◆
よく拓けた荒野になった新宿から、酷く、不愉快なものが視界に写った。
「……オイ、何だありゃ」
太陽がまだ低い空に、渦が巻いていた。
中心は、電波塔の役目を新鋭に譲った今も、この街のランドマークとして扱われる赤い尖塔だ。
その周囲を、分厚い雲のような長い物体が螺旋状に覆って、中のものを見えなくしていた。
「わあ、おっきなお魚だ」
「魚ァ? サンマにも鰻にも見えねえぞ」
「サンマは知ってるけど、うなぎってなに? おいしいの?」
「お~美味いぜ~魚といったら鰻だよ鰻。これ食ってねえのはモグリだぜ。終わったら食いに行くかあ」
がやがやと、隣で夜の献立について話す声。
底抜けて緩んだ空気が横で流れても、特に思うことなどなく。
「ハ」
ただ、目にしたものに対して、特大に苛ついた。
「……なんだな。やっぱり、要らねえよなあ」
思ったことは、単一の感情だ。
戦いの舞台。勝利の報酬。達成の条件。
それらが全部、あそこで蜷局を巻いてるクソに集中してる。
アレを奪ったら勝てると。守りきれば勝てると。
本命を前に、目先の宝に我先に飛びついている。
そんな状況が、ひたすらに邪魔でしかない。
貰えるものは貰う主義だが、あんなにも関心を集めて、ありがたがられてるのを見ていると、ああ、どうにもこうにもムカついて仕方がなく。
「おい教授。頭いい自慢する『こんなこともあろうかと』チャンス、くれてやるよ。
────丁度いい座標とタイミング、今すぐ考えろ」
つい、───────したく、なっちまうだろ?
◆
固唾を飲んで液晶を睨んでいたにちか達の耳に飛び込んだのは、爆音だった。
自分の足元に埋まっていた爆弾が起動し、生まれた風圧と飛散した破片が自分を跡形もなく、木っ端微塵に消し去ってしまった。
そういう錯覚を抱いてしまうような音だ。
現実ではない。
にちか達のいる森公園は変わらず原型を保ったままで、爆弾が作った穴もなければ、にちかや摩美々や真乃に掠り傷もつけてない。
あったのは、地面の遥か下。地層深くでとても大きな生き物が足元を通ったような地響きと。
集音を最大にして通話状態にしたまま繋がった、ライダーの持つ携帯から流れた破滅的なBGMだけだ。
「………………っ!!」
携帯が音響で破裂したんじゃないかと思うぐらいの衝撃に、遅れて耳を塞ぐ。
両耳の穴を掌で塞いでも、新聞紙を丸めて引き裂く雑音は、鼓膜の奥に暫く残留して。
「……! ライダーさん……!? そっち、平気ですか?」
耳鳴りが収まっても、まだ痛む聴覚に鞭打って、電話に向けて声をかける。
返答は、来ない。
「え……ちょっと……ライダーさん……? 返事してくださいよ……ねえ……?」
繰り返し聞いても、端末は無機質に雑音を返すのみ。
人の声、物音ひとつ出てこなくて。
喉が緊張と恐れと引き攣る。
今すぐに叫び出したい衝動に駆られる。
ものすごい音と爆発を起こした中心は、彼がいた場所で。
奇跡はもう起こらないと、念押しして言ったきりにこんなになってしまって。
行かないで。
待って。
いやだ。
考えたくもない、最悪の想像を嫌でもしてしまう。
けれども悪夢を消し去る答えは返らず、にちかの胸中に溢れ出た弱音が滲み出し───。
「また、置いていかないでよ───」
『マスター、大丈夫か!?』
「ぬわひゃあ!?」
耳の奥、それすら突き破った精神への直通音信に、怪猫めいた叫び声を上げるのだった。
『マスター? 今の頓狂な声は一体……まさか何か被害が────』
「なん、んな、ライダーさん、なんでこっちで……!」
『ん……? ああ、今の熱波で電波が歪んだのか、そっちの端末との接続が一時的に分断されててな。念話なら手っ取り早く意志疎通が叶うと思って使ってみたが』
『あ……あーあー、そうですか……』
念話という、聖杯の選ばれたサーヴァントの基本能力をすっかり忘れていたにちかの方にこそ落ち度はある。
失念していたにちかにしてみれば、後ろから耳元に息を吹きかけられた並の驚愕だし、羞恥である。
『……うん、その様子だと、そっちに差し迫った事態はないみたいだな。おっと、電波が戻ったな。かけ直すよ』
そうとは知るはずもないライダーはスムーズに話を進ませ、改めて携帯から応答する。
生の声にしてあるのは、念話の対象であるにちかだけでなく、ここに集まったメンバー全員に話を通すためだ。
「……それでライダーさん、その……どう、なったんですか。やっぱり……」
気を取り直して声を上げるのは、真乃だった。その顔は浮かない。
彼女とて、ある程度の想像はできてるのだろう。
戦いや、交渉の駆け引きを知らずとも、話し合いに行った場所で龍と爆発なんて派手な現象が起きた以上は。
『……ああ。最善の目標には届かなかった。面目ない』
「…………そう……ですか……」
ライダーを責める意図は欠片もない。
戦いの場に向かう力も肝も、ましてやサーヴァントのいない自分も含めたアイドルの願いを背負って、彼は臨んでくれた。
無血の終息が敵わない結果を嘆きこそすれ、誰かに責を負わせる気持ちは抱くはずもなかった。
『でも、交渉が決裂ってわけじゃない。先方としてはむしろここからが本番……のつもりだろう』
「……え?」
そう、後はもう戦いしかならないと早合点していたから。
自分達の出る幕はないのだと気を沈めていたから、液晶の向こう側にいるライダーを見るように顔を向けてしまった。
「それってー、アレですかね。我に言うことを聞かせたくば、それに相応しい力を示してみせよー、ってやつですか?」
「うん、その通り」
また安直というか、ベタなことを、と、続きを促した摩美々はため息をつく。
男の人ってのは、いつもそうなのか。被害を受ける周りを何だと思ってるのか。
生身でダイレクトに殺し合う聖杯戦争の環境では、それが自然の流れなのかもしれないのだろうが。
「勝ったら、言うこと聞いてくれるんですか、そのひと」
「彼の自身に課したロジックに図るのならな。不正のない結果が出れば、どんなに業腹でも受け入れるタチだ。
自分の道の曲げ方を知らない……頑固な割に律儀というか、真面目なんだろう」
ライダーが話していた交渉相手、
峰津院大和とは、自分の立てた主義においてどこまで忠実である。
直接聞かされた演説めいた主張は、聞く者に虚偽のない貫徹した信念であると頷かせるだけの迫力があった。
相反する主張を持つ摩美々達も、直接相対して浴びせられたら呑まれてしまっていたかもしれない。
有無を言わせない圧は、説得力の一言では収まらない、それだけで暴力的な指向性だ。
では、その流儀に則ってこちらが上を行けば唯唯諾諾と従うというのは、なるほど道理は通っている、のだろう。
『……当然、勝たなければ話にはならないけどな。セイバーとアーチャーはもう向かってる。俺もすぐに行くよ』
「え、ちょ───ちょっと待って、待ってくれません!? なんでそういう流れになるんです!?」
正直言って情報の整理にいっぱいっぱいだったにちかだが、彼が戦いに向かう腹積もりであると知った途端、面倒なあれこれを放り出して飛び出した。
「交渉がどうとか言ってましたけど、結局もう戦いになるんですよね? じゃあもう行かないでも────」
『2人だけに押し付けられはしない。数の利はアレでもう覆された。俺も胸を張って戦力扱いできるわけじゃないが、いないよりはずっとマシさ。
それにあれだけ啖呵を切っておいて、俺が後方に下がっていたら言葉負けが過ぎる。直接倒すとはいかずとも、役に立つところぐらいは見せなきゃ立つ瀬がない』
「それですよ、なんなんですかさっきのは!
