とある魔術の禁書目録 Index SSまとめ

SS 5-943

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匿名ユーザー

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「ミサカ、巫女と美琴(21)」

事故とはいえ御坂美琴とキスしただけでも十分衝撃的であったのに、御坂妹からも熱烈な
キスを受けた上条の心臓はドックンドックンと激しく脈打ち、血が上ってしまった頭は思
考能力が著しく低下していた。
そのため上条は遺伝子レベルでそっくりな二人の美少女の言い争いをただボーッと眺めていた。
そんな上条は後ろから姫神秋沙に声を掛けられてようやく我に返ることができた。

「上条君。ちょっと。良いかな?」
「ああ。なんだ?ひめがむぃ……………………」

上条の返事は姫神の唇によって遮られてしまった。
本日三度目のキスという衝撃に加えて、姫神秋沙が両手で上条の両頬を押さえていたため
上条は身動き一つできなかった。
例え身動きできたとしても、姫神秋沙の唇の生暖かさとその唇から漏れる甘い吐息そして
混ざりあう二人の唾液を介して唇がこすれ合う感触に思考はパンク寸前、というか既に
パンクしていたので、上条は動かなかっただろう。

「「あーーーーーーっ!」」

御坂美琴と御坂妹が揃って声をあげたが上条にはずっと遠くからの声のように聞こえていた。
たっぷり10秒は濃厚な口づけを交わしたあと姫神秋沙はゆっくり唇を離す。
二人の唇を繋ぐように糸を引く唾液が千切れても姫神秋沙は上条の両頬から手を離さない。
上目遣いで上条を見つめる紅潮した姫神秋沙の顔は淫靡な感じさえ漂わせていた。
一方の上条も姫神秋沙の濡れた唇からどうしても視線を外すことができない。
上条の心臓は既に破裂寸前でありこれ以上何かあれば上条当麻は死んでしまうだろう。

その濡れた唇が再び動き始めたとき、御坂美琴と御坂妹の叫び声が公園に響いた。

「ちょっと、秋沙(あなた)!何してんの!」

詰め寄る御坂美琴と御坂妹に姫神秋沙は上条から手を離すと教師が生徒に諭すように言い放った。

「ふっ、キスというものは両者の合意の上で成立するの。
 だから、御坂さんのも妹さんのも所詮キスにはあたらないということ。
 つまり、あなた達どちらが上条君のファーストキスかなんていう争いは不毛なのよ」
「なっ、なによ!あなたのは合意の上だって言うの!?」
「ええ!私が『(キスして)良いかな?』って尋ねたら上条君は『ああ』っていったもの。
 だから私のが正真正銘上条君のファーストキスなのよ!」
「ちょっと、アンタ!ホントに合意の上だったの?」

御坂美琴の怒声混じりの質問にようやく上条は金縛り状態から抜け出すことができた。
しかし思考回路は未だろくに動いていない。

「…………へっ?いっ、いや、姫神に呼びかけられたから俺はただ返事をしただけで……」
「ほーら、ご覧なさい!あなたのも私達と同じじゃない。
 ということは、やっぱり私のがコイツのファーストキスなのよ!」

「じゃあ、こう考えましょう。
 全員が同じことをしたということは、言い換えれば誰もしていないのと同じこと」
「えっ?まあ、そう言ってもいいの…………かな?」
「だったら、次に上条君がするキスこそ真のファーストキスってこと」
「そっ、それはそうかもね」
「なるほどそういうことですね。ふふふっ、とミサカも相槌を打ちます」

グリンと顔を向けた3人の美少女に見つめられた上条は背中に冷たい汗が流れるのを感じた。

「皆さん、これは一体…………」
「「「つまり、早い者勝ち!」」」

後ずさろうとした上条に3人の美少女が襲いかかり上条は一瞬のうちに押し倒されてしまった。
上条の腹を跨ぐように両膝を着き上条の両肩を押さえる御坂美琴、そして右手を押さえる
姫神秋沙と左手を押さえる御坂妹に上条は動きを完全に封じられてしまった。

