パターン

You might not have noticed . . .

〜 に気付いていないかもしれません。



解説

You might not have noticed how often you direct other people's awareness while you are talking to them.
あなたが人に話しかける間に、どれほど人々の意識を方向付けたか、自分では気付いていないかもしれない。
Directing awareness to various parts of the body generally creates relaxation and confusion, both of induce hypnosis.
意識を身体のいろんな部分へ向けるよう指示すると、大抵の場合、リラクゼーションと混乱とが生じるが、どちらも催眠を誘導するものである。


例文

You might not have noticed the comfortable sensations of your socks on your feet.
足にはいた靴下の心地よい感触を、あなたは気付いてないかもしれません。

You might not have noticed the way the chair supports you . . . beneath your legs . . . beneath your arm . . . behind your shoulders . . .
あなたは気付いていないかもしれません・・・どんな風に椅子があなたを支えているか・・・ どんな風に床があなたの足を支えているか・・・どんな風に肘掛けがあなたの腕を支えているか・・・どんな風に背もたれがあなたの方を支えているか・・・


コメント

 「〜に気付いてないかもしれない」もまた、否定しがたい言葉だ。「体の○○に意識を集中してください」といわなくても、「○○の心地の良い感触に、あなたは気付いていないかもしれません」と言うだけで、被催眠者の意識は○○(体の一部)に集中する。命令や指示は、抵抗や反発の可能性を常に孕んでいる。「〜に気付いてないかもしれない」と可能性をほのめかすだけで、意識を方向付けるには十分なのだ。

 「〜かもしれない」は、結局、私(催眠者)にはあなた(被催眠者)がどのように感じているか分からないと認めている。その一方で、あなた(被催眠者)が気付いていないことが、あなた(被催眠者)に生じていることを前提にしている。つまり表面的には言及せずに含意し暗示している。これは被催眠者の意識(気付いている部分)と無意識(気付いていない部分)とが、すでに解離しつつあることも含意している。解離は、催眠誘導の足がかりとして、利用可能な大事なリソースである。

 「〜かもしれない」に対して抵抗することが難しいのは、そこには、そうである可能性とそうでない可能性の両方が包含されているからである(〜かもしれないし、そうでないかもしれない/私には分かりません、と結べばさらに完璧だろう)。「気付いてない」ならその通りだし(相手はイエスと思う)、「気付いている」ならそれも結構(「かもしれない」はそうでない可能性を含んでいるので、それほど傷つかない)、相手の意識がすでにその部分に集中しているということだから。

 普通、このパターンは、視覚よりも、人が普段、意識を払っていない感覚(たとえば触覚)について、取り上げる。

 例文の2つ目は、体の触覚に注意を向けているが、順に体の末端から体の中心へと進んでいることに注意しよう。さらに呼吸や体内感覚に進むことで、トランスへと被催眠者を誘導することが容易になる。
最終更新:2009年07月13日 08:34