私、全然聞いてないんですけど!?」
そこだった。
今にちかの頭をずっと占めている考えは、そこについてが大部分を埋めていた。
交渉の成否とか、出てきた龍とかは、それに比べれば枝葉に過ぎない。
「あいつに言ったやつですよ! 幾らでもこきつかえとか、俺の体を好きにを使って構わないとか、そんなえっ、えっ………………みたいなの!」
『えっ……てなんだ?』
「っっ自分で考えてくださいそんなの! ばーかばーか、あほまぬけー!!」
余りにも言語野を通していない罵倒だった。
反射で組み上げたにしても拙すぎる言葉選びとしか言いようがなかった。
それだけにちかは激怒していた。それはもう怒り心頭だった。こんな幼稚な癇癪でも起こさなきゃやってられなかった。
『あくまで最終手段ってだけだよ。
相手が相手だ、最低限のセーフティは用意して本気度を知ってもらわないと納得してくれそうもない』
「じゃあやばくなったらやるってことじゃないですかーもー!」
『責任だからな。自分から言った仕事を反故にしたら信頼されないし、役目を任してもらえない』
「また責任、責任ってっ……!」
『俺が責任を背負って果たす』。
大和との弁論の決闘。その締めに投じられたトドメの声明。
恐らくは、最も大和の芯を揺るがせただろうと、声だけでも分かった宣言。
どれだけ孤独な王者の心に刺さる一矢だっただろう。
追い詰められた世界に差し出される救いの手に見えただろう。
百人が聞けば、多くが素晴らしい行いと褒め称えただろうか。
英雄の自己犠牲。聖者の喜捨。
願いを諦めさせるのではなく、ひとりひとりの願いに寄り添い、可能なだけの手助けをして回る。
『一人だけしか願いを叶えられない』前提を打ち壊す、皆(みんな)にとっての希望の星。
「自分を大事にとか、あれだけ私に言っといて……!」
『……要求を呑ませるにはどうしたって提供するものが要る。マスター達にそれを支払わせるわけにはいかない以上、俺が引き受けるしかないよ。
それにやる事は生前と大きく違わない。生身と違ってサーヴァントなら時間に制限もないし……』
「どうでもいいんですよそんなの……!」
どうでもよかった。
そんなのを聞きたいわけじゃない。
誰もが幸せで救われるハッピーエンド。完全無欠の大団円。
そんな甘い幻想に乗せられてなんかやらない。たとえに生きている全員が夢を見ようとも、にちかだけは誤魔化されてやらない。
だって。
その全員にとって最善の結末とやらの秤に、自分のサーヴァントだけは、絶対に乗っていない。
犠牲の大小とか、大局的な視点とか、そういうのが言いたいわけじゃない。
この身は死者であり生者より優先される謂れはないなんて金言が、聞きたいわけじゃない。
これはまったくちっぽけな、ひたすら感情的な話だ。
理屈や正当性なんて一片も入っちゃいない、個人の激に基づく暴論。
生き残るかどうかの討論に、間違っても加えちゃいけない声だった。
「……なんであなたが……あんなやつなんかに………………」
繰り返された応酬に埋まった羅列。
ただのものの例えで誰も気に留めない、言った当人ですら覚えてないだろう、他愛のない一文。
けれどにちかは忘れない。彼女の心中だけでは、他のどの主張よりも重大で、見逃し難い意味を持っている。
「あの子を……要らないなんて言ったやつのために……ライダーさんがそこまでしないといけないんですか……」
あの『七草にちか』を。
アイドルを目指すことを諦め、私(にちか)がまだアイドルになりたいならファンでいると言って死んだ彼女(にちか)を。
社会の役に立てない、死すべき灰燼(ゴミ)だと、大和はあっさりと言ったのだ。
「……っ」
吐き出してから、後悔した。
なんてみっともない。ようは自己嫌悪なのだ、この怒りは。
峰津院大和が嫌いだから、そいつのために身を粉にして働くアシュレイなんて見たくない──────。
自分のファンを貶められたからで用意されたステージを台無しにするが如き、子供の我儘でしかないのだ。
それを分かっていながら文句を放ってしまった、自分の堪え性のなさへの憤懣を、ライダーに八つ当たりしているに過ぎない。
急にこんなことを言われても、ライダーは迷惑がるだけだ。
今回の作戦には、皆が賭けている。
にちか自身が生き残れるかも含めての、絶対に失敗できない正念場であるというのに、鍵となる男が気に食わないから、協力したくない?
馬鹿なのか。それで自分も死んでは元も子もないと、それぐらいは聞き分けよく理解するべきだろうに。
黙っていた事についての怒りはあるけれども、何もライダーが考えなしで言う人じゃないのは知っている。
きっと前から。それこそにちかが聖杯戦争を受け止められず立ち往生していた頃からずっと、考え続けていたんだろう。
どうすればマスターを元の世界に帰せるのか。
五体満足のみならず、精神にも傷を負わせないような終わり方を見つけられないか。
敵を全部倒すよりももっと難しい問題を、何度も反芻し、反復し、計算をやり直してきていたんだろう。
それで出た結論がこれなら、にちかに口を挟む資格なんてないではないか。
ご立派な対案を出せるわけでもないのに、考えたことすらないのに、文句だけは一丁前に口出しして、困らせるだけ困らせて。
ああ、何も成長していない。これはいつも通りの七草にちかだ。
現実も知らないこんな子供は、さっさと黙るべきだ。
訂正して、修正して、規正すればいい。
肩書きだけでもマスターなら、マスターらしく信じると言って送り出せばいい。それでスムーズに話は進んでくれる。
「……そうだよな。好きな人を貶められたら、誰だって腹は立つもんな」
なのに、そんな逃げ道を潰すとばかりに、ライダーの優しい気遣いは厳しくにちかを受け止めた。
「好き……とか、そんなんじゃ、ないですよ。こんなの───────」
「でも、にちか(ファン)を馬鹿にされて、君は怒ったんだろ?」
好きや愛といった綺麗な気持ちじゃない、そう言おうとしたが、喉は続いてはこない。
あの子(にちか)を中傷されて怒るということは、自分の為に怒るようなもので、けどそれって考えてみれば当たり前のような気がして。
ファンを好きになるのはアイドルなら当然で、あくまでファンの為であってにちかではなく、ていうかその好きってライダーさんにもかかってるんですかいやいや違うでしょ──────ああもう何がなんだか。
「その怒りは正しいものだよ。少なくとも、邪魔でくだらないからの理屈で忘れていいものなんかじゃない。
それは、誰かを愛する行為自体を無意味としてしまうから」
愛と憎しみは表裏で繋がっていて、常に離れず分かち難い。
だからこそ人はその反転に苦しみ、時に苦痛の原因を外に向ける。
人に感情がある限り争いの円環は途切れない。いまだ断ち切れない人の業のひとつ。
「マスターはその気持ちを捨てないでくれ。
好意も嫌悪も君という星から零れ落ちた大切な宝だ。
その方が都合がいいからって笑顔で押し込めて、代わりに自分を被虐する必要なんてない。……発散のやり方は、少し直した方がいいけれど」
「なっ───────」
許せないという思いに誤りはなく、間違いがあるとすれば距離の取り方を損ねた時だけ。
そこはこれからまだまだ精進して欲しいと小言を挟んで。
『それに、英雄らしく我が身を犠牲にとか、そういう格好いい理由でもないんだ。
こういうことをしたい。これをできない自分にでいたくない。
生きてる間にはやり切れなかった理想の生き方を、今度こそ完遂したい。
君と同じ、ただの我儘だよ』
子供っぽい理屈だろう? と。
本当に、自分(にちか)と変わらないエゴなのだと笑ったアシュレイの顔が自然と浮かんでしまった。
そんな顔を想像してしまったら、文句なんか言えやしない。
卑下に走る逃げ道も塞がれてしまい、にちかの口はすぼんで閉じた。
ずるいですよ、と、声にもならない呟きを微かに漏らすしかなく。
『なので今回の不満については遠慮なく、主犯(おれ)にぶつけてくれていい。
それでも足りないなら───本人にでもぶつけてしまえばいいさ。
その為になら、幾らでも体を張れるよ』
まるで俺も挨拶に付き添うから、なんて調子で、死地に向かうと言いのけて。
勝って、その上で引っ張り出した相手に直接伝えてやれと、自分にもライダーにもものすごく難易度の高い提案をされて。
今こそ怒るべきなんじゃないかと考えながらも、ぐっと堪える。
ひとまずちゃんと帰ってくるって、言ったのだから。今は大目に見てやる。
帰りを待つ人との約束は、守ってくれないと駄目なのだ。
「……勝手にいなくなるのは、もうなしですからね」
『ああ』
「やろうとしただけでもお腹にグーパンですからね。令呪でもなんでも使って、彼女さんに約束守らないで女の子泣かせたタラシって言いふらしますよ!」
『そいつは困るな。死んだ後で現地妻とか浮気沙汰なんて厄ネタ、あっちに持ち込みたくはない』
「うわ、なんか手慣れてる感。そうですよね、モテモテライダーさんに比べたら私なんか駄菓子みたいなもんですよねー」
『君には君の魅力があるさ、変な意味じゃなくてな。それに俺にとっては誰より愛しい人だけど、それで女の子に順位とかつけるもんじゃない』
「はーっそうですか、はーっそうですか! 心も体も貧相なマスターがいきがってすみませんでしたねー!」
「……ふふっ」
言ったそばからかしましくも噛みつくにちかが拾った、微笑みの音。
乱高下を繰り返していたお調子ゲージが、一瞬で冷え切った。
いつものやり取りになった流れで、自分以外の他者の目を、完全に失念した事態に、ここで気がついてしまった。
ぎ、ぎ、ぎ、と首を動かす。
秒で錆びついて固くなった関節を捻じ曲げれば、あれやこれの一部始終をご覧になっていたおふた方。
「………………ぇと…………………………その、」
「ふふー。にちかって普段そういう感じだったんだぁ。ひょっとして
プロデューサーさんともそうだったのー?」
「あっごめんね……! 別におかしな意味で笑ったわけじゃなくて……!