「みっ、皆さん。いっ、一体どうなされたのですか?」
「「「観念なさい!上条当麻。ふふふふふっ……………………」」」

そう言う美少女達が揃って瞼を閉じたかと思うと突然ヘナヘナと上条にしなだれてきた。
自身に降りかかる不幸(?)に固く目を閉じていた上条が恐る恐るその目を開けると
御坂美琴が上条の胸板に頬を擦りよせて幸せそうに眠っていた。
そして姫神秋沙と御坂妹も上条の左右の上腕に頬を乗せてスースーと寝息をたてていた。

3人の美少女に覆い被さられているこの状況は男子たるもの生涯に一度は体験したい夢のシチュエーションである。
しかし彼女達が目を覚ました後の修羅場を考えると上条にこの状況を楽しむ余裕などなく、
どうしたら身の安全を確保できるものかと必死に思考を巡らせていた。


「ミサカ、巫女と美琴(22)」

2分後、上条の考えがまとまらないうちに御坂美琴が目を覚ましてしまった。
自分が頬を擦りよせているものが自分の枕と違うことに気付いた御坂美琴が(ここどこ?)
って感じで顔を上げると超至近距離に上条当麻の顔があった。
目が合った瞬間に引きつった顔の上条から「やあ」と声をかけられても御坂美琴は状況が理解できなかった。

パチパチと二度瞬きした後、御坂美琴の顔は瞬間湯沸かし器のように一瞬で真っ赤に茹で上がった。
御坂美琴は慌てて上条の胸に置いていた両手を突っ張って上体を起こしたが、今度は自分
が腰を降ろしている場所が上条の股間の真上であることに気付くと耳の先まで真っ赤にし
て一動作で上条から1mも飛び退いた。
右腕で胸をガードし左手でスカートの前を押さえている御坂美琴の顔は赤を通り越して深紅である。

「わっ!わっ、なっ、なんで……あっ、アンタ……」

完全に動揺している御坂美琴は言葉が上手く出てこない。

「アンタ!一体私に何したの!?」
「バカ野郎!逆だろうが…………って、お前憶えてないのか?」
「えっ?確かジュースを飲んだら妙に気分が良くて。
 それで、つまずいたひょうしにアンタの方に倒れ込んだのよね…………って、
 なんでそんな一瞬の間にその二人に腕枕なんかしてんのよ!アンタはーっ!!」
「待て!御坂。お前ホントに憶えてないのか?」
「それ以外に何かあるの?」
「いや、憶えてないならそれで良い」

なにか良く判らないが御坂美琴は何も憶えていないようだった。
そうしているうちに姫神秋沙が目を覚ました。

「あれ?どうしてこんな所で寝てるのかしら?…………って上条君!ごっ、ごめんなさい!」

そう言って姫神秋沙は起きあがると、赤らめた顔を隠すように両手を頬に当てて呟いた。

「私。一体どうしてたのかしら?」
「ってことは姫神も何も憶えてないのか?」
「えっ、私もってどういうこと?」
「いや、それならそれで良いんだ。気にするな!」

最後に目を覚ましたのは御坂妹であった。

「あれ?上条さんがミサカを腕枕しています。そうかこれは夢なのですね
 とミサカは独り言を呟きます。
 でもこれが夢ならミサカが何をしても許されるのですね。
 ならばミサカは当麻さんにお目覚めのキスをしましょう
 とミサカは自分自身に確認をとりミサカの唇を当麻さんの唇に近づけます」
「アンタ!いつまでも寝ぼけてんの!」

御坂美琴にペシッと頭をはたかれたミサカは御坂美琴の姿を確認したもののまだ寝ぼけていた。

「お姉様はミサカの夢にまで出てきてミサカの邪魔をするのですね、とミサカは空気を
 読めないお姉様に悪態をつきます。
 夢に出てくるお姉様なんかにミサカは負けません、と改めて宣言し当麻さんにキスを……」
「いい加減になさい!!」

怒りモードの御坂美琴は御坂妹に最大電圧の雷撃の槍を放った。
その横に寝ている上条のことはとりあえず無視して。
上条はとっさに右手をかざして何とか雷撃の槍を打ち消すことができた。

