑いながら口にされたその台詞は。
言葉の内容とは裏腹に、通話の緊張感を数段引き上げるものだった。
『もう片方の霊地に赴いて簒奪するのもまぁナシではない。
ただ龍脈の力ってのが重ねがけ出来るって確証もねえだろ? 場合によっちゃ無駄骨だ。だからどうしようかって思ってる』
「…それなら素直に東京タワーに行って、うちのサーヴァントさん達の加勢して貰えると素直に一番助かるんですケド」
『いいのか?』
返ってきたのは問いかけだった。
『霊地に行ったら、俺は龍脈を得るつもりで暴れるぞ?』
死柄木弔はもはやかつての短慮な犯罪者ではない。
"M"が築いた土台や作り上げたコネクションは引き続き有効に扱うつもりでいる。
こうして方舟に一報入れているのがその証拠だ。
だが、東京タワーで行われている戦乱への加勢を望むならば。
もう一度霊地の土を踏む事になるのであれば。
その時彼の中での優先順位は正常に機能する。
"
死柄木弔"の判断基準に基づいて、正常に。
『一つでこれなんだ。重ねて吸えるってんなら狙わない手はない。先刻はああ言ったが…試す価値はある』
…摩美々達は死柄木の暴威を実際に目にした訳ではない。
皇帝殺しの瞬間だって直接見た訳ではない。
彼の言葉をハッタリと切り捨てる選択肢も残されている。
なのに摩美々はおろか、にちかも真乃もそうしなかったのには理由がある。
通話越しに聞こえてくる王の声が――つまらない疑念を抱く余地すら与えないような圧倒的な自信に満ちていたからだ。
市井で生まれ育った少女達ですら分かる程に。
本能的に理解させられてしまう程に、今の
死柄木弔は完成されていた。
『その時おまえの大事な仲間達が巻き込まれちまったとしても、そこは飲み込んでくれよ?』
真乃が震える手で端末を差し出してきた。
政府直属の現状報告。
墨田区において原因不明の大規模破壊を確認、とある。
墨田区と言えば東京スカイツリーの所在地だ。
摩美々はこの時、心底からの戦慄で背筋に鳥肌を立てた。
彼がやったのか。
一つの都市を滅ぼせるだけの力を…振るったというのか。
であれば事態は最悪だ。
何故ならもしそれが本当ならば。
今自分が通話をしている"連合の王"は――ひとりで東京の全員を殺せる力を有しているという事になるのだから。
「…逆に聞きますけどー……。助けてって言ったら、わざわざボディーガードしに来てくれるんですか?」
『やぶさかでもない。ていうかお前らニュース見てないのか?』
呆れたように言う死柄木。
彼が続いて放った言葉は三人の背筋を先刻とは別な意味で凍らせた。
『渋谷を始点にしてバカ共が暴れてる。お前らの所に手が及ばない保障は何処にもねぇぞ』
…"それ"を摩美々達が知らなかった事は責められない。
何しろ方舟のブレインであり指揮役であるアシュレイ達は現在死地の真っ只中だ。
少女達が固唾を飲んで心優しい灰色からの連絡を待っている間にも、聖杯戦争は動いていた。
アイドル達を静寂が包んでいるその間に、東京は完全なる地獄と化したのだ。
◆ ◆ ◆
皮下真を名乗る男が爆弾を落とした。
ビッグ・マムとの霊地争奪戦を制し、全てを得た
死柄木弔が迎えに来た四ツ橋力也から聞いたのはそんな報告だった。
さしもの彼もその内容には驚きを隠せなかった。
確かに道理は通っているが、こうも大々的に実行してくる輩が居るとは思わなかったからだ。
「"世界の秘密"ってジジイは呼んでたが。界聖杯だの聖杯戦争だのに纏わる知識を与えられた"この世界の住人(
NPC)"は覚醒する。
何の力もない、毒にも薬にもならないモブが脇役くらいには昇格してのけるんだとよ。この話については知ってたか?」
『薄々は。でも詳しくは聞いてません』
「俺も似たようなもんだ。隣に居るお仲間にニュースサイトなりSNSなり、今見せてもらってる最中か?」
『…、……はい』
「素直で助かるよ。覚醒済みの人間は魂喰いの効率が良い。皮下とかいうヤブ医者はそこに目を付けた訳だ」
あえて聖杯戦争の知識を漏出させ。