にちかちゃんの知らないところを知れて、私は、よかった、よ……?」
美味しそうな獲物を見つけてニヨニヨと笑うチェシャ猫一匹に、わたわたと手をばたつかせる鳩一羽。
ライダーの安否を心配して流した冷や汗とは、また別種の脂汗がにじみ出てくる感じ。
何かよく分からないが終わった気がした。
別に隠すつもりもないし、バラエティなんかに出たらこういうキャラで行こうなんて皮算用を立ててた頃とか、ありはしたけど。
こんな明け透けにギャンギャンがなりたてる様を見せつけてから、どんなもんだと居直れる度胸はにちかになかった。
無論、真乃も摩美々も遠慮なく鬱屈を発散させるにちかへの心象を下げるわけもなく、微笑ましく眺めているだけなのだが。
「それに。ファンを馬鹿にされて怒るアイドルは、何もにちかだけじゃないし。
ね、真乃」
「あっ…………うん。
言い方とか、感じ方とか、いっぱいあると思うけど……やっぱり、違うよってことだけは、伝えたい、かも」
峰津院大和との、聖杯の用途を話し合う会談。
直接交渉を行うのだと段取りが決まった時。
大和の話を聞きたいと、最初に言い出したのは、誰だったか。
面と向かい合うのは危険すぎる、耐え難い痛罵を聞くかもしれないと拒否され、ならせめて話し合いの内容だけでも聞けないかと、控え目な普段とは違って食い下がったのは、誰なのか。
ただ生きたいという欲求で他の願いを否定することになったとしても。
相手がどんなに大事で、手放したくない希望を掲げてるのか、知らないまま終わらせたくない。
潰さずに遺せる方法がないかを探すことをやめたくない。そんな我儘を、彼女達も抱えていた。
「そういうことで、後はお願いします、ライダーさん。
にちかのお願い叶えちゃうぞのコーナー、さっくりと済ませちゃってください」
「お、お願いします……!」
にちかの願いを果たして欲しい。
生きてマスターの元に帰還する旨こそを遵守してと、二人でそう告げる。
『ああ、任された。
じゃあにちか───いってくるよ』
「……いってらっしゃい」
気の利いたかけ声なんて思いつくわけもなく、平凡な返事をぽつりと送る。
それで電話は完全に切れた。
後はもう待つしかできない。
遠くから木霊する爆音も気にならない沈黙が、とても痛く胸に疼いていた。
.
◆
渦の中心に立つ東京タワーは、地に打ち付けられた錨のようだ。
鳴り叫ぶ咆哮。
自らを満天下に知らしめる、長大なる偉容。
のたうつ尾ていは、撫でるだけの動作で更地を作り出す。
開かれた顎から振るわれた火炎は、薄墨色の街を紅蓮に染め上げる。
文明が漂白される。人の理など、この大いなる星の地平にかけられた薄い織物に過ぎない。
剥がされれば、たちまち風に吹き飛ばされる。1000年の泰平、2000年の歴史も、宙にとっては塵程の重みのない脆い観念だ。
龍とは地の脈動、水の渓流、惑星を運行する流れ。
赤柱は、神を封じ祀る祭壇そのもの。
社を拓きそれを引き抜けば、底に眠る巨躯が解き放たれるのみ。
微睡みから目覚めた『龍』は、束の間の自由に欣喜雀躍するが如くうねり荒ぶる。
人は無数数多の自然現象を解き明かし、自らが自在に操る技術として屈服させてきた。
その中で制御できぬ、人の手に余る自然の猛威に対し、人は象徴を見る。
人では届かず、人には扱えぬ領域。世界の深理に根ざす超常に、名をつける。
崇めるもの。畏れるもの。神のかたち。龍のかたち。
顕れた龍は、紛れもなくそれに類する大災害の具現であった。
「……! ああもう、またっ!」
紅蓮よりもなお朱く、炎よりさらに熱く。
さりとて燃え尽きずに戦場を駆ける、美しき華。
両手に二刀。服に艶。顔には爛漫。放つ剣気は天魔も穿つ。
神を恐れず、龍に戦かず。
天に唾吐く振る舞いは狂いの手合か。
応ともと返礼が乗る。我こそは剣狂い。剣の道を歩く道程に塞がる一切を切り捨てた外道なり。
人に鬼に魔に神、斬りに斬って辿り着いた地平の境界。龍を殺すもまた一興。
孤剣にて龍に挑むは誰あろう、地平戦線いちの用心棒、
宮本武蔵。
東京タワー側の霊地奪取戦へ一番乗りである。
「大物なんだから、噛みつくとか尻尾で叩きつけるとかしてきなさいよ! おーい降りてこーい!」
交渉役が吹き飛ばされたのを開戦の合図と受け取り、我先にと先陣を切った武蔵。
たが戦況は一向に動かず、この通りのジリ貧だった。
まず戦いの土俵に入る、という段階が成立していない。
敵は龍。しかも地に足を踏みしめて詰め寄るタイプでなく、空の上を棲家とする応龍の器。
武蔵の剣。武蔵の技。磨きに磨いた武芸を披露する機が、まるで訪れて来ない。
斬撃の間合いを飛ばす術理はあまり得意ではなく、その地点に近づけねば斬ることはできない。ギリシャの時もそれで苦労をした。
届かないならばと、操り主である青年に狙いを向ければ、空から雨あられの爆撃だ。
捌くのは苦ではないが、重症の身で当たってもいい威力ではない。汚染が進行するどころか五体が弾け散る。
龍にもマスターにも刃は届かず、徒に時間が消費されていく。
どれも徹底して、武蔵の独壇場を許さない戦術だった。
それほど剣豪と交えるのを厭うのか。それとも火事場泥棒に出番はないと突きつけてるつもりか。
ここまで距離の調整に腐心している理由が、彼女もよく知る無頼の侍であるのを預かり知らぬのは、不幸であるのか。
「まあ実際、大飯目当てに飛びついた用心棒ではありますが……傷つくなぁもう!」
降り注ぐ火榴弾を斬り裂いていきながら文句を垂れる女剣士を、大和は冷ややかに見つめる。
つくづく、剣士と縁のある戦いであることだ。
予選の頃にも目にしたが、某かの因果を感じずにはいられない。
弾き出したライダーに代わって現われたサーヴァントが、
光月おでんと同等に腕が立つと見て取って、即座にこの戦法を維持し続けた。
サーヴァントを近くに侍らせない身で、近接特化のサーヴァントと正面からぶつかる軽挙は冒さない。
予選ならいざ知らず、本戦の佳境となればいずれも生え抜きだ。最早余裕も油断も許されないと、黎明の失態で思い知らされている。
優位は与えない。手にしたアドバンテージを活かし、このまま押し潰す腹積もりだ。
龍脈操作と悪魔召喚。峰津院家の総力を結集して生まれた大地の龍。
保管した大量の魔力を元手に強力な幻想種を呼び出すのではなく、魔力に染み付いた土地の概念そのものに象(かたち)を与え、使役する。
魔術師が如何に神秘を学び体内に魔力を取り込む器官を生成しようと、大地という極大のリソースから汲み上げられる量とでは月と海ほどの開きがある。
地球の大半を占める海洋と、そこからコップ一杯を掬い出した水、比べる思考すら愚かしい。
絶技を設置した陣の片方を解放したことで、それを支配する大和は参戦する全てのマスターを突き離して凌駕する力を得たのだ。
