わからないところは飛ばす
催眠洋書読みの小ワザ その1
英語を読む小ワザ/姑息なワザその1は、そう
わからないところは飛ばす
です。
これは外国語読解の黄金原則とすら言われています(ウソ)。
洋の東西を問わず、様々な有名人によって実践済みです。
たとえば万能哲学者ライプニッツは、これで学んだことも無いラテン語の本を読破しました。
1巡目はさっぱりわからなったが、2巡目3巡目と回を重ねるごとに、分かる部分が増えてきて、最後にはとうとう、その本を完全読破するとともにラテン語自体をマスターしてしまいました。
たとえば日本の医者杉田玄白たちは、オランダ語の医学書「ターヘル・アナトミア」を……(以下、略)。
英語を読めないと思っている人ほど、わからない単語はすべて調べてようとするものです。
そして中学を出た人の英語力は、江戸時代の無謀な翻訳者杉田玄白のオランダ語力よりも、ずっと上です。
杉田たちが辞書なしでやれたことが、我々にできない訳がありません。やりたくないからやらないだけです。また、やらなくてもかまわないから、やらないだけです。
具体的にはどこを「飛ばせば」いい?
目標を確認しておきましょう。
1 最終目標は英文を最後まで読むことです
2 そのために中途リタイアの可能性を減らす必要があります
3 中途リタイアは、「わからない」感覚を繰り返し味わうことを避けるための逃避行動です。
4 ある特定の部分が「わからない」からと、そこに何度もアタックすると(最終的に分かればいいですが)、「わからない」感覚を繰り返し味わうことになります。
5 わからない部分を「飛ばす」ことで、同じ箇所に留まり進まないまま、「わからない」感覚を繰り返し味わうことが避けられます。
6 しかし、わからない部分を「飛ばす」ことで、その先もっとわからない部分と出会う可能性が増大するならば、飛ばしたことで稼いだ利益を払い戻すことに鳴ります。
7 したがって、「飛ばす」部分は、その後を読んで行くのに、あまり重要でない部分であることが望ましいです。
8 文章の骨子が最低限理解できていれば、進めば進むほど分からなくなることは少なくて済みます。
9 「要するに何の話をしているのか」を見失わない部分ならば飛ばしても、利益の方が損失よりも大きいことになります。
太った英文を「飛ばして」スリムに
さて、昔は5文型などといって、S(主語)+V(動詞)+O(目的語)+C(補語)などと、英文の基本パターンを教えました。
しかし、実際に目にする英文は、いろいろと衣(ころも)がついていて、なかなか文の最小限要素が見つけにくいです。
ここでは現実に登場する太った英文のパターンを示し、そこから何が取り除けるか、という観点から英文を見て行きましょう。
(接続詞)/[文全体を修飾する副詞句+]S主語[+主語を修飾する形容詞句/節]+(助動詞)+V動詞(+O目的語)[+目的語を修飾する形容詞句/節](+O目的語/C補語)[+目的語/補語を修飾する形容詞句/節][+文全体を修飾する副詞句]
太った英文なのでパターンも長いですが、「/」は「あるいは」という意味、( )はある場合も無い場合もある文の要素、そして[ ]は飛ばしてもかまわない文の衣(ころも)です。
例文を示しましょう。これに[ ]や( )をつけて行きます。
During the past 14 years this author has encountered approximately a score of patients, both male and female, and all under the age of 30, who were found to have in common two special items of experience.
[During the past 14 years] 主語(this author)+動詞(has encountered)目的語([approximately a score of ]patients), [both male and female, and all under the age of 30], 主語(who)+動詞(were found to have)目的語([in common]two special items of experience. )
[ ]を飛ばした英文は、こんな感じになります。whoは、関係代名詞で、前の目的語patientsを受けてます(ころもを「飛ばし」たことで、もともとの文の形がはっきりしてきました)。
主語(this author)+動詞(has encountered) 目的語(patients), 主語(who)+動詞(were found to have)目的語(two special items of experience. )
(主語)著者は、(動詞)出会ってきた (目的語)患者たちに。
(主語)その患者たちは、(動詞)〜を持っていたことが分かった (目的語)二つの特別な経験を
要するにと言えることが「飛ばし」には大切
分解したものを、もう一度見てみましょう。
「ふたつの特別の経験を有する患者に、著者は出会ってきた」。
著者のエリクソンは医者ですから、2種類の特別な経験を有する患者に出会ってきた、というのです。
この文の「骨」をつかんでから、飛ばした部分[ ]を振り替えると、
「著者(エリクソン)は、ここ14年間、およそ20人ほどの、2つの特別な経験を共通して有する患者を診察した。その中には男性も女性もいたが、いずれも30歳以下だった」
といった感じでしょうか。
最終更新:2009年07月15日 22:36