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 学校は教える教育内容を通常もっているものであり、国家的な教育制度であれば国全体として教えられている内容がある。それが基準となっているかどうかは国によって異なるし、また基準の内容と現場で実際に教えられている内容にはずれがあるのが普通だが、基準の問題は重要な論点を含んでいる。

 学校教育の目的はそれぞれの学校に応じて学校教育法で定められている。小学校については
 まず旧規定を見ておこう。
第17条(教育の目的)小学校は心身の発達に応じて、初等普通教育を施すことを目的とする。(中学は35、高校は41条)
第十八条  小学校における教育については、前条の目的を実現するために、次の各号に掲げる目標の達成に努めなければならない。
一  学校内外の社会生活の経験に基き、人間相互の関係について、正しい理解と協同、自主及び自律の精神を養うこと。
二  郷土及び国家の現状と伝統について、正しい理解に導き、進んで国際協調の精神を養うこと。
三  日常生活に必要な衣、食、住、産業等について、基礎的な理解と技能を養うこと。
四  日常生活に必要な国語を、正しく理解し、使用する能力を養うこと。
五  日常生活に必要な数量的な関係を、正しく理解し、処理する能力を養うこと。
六  日常生活における自然現象を科学的に観察し、処理する能力を養うこと。
七  健康、安全で幸福な生活のために必要な習慣を養い、心身の調和的発達を図ること。
八  生活を明るく豊かにする音楽、美術、文芸等について、基礎的な理解と技能を養うこと。
第十八条の二  小学校においては、前条各号に掲げる目標の達成に資するよう、教育指導を行うに当たり、児童の体験的な学習活動、特にボランティア活動など社会奉仕体験活動、自然体験活動その他の体験活動の充実に努めるものとする。この場合において、社会教育関係団体その他の関係団体及び関係機関との連携に十分配慮しなければならない。 (旧学校教育法)

 対応する中学校の部分は以下の通りである。

第三十五条  中学校は、小学校における教育の基礎の上に、心身の発達に応じて、中等普通教育を施すことを目的とする。
第三十六条  中学校における教育については、前条の目的を実現するために、次の各号に掲げる目標の達成に努めなければならない。
一  小学校における教育の目標をなお充分に達成して、国家及び社会の形成者として必要な資質を養うこと。
二  社会に必要な職業についての基礎的な知識と技能、勤労を重んずる態度及び個性に応じて将来の進路を選択する能力を養うこと。
三  学校内外における社会的活動を促進し、その感情を正しく導き、公正な判断力を養うこと。 (旧学校教育法)

 ところが教育基本法改訂を経て、改訂された学校教育法では、この部分が構成も含めて変化した。
 新法では、義務教育の目的と内容が合わせて説明されている。
第二十一条  義務教育として行われる普通教育は、教育基本法 (平成十八年法律第百二十号)第五条第二項 に規定する目的を実現するため、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。
一  学校内外における社会的活動を促進し、自主、自律及び協同の精神、規範意識、公正な判断力並びに公共の精神に基づき主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。
二  学校内外における自然体験活動を促進し、生命及び自然を尊重する精神並びに環境の保全に寄与する態度を養うこと。
三  我が国と郷土の現状と歴史について、正しい理解に導き、伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度を養うとともに、進んで外国の文化の理解を通じて、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。
四  家族と家庭の役割、生活に必要な衣、食、住、情報、産業その他の事項について基礎的な理解と技能を養うこと。
五  読書に親しませ、生活に必要な国語を正しく理解し、使用する基礎的な能力を養うこと。
六  生活に必要な数量的な関係を正しく理解し、処理する基礎的な能力を養うこと。
七  生活にかかわる自然現象について、観察及び実験を通じて、科学的に理解し、処理する基礎的な能力を養うこと。
八  健康、安全で幸福な生活のために必要な習慣を養うとともに、運動を通じて体力を養い、心身の調和的発達を図ること。
九  生活を明るく豊かにする音楽、美術、文芸その他の芸術について基礎的な理解と技能を養うこと。
十  職業についての基礎的な知識と技能、勤労を重んずる態度及び個性に応じて将来の進路を選択する能力を養うこと。

 そして小学校と中学校の部分については、内容規定は省かれている。これは、小学校と中学校の内容の統一性を図るだけではなく、近年顕著になってきた、小学校と中学校を統合したり、統合した上で年数の区切りを変更したりすることを、より容易にする措置であるも考えられる。

