上黒クリスマス
今日はクリスマス。そこらにはリア充が盛り沢山に歩いている。そんな中、白井黒子は『風紀委員』の仕事で呼び出され、一段落着いて街をふらついていた所であった。
「連絡さえ無ければ今頃お姉様と二人で今日という日を楽しんでいた筈ですのに……おのれ初春!」
叫んでもただ虚しさが込み上げてくるだけ。
周囲のカップル達はそんな黒子など、見向きもせずに二人の世界を築いていた。
周囲のカップル達はそんな黒子など、見向きもせずに二人の世界を築いていた。
「あら…あれは確か……」
落胆の表情のまま、黒子はクリスマスムード一色に染まる街並みをとぼとぼ歩いていると、ふと何かを見つけた。
「うあー、寒い寒いぞ寒いんだよコノヤローの三段活用」
視線の先には、気だるげに薄っぺらい学生鞄を右肩に掛けて歩いているツンツン頭の男子高校生がいた。尊敬するお姉様の想い人でもあり、自分の恋路を邪魔する人物だと、黒子は記憶している。
「クリスマスにお一人ですの?」
特にすることも行く宛ても無いので、背後からその人物に声を掛けてみると、突然の出来事に、肩をビクッと震わせて振り返ってこちらに見向いた。
「余計なお世話だ! …って、白井か。そういうお前こそどうなんだよ」
同じように一人でいる黒子を見て、少年が言った。
「わ、わたくしは風紀委員の仕事から帰宅途中ですの」
「待ってる奴とか居なかったのかよ」
「うっ……それは」
「はぁ…、クリスマスなのに補習なんて嫌になっちまうよ」
「待ってる奴とか居なかったのかよ」
「うっ……それは」
「はぁ…、クリスマスなのに補習なんて嫌になっちまうよ」
空いている片方の手のひらをひらひらと動かしながら、上条が零した。それを黒子は聞き逃さず、ツッコミを入れる。
「…それは日頃からしっかりしていない殿方さんが悪いのではありませんの?」
「核心を突いちゃいけません! 知り合いはしっと団の活動とか義妹とにゃんにゃんするとかふざけたことぬかしやがって……」
「…誰かしらにも誘われてないんですの?」
「核心を突いちゃいけません! 知り合いはしっと団の活動とか義妹とにゃんにゃんするとかふざけたことぬかしやがって……」
「…誰かしらにも誘われてないんですの?」
思わずジト目で黒子が訊ねると、乾いた遠くを見る瞳で上条は、
「旗男はすっこんでろ、だとさ。一体何のことやらわからねえよ」
「…もしそれが本気で言っているとしたら貴方にわたくしからのクリスマスプレゼントを与えてもよろしいですわよ?」
「…もしそれが本気で言っているとしたら貴方にわたくしからのクリスマスプレゼントを与えてもよろしいですわよ?」
太もものホルスターから金属矢を抜き放ち、それが厚い雲の隙間から僅かに零れる太陽の光を受けて鈍く輝きを生む。金属矢=クリスマスプレゼント。
「いやいやいやいや! そんなプレゼントは遠慮する!」
「問答無用ですの! 覚悟なさい!」
「問答無用ですの! 覚悟なさい!」
ついでながら、自分の恋路を阻む上条を消す良い機会かもしれない、そう考えた黒子は、以前目の前の上条には自分の『空間移動』が効かなかったのを思い出して、より確実な金属矢を構えた突進攻撃を繰り出した。
が、
「あうっ…!」
「っ、おい…!」
「っ、おい…!」
踏み出した黒子の足の先に、やや小さいながらも存在する石ころがあった。それを踏んでしまった黒子は、足首を捻りバランスを崩して真横に倒れそうになる。
というか倒れた。
というか倒れた。
「…っ、そおぉおい!」
「きゃっ!」
「きゃっ!」
何も持っていない方の左側の腕をフル活用して、上条はなんとか倒れつつある黒子を抱きかかえて難を逃れ
「ちょっと、殿方さん」
「……はい」
「…あの、その……む、胸に…」
「……はい」
「…あの、その……む、胸に…」
なかった。
左腕全てと若干の上半身で受け抱える上条は、不可抗力で黒子の慎ましやかな、それでも尚、存在する柔らかいソレ……いわば『おっぱい』に触れて、いや、鷲掴みしていた。
「や、柔らかい……」
「なっ…!? ちょ、えぇ!?」
「なっ…!? ちょ、えぇ!?」
上条のその手がガッチリとおっぱいをホールドして離さない。掴んでいるのは左手なのだが、揉まれる感覚で演算に集中出来ない為、能力を使えずに、黒子は悶え続ける。
「はっ! 俺は何を……白井、ごめん!」
「はぁ…はぁ…。い、いきなり何をなさるんですの…」
「不可抗力だって!」
「はぁ…はぁ…。い、いきなり何をなさるんですの…」
「不可抗力だって!」
頬を朱に染める黒子に対して、冷たい地べたに、上条のヘディングが決まる。その速さは、立ち姿から移行モーションが見えない程だった。
「…人通りの往来で土下座はやめてくださいな!」
黒子も黒子で、発生を確認してから予備動作無し余裕でした。
そんなこんなでしゃがみこんで、未だ冷えピタ(地面)をおでこにくっつけている上条を立たせようとする。
そんなこんなでしゃがみこんで、未だ冷えピタ(地面)をおでこにくっつけている上条を立たせようとする。
「お、おう……ぶっ!?」
「? どうなさいましたの?」
「? どうなさいましたの?」
無防備に上条の頭上にしゃがんでいる黒子。少しだけ顔を上げた上条の目の前に映ったのは、太ももの奥に見える秘密の花園。黒のレースで布地が極端に少ない下着。