その上で知り、覚醒した都民を虐殺する。
魂喰いをして糧にする。
こんな馬鹿げた考えを大真面目に実行に移せるマスターが居るなど、一体誰が予想出来ようか。
「皮下のサーヴァントは十中八九海賊同盟だ。皇帝
カイドウ。で、そいつが今まさに極上の餌を食って肥え太ってる」
最悪の手を打ってきやがったなとそう思う。
龍脈の確保に成功出来たのは本当に僥倖だった。
これでもし仕損じていたならば、いよいよ自分達は本格的に詰んでいただろうから。
「霊地争奪戦にいっちょ噛みしつつ魂喰いの大計画も進める。ロジックは分かるな?」
『単独(ひとり)じゃない、ってコトですよね? 自分がその場に居なくても動かせる部下(てあし)が、
カイドウさんにはある――』
「俺も同じ考えだ。そうじゃなきゃ話が通らねえ。まさか同盟相手のサーヴァントを肥え太らせるとも思えないしな」
この時、
死柄木弔と
田中摩美々。
二人の"モリアーティ"に育てられた人間の考えは一致していた。
『霊地の争奪戦はもはや前座に過ぎない…ですか』
「恐らくな。
カイドウは霊地を抑えようが抑えまいが、直に界聖杯最強のサーヴァントとして君臨する」
無尽の軍勢を使い覚醒
NPCの魂喰いを行いながら霊地を追う。
これ以上に相応しいカモフラージュが果たして存在するだろうか。
魂喰いを止められる者達は、暴力の化身のような皇帝本人にかかずらわねばならず。
そうしている間に皇帝は部下経由で魂を吸い上げ何処までも何処までも強化される。
海賊同盟は現在聖杯戦争の台風の目だが。
仮に竜王と女王の同盟が成立していなかったとしても…四皇
カイドウは不可避の絶望として全員の前に立ちはだかる事になっていたのだ。
「
カイドウを殺す自信はある。今の俺なら、不可能じゃない筈だ」
だが、重ねて言う。
死柄木弔はもはやかつての短慮な犯罪者ではない。
先代の魔王が育て、犯罪の王が完成させた今の彼は自ら"考える"。
仮に未完成のまま力だけを手に入れていたならば、死柄木は一も二もなく
カイドウの討伐に向かっていただろう。
なのにそれをしないという事はひとえに、それだけ彼が悪として大成しているという事。
「とはいえリスクを下げるに越したことはないんでな。だからお前らとの同盟はまだ維持してやる」
『えらい上から目線なことで。でも今は、王様(あなた)の温情に素直に感謝しときますー』
「で、結局どっちがいい。助けに行ってやるか、それとも俺達に好きに動かせるか」
沈黙が流れた。
だがそれも頷ける。
彼女達にとってこれは真実悪魔との取引だ。
アシュレイ達が不在の状況で受けるにはリスクの大きすぎる話。
まして杉並と渋谷は目と鼻の先だ。
渋谷で殺戮の限りを尽くしたケダモノ達が、いつ此方へ狩場を移してくるか分からない。
すぐに受けるには重すぎて…しかし無策に断るのも憚られる。
まさに悪魔の甘言。
魔王が差し出した天秤だった。
「まぁ、何もすぐに決めてくれなくても構わない。
二十分だけ待ってやる。それまでに連絡が無ければ、俺は好きにする。
連絡用の番号を教える必要はないよな? どうせメモなり何なり受け取ってんだろ」
『…分かりました。ちょっと皆で相談してみます』
「おう。それじゃあな、アイドル諸君」
通話を切ろうとした時。
たたたた、と足音が響いてくる。
「とむらく~ん、お洋服持ってきたよ!」
その声に通話の向こうの彼女達がざわついたのが分かった。
『今の、子どもですか』
「変な勘違いすんなよ。別にそういう趣味で連れ回してる訳じゃない」
連合(ウチ)の大事な人員さ。
そう言って笑う死柄木に、
田中摩美々は数秒黙る。
『早く服着てくださいねー。何があったのか知りませんけど、教育に悪いですから』
「余計なお世話だ」
返ってきた軽口に小さく微笑し今度こそ死柄木は通話を切った。
最悪連絡を取れない可能性もあると考えていたが、その点連中は運が良い。
いや…ある意味では"悪い"のかもしれないが。
「ニュース見たけどヤバいね。アレ本当に死柄木君がやったの?」
