パターン

You might notice the feelings .....as you....

……すると、あなたは……である感じに気がつくかもしれません。


解説と例文

You might notice the feelings directs attention to internal body sensations, which is good for hypnosis inductions.
あなたは〜である感じに気付くかもしれません は、注意を内的な身体感覚に向ける。このことは催眠誘導を促進する。

As you provides another opportunity for an indirect suggestion.
〜すると は、間接的暗示の機会をもうひとつ提供する。

You might notice the feelings in your feet, as you relax them completely.
あなたが足を完全にリラックスさせると、足のその感覚に気付くかもしれません。

You might notice the feelings of comfort as you begin to relax your whole body.
あなたが全身をリラックスさせはじめると、気持ちのよい感じに気付くかもしれません。


コメント


 頻出パターンの組み合わせによる、最頻出パターン。
 might(〜かもしれない)は、可能性(それも弱い可能性)を示すだけで、「〜しろ」とも「〜するな」とも言ってない。可能性を引き受け、「〜する/しない」は聞き手に委ねられている。
しかしnotice(〜に気付く)と何かを提示されただけで、人の注意はそちらに向けられてしまう。
 might notice(〜に気付くかもしれない)と言われれば、気付くかもしれないし/気付かないかもしれないが、かなり大きな確率で、聞き手の注意は方向付けられ、絞り込まれる。もう気付いたも同然である(言葉の機能的には等価に近い)。そして解説にあるとおり、外部環境から内部=被催眠者の身体感覚に注意を移行していくことは、催眠誘導の最頻出のルートである。

 催眠の言語パターンでは、文と文の結合は重要視される。それは何かを分離すること/結合することは、催眠における働きがけ基本フォームであるから。
As you〜,・・・(〜すると、・・・)は、原因ー結果の関係を表現する際にも用いる、連結力の強い接続である。実際には「〜すると」と「・・・」は無関係であっても、やはり強い結びつきがあるように受け取られやすい。
 しかも、「〜すると・・・かもしれない」とあれば、本当に「・・・」であるかどうか、可能性の是非を問い、例えば「・・・」ではないと反駁しようとする場合でさえ、前提条件である「〜すると」は受け入れなければならない。反抗する場合ですら、受け入れなければならない部分は、相手に「指示」と受け取られないような指示を埋め込む絶好の場所(機会)である。

 頻出パターンの組み合わせは何重もの「搦め手」になっている。ひとつやふたつは、振りほどいても、まだまだ罠は残っている。だからこそ強力であり最頻出パターンとして、ほとんどの許容的催眠の誘導や暗示によく見られるのである。
最終更新:2009年07月12日 22:17