(な、なんつー大人な下着履いてんだよ……)
下半身に熱が籠もり、別の意味で上条は立った。否、勃ち上がった。
「何時までもそうしてますと、本当にプレゼントしますわよ」
「ごめんなさい」
「全く。……どうして下半身押さえて前かがみなんです?」
「気にしないでください」
「ごめんなさい」
「全く。……どうして下半身押さえて前かがみなんです?」
「気にしないでください」
他愛のない話。
道端でたまたま出会っただけなのに、話し込んでしまった。
道端でたまたま出会っただけなのに、話し込んでしまった。
「帰らなくていいのか?」
「もう少しだけ話しません? お姉様に釣り合う人柄かどうか判断したいので」
「ははは、勘弁してくれ……」
「もう少しだけ話しません? お姉様に釣り合う人柄かどうか判断したいので」
「ははは、勘弁してくれ……」
笑いながら目の幅涙をぶわーっ、と流す上条は気持ち悪かった。
再度ジト目になり、その表情を見つめる黒子の頬に、ひんやりとしたものが触れた。
再度ジト目になり、その表情を見つめる黒子の頬に、ひんやりとしたものが触れた。
「雪ですわ」
「おいちょっと大福持ってこい」
「おーい」
「お茶」
「伊藤園」
「天然麦茶」
「おいちょっと大福持ってこい」
「おーい」
「お茶」
「伊藤園」
「天然麦茶」
連想ゲームかと小一時間問い詰めたくなるようなやり取りを幾度か繰り返し、
「そろそろ帰りますわ」
「おう。…寮まで一緒してもいいか?」
「ええ、構いませんが」
「おう。…寮まで一緒してもいいか?」
「ええ、構いませんが」
立ち話も程ほどに、帰路につく。
並んで歩く二人は、道すがらで多くのカップル達とすれ違う。手を繋ぎ、腕を組み、ひとつの長いマフラーを二人で巻いて、雪の寒さに負けぬ暖かい雰囲気を醸し出している街並み。そんな中を上条と黒子は常盤台の寮に向けて歩を進める。
並んで歩く二人は、道すがらで多くのカップル達とすれ違う。手を繋ぎ、腕を組み、ひとつの長いマフラーを二人で巻いて、雪の寒さに負けぬ暖かい雰囲気を醸し出している街並み。そんな中を上条と黒子は常盤台の寮に向けて歩を進める。
「どうした?」
周りをきょろきょろと見回す黒子を見て、上条が疑問を口にした。
「わたくしもあんな風にお姉様と出来たら良いですのに……」
「…………、」
「…………、」
この場にいない人物のことを、つい黒子は言ってしまう。
二人で過ごすクリスマス。ささやかなお祝い事のように盛り上がって、その後はくんずほぐれつして燃えるような夜を送りだい。憧れのお姉様との絵空事を思っては悩む。
実現しえそうにない事を聞いた上条は、特に何も思うことは無かったが。
実現しえそうにない事を聞いた上条は、特に何も思うことは無かったが。
「何やってるんだ?」
「お構いなく」
「…そう言われてもなぁ」
「お構いなく」
「…そう言われてもなぁ」
自分の腕に、不意に感じる人肌の温もり。空いている腕に黒子が自分の腕を絡ませてきたようで、上条は純情少年らしく、胸の鼓動が高まる。
「一度はやってみたいと思ってましたの」
「…後に取っておけよ」
「嫌では無いのでしょう?」
「返す言葉がありません。大体御坂に言えばやらせてくれるんじゃないのか?」
「今ここにおりませんでしょうに」
「…後に取っておけよ」
「嫌では無いのでしょう?」
「返す言葉がありません。大体御坂に言えばやらせてくれるんじゃないのか?」
「今ここにおりませんでしょうに」
それに、と黒子は付け足すように、
「殿方さんとなら安心出来ますの」
「なんだかなぁ…」
「なんだかなぁ…」
しかし、上条も満更でもない様子で体を密着させる。
「暖かいな」
「ええ」
「ええ」
暫くして、黒子の寮に着いた。寮の手前、窓から見えない位置まで来て、二人は離れた。
「寮監が厳しいんですの」
「そうか。……こうして見ると一昔前の恋愛漫画みたいだよな」
「そうか。……こうして見ると一昔前の恋愛漫画みたいだよな」
言った直後、上条はしまった、と思って右手の用意をしたが、脅威はなかった。むしろ、きょとんとする黒子を見れた。
唖然、驚愕、頬染めと忙しくコロコロ変わる黒子の表情が上条は面白かった。
唖然、驚愕、頬染めと忙しくコロコロ変わる黒子の表情が上条は面白かった。
「それじゃ、いいクリスマスを楽しめよ!」
「あ、貴方に言われなくてもそうしますわ」
「そうだな」
「あ、貴方に言われなくてもそうしますわ」
「そうだな」
二人は互いに背を向けて、それぞれの道を向く。一歩ずつ離れて、やがてその距離は大きくなっていった。
「…不幸だ」
「何でしょうね…」
「何でしょうね…」
ふと、振り返って互いに目が合った。目を見開いて驚いたのは一瞬で、自然に笑みがこぼれだした。
「なんだよ」
「どうなさいましたの?」
「どうなさいましたの?」
少しだけ離れた距離を縮めて、今度は楽しそうに笑い合った。
「そうだ、言い忘れていたことがあった」
「奇遇ですわ、わたくしもですの」
「奇遇ですわ、わたくしもですの」
「「思いっ切り聖夜おめでとう(ベリーメリークリスマス)!」」
白髭の爺がトナカイに似たメカを使って、反重力装置を持ったソリを操縦して、世界の空を舞っているのを確認したのは、学園都市では一握りだけだった。
ー糸冬ー