「そんな所で見栄張っても仕方ねえだろ」
「半分は現実逃避。"M"さんが死んじゃったんだったら、私達に危害加えるなって制約も消えちゃったんだろうし」
新宿で死柄木達と別れた
星野アイだが、彼女はこうして無事に連合と合流を果たしていた。
当初は迎えを待つつもりだった。
しかし…モリアーティが生前命じていたのだろう。
アイの前にデトネラットの社用車が現れたのだ。
最初は断ろうとした。
サーヴァントを失った自分が激戦地に行った所で何の意味もないと分かっていたからだ。
されど運転役を任されていた男――四ツ橋力也は涙を浮かべながら彼女にこう言った。
『問題ない。墨田の争奪戦は既に決着した』
『我らが"M"は我が身を犠牲にして悲願を達成した』
『終局的犯罪(カタストロフ・クライム)は成ったのだ』
『解放の嵐が吹く。其処に列席する権利は貴女にもある筈だ』
…衝撃だった。
死柄木が霊地を手にした事も、かの蜘蛛が死んだ事も。
それを聞いては最早誘いを断る理由などなかった。
戦いが決着しているのなら、赴くのを渋る理由もまたないのだし。
「わざわざ人材を減らす趣味もない。アテが出来ればサーヴァントを宛てがってやるさ」
「前向きに検討してくれると嬉しいな。今の私はこの通り、体一つで何とかしがみついてる身だから」
そうしてアイは今に至る。
連合から離れる選択肢は今の所ない。
というか、そうする意味がなかった。
今や連合は烏合の衆等ではなく立派な勝ち馬だ。
連合の一員だというその事実は、今の界聖杯では万馬券にも等しい。
「だいじょうぶだった? 服のサイズとか…」
「あぁ。悪いな雑用頼んじまって。全裸で貫禄が出るような肉体美には持ち合わせがなくてよ」
しお(と護衛役のチェンソーマン)に持ってこさせた服に身を包んだ彼の姿は、霊地を手に入れる前のそれと大して違って見えない。
どうせ吹き飛ぶだろうからと逃がしておいたジャケットを羽織れば完全に元通りだ。
しかし継承の瞬間に立ち会えなかったアイにも分かる程、彼は変わっていた。
別物になったのではない。
強いて言うならば、成長して見えた。
王を名乗る者に相応しい落ち着きと貫禄を手に入れて。
「あ」
凄い事になっちゃったな。
そう思った所でふとアイは伝えておかなければならない言葉がある事を思い出した。
死柄木にではなく、"彼"の妹…
神戸しおに。
「ごめんねしおちゃん。あなたのお兄ちゃん、殺しちゃった」
「うん、知ってるよ。ガムテくんに聞いたから」
「そっか。…怒ってもいいよ、しおちゃんにはその権利があると思うし」
「? なんで怒るの? アイさんは私の…連合(わたしたち)の敵を殺してくれたのに」
その言葉にアイはチクリと胸の内を刺される感覚を覚えた。
脳裏に蘇るのは、アイがその手で撃ち殺した彼の言葉。
子を愛する母である彼女が奪った、小さな命の慟哭だった。
取り戻したかった。
やり直したかった。
…家族と笑い合って過ごせる、普通の日常が欲しかった。
彼はそう言っていた。
神戸あさひは絞り出すようにアイへと明かした。
自分の戦う理由、生きる意味。
――母さんに、笑ってほしかった。
その言葉はアイの心に傷として確かに残った。
きっとあの時刃物で突き刺されていたとしても。
これ程深く、じくりと疼く傷にはなっていなかったろう。
「お兄ちゃん。さいご、どんな顔してた?」
「笑ってたよ」
「そうなんだ」
アイの答えを聞いたしおは。
"彼"の面影のある顔立ちをやわらかく動かして笑った。
「よかった」
笑うんだ、と思った。
意外だった。
というか、絶対に笑わないだろうと思っていた。
この子は家族の死に顔を気にするような子じゃないと。
ふぅんとつまらなそうに聞き流す、そういう子だと思っていた。
それに事実そうだった筈だ。
あさひと対面した時しおは溜息をついた。
心底どうでもよさそうな溜息。
ひどく乾ききった冷たいそれをアイは覚えている。
なのに今しおは兄が苦しみ嘆き、泣きながら死んだのではないと聞いて。
