(……さすがに能力を使わねェとしんどいな)
一方通行が搭乗しているのは『超音速旅客機』。時速七〇〇〇キロオーバーで大空を滑空するという学園都市オリジナルの馬鹿みたいな化け物飛行機のことである。
だが、強力なGのせいで乗っている間は終始、内臓が圧迫されるような不気味な圧力が人体に容赦無く襲い掛かる。ベクトル変換でも使えば楽になるかもしれないが、『仕事』のためにバッテリーは温存しておく必要がある。
一方通行が搭乗しているのは『超音速旅客機』。時速七〇〇〇キロオーバーで大空を滑空するという学園都市オリジナルの馬鹿みたいな化け物飛行機のことである。
だが、強力なGのせいで乗っている間は終始、内臓が圧迫されるような不気味な圧力が人体に容赦無く襲い掛かる。ベクトル変換でも使えば楽になるかもしれないが、『仕事』のためにバッテリーは温存しておく必要がある。
(マッハ5、75で高速飛行する『旅客機』か……。こりャ、『外』の奴らが学園都市に追いつくのは不可能なンじゃねエか?)
『減速します。何かに掴まっておいてください』
パイロットの緊張感の無い声が無線を通してコックピットから伝わってきた。
一時間半も経ってないのにもうイギリスか。相変わらずアホみたいな速さだ。
一方通行は、ようやく通常の旅客機並の速度に減速した超音速の飛行機のドアのレバーに現代的なデザインの杖を支えにして手を掛け、首筋のスイッチを「ON」の状態にし、ドアを勢いよく開け放つ。常人なら投げ出されてしまうほどの強風が機内で暴れまわるが、反射を適用している一方通行には関係の無いことだ。
そのまま体を傾け、一方通行は高度二五〇〇mから何気ない顔で落下し、十秒程経ってから一方通行は地響きにもなる轟音とともにロンドンの裏通りに着地した。
パイロットの緊張感の無い声が無線を通してコックピットから伝わってきた。
一時間半も経ってないのにもうイギリスか。相変わらずアホみたいな速さだ。
一方通行は、ようやく通常の旅客機並の速度に減速した超音速の飛行機のドアのレバーに現代的なデザインの杖を支えにして手を掛け、首筋のスイッチを「ON」の状態にし、ドアを勢いよく開け放つ。常人なら投げ出されてしまうほどの強風が機内で暴れまわるが、反射を適用している一方通行には関係の無いことだ。
そのまま体を傾け、一方通行は高度二五〇〇mから何気ない顔で落下し、十秒程経ってから一方通行は地響きにもなる轟音とともにロンドンの裏通りに着地した。
(誰もいねェか。つか、街中にこんなクレーター作っていいもンなのか?)
一方通行は足元にある自分で作った直径五m弱のクレーターを見ながら適当に呟く。
そして、周りを見渡し先ほどと違う風景が目に留まった。
一方通行は足元にある自分で作った直径五m弱のクレーターを見ながら適当に呟く。
そして、周りを見渡し先ほどと違う風景が目に留まった。
「……いきなり大歓迎だな。イギリスってのは歓迎パーティーとか頻繁にやるタイプの国だったか?」
一方通行の周りには全身黒服の背の高い男達が二十人程いることに気づいた。
そして、その全員が殺傷能力の高い手動マシンガンを構えている。
(『外』の安っぽい銃器を使用している。……て、ことは外部の裏組織か)
海原のクソ野郎から「外部の馬鹿共に邪魔される恐れがありますから気をつけてください」と聞いた憶えがあるが間違ってはいなかったようだ。
一方通行がそれだけ考えると、それと同時に周りを囲む二十以上のマシンガンが火を噴いた。
そして、その全員が殺傷能力の高い手動マシンガンを構えている。
(『外』の安っぽい銃器を使用している。……て、ことは外部の裏組織か)
海原のクソ野郎から「外部の馬鹿共に邪魔される恐れがありますから気をつけてください」と聞いた憶えがあるが間違ってはいなかったようだ。
一方通行がそれだけ考えると、それと同時に周りを囲む二十以上のマシンガンが火を噴いた。
爆音が鳴り響く。一つの銃を発砲するなら「うるさい音」だがそれを二十倍以上の量にすると「鼓膜が破れそうな音」になる。そして、その銃撃を受けた者は当然銃一つでは計り知れない威力を受け止めることになる。二十のマシンガンが生身の人間に発砲したのだ。当然、目の前の人間はよく分からない肉片になっているだろう、と発砲した内の一人、即ち黒服の男の一人は当たり前の事を考える。
が、しかし。眼前の少年にはそんな常識は通用しなかった。
このままでは殺されるかもしれない。本来目の前の白髪が僅か以上に思わなければならない言葉のはずなのに自分達が嘘偽り無くそう思っているのはどうゆう事なのだろうか。
全身黒服の男はその答えが導き出せない。その手にある手動マシンガンが『自分の撃った散弾で』大破していることなど気にして居られない。恐怖より疑問ばかりが浮かんでくる。
全身黒服の男はその答えが導き出せない。その手にある手動マシンガンが『自分の撃った散弾で』大破していることなど気にして居られない。恐怖より疑問ばかりが浮かんでくる。
なぜ、この少年は無傷で立って居られるのだろうか?