「……やはり、小さいな」
それ程の力を得ていながら、大和の顔はまるで満足のいってないという、憮然とした鉄面皮のままでいる。
これまでにない規模の大魔術を成した達成感、勝利の王手詰めに入った高揚とはまるで無縁だ。
龍脈の儀は確かに成功した。
問題ない経路で龍は現出し、今も大和の制御下にある。
しかし出力だけは、予測よりも遥かに目減りした状態での発動でだ。
ここでいう予測とはつまり、大和の元いた世界で龍脈の術を発動させた場合でのシュミレーションのことをいう。
日本全土の霊地を確保し、その全ての純粋無垢な魔力を抽出して生み出される存在が街一画の範囲で収まるはずもない。
平時には国土を守護する霊的結界として維持している力の奔流を、一点に凝縮、固形化する法こそが龍化の真骨頂だ。
単純な反転にしても、列島一個を相手取るだけの総量が収められていなければ話にならない。
なにせ仮想敵が、全宇宙の生殺与奪を握る管理者だ。招待も全容も知れぬブラックボックス、口径は大きければ大きいほどいい。
計算違いの原因は、とうに調べがついている。
土地の問題。東京都一帯からのみでしか霊脈を徴収できていないがための不備。
界聖杯内で再現された土地は現在地の東京都のみという読みの裏付けが取れた形となる。
その因果についてはここで問うことはしない。認識すべきは、式は完全でも数値が不足している状況のみだ。
サーヴァント・パラメーターの
ルールに則れば、おおよそA+ランクの対軍宝具というのが、龍に大和が下す査定だ。
人間がこれを扱える時点で破格といってもいいのだが、
カイドウといった
ベルゼバブと渡り合う猛者相手には決定打に欠けているのは否めない。
そのカイドウへの備えとしての龍だったのだが……当の鬼の姿は一向に見えない。
あの交渉人は足止めと言っていたが、決裂の時点で押し留める利点は既にない。ここで三つ巴の乱戦にもつれ込むのを避ける意図か。
そう。方舟は戦線を維持する事を選んだ。
つまりまだ──────向こうも諦めてなどいない。
「……来たか」
延焼する街路樹の揺らめきから飛び込む銀灰色を視界に入れて、大和の内に火花が散る。
大和に初めて、戦いの強さとは異なる次元の未知の色を見せた銀灰の男。境界を越えるもの。
「遅い! もう少しで丸焦げになるとこよ!?」
「すまない、時間をかけた。すぐに取り戻す。状況は?」
四肢に銀炎をくゆらせて帰還した
アシュレイ・ホライゾンに武蔵は発破の叫びをかける。
半分ぐらいは本気の泣き言だ。尻に火がついたら一目散に背中を向けていたところだ。そも自業自得な気もするが誰も指摘はしない。
「見ての通り。男の子は動かず、代わりに空から好き放題撃ちまくりの有り様。
如何せん、上の子は先にやっとかないと駄目ね」
「アレが霊地の魔力で出来てるなら散逸させるのは勿体ないが……贅沢も言ってられないな」
対象すべきは龍。そこは共通認識だ。
確保するべき霊脈を手ずから討たねばならぬ羽目になるとは思わなかったが、東京タワーの霊脈は手つかずであるのが不幸中の幸いか。
煌翼を封魂されたアシュレイに、これを落とす大威力の攻撃は生み出せない。
ならばお鉢が回るのは自然、二天一流に他ならない。
「近づければ、斬れるか?」
「そこは大船に乗ったつもりで。ついでに空飛ぶ舟でも用立ててくれれば言うことなしなんですが」
「分かった、近いものなら準備できるよ」
「マジ!? 言ってみるもんだ!」
場を和ます冗談のつもりが、素面で返ってくるとは思わなかった武蔵。
当てがあるというのなら、遠慮なく頼らせてもらおうと構えを直す。
「二人一組(ツーマンセル)で、タイミングが来るまでは付かず離れず連携を重視。
単騎駆けじゃ届かない。勇ましく馳せ参じたはいいが、俺じゃどっちを相手にしても時間は稼げない」
「うん、君の腕前ならそれが妥当ね……けど、それでよく戻って来れたわね。私、そんなフォロー上手じゃないわよ?」
格世界のあてもなく遍歴していた頃ならいざ知らず、カルデアとの旅路で集団戦の心得を武蔵は覚えている。
英霊剣豪。神の真体(アリスィア)。武蔵という、特上の剣を特効とする相手に当てる為の軸。
マスターという無二の援護と、盾の英霊(シールダー)の護り、加えて名探偵の指摘の手厚い加護を受けての戦術が基本だ。
慣れていない。意気は良かれど技量の追いついていない、悪く言えば二流の剣士を連れて補助に回る、いわば師匠役の経験はさっぱりだ。
「ここが踏ん張りどころだからな。光月おでんがカイドウを押さえてくれてる今、勝つにはここが最初で最後のチャンスになる」
アシュレイがおでんへ依頼した足止めとは、なにも交渉までの間に限定してはいない。
争奪戦に海賊の両巨頭が乱入すれば、始まるのは三つ巴で互いを滅ぼすまで終わらない消耗戦になる。
それは最悪の筋書きだ。霊地どころか、戦線の崩壊すら危ぶまれる。少なくともアシュレイが只中に巻き込まれれば確実に死ぬ。
故に、ここしかないのだ。
戦線の方舟班と、峰津院大和との一騎打ち、一軍対一軍の構図が成立してるうちに決着をつけなければならない。
たとえ連携不足の一団(パーティ)であろうと。
切り札を喪失した煌翼を広げられない未熟者と、戦場の華には決して慣れ得ぬ蛭(リーチャー)の如し兵士であろうと。
戦力不足に時限制。俯瞰して鑑みれば達成不可能の課題(クエスト)を、絶望に濡れてなお溺死する事なく沼から抜け出た男達は挑むのだ。
「それと半分は見栄だ」
「見栄?」
「女の子に必ず帰ると言ったんだ。やばいからって大人しく逃げるのは格好悪いだろう」
男なんてそんなもんだろうと、あっけからんとアシュレイは言う。
武蔵は、ほー、とか、あらー、とか。凛とした表情をにへらと緩ませた。
「あはは。うん、そういうのは良い理由だと思います。何事も生きてこそが一番。
一つの道に進めるなら喜んで何もかも捨ててしまえる……そんな人でなしは何人も必要ないでしょう」
始まる死闘の前に、つい笑ってしまう。
なんて健全で、前向きな戦う理由だろう。
常に前を見据えて未来へ進む足腰。
死に脅えず、歪まない、真っ直ぐな心根。
個人の力が及ばない点も含めて、ああ、よく似ている。会えばきっと気が合うことだろう。
であれば────背を預けたまま剣を振るうのに、多少の自信になってくれる。
「後ろは気にしなくても大丈夫そうね。
ついてこられる?」
「足も肺もまだ生きてる。追い縋って見せるさ」
「重畳。ならば遠慮なしで突っ切りましょうか!」
並び立つ陽と花。
立ち向かうは最強のマスター。龍神を従える鎮護の御子。
今にも沸騰しそうな空間にて、それに負けじと胸の炎を焚き付ける。
作戦は第二段階へ。避け得ない戦いが、始まった。
.