神戸あさひという肉親が笑顔で逝った事を知って"よかった"と言い微笑んだのだ。
…気付けばアイもふっと笑っていた。
「しおちゃん、なんか変わったね」
「? そう?」
「うん。なんかこう、いっそうかわいくなった」
「えへへ~」
こうしていると本当に歳相応の小さな子供だ。
とてもではないがその体内に甘く深い愛の野望が眠っているなどとは思えない。
しかしそんな少女でも成長する。
志はそのままに、荒削りだった自分自身を磨き上げる。
黒曜石を刃物の形に研ぎ澄ますように。
学び、語り合い、時に殺し合い敵を乗り越え育っていく。
"可能性の器"とは成程言い得て妙だ。
地平線の彼方に逐わす界聖杯を手に入れる為の道程は、不変と停滞に堕したままでは乗り越えられないという事か。
“しおちゃんも……彼も”
そして、多分私も。
みんな何かしら変わっている。
この世界に居ると育つという事に善悪の貴賎はないのだとよく分かった。
「――それにしても、方舟の子達に言ったアレって本気なの?」
「アレって?」
「助けに行ってやろうかって奴。同盟は大事だろうけど、其処まで親切にしてあげなくても良くない?」
閑話休題。
死柄木が方舟の少女達に持ち掛けた提案は、アイに言わせれば彼らしくないものだった。
まだ皇帝は片方が落ちただけ。
そうでなくても鋼翼やまだ見ぬ強敵も多く残っている。
最低でももう一人の皇帝が落ちるまでは悪戯に敵を増やしたくないというのは理解出来るが、それにしても些か過剰に思えた。
そんなアイの疑問に死柄木は言う。
「こっちに割が全く無い話でもない。
カイドウと敵対する以上、渋谷の騒動は対岸の火事って訳でもないからな」
今此処で方舟が崩壊する事態は連合にとっても芳しくない。
勿論連中の主張している内容は死柄木に言わせれば論外以外の何物でもなかった。
方舟はいずれ潰す。
だがサーヴァント三騎を擁する彼らの旨みは生きている内に絞り尽くしておきたい。
「あのガキ共だって必死に考えるだろうさ。乗るか、反るか…リスク承知で東京タワーへの援軍を頼んで来るか。俺の予想じゃそのどれかだ」
「あー…それはありそうかも」
「だろ? アイツらが何を望むか探りを入れられるってのはそれなりに旨い。折角の同盟なんだ、有効活用しなきゃ損だろ」
そして事がどう転んでも俺達に不利益はない。
死柄木は何に憚る事もなくそう断言した。
「此処から東京タワーまで…まぁ12キロ前後ってとこか。それくらいの距離は今の俺にとっちゃ目と鼻の先だ」
「え。そんなレベルになってるの? 今の君って」
「まぁな。まだ慣らしは済んでないが、自分の中に途方もなく大きな力が渦巻いてる自覚があるよ。
そしてそれが常に脈動しながら、何処までも際限なくデカくなってるのが分かるんだ。苦労した甲斐もあったってもんだぜ」
…これは推測でしかないが。
恐らく
死柄木弔が正規の手順で龍脈の力を手に入れた場合では、此処まで強大にはなっていなかったと思われる。
何故なら彼はどれ程莫大な可能性に溢れていたとしても人の器に縛られた"人間"だから。
生半なサーヴァントなら鎧袖一触に薙ぎ払っただろうが、それでも今の彼に比べればたかが知れていた筈だ。
にも関わらず死柄木がこうまで龍脈の力と高度の適合を果たしている理由は一つ。
彼がシャーロット・リンリンの心臓を喰らい、彼女の魂の一部であった力を継承する事で――"龍脈の力"という空前絶後の高機能ソフトウェアをインストールするに足る体(マシン)をも手に入れてしまった。
「思わぬ副産物もあったしな」
「…いつツッコもうか迷ってたけど、やっぱりソレって君絡みの産物だったんだ。戦死者の幽霊か何かかなとも思ってたんだけど」
「あのババア風に言うならホーミーズって奴だよ。理屈はさっぱり分からねえが、龍脈の力と一緒に俺の体に入ってきたみたいなんだ」
死柄木の背後に佇むのは、全身の皮膚が継ぎ接ぎだらけの奇怪な男だった。
荼毘に付した後の死人に無理矢理命をねじ込み直して叩き起こしたような。
そんな痛ましさとおぞましさを併せ持つ存在に見えた。