少年は笑っていた。前に垂れた白銀色髪で彼の目は見えない。だが、彼の口元は裂けたような壮絶な笑みに包まれている。やがてその不気味な口前が言葉を発する。
「そういや、『外』の奴らは能力の知識が「こっち」に比べて劣ってたっけなァ。」
目の前の少年は俄かに笑い出す。それを合図に黒服の仲間達は使い物にならなくなった手動マシンガンをレンガ道に放り投げ投げつけ落とし、慌ててその場から抜け出そうとする。恐ろしさに声を上げて間抜けに転び出す奴さえ居た。
自分もそうした方が幸を呼ぶかもしれない。抑えきれない悲鳴を僅かに声に出して謎の少年に背を向けようとしたが、
「そういや、『外』の奴らは能力の知識が「こっち」に比べて劣ってたっけなァ。」
目の前の少年は俄かに笑い出す。それを合図に黒服の仲間達は使い物にならなくなった手動マシンガンをレンガ道に放り投げ投げつけ落とし、慌ててその場から抜け出そうとする。恐ろしさに声を上げて間抜けに転び出す奴さえ居た。
自分もそうした方が幸を呼ぶかもしれない。抑えきれない悲鳴を僅かに声に出して謎の少年に背を向けようとしたが、
「おいおい。遺言にしては随分間の抜けた御言葉だな。遺族の方々をあンまり
ガッカリさせちゃァ駄目なンじゃねェのか?」
ガッカリさせちゃァ駄目なンじゃねェのか?」
笑い混じりの少年の声が聞こえた所で、男の意識は永久に途絶えた。
ロンドンの旧市街のさらに人の少ない裏通りと言ってもいいレンガの歩道を三人の東洋人の男女が目的地に向けて歩を進めていた。
その内のただ一人の女性が手元の地図を拝見しながら隣の少年に話し掛ける。
その内のただ一人の女性が手元の地図を拝見しながら隣の少年に話し掛ける。
「この先のアパートメントに『原石の能力者』が居るはず……って、一体どうしたのですか? 上条当麻」
上条当麻と呼ばれたツンツン頭の少年はいかにも気持ち悪そうに背を丸めて歩いている。
「……ふざけんなっ!! あんな空飛ぶトラウマ製造機(及び音速旅客機)に乗せられてピンピンしてるお前らのほうがおかしいんだ!! あんなもんに乗ってたら内臓の位置が
おかしくなること間違い無しだろうが!! 」
騒ぎ出したツンツン少年(被害者)に対し、一歩後ろを歩く金髪サングラスの長身の男が気の抜けた声で火に油を注ぐ。
上条当麻と呼ばれたツンツン頭の少年はいかにも気持ち悪そうに背を丸めて歩いている。
「……ふざけんなっ!! あんな空飛ぶトラウマ製造機(及び音速旅客機)に乗せられてピンピンしてるお前らのほうがおかしいんだ!! あんなもんに乗ってたら内臓の位置が
おかしくなること間違い無しだろうが!! 」
騒ぎ出したツンツン少年(被害者)に対し、一歩後ろを歩く金髪サングラスの長身の男が気の抜けた声で火に油を注ぐ。
「まー、カミやんにとってはあれ(音速旅客機)に良い思い出は無いしな。満身創痍の状態でイタリアから『それ』で連れて来られたり、『それ』に乗ってアビニョン上空から突き落とされたたり、色々大変だったからにゃー」
「半分以上御門のせいだぞそれ!! 」
土御門と呼ばれた金髪でアロハシャツを着た少年は「ああ、ごめんごめん」と適当に批判の声を受け流す。上条はさらに犬歯を剥き出しにして土御門を睨みつけた所で、
「半分以上御門のせいだぞそれ!! 」
土御門と呼ばれた金髪でアロハシャツを着た少年は「ああ、ごめんごめん」と適当に批判の声を受け流す。上条はさらに犬歯を剥き出しにして土御門を睨みつけた所で、
「……土御門。もうすぐ『接触対象』の家なのですから、真剣に物を言ってください。」
地図から目を離さずに神裂火織が真面目な注意をした。
地図から目を離さずに神裂火織が真面目な注意をした。
上条当麻、土御門元春、神裂火織。