◆
破れた血管から流れ出る血の量を、思う。
体の一部が削り取られ、泣き別れにされた喪失を、思う。
外的な損傷によって己の体から発される痛みの信号を、思う。
それは、彼にとって何もかも未体験の味わいだった。
継国縁壱という英霊の履歴の空白が、この時をもってして初めて埋められた。
生前に一度として起こらなかった出来事。自己の損傷。被弾の流血。
無双乱舞を誇る鬼の群れを相手取ってなお、影さえ踏ませず無傷無敗で人生を終えた烈日の戦神。
鬼狩りの間でさえ知られざる御伽噺となっていた伝説は、稀人となり幽世から帰還してから潰えたのだ。
サーヴァントは過去の再現。
縁壱の最期は誰彼の並み居る敵者によって攻め落とされたものではない。
民衆の声なき声を咎に受け司法の手で処断されたのでもない。
生命であれば必ず至る終わりの場。命が潰える理由の中では最上とされるもの。
寿命、であった。
誰にも捉えられず、誰をも捉える事こそが縁壱を形作る英霊の在り方だった。
足法は疾風怒濤。剣閃は鎧袖一触。
その事実すら歴史には残らず、霧の如く霞み薄れてしまっている。
皮肉にも、彼の伝説を脅威と悍ましさを滲ませて連綿と引き継がせていったのは、彼の剣を受けながら偶然にも命からがらにも生き延びた鬼の首魁であり。
敵にのみ伝えられてきた苛烈さと呵責なさを、この身にも内包している。
「────────────」
断続的に走る、雷撃じみた痛覚の信号。
発生源たる左腕を横目にやる。生まれてより当たり前にあった指が、掌が、前腕部が消えている。
代わりにあるのはとめどなく溢れる赤色の染水。鉄錆びた臭いを黒焦げた地に振り撒いていく。
”ああ─────ちゃんと、赤いのか”
そんな感想を抱いてしまう自身を、呑気なものだと俯瞰してしまう。
生涯に終ぞ訪れなかった負傷を浴びても、縁壱の内に恐怖は湧かなかった。
一度として見えぬ強敵と刃をぶつける高揚もなく、安堵とでもいうような気持ちを生じさせてしまう。
昔、自分が人とは違う生き物なのではないかと不安に駆られた事がある。
未来に伴侶となる女から、自分の視え方が常人とは遥か異なる構成をしていたと教えられ。
轡を並べて悪鬼滅殺を誓いあった同胞から、神仏に向けるかのような祈りや称賛を幾度となく送られ。
己が生まれた役割が、目の前に立つ鬼を倒すためだと確信しながら取り逃がしてしまった時も。
始めから自分は人でなく、悪鬼に裁きを下すため天より遣わされただけの執行装置であり、種の分類として『彼等』とは相容れぬ存在ではないのかと。
そうではないと、この体も心も紛れもなく人より生じた只の人なのだと。
母に、妻に、少なくない者にそう諭されてきて、自分もまたそう信じてはいたものの。
自らを腑分けするほどの理由も勇気も持てなかったのは、事実といえば事実であり。
結局自身が天意を受けて産み落とされた御子であるかなど、分からず仕舞いのまま物語は終えられた。
終わってみれば、真実はとても単純なものだったらしい。
流血するこの腕が明らかな証だ。
血は止まらない。
腕は生えてこない。
奇異なる部位、突起が混じってもいない。
なんてことのない。分かってしまえば呆れてしまうほど簡素な話。
自分は強く、強く生まれてきただけの、ただの人間でしかないのだと。
そして、同時に驚嘆もした。
この痛みに、喪失に、音を立てて背後に寄ってくる死の気配に、『彼等』はいつだって耐えてきたのかと。
手足が飛び、目鼻が潰れ、内蔵が抉れ、絶命寸前に至っても。
自分ではない誰かを、目の前だけでなくこの先に続く名も知れぬ人々を守らんと、身を奮い立たせてきたのだ。
その思いは遠くに繋がれて、縁壱すらも先に置いて、やがて本懐を果たす事が出来たのか。
何という奇縁だろう。
千切れたと思えた細糸がこより、寄り合い、絡まって、太く固い線に繋がれていく。
吹けば飛ぶしかない脆い人の強さの本領を、しかと縁壱は見通した。
それを思えば、たかが片腕一本もがれた程度のこの身のなんと些細な事か。
仲間の痛みを共有できなかったこれまでの孤独に比ぶれば、代償には軽すぎる。
まだ片腕があり、足も動く。出来る事は、多すぎる。
「どこ余所見してんだ! 血を失いすぎて呆けてんのかい!?」
雷霆を拳に纏った悪神が、縁壱めがけて振り下ろす。
拳だけでも全身を覆う巨大。当たれば即死の鉄槌は、それが自然の流れとばかりに空振った。
転換して出来る火車の轍。
瞬身を果たすと同時に縦に回転した刃が、老婆の弛んだ首筋の脂肪を剥ぎ取った。
「なんだい…………また、速くなってんじゃないか……っ!」
獰猛に笑み狂い傷を舐め取るビッグ・マムに、縁壱は笑わず、震わず、身体能力の割り振りを再計算する。
体重が減った分、速さはむしろ上がっている。既に速度を見慣れているビッグ・マムすら見失うほどに。
だが隻腕になった事による筋力の低下は避けられない。これは普段の倍以上の握力を込める事で補う。負担は増えるが、増えるだけで済む。
神ならぬ人を定義しても、収まる才が神域にあるのに違えはなし。
今の一振りだけで体幹の誤差を修正し、変化した体に最適化された体術を完成させていた。
「そうさねぇ……手負いのヤツほど牙を剥くもんさ。そこの男みたいにね!」
厄介なのを目覚めさせてしまったと、ビッグ・マムは舌を巻く。
これまでの交戦を経て、彼女は縁壱にひとつの結論を得ていた。
自分とベルゼバブにはあってこの侍に足りない要素。種族性は出自故の差ではなく、戦闘力のバラメーターの数値上の話。
同格、格上の敵と戦った経験値だ。
弱い敵だけ選り好みしていたとは考えない。そんな器の男ではないことは十分知れた。
ただ単に、縁壱のいた世界では、他に組する相手がいないほど圧倒的に強すぎたが故の欠落だろう。
それだけ隔絶した地力を持っている証左でもあるが、共に歴戦であるこの二者を相手取るには、僅かなれど致命的な差を生む。
だがどうやら、二人がかりでその欠落を埋めてしまったらしい。
どれだけ斬られても死なず、防ぎ、反撃してくる猛者との競り合い。
たかが一戦で起きた濃密な攻防を、この男に教え込んでしまった。
「ここで叩いておくべきだねェ……!」
勢いづいた若い手合いなぞ癇癪の種でしかない。
元よりそのつもりだが、この侍は絶対に逃さない。この場で殺さなければならない。
「スルト! 大盤振る舞いだ、派手にやりなァ!!」
「クク。いいだろう、ママ!」
「おれもいるよ~~~~~!」
空を焦がす赤火の号。
新生された炎の幻剣の像が、陽炎と揺らぐ。
無形、故に自在とする生命化された現象の真骨頂。
太陽と、炎が、混じり合う。
同属性、同魂から生まれたからこそ叶う融合。
像が膨らみ、広がり、成すは拡大変容。込めた名に相違ない、巨人の王が降臨する。
シ グル ド
「"熾・狂・斗"ォォォ!!!」
顕現と同時、着地した地面が泡立った。
接地面は即陥没。コンクリートの舗装を融解させ底の地層を露わにし、更に穿孔していく。
熱が、街を融かす。
進むごとに何かが砕ける。
進むごとに何かが燃える。
人の生み出した、形あるものをすべて溶かしていく。
プロメテウスとヘラの"三千里(ミザリー)"から、プロメテウスとスルトへと切り替えた合体ホーミーズ。
メルトダウンに至った原子炉が歩行している、人類の描く悪夢が、命を得たのだ。
「燃えろ、マムの敵。
我が炎にて、燃えて、消えろ」
炎の腕が上がる。
母に仇なす存在を、灰燼に帰すため。
腕が、腕のまま剣の機能を果たさんと伸び、尖っていき。
通過する大気を焼き焦がして、振り下ろされた。
標的は諸共。右の腕で侍を、左の剣で獣を標的として。
赫き侍は直撃をかわすも周囲全域に伝播された灼けた熱気を浴び。
黒き獣は、避けようともしなかった。
「ァァァアアアアアアアア!!」
黒と赤が、激突する。
太陽の表面とそこに灯る黒点程の面積比でありながら、一方的に潰されずに互いが互いを喰らい合う。
褐色の肌を黒く焦がし。
なお黒く変色した武装の拳を溶かし。
ランサー、顕在。ベルゼバブの名はその存在を傲岸に誇示し続けている。
「なに……!!」
「何かと思えば、地面を溶かすだけか─────温いぞォ!!」
超高熱の炎の剣を直に叩きつけられたまま、押し返さんと進撃するベルゼバブ。
いや、直ではない。その体は覆われている。炎から守る盾となり覆われている。
黒い、背中から生えた鋼の翼に。
かつて太陽を越える煌めきに片翼を切り落とされた、いまだ再生果たせずままの星晶獣由来の兵装。
千切れた羽から武具を生産する宝具であるこれは、当然の如く羽の武具以上の攻撃性、堅牢性を持つ。
元より漆黒に染められている鋼翼は今、さらなる黒けき色に染色を遂げている。
獄炎に晒され続けた損傷の傷に非ず。之こそは彼が新たな階を足を進めた証。
武装色の覇気、自らの武具への転化。
鋼翼は表面をベルゼバブの覇気にコーティングされ、硬度に磨きをかけて炎剣を凌ぐ。
俄に齧ったばかりの技術を、加速度的に成長させ戦闘に組み込む。
「捕まえ、た」
改造した黒翼が炎を防ぎ切ると確信し、巨人をかき消さんと踏み込みを深めるベルゼバブを、横合いからの太腕が機先を制する。
"熾狂斗"を従える、他ならぬビッグ・マムの拳である。
読んでいた。ベルゼバブが炎に臆せず真正面から打って出ると。
あるいは、強さの果てを登り続ける天司への、信頼か。
自意識を持つホーミーズは自身で技を制御し、そこにマムの意志は介在しない。故に、宝具との連携が成立する。
黒く硬化された指が、翼を掴む。鋼を裂く鋭利さに怯まない。指詰め(エンコ)の恐怖など抱かない。
「そぉっっっ……らあ!!」
掴んだ部位を基部にして、力任せに腕を回す。