「実験も兼ねてまずは炎で造ってみた。あのババアが使ってた奴にも随分手を焼かされたからな」
「自作にしては趣味が悪い造形だね。意外とスプラッタ映画とか好きなの?」
「そりゃヘイトスピーチってもんだぜ。一応知り合いの姿をモデルにしてるのによ」
「へー、焼死体と友達なんだ。素敵な交友関係だね」
造った…という表現は正確には間違いだ。
何故ならそれは魂を与え、動かす能力。
死柄木弔が自身の魂の一部を与えて生み出した仲間(ホーミーズ)というのが正しい。
恩人を喰らって力を得た女帝。
それがシャーロット・リンリンのオリジンならば。
その心臓を喰らって力を得た死柄木が彼女の力を受け継ぐのもまた道理。
継承されたのは龍脈の力だけではない。
死柄木弔はリンリンが得ていた悪魔の実の能力…"ソルソルの実"の力をも受け継いでいた。
「とむらくんとむらくん、お名前は付けてあげないの?」
「意味ねぇだろ。炎で十分だ」
「えー。とむらくんってニックネームつけないタイプなんだ。わたしとらいだーくんはポケモンにちゃんとつけてあげてたよ」
ポチタくんも見てたよね~、と同意を求めるしお。
チェンソーマンの口から小さく「ヴァ」と声が漏れたのは同意の意味合いだったのか。
「育成ゲーは性に合わないんだよ。つけるとしてもその内だ」
「死柄木君ってあれだよね。LoLとか好きそう」
「あぁ…実際やってた。一時期はガチってたな」
「うわ本当にやってたんだ。私は触ってすぐ暴言吐かれすぎて止めちゃったなぁ」
「ろる? それってすいっち? それともぴーえすふぁいぶ?」
「ガキは知らなくていい世界だよ。忘れろ」
牧歌的ですらある会話は悪の組織のそれにはてんで似合わない。
だが、いつだとて悪ほどよく笑い。
そして正義ほど怒り哀しむものと相場が決まっている。
連合も…方舟の彼女達もきっとその例外ではないのだろうか。
「そういえば田中も回収したいんだが、あっちも取り込み中らしい。電話にまるで出やがらねえ」
「だいじょうぶかなぁ。心配だねぇ…」
「なんだかんだちゃんと生きてるでしょ。田中、アレで結構悪運強そうだし。その内折り返し掛かってくるんじゃない?」
モリアーティの子供達。
学舎を卒業しても、人生は続いていく。
更に向こうへ(プルス・ケイオス)は終わらない。
彼らは正しく、地平線の向こう側に至れる逸材達だった。
【墨田区(崩壊の被害が及んでいない辺り)/二日目・早朝】
【
死柄木弔@僕のヒーローアカデミア】
[状態]:継承、サーヴァント消滅
[令呪]:全損
[装備]:なし
[道具]:なし
[所持金]:数万円程度
[思考・状況]基本方針:界聖杯を手に入れ、全てをブッ壊す力を得る。
0:さあ、何をしようか。
1:勝つのは連合(俺達)だ。
2:四皇を殺す。方舟も殺す
[備考]
※個性の出力が大きく上昇しました。
※ライダー(シャーロット・リンリン)の心臓を喰らい、龍脈の力を継承しました。
全能力値が格段に上昇し、更に本来所持していない異能を複数使用可能となっています。
イメージとしてはヒロアカ原作におけるマスターピース状態、AFOとの融合形態が近いです。
それ以外の能力について継承が行われているかどうかは後の話の扱いに準拠します。
※ソルソルの実の能力を継承しました。
・炎のホーミーズを使役しています。見た目は荼毘@僕のヒーローアカデミアをモデルに形成されています。
【
神戸しお@ハッピーシュガーライフ】
[状態]:疲労(中)
[令呪]:残り二画
[装備]:なし
[道具]:なし
[所持金]:数千円程度
[思考・状況]
基本方針:さとちゃんとの、永遠のハッピーシュガーライフを目指す。
1:とむらくん、つよそー。
2:アイさんととは仲良くしたい。でも呼び方がまぎらわしいかも。どうしようねえ。
3:とむらくんとえむさん(モリアーティ)についてはとりあえず信用。えむさんといっしょにいれば賢くなれそう。
4:最後に戦うのは。とむらくんたちがいいな。