この三人は今、ロンドンに居るという『原石』に「接触」及び「調査」するため、三人揃ってロンドンまで『仕事』をしに来ていた。
超能力と魔術を同時に扱うと言われる『原石』を調べる仕事に。
超能力と魔術を同時に扱うと言われる『原石』を調べる仕事に。
「能力と魔術ねぇ……。そんなもんどうやったら一緒に使えるようになるんだ?」
上条が素で呟く。
「ですから、今からそれを調べに『その人』に会いに行くのですよ」
上条が素で呟く。
「ですから、今からそれを調べに『その人』に会いに行くのですよ」
着いたアパートメントは築五十年ぐらいの寂れた建物だった。入り口はとことん汚れていて、壁、床、天井全てが荒れ放題の廃墟みたいな家屋だった。
「では、私と上条当麻が『原石』のいると思われる部屋に行ってきますから、土御門はここで待っていてください」
「では、私と上条当麻が『原石』のいると思われる部屋に行ってきますから、土御門はここで待っていてください」
主題の『原石』は「超能力と魔術が同時に使える」という謳い文句のせいで沢山の組織(土御門が言うには『研究者気取り』)に 追われる羽目になっているらしい。(上条はその研究者気取りがスターゲート計画の残党であることは知らない)そこで、危険がある前に学園都市とイギリス清教が共同で保護することになったらしい。
何故、上条が仕事を手伝う羽目になったかは、神裂や土御門も存じてないようだが。
何故、上条が仕事を手伝う羽目になったかは、神裂や土御門も存じてないようだが。
「なぁ、神裂。なんで土御門はアパートの前で待機しているんだ?」
ギシギシと心配な音を立てる階段を上りながら、神裂が質問に答える。
「いまから会う『原石』は世界中の組織から狙われる立場にあるのですよ。だと言うのに金髪サングラスアロハシャツの土御門が会いに行けば確実に警戒されます。ですから、せめて普通の格好の私達が会いに行かなければならないでしょう」
神裂の格好が普通かどうかはツっこんだら負け、と自分で決着を着けた上条とそんなことは露知らずの神裂は目的の部屋に辿り着いた。簡単に蹴破れそうなドアには、
ギシギシと心配な音を立てる階段を上りながら、神裂が質問に答える。
「いまから会う『原石』は世界中の組織から狙われる立場にあるのですよ。だと言うのに金髪サングラスアロハシャツの土御門が会いに行けば確実に警戒されます。ですから、せめて普通の格好の私達が会いに行かなければならないでしょう」
神裂の格好が普通かどうかはツっこんだら負け、と自分で決着を着けた上条とそんなことは露知らずの神裂は目的の部屋に辿り着いた。簡単に蹴破れそうなドアには、
『YURI AYAKARI』というプレートが貼ってあった。
ドアを三回ノックする。僅かに返事が聞こえ、ボロボロのドアのカギが開けられ、中の住人が姿を現した。
「どなたさまです?」
出てきたのは上条より二歳ほど年下の少女だった。肩辺りまで伸びる漆黒の髪とそれに反してアクアマリンのような透き通った水色の目が印象に残る少女で、上条が一番驚いたのは、少女が日本人であったことだ。確かにプレートには「あやかり ゆり(またはゆうり)」と書いてあった気がするが。
「どなたさまです?」
出てきたのは上条より二歳ほど年下の少女だった。肩辺りまで伸びる漆黒の髪とそれに反してアクアマリンのような透き通った水色の目が印象に残る少女で、上条が一番驚いたのは、少女が日本人であったことだ。確かにプレートには「あやかり ゆり(またはゆうり)」と書いてあった気がするが。
「私達はイギリス清教の者です。少しお話伺ってもよろしいですか?」
単刀直入だなーと上条が適当に考えていると、
「あ、はい。よろこんで」