「こっ、こら!御坂。お前今俺ごと焼こうとしただろう!?」
「アンタがそんなところでいつまでも寝てるからいけないのよ!」
「お前なぁ…………」
「おや、お姉様。おはようございます。一体どうなされたのですか?とミサカはなぜか
 怒りモード全開のお姉様にキョトンとした顔で問いかけます」
「お・は・よ・う!どうでも良いから早く起き上がりなさい!」
「現実のお姉様も夢の中のお姉様と同じようにお怒りなのは何故でしょう?
 とミサカは素朴な疑問を独り言のように呟きます」

御坂妹が起きあがり上条はようやく身体の自由を手に入れることができた。
上条は固まってしまった関節を伸ばすために一旦大きく延びをする。
そしておもむろに起きあがると御坂美琴達が飲んでいた缶ジュースを拾い上げた。
上条が見た空き缶に書かれた「ノンアルコール」の文字の下には小さな注意書きがあった。

「本飲料にはアルコールは含まれておりませんが微量の酩酊成分が含まれております。
 本飲料を摂取することによって高揚した気分が経験できます。ただし体質によっては
 アルコールを摂取したような状態になりますが10分程度で元に戻ります。
 お子様でも安心して飲めます」と書かれてあった。

注意書きを読み終えた上条は持っていたアルミ缶を思わず握りつぶしてしまい、
未だキョトンとしている3人の美少女にこう言い放った。

「お前達、もう二度とコイツは飲むんじゃねえぞ!」


「ミサカ、巫女と美琴(23)」

学園都市の某ビル内秘密戦隊RAILAR(レイラ)司令室にて

「諸君!ご苦労だった、ってミサカはミサカは皆の活躍を褒め讃えたりして」
「まあ、今回の事件は意外と簡単だったからな。その分それ以外で大変な目に遭ったけどな」
「で、ラストオーダーこれでお終いなの?」
「なんのこと?お姉様、ってミサカはミサカはお姉様の真意が分からず問い直してみる」
「ほら、今朝あなたが言ってたでしょ!私達の勝負のことよ」

「ああ、そのことね、とミサカはミサカは納得してみる。
 ジャカジャカジャーン、ってミサカはミサカはドラムロールの口真似をして気分を盛り
 上げたところで成績を発表してみる。レッド(御坂美琴)7ポイント、ブルー(ミサカ
 10032号)5ポイント、巫女さん(姫神秋沙)9ポイント、ブラック(上条当麻)
 4ポイントなのーっ」

悔しがる御坂美琴と無表情ながらなにやらブツブツ文句を言っている御坂妹の横で姫神秋沙
は小さくガッツポーズをしていた。

「ふふっ、私の勝ちね。じゃあ上条君来週二人っきりでどこ行こうか?」

勝利宣言した姫神秋沙にラストオーダーが待ったをかけた。

「ちょっと待って、これはただの中間報告なのって、ミサカはミサカは勝利に酔いしれる
 あなたに冷や水をぶっかけてみたりして」

「「「「えっ!?」」」」

「秘密戦隊RAILAR(レイラ)の活躍で秘密結社シキサクマアの陰謀は叩きつぶされた。
 しかし、学園都市を狙う悪の組織シキサクマアが滅んだわけではない。
 戦え!秘密戦隊RAILAR(レイラ)よ! 
 学園都市の平和を守れるのは君達しかいない!
 ってミサカはミサカは次回予告風にまとめてみたりして」

「って、おい!まだ続くんかい!!」

上条のツッコミに総司令(ラストオーダー)は胸を張って宣言した。

「当たり前なの。秘密結社シキサクマアからは次の犯行予告ビデオが届いているの。
 学園都市を狙う悪の組織が存在する限り秘密戦隊RAILAR(レイラ)は戦い続けるの。
 ってミサカはミサカは流れるような仕草で犯行予告ビデオを再生してみたり」

すると壁が開いて出てきた巨大モニターに例のごとく口元を隠したツンツンした黒髪の男が
「うわっはっはっはーーーーっ!」と高笑いする姿が映し出された。

< To be continued. >


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