5:れーじゅなくなっちゃった。だれかからわけてもらえないかなぁ。
6:ばいばい、お兄ちゃん。
【ライダー(
デンジ/■■■)@チェンソーマン】
[状態]:令呪の効果によってチェンソーマン化中、血まみれ
[装備]:なし
[道具]:なし
[所持金]:数万円(しおよりも多い)
[思考・状況]
基本方針:サーヴァントとしての仕事をする。聖杯が手に入ったら女と美味い食い物に囲まれて幸せになりたい。
0:ヴァ(見てたよ、の意)
1:死柄木とジジイ(モリアーティ)は現状信用していない。特に後者。とはいえ前者もいけ好かない。
2:
星野アイめちゃくちゃ可愛いじゃん……でも怖い……(割とよくある)
3:あの怪物ババア(シャーロット・リンリン)には二度と会いたくなかった。マジで思い出したくもなかった。
……なかったんだけどな~~~~~~~~~~~~~~~……ハア~~~~……
[備考]
※令呪一画で命令することで霊基を変質させ、チェンソーマンに代わることが可能です。
※元の
デンジに戻るタイミングはしおの一存ですが、一度の令呪で一時間程の変身が可能なようです。
【
星野アイ@推しの子】
[状態]:疲労(小)、サーヴァント消失
[令呪]:残り三画
[装備]:拳銃
[道具]:ヘルズクーポン(複数)
[所持金]:当面、生活できる程度の貯金はあり(アイドルとしての収入)
[思考・状況]基本方針:子どもたちが待っている家に帰る。
0:私は生きるよ、殺島さん。
1:…やっぱりまだ当分は連合(こっち)だなぁ……。
2:じきに迎えに来るデトネラットの
NPCと共に戦線から離脱する。
3:敵連合の一員として行動。ただし信用はしない。
[備考]
※
櫻木真乃、
紙越空魚、M(
ジェームズ・モリアーティ)との連絡先を交換しています。
※グラス・チルドレンの情報をM側に伝えました。
[共通備考]
※死柄木の携帯から田中の携帯へと着信が入ったものの、通話は繋がらなかったようです。
◆ ◆ ◆
「…あんな小さい子が、連合にいるの?」
漏らしたのは真乃だった。
連合の協力者についての情報は幾つかあった。
だがあんな幼い子供まで居るという話は聞いていない。
割れた子供達の例もあるにはあるが…冷たい言い方をするようだが、彼らはあくまで
NPCだ。
対し恐らく先の通話口から聞こえた声の主は正真正銘、聖杯戦争のマスター。
連合の正規構成員である可能性が高かった。
「脅されてるんじゃないですか、あの死柄木とかいう偉そうな奴に」
「んー…それは無いんじゃないかなー。摩美々もあの人の事は全然知らないけど、そういうタイプじゃないと思うんだよねー」
連合の王…改め。
連合の魔王は確かに非常に凶悪で危険な人物だ。
彼は人の命を何とも思わない。
墨田区を吹き飛ばしたのだって、その過程で生まれた多くの犠牲については微塵も想いを馳せていないのだろう。
世田谷の一件がある以上摩美々はそれを強く責める事は出来ないが、思う所がない訳ではない。
「あの人は多分…本当に一直線な人だから。壊す事しか考えてなすぎて、逆に狡辛い事は向いてないのかも」
しかしその反面。
にちかの言うような事をするタイプではないと感じたのは本心だ。
死柄木は恐らく蜘蛛と呼ばれた彼らとは根本的に異なる人種。
糸を垂らして事を掌握するのではなく、自らの力で事そのものを破壊する質。
数刻前の"対談"は摩美々に彼のそんな人となりをよく理解させた。
「だから先刻の女の子は、たぶんちゃんとした自分の意思で連合に居るんだと思う」
「……摩美々さん、ほんとにアサシンさんに色々似てきてません? 推理役が板に付いてきた気がするんですけど」
「あー…ちょっと自覚ある、カモ。でも他人に指摘されるとやっぱ恥ずかしいから、あんまり言わないでー……」
痛い所を突かれた。
らしくもなくそんな素振りを見せつつ分かりやすい咳払いをする摩美々。
「どんな子なんでしょうね。あんな歳で、聖杯に願ってでも叶えたい願いがあるって」
煮え切らない顔で呟いたにちかの言葉が朝の公園に響いた。