少女は割と簡単に許可を出した。
単刀直入だなーと上条が適当に考えていると、
「あ、はい。よろこんで」
少女は割と簡単に許可を出した。
「綾狩 優李と申します。で、お話というのは?」
外の廊下に反してかなりピカピカに整理された部屋に三人の男女がテーブルを跨いで座っていた。その内一番背が高い神裂が勝手に自己紹介した目の前の蒼目黒髪の少女に質問する。
「あなたが超能力者兼魔術師であるという噂……はもうご存知ですか?」
直球すぎるだろと上条が何となく考えても、
「はい。やっぱりその話だと思いましたよ」
綾狩と名乗った少女はまたもや即答。
「では最初に聞きますが、その噂は本当ですか?」
「ええ、本当ですよ」
外の廊下に反してかなりピカピカに整理された部屋に三人の男女がテーブルを跨いで座っていた。その内一番背が高い神裂が勝手に自己紹介した目の前の蒼目黒髪の少女に質問する。
「あなたが超能力者兼魔術師であるという噂……はもうご存知ですか?」
直球すぎるだろと上条が何となく考えても、
「はい。やっぱりその話だと思いましたよ」
綾狩と名乗った少女はまたもや即答。
「では最初に聞きますが、その噂は本当ですか?」
「ええ、本当ですよ」
結論はとても速かった。さすがにこれには神裂も驚いたようで目を丸くして動揺が隠せない様子だった。
無理して言葉を選んでいる神裂の代わり上条が質問してみる。
「どうやって?超能力と魔術を同時に使うなんて……」
「無理だと思いますよね?でも、私はそれができますから。」
笑顔で解答。なんか信用できない気がする。綾狩が言葉を続ける。
「ええっと、説明より観てもらったほうが速いと思うので……」
そう言って綾狩は懐から一本のナイフを取り出した。神裂が一瞬身構え、上条も
攻撃されるのではないか、と眉間に皺を集めたが、
無理して言葉を選んでいる神裂の代わり上条が質問してみる。
「どうやって?超能力と魔術を同時に使うなんて……」
「無理だと思いますよね?でも、私はそれができますから。」
笑顔で解答。なんか信用できない気がする。綾狩が言葉を続ける。
「ええっと、説明より観てもらったほうが速いと思うので……」
そう言って綾狩は懐から一本のナイフを取り出した。神裂が一瞬身構え、上条も
攻撃されるのではないか、と眉間に皺を集めたが、
綾狩は取り出したナイフで自分の手首を切りつけた。
「「 っ!? 」」
上条と神裂は一瞬怯んだように動きを止めたが、
「……あれ?」
上条が間抜けな声を出したときには、綾狩の手にたった今付けられたはずの傷は綺麗サッパリ無くなっていた。切り付けた際に飛び散った血液を覗いて。
「……あれ?」
上条が間抜けな声を出したときには、綾狩の手にたった今付けられたはずの傷は綺麗サッパリ無くなっていた。切り付けた際に飛び散った血液を覗いて。
「これで、分かりました?」
わかりました?と言われても、上条にはよく分からない。傷が一瞬で無くなる……それも幻覚ではない。ちゃんと、流れ出た血は彼女の服に残っている。上条には疑問詞
しか思い浮かばないが、隣の神裂は何か歴史を変えるような物を観てしまったというような顔をして、完全に硬直していた。
わかりました?と言われても、上条にはよく分からない。傷が一瞬で無くなる……それも幻覚ではない。ちゃんと、流れ出た血は彼女の服に残っている。上条には疑問詞
しか思い浮かばないが、隣の神裂は何か歴史を変えるような物を観てしまったというような顔をして、完全に硬直していた。
「 ? 神裂、何か解っ……」
「……!! 高Lvの肉体再生(オートリバース)……!!! 」
上条の声は神裂の怒号にも似た叫びに遮られた。綾狩が笑いながらこちらに首を傾げるのが横目で見えた。