となっている。具体化する「教科」については文部科学大臣が定めるとしており、具体的には学校教育法施行規則によって次のように定められている。

 学校教育法施行規則
第五十条  小学校の教育課程は、国語、社会、算数、理科、生活、音楽、図画工作、家庭及び体育の各教科(以下この節において「各教科」という。)、道徳、特別活動並びに総合的な学習の時間によつて編成するものとする。
2  私立の小学校の教育課程を編成する場合は、前項の規定にかかわらず、宗教を加えることができる。この場合においては、宗教をもつて前項の道徳に代えることができる。
第七十二条  中学校の教育課程は、必修教科、選択教科、道徳、特別活動及び総合的な学習の時間によつて編成するものとする。
2  必修教科は、国語、社会、数学、理科、音楽、美術、保健体育、技術・家庭及び外国語(以下この条において「国語等」という。)の各教科とする。
3  選択教科は、国語等の各教科及び第七十四条に規定する中学校学習指導要領で定めるその他特に必要な教科とし、これらのうちから、地域及び学校の実態並びに生徒の特性その他の事情を考慮して設けるものとする。



 なお高校については普通科や職業科など多様な類型があるのでひとつの条文によって規定されているのではなく、表で示されている。(詳細は六法参照)
 より具体的な教育課程の編成については、まず「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」第23条によって、「5 学校の組織編成、教育課程、学習指導、生徒指導及び職業指導に関すること。6 教科書その他の教材に関すること」が教育委員会の職務権限であることが示され、更に同法33条が次のように規定している。

第33条(学校等の管理)
教育委員会は、法令又は条例に違反しない限度において、その所管に属する学校その他の教育機関の施設、設備、組織編成、教育課程、教材の取扱その他学校その他の教育機関の管理運営の基本的事項について、必要な教育委員会規則を定めるものとする。(略)
2 前項の場合において、教育委員会は、学校における教科書以外の教材の使用について、あらかじめ、教育委員会に届け出させ、又は教育委員会の承認をうけさせることとする定を設けるものとする。

 最後の規定については文部省通達で、すべての教材に関するものではないという断りがあるが、この規定によって、補助教材等も届け出ることが法的には求められている。
 教育委員会は学校管理規則を定めることになるが、教育課程に関わる規定の例をひとつあげておこう。以下の規則は小松市立の管理規則であるが、平成14年制定の新しいものである。ちなみに学校管理規則はインターネットで見られるものも少なくない。

(教育課程)
第9条 教育課程は,学習指導要領及び教育長の指示する基準に基づいて,校長が定める。
(教育課程以外の行事)
第10条 校長は,教育上有効適切であり,かつ,教育課程の実施に支障のない限り,教育課程以外の行事を行うことができる。
2 前項の行事のうち,教育長の指示のあるものについては,これに基づいて実施しなければならない。
(行事の承認と届出)
第11条 学校が,教育活動の一環として,宿泊を伴う行事(修学旅行,合宿訓練等)を行う場合は,あらかじめ教育長の承認を受けなければならない。
2 前項のほか,次の行事等を行う場合は,あらかじめ教育長に届け出なければならない。
(1) 遠足,校外学習,野外活動,校内マラソン等
(2) その他教育委員会が特に必要と認めるもの34)http://www.city.komatsu.ishikawa.jp/pre/reiki/reiki_honbun/ai10405921.html

 さて以上法令の定める構造を確認したが、これで分かることは、日常的な教育課程は校長の責任において各学校で定めるものであるということである。国家教育権論と国民教育権論が対立していた時代には、この点は明確に対立する争点であったが、現在は権限論に関してはその対立点はほぼ解消されている。
 国家教育権説においては、教育課程は国家が詳細に定めることができるという立場をとっており、それは学習指導要領において定められ、教科書検定において実施されているとされていた。この論により近いものとしては、戦前の国定教科書制度がある。この論では学習指導要領は極めて詳細なものであったために、国民教育権論の立場では、教育課程の編成については国は「大綱的基準」に限定して定めることができるだけでなるとしていた。そして、文部大臣の権限は「指導助言」であり、教育課程の編成は各学校で行うと主張していたのである。
 現在では学習指導要領そのものが非常に大綱的基準に近いものになっており、最低基準であるとされている。従ってこれに肉付けして教育課程を編成することが求められるのであり、学校の主体的な編成が重要になっているのである。
最終更新:2008年10月12日 22:48