今や彼女達にとって敵連合という組織は得体の知れないエネミーではなくなった。
彼らは隣人だ。その体には血が通い、その頭には求める未来が投影されている。
方舟の根底にあるのは調和と相互理解。
いずれは彼らとも向き合わなければならない時が来る。
今少女達に突き付けられている命題は、その"いつか"を早めるか否かというものでしかない。
「…ふふー。やっぱりあの人みたいにはいかないなー」
一人で考えても答えは出せそうになかった。
しかし幸い、
田中摩美々は一人ではない。
彼女は微笑み、臆する事なく助け舟を求める。
「二人も一緒に考えてくれるー? 名探偵摩美々に、たくさん意見くれると嬉しいんだケドー」
「うんっ、勿論。仲間で、友達なんだし…皆で一緒に考えよう」
「流石にこの状況で丸投げなんて出来ませんって…。……まぁ、役に立てるかは知りませんけどね」
悪役はよく笑うものだ。
正義はよく怒るものだ。
されど生憎彼女達は正義ではない。
悪を討ち滅ぼして平和を作る事を目指してはいない。
彼女達は"方舟"で…"境界線"なのだ。
だから彼女達も笑う。
一緒に笑い、一緒に怒り、一緒に哀しみ……そうやって育っていく。
未だその未来は迷宮の中なれど。
それでも、それでも。
【杉並区(中野区付近・杉並区立蚕糸の森公園)/二日目・早朝】
【
七草にちか(騎)@アイドルマスターシャイニーカラーズ】
[状態]:精神的負担(大/ちょっとずつ持ち直してる)、決意、全身に軽度の打撲と擦過傷
[令呪]:残り二画
[装備]:
[道具]:
[所持金]:高校生程度
[思考・状況]基本方針:283プロに帰ってアイドルの夢の続きを追う。
0:界聖杯(ここ)っていつもそうですね! 私たちのことなんだと思ってるんですか!?
1:アイドルに、なります。……だから、まずはあの人に会って、それを伝えて、止めます。
2:殺したり戦ったりは、したくないなぁ……
3:ライダーの案は良いと思う。
4:梨花ちゃん達、無事……って思っていいのかな。
[備考]聖杯戦争におけるロールは七草はづきの妹であり、彼女とは同居している設定となります。
【
田中摩美々@アイドルマスター シャイニーカラーズ】
[状態]:疲労(中)、ところどころ服が焦げてる
[令呪]:残り二画
[装備]:なし
[道具]:白瀬咲耶の遺言(コピー)
[所持金]:現代の東京を散財しても不自由しない程度(拠出金:田中家の財力)
[思考・状況]基本方針:叶わないのなら、せめて、共犯者に。
0:さてー…どうしようかなー……。
1:悲しみを増やさないよう、気を付ける。
2:
プロデューサーと改めて話がしたい。
3:アサシンさんの方針を支持する。
4:咲耶を殺した人達を許したくない。でも、本当に許せないのはこの世界。
[備考]
プロデューサー@アイドルマスターシャイニーカラーズ と同じ世界から参戦しています
※アーチャー(
メロウリンク=アリティ)と再契約を結びました。
【
櫻木真乃@アイドルマスターシャイニーカラーズ】
[状態]:疲労(中)、精神的疲労(大/ちょっとずつ持ち直してる)、深い悲しみ、強い決意、サーヴァント喪失
[令呪]:喪失
[装備]:なし
[道具]:予備の携帯端末
[所持金]:当面、生活できる程度の貯金はあり(アイドルとしての収入)
[思考・状況]基本方針:どんなことがあっても、ひかるちゃんに胸を張っていられる私でいたい。
0:――ひかるちゃん。私、もうちょっと頑張ってみるね。
1:優しい人達に寄り添いたい。そのために強くありたい。
2:あさひくんと
プロデューサーさんとも、いつかは向き合いたい。
3:アイさんたちがひかるちゃんや摩美々ちゃんを傷つけるつもりなら、絶対に戦う。
[備考]※
星野アイ、アヴェンジャー(
デッドプール)と連絡先を交換しました。
※
プロデューサー、
田中摩美々@アイドルマスターシャイニーカラーズと同じ世界から参戦しています。
時系列順
投下順
最終更新:2023年04月30日 01:26