巨人に注力しつつも挟撃にも気を払っていたベルゼバブは、だが抗せずに身を攫われる。
上。
下。
上。
下。
振り下ろし、振り回し、叩きつけ、ねじ込まれる。
駄々をこねる赤子が玩具を振り回す様。そこに加わる破壊は、人の域に収まらぬ大撹拌。
「……………ッ!!」
脳を混ぜ返される不快を堪え、自らの頭を加速に合わせ地面に落とす。
口に混じる砂利こそ鬱陶しいが、コンクリートに衝突するだけで割れる頭蓋はしていない。
逆に力を加えて跳ね上がった上体から身を捩り、顎に蹴足を接地。いつまでも纏わりつく芋虫じみた指を引き剥がす。
そうして自由になった身を翻し中空で回転、ひとまずの距離を取る。
リンリンはベルゼバブに目を向けない。剥がされた我が手を見つめ……笑った。
ベルゼバブは見た。血濡れの指に挟まった、黒曜石にも似た輝く結晶を。
それが何であるか、他ならぬ知る身だからこそ。
「誰の許可を取って、余の持物を掠め取るか盗人がァ!」
「海賊が奪うのに許可なんか取るかよォっ!!」
握られしは鉄の黒羽。
残る翼から毟り取ったばかりの、宝具の原材料に並ぶ素材を、女帝はうっとりと眺めて悦に入る。
珍宝、希少種を自国に囲んで並べる、稀代の蒐集家としての面。
手を裂かれてでも掴みたかったのは、勝負を捨てて欲目に走ったわけもない。
理由が、ある。
「ほお~~~~、見た目通り、いいもんじゃないか。とってもキレイで、しかも硬い……! うってつけだねぇ」
懐から抜かれた。綺羅びやかな珠玉。
彩りに乏しく、華美に走ってはいない。けれど、国賓を招く美術館の主題に飾られていても見劣りしない、未知の輝きで溢れている。
形而上にしかない概念である魂の色とは、このように煌めいて見えるのか。
リンリンの保有するソルソルの実の能力の影響下にある魂は、みな同じ色なのか。
この魂を本来所有する、ある男の形が特別であるのか。
「特別に"コイツ"をくれてやるよ……。
マスターの魂(ソウル)! この世界じゃ中々取れない希少品! どんなホーミーズが出来るのか……こんな時でも楽しみだね~マママママ!!」
手数を幾らでも増やせることが、リンリンの強みだ。
同格に当たるが、単騎での戦闘力に限れば上回るカイドウに勝る利点。
魂の略奪。物品への再配布による眷属化。
花に木々に、橋に柱に、人形に銅像に、火に雷に。
有形無形の区別なく、魂を注がれた現象は兵隊(ホーミーズ)に変わる。
大事なのは、能力の質は、付与された魂に左右される事。
最も優秀な兵を生み出すには、言うまでもなくリンリン自身の魂。
霊基の一部、定められた上限を持つサーヴァントでは、本体の能力の低下を招く弊害も起き得る。
ならばそれに次ぐ魂とは、強大ではなくとも、特殊性に秀で、なおかつ一定の期間練磨をかけられた魂こそが最適であり。
そして要素はもうひとつ。
これはあまり重視してきたものではないのだが。
魂の質よりは優先をしてないため実感はやや薄くなるが。
魂を押し込む『素材』の質も、通常とは異なる結果を生むことがある。
「さあ目覚めな、"ヘルメス"!」
実例が、現れた。
「ははっ。任せてくれマム。
さあ、仕事の時間だ~~~!」
その笑い方を聞く者が、三人しかいなかったことは。
魂の元来の所有者を知る者が誰もいないことは、幸運であったのか。
九割を割かれて生み出された贋物(ホーミーズ)と、残り一割の魂で動いてる本人(オリジナル)。
人を見分ける要素を外見でなく魂で判断するとしたなら、本物に近いと見做されるのがどちらであるのか。
形状は羽兜。
前身であった、今は崩壊して消えたナポレオンに連なるなら、羽根付き帽子と呼ぶべきか。
漆黒の、宿主の性質が乗り移ったかのように強靭さを主張する羽根。
ともすれば、被った相手の印象を損ねてしまう存在感の強さを、屈服したとばかりに釣り合わせてみせて。
黒羽根帽子のホーミーズ。名をヘルメス。
ギリシャ神話の神。オリュンポス十二神の一柱。伝令の神であり、他にも多種多様な側面を持った知と計略の神。
その名を受けた兵士は、羽根に目と口を浮かび上がらせ、おのが主の頭上に被さった。
「ギャアアアアアアア!!」
背後で、焔が泣いた。
生物でいう感覚器官すら備えていないホーミーズが、斬られた痛みに苦しんでいる。
焔が、外からの赫灼によって身悶えする。奇怪さに満ちた光景が広がる。
「馬鹿な……俺の……炎の体が……!!」
「いでええええ! なんで炎のおれが、斬られてこんな痛いんだよ~~~~~!?」
スルトとプロメテウスを同時に割った刀は、燃えていた。
縁壱の持つ、黒刀から灼刀へと変じた得物が、火を宿してる。
プロメテウスとスルトを同時に斬り伏せた余熱なのか。火の出処は別にあるのか。
どちらにせよ、『炎を斬る』現象を実現してみせた縁壱の脅威に変わりはない。
覇気を放たず、ただ剣腕のみで、この侍は一体どこまでを断ってみせるというのか。
熱波の守りを破った縁壱が更に踏み込む。
同時、ベルゼバブも駆け、リンリンを挟撃。
女帝は動かない。手にしたばかりの新たな力の試金石を迎え入れた。
シ ャ イ ニ ー
「"輝輝光煌"ィィィィィィ~~~~!!!」
飛び散った鋼の羽根が雷を纏い、リンリンの全経を円周上に切り刻んだ。
範囲内の全ては鋼弾の釣瓶打ちに晒される。
ベルゼバブのみならず、縁壱ですら逃れられなかった。
散らばった羽根がそれぞれ通電して、離れた羽根同士の間に電網が張り巡らしたためだ。
射程だけではない。威力も高められている。
かわすまでもないと防御を捨て攻勢の構えを取っていたベルゼバブは裸身に鋼の礫が突き刺さる羽目になり。
全弾をかわし首を狙う気でいて縁壱も、頬と手足を掠め後退するしかなくなった。
「ホ~ホホホ! なにこれ! 私の力が強くなってる! やるじゃないあなた!」
「ははっ君の輝きをもっと遠くに広められよかったよ」
「しかもいい男! ん~~~~好きだわ~~~~!」
「おい嘘だろヘラ! お前おれの彼女になるために作られたんだろ~~~~!?」
ヘルメスとヘラが、合身していた。
雷の化身に付与した翼は、効果範囲と威力を大幅に底上げする増幅装置(ブースター)として機能している。
それがヘルメスの特性。ホーミーズの能力を引き上げるホーミーズ。
魂の性質の違いが生んだ、ビッグ・マムの魂からは獲得し得ない特性。
他者を引き立て、さらなる飛躍を高めさせることに特化した敏腕(プロデュース)。
「次はこっちだ新入り! 見てろよヘラ! おれの方が凄いんだからな~~!」
「もちろん歓迎するさ。みんなでマムの敵をやっつけよう!」
「マ~ママハハハ! そうさ、仲良くブッ殺そうぜェ!!」
ヘルメスの羽根が別れる。
背についた者を空に羽撃かせる翼(ツバサ)となって。
プロ
「"玄"」
包まれるはプロメテウス。
神に盗まれた火。人に叡知を授けた神の過ち。
黒翼に収められた球体が変形する。大きく、ぶ厚く、重く、それはしかし剣だった。
デウス
「"神"」
密閉された火球は内部で加速を始める。
走り、疾走り、加熱(はし)る。
全ての制御をヘルメスに預け、自らを焦熱の具現にまで収束させ─────放つ。
ザァン
「"斬"っっっ!!!」
光が奔った。
ヘルメスを鞘とし、プロメテウスを刀身に見立てた大斬撃が、地上に奈落を開く。
尾を引いて落下する、燃え盛る流星のようだ。
現代にあり得ざる兵器、大口径の荷電粒子砲と見紛う超大級の光量と熱量がベルゼバブに墜落する。
ベルゼバブは迎撃を選んだ。
滅尽滅相、破滅の概念を宿すケイオスマターをかざし照準を向ける。
戦闘に特化した思考は速やかに答える。足りないと。
概念腐食の宝具でも、この熱線を貫き通す事は敵わない。
ではどうする。何を求める。忌々しく肉塊を散華させる手とはありや。
これもまた、速やかに計算を終えた。
足りなければ、足せばいいだけの話。
武装色、圧縮開始。黒塗りの槍を自らの覇気で重ね塗りして増強する。
槍を掴む逆の手に握られる紅球。正体は手持ちの攻撃の中で最大威力を誇る大技、ケイオス・レギオン。
使えば戦線を終焉に導くものと絶対の自信を持っていたそれを、ベルゼバブはこれまで二度、使用しながらも仕留めきれていない。
改良の必要が、あった。
際限のない出力の上昇にはサーヴァントの枷が嵌められている。ならばあるものを加算して形態を変える。
必要なのは己の全エネルギーを注いでも壊れないだけの器。
吟味するまでもない。右の手に握られた、黒に黒を重ねた豪槍こそが唯一の解だ。
剣と槍。
威国と黒威。
互いを不要と叫ぶ対極の魔力が鬩ぎ合う。
空間断裂、重力崩壊、言語での表現が不可能な埒外の力が衝突して、片方が押し負ける事もなく拮抗する。
轟音と炸裂が永続して続き、世界は懇願するように断末魔の金切り声を上げる。
次元からの訴えにも聞く耳を持たないと暴風は止まず、滾り溢れる混沌の渦は条理を曲げる。
そう。
曲げる。
「───────────!!!!??」
スカイツリー跡地の三騎は、音を聞いた。
空間が亀裂を生んだ音。秩序の定礎がひび割れた音。
地にかかる織物がめくれ上がる音だ。
事象の固定化を担う帯(ベルト)が、この時、この一瞬拘束を緩める。
歴史の波が荒れ、世界の破壊の呼び水となる罅を許容する間に、特異の点が混じりこむ。
流れを正す修正が働き次元が戻る、その最中に点は異なる位相の空間と座標を混線させ、修正の余波に飲まれながらそこに流れ着いた。
継国縁壱、ベルゼバブ、シャーロット・リンリンの三騎は、スカイツリー跡地から忽然と消失した。
戦いの余熱を残したまま、消えることのない破壊の爪跡を残したまま。
落ち行く先は鏡の国(ワンダーランド)。
特異点が次の戦場と定めて介入した、映すものがあるあらゆる場所に接続可能の空間である。
.
◆
───High&low(どちらが上か)は、終わらない。
◆
【全体の備考】
※ベルゼバブのスキル・特異点の影響で、『鏡世界(ミロワールド)』との接続が強制的に繋がりました。
以後も各所の鏡面で不定期に接続される可能性があります。
【港区・東京タワー/二日目・早朝】
【ライダー(アシュレイ・ホライゾン)@シルヴァリオトリニティ】
[状態]:全身にダメージ(大)、疲労(大)
[装備]:アダマンタイト製の刀@シルヴァリオトリニティ
[道具]:七草にちかのスマートフォン(プロデューサーの誘拐現場および自宅を撮影したデータを保存)、ウィリアムの予備端末(Mとの連絡先、風野灯織&八宮めぐるの連絡先)、WとMとの通話録音記録
[所持金]:
[思考・状況]基本方針:にちかを元の居場所に戻す。
0:光と灰の境界線を、今こそ。
1:今度こそ、P、梨花の元へ向かう。梨花ちゃんのセイバーを治療できるか試みたい
2:界奏による界聖杯改変に必要な情報(場所及びそれを可能とする能力の情報)を得る。
3:情報収集のため他主従とは積極的に接触したい。が、危険と隣り合わせのため慎重に行動する。
4:大和の世界、まさか新西暦と繋がってたりしてないよな?
5:界奏での解決が見込めない場合、全員の合意の元優勝者を決め、生きている全てのマスターを生還させる。
願いを諦めきれない者には、その世界に移動し可能な限りの問題解決に尽力する。
[備考]
宝具『天地宇宙の航海記、描かれるは灰と光の境界線(Calling Sphere Bringer)』は、にちかがマスターの場合令呪三画を使用することでようやく短時間の行使が可能と推測しています。
アルターエゴ(
蘆屋道満)の式神と接触、その存在を知りました。
割れた子供達(グラス・チルドレン)の概要について聞きました。
七草にちか(騎)に対して、彼女の原型は
NPCなのではないかという仮説を立てました。真実については後続にお任せします。
星辰光「月照恋歌、渚に雨の降る如く・銀奏之型(Mk-Rain Artemis)」を発現しました。
宝具『初歩的なことだ、友よ』について聞きました。他にもWから情報を得ているかどうかは後続に任せます。
ヘリオスの現界及び再度の表出化は不可能です。奇跡はもう二度と起こりません。
【アーチャー(メロウリンク・アリティ)@機甲猟兵メロウリンク】
[状態]:全身にダメージ(中・ただし致命傷は一切ない)、疲労(中)、アルターエゴ・リンボへの復讐心
[装備]:対ATライフル(パイルバンカーカスタム)、照準スコープなど周辺装備
[道具]:圧力鍋爆弾(数個)、火炎瓶(数個)、ワイヤー、スモーク花火、工具、ウィリアムの懐中時計(破損)
[所持金]:なし
[思考・状況]基本方針:マスターの意志を尊重しつつ、生き残らせる。
0:今は、ただ機を待つ。
1:
田中摩美々は任された。
2:アルターエゴ・リンボ(蘆屋道満)への復讐を果たす。
3:武装が心もとない。手榴弾や対AT地雷が欲しい。ハイペリオン、使えそうだな……
[備考]※圧力鍋爆弾、火炎瓶などは現地のホームセンターなどで入手できる材料を使用したものですが、アーチャーのスキル『機甲猟兵』により、サーヴァントにも普通の人間と同様に通用します。また、アーチャーが持ち運ぶことができる分量に限り、霊体化で隠すことができます。
アシュレイ・ホライゾンの宝具(ハイペリオン)を利用した罠や武装を勘案しています。
※田中摩美々と再契約を結びました。
【セイバー(宮本武蔵)@Fate/Grand Order】
[状態]:ダメージ(中)、霊骸汚染(中)、魔力充実、 令呪『
リップと、そのサーヴァントの命令に従いなさい』
[装備]:計5振りの刀
[道具]:
[所持金]:
[思考・状況]基本方針:マスターである
古手梨花の意向を優先。強い奴を見たら鯉口チャキチャキ
0:うわあ、なんだかすごいことになってるわね(チャキチャキチャキ)。
1:梨花を助ける。そのために、方舟に与する
2:おでんのサーヴァント(継国縁壱)に対しての非常に強い興味。
3:アシュレイ・ホライゾンの中にいるヘリオスの存在を認識しました。武蔵ちゃん「アレ斬りたいいいいいいいいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ。でもアレだしたらダメな奴なのでは????」
4:あの鬼侍殿の宿業、はてさてどうしてくれようか。
5:アルターエゴ・リンボ(蘆屋道満)は斬る。今度こそは逃さない。
※鬼ヶ島にいる古手梨花との念話は機能していません。
【峰津院大和@デビルサバイバー2】
[状態]:頭痛(中、暫く持続します)
[令呪]:残り三画
[装備]:宝具・漆黒の棘翅によって作られた武器(現在判明している武器はフェイトレス(長剣)と、ロンゴミニアド(槍)です)、『霊脈の龍』
[道具]:悪魔召喚の媒体となる道具
[所持金]:超莫大
[思考・状況]
基本方針:界聖杯の入手。全てを殺し尽くすつもり
0:“勝つ”のは私だ
1: ……我々はこの場で出会った。それが全てだ。
2:ロールは峰津院財閥の現当主です。財閥に所属する構成員NPCや、各種コネクションを用いて、様々な特権を行使出来ます
3:グラスチルドレンと交戦しており、その際に輝村照のアジトの一つを捕捉しています。また、この際に、ライダー(シャーロット・リンリン)の能力の一端にアタリを付けています
4:峰津院財閥に何らかの形でアクションを起こしている存在を認知しています。現状彼らに対する殺意は極めて高いです
5:東京都内に自らの魔術能力を利用した霊的陣地をいくつか所有しています。数、場所については後続の書き手様にお任せします。現在判明している場所は、中央区・築地本願寺です
6:白瀨咲耶、
神戸あさひと不審者(プリミホッシー)については後回し。炎上の裏に隠れている人物を優先する。
7:所有する霊地の一つ、新宿御苑の霊地としての機能を破却させました。また、当該霊地内で戦った為か、魔力消費がありません。
8:光月おでんは次に見えれば必ず殺す。
【備考】
※皮下医院地下の鬼ヶ島の存在を認識しました。
【杉並区(中野区付近・杉並区立蚕糸の森公園)/二日目・早朝】
【七草にちか(騎)@アイドルマスターシャイニーカラーズ】
[状態]:精神的負担(大/ちょっとずつ持ち直してる)、決意、全身に軽度の打撲と擦過傷
[令呪]:残り二画
[装備]:
[道具]:
[所持金]:高校生程度
[思考・状況]基本方針:283プロに帰ってアイドルの夢の続きを追う。
0:なにを……言ってんですかあの人は───!?
1:アイドルに、なります。……だから、まずはあの人に会って、それを伝えて、止めます。
2:殺したり戦ったりは、したくないなぁ……
3:ライダーの案は良いと思う。
4:梨花ちゃん達、無事……って思っていいのかな。
[備考]聖杯戦争におけるロールは七草はづきの妹であり、彼女とは同居している設定となります。
【田中摩美々@アイドルマスター シャイニーカラーズ】
[状態]:疲労(中)、ところどころ服が焦げてる
[令呪]:残り二画
[装備]:なし
[道具]:白瀬咲耶の遺言(コピー)
[所持金]:現代の東京を散財しても不自由しない程度(拠出金:田中家の財力)
[思考・状況]基本方針:叶わないのなら、せめて、共犯者に。
0:お待たせしました。1ヶ月ぶりのアンティーカです。
1:悲しみを増やさないよう、気を付ける。
2:プロデューサーと改めて話がしたい。
3:アサシンさんの方針を支持する。
4:咲耶を殺した人達を許したくない。でも、本当に許せないのはこの世界。
[備考]プロデューサー@アイドルマスターシャイニーカラーズ と同じ世界から参戦しています
※アーチャー(
メロウリンク=アリティ)と再契約を結びました。
【
櫻木真乃@アイドルマスターシャイニーカラーズ】
[状態]:疲労(中)、精神的疲労(大/ちょっとずつ持ち直してる)、深い悲しみ、強い決意、サーヴァント喪失
[令呪]:喪失
[装備]:なし
[道具]:予備の携帯端末
[所持金]:当面、生活できる程度の貯金はあり(アイドルとしての収入)
[思考・状況]基本方針:どんなことがあっても、ひかるちゃんに胸を張っていられる私でいたい。
0:――ひかるちゃん。私、もうちょっと頑張ってみるね。
1:優しい人達に寄り添いたい。そのために強くありたい。
2:あさひくんとプロデューサーさんとも、いつかは向き合いたい。
3:アイさんたちがひかるちゃんや摩美々ちゃんを傷つけるつもりなら、絶対に戦う。
[備考]※
星野アイ、アヴェンジャー(
デッドプール)と連絡先を交換しました。
※プロデューサー、田中摩美々@アイドルマスターシャイニーカラーズと同じ世界から参戦しています。
【???(鏡世界)/二日目・早朝】
【ランサー(ベルゼバブ)@グランブルーファンタジ-】
[状態]:高揚感、一糸まとわぬ姿、全身に極度の火傷痕、右眼失明、左翼欠損、胸部に重度の裂傷、霊核損傷(魔力で応急処置済)、胴体に袈裟の刀傷(再生には時間がかかります)、内臓にダメージ(中)修復率6割
[装備]:ケイオスマター、バース・オブ・ニューキング(半壊)
[道具]:なし
[所持金]:なし
[思考・状況]
基本方針:最強になる
0:そう、まだだ。
1:龍脈の龍、成る程。
2:それはそうと283は絶対殺す。
3:狡知を弄する者は殺す。
4:青龍(カイドウ)は確実に殺す、次出会えば絶対に殺す。セイバー(継国縁壱)やライダー(ビッグ・マム)との決着も必ずつける。
5:鬼ヶ島内部で見た葉桜のキャリアを見て、何をしようとしているのか概ね予測出来ております
6:あのアーチャー(
シュヴィ・ドーラ)……『月』の関係者か?
7:ポラリス……か。面白い
8:煌翼……いずれ我が掌中に収めてくれよう
【備考】
※大和のプライベート用タブレットを含めた複数の端末で情報収集を行っています。今は大和邸に置いてあります。
※大和から送られた、霊地の魔力全てを譲渡された為か、戦闘による魔力消費が帳消しになり、戦闘で失った以上の魔力をチャージしています。
※ライダー(アシュレイ・ホライゾン)の中にある存在(ヘリオス)を明確に認識しました。
※星晶獣としての“不滅”の属性を込めた魔力によって、霊核の損傷をある程度修復しました。
現状では応急処置に過ぎないため、完全な治癒には一定の時間が掛かるようです。
※一糸まとわぬ裸体ですが、じきに魔力を再構築して衣服を着込むと思われます。
※失われた片翼がどの程度の時間で再生するか、またはそもそも再生するのか否かは後のリレーにお任せします。
【ライダー(シャーロット・リンリン)@ONE PIECE】
[状態]:高揚、右手小指切断、内臓にダメージ(中)、脇腹に裂傷(再生には時間がかかります)
[装備]:ゼウス、プロメテウス、ヘラ@ONE PIECE、炎剣スルト(炎のホーミーズ)、鋼翼ヘルメス(ベルゼバブの翼のホーミーズ)
[道具]:なし
[所持金]:無し
[思考・状況]
基本方針:邪魔なマスターとサーヴァント共を片づけて、聖杯を獲る。
0:面白くなってきたじゃねェか!
1:よくやったねプロデューサー。使える働き者は好きだぜ。
2:
北条沙都子! ムカつくガキだねェ~!
3:敵連合は必ず潰す。蜘蛛達との全面戦争。
4:ガキ共はビッグマムに挑んだ事を必ず後悔させる。
5:北条沙都子、プロデューサーは傘下として扱う。逃げようとすれば容赦はしない。
[備考]
※ナポレオン@ONE PIECEは破壊されました。
【セイバー(継国縁壱)@鬼滅の刃】
[状態]:左腕欠損、全身にダメージ(小)
[装備]:日輪刀
[道具]:なし
[所持金]:なし
[思考・状況]
基本方針:為すべきことを為す。
0:目前の混沌どもを討つ。
1:足止めは成った。次は……。
2:光月おでんに従う。
3:他の主従と対峙し、その在り方を見極める。
4:凄腕の女剣士(宮本武蔵)とも、いずれ相見えるかもしれない。
5:この戦いの弥終に――兄上、貴方の戦いを受けましょう。
[備考]
【新宿区/二日目・早朝】
【
死柄木弔@僕のヒーローアカデミア】
[状態]:疲労(小)、覚醒、『地獄への回数券(ヘルズ・クーポン)』服用
[令呪]:残り二画
[装備]:なし
[道具]:なし
[所持金]:数万円程度
[思考・状況]基本方針:界聖杯を手に入れ、全てをブッ壊す力を得る。
0:ああ、邪魔だな。
1:勝つのは連合(俺達)だ。
2:四皇を殺す。方舟も殺す
3:便利だな、麻薬(これ)。
[備考]
※個性の出力が大きく上昇しました。
【
神戸しお@ハッピーシュガーライフ】
[状態]:疲労(小)
[令呪]:残り二画
[装備]:なし
[道具]:なし
[所持金]:数千円程度
[思考・状況]
基本方針:さとちゃんとの、永遠のハッピーシュガーライフを目指す。
1:さよならがいっぱいだ。
2:アイさんととは仲良くしたい。でも呼び方がまぎらわしいかも。どうしようねえ。
3:とむらくんとえむさん(モリアーティ)についてはとりあえず信用。えむさんといっしょにいれば賢くなれそう。
4:最後に戦うのは。とむらくんたちがいいな。
5:れーじゅなくなっちゃった。だれかからわけてもらえないかなぁ。
【ライダー(
デンジ)@チェンソーマン】
[状態]:疲労(大)、血まみれ
[装備]:なし
[道具]:なし
[所持金]:数万円(しおよりも多い)
[思考・状況]
基本方針:サーヴァントとしての仕事をする。聖杯が手に入ったら女と美味い食い物に囲まれて幸せになりたい。
0:つ……疲れた…………。
1:死柄木とジジイ(モリアーティ)は現状信用していない。特に後者。とはいえ前者もいけ好かない。
2:星野アイめちゃくちゃ可愛いじゃん……でも怖い……(割とよくある)
3:あの怪物ババア(シャーロット・リンリン)には二度と会いたくなかった。マジで思い出したくもなかった。
……なかったんだけどな~~~~~~~~~~~~~~~……ハア~~~~……
[備考]
※令呪一画で命令することで霊基を変質させ、チェンソーマンに代わることが可能です。
※元のデンジに戻るタイミングはしおの一存ですが、一度の令呪で一時間程の変身が可能なようです。
時系列順
投下順
最終更新:2023年01月31日 01:08