当の神裂はそれを見ても顔の硬直が解れない。
「……神裂。それって……、」
「えぇ…。綾狩 優李、と言いましたか。彼女の「能力」は『肉体再生』。それも体の外傷を一瞬で完治する位……同じ『肉体再生』の土御門とは比べ物にならないほど驚異的な再生能力だと思います…」
「あら、酷いですね。私がここに居ないみたいにそちらの殿方とだけ楽しく談笑だなんて」
「……!! 高Lvの肉体再生(オートリバース)……!!! 」
上条の声は神裂の怒号にも似た叫びに遮られた。綾狩が笑いながらこちらに首を傾げるのが横目で見えた。
当の神裂はそれを見ても顔の硬直が解れない。
「……神裂。それって……、」
「えぇ…。綾狩 優李、と言いましたか。彼女の「能力」は『肉体再生』。それも体の外傷を一瞬で完治する位……同じ『肉体再生』の土御門とは比べ物にならないほど驚異的な再生能力だと思います…」
「あら、酷いですね。私がここに居ないみたいにそちらの殿方とだけ楽しく談笑だなんて」
綾狩はくすくすと笑う。嘲笑うかのようにも見える。
「もう一度、言います。『これで、分かりました』? 」
そして、上条はすべてを理解した。
実際、簡単な話だったのだ。超能力者が魔術を使えば体が拒絶反応を起し、体の内部から破壊されていく。実際、海の家の一件で土御門が無理に魔術を使用し、絶命寸前まで追い詰められたことを上条は知っている。だが、それでも土御門が死ななかったのは、彼が微弱ながらの『肉体再生』を持っていたからに外ならない。つまりそれは、『超能力者が魔術を使用した際の副作用は「肉体再生」によって治すことができる』という事になる。
実際、簡単な話だったのだ。超能力者が魔術を使えば体が拒絶反応を起し、体の内部から破壊されていく。実際、海の家の一件で土御門が無理に魔術を使用し、絶命寸前まで追い詰められたことを上条は知っている。だが、それでも土御門が死ななかったのは、彼が微弱ながらの『肉体再生』を持っていたからに外ならない。つまりそれは、『超能力者が魔術を使用した際の副作用は「肉体再生」によって治すことができる』という事になる。
そして、綾狩はその『肉体再生』を高Lvにて所持している。
それはつまり、
「……綾狩 優李。あなたはつまり『能力者が魔術をしようした時の拒絶反応』を自身の「肉体再生」により一瞬で再生、完治することができるということですか。なるほど、それなら納得です。痛みを感じる前に傷が完治するなら、魔術を連続で使用することも可能。それこそ『通常の魔術師と同じように』。……どうやら、噂は本当だったようですね」
代理で語ってくれた神裂に、上条が新たに生まれた疑問をぶつける。
「でも、いまの『傷が一瞬で治った』ってのも魔術の一つかもしんねぇし、綾狩…さんが本当に能力と魔術を同時に使う証拠にはならないんじゃないか? もしかすると、『肉体再生』は本物で魔術は全く使えませんかもしれないし」
「いえ、それは無いでしょう。彼女からは魔術を使った形跡も気配も全く感じ取れませんでしたから」
「……綾狩 優李。あなたはつまり『能力者が魔術をしようした時の拒絶反応』を自身の「肉体再生」により一瞬で再生、完治することができるということですか。なるほど、それなら納得です。痛みを感じる前に傷が完治するなら、魔術を連続で使用することも可能。それこそ『通常の魔術師と同じように』。……どうやら、噂は本当だったようですね」
代理で語ってくれた神裂に、上条が新たに生まれた疑問をぶつける。
「でも、いまの『傷が一瞬で治った』ってのも魔術の一つかもしんねぇし、綾狩…さんが本当に能力と魔術を同時に使う証拠にはならないんじゃないか? もしかすると、『肉体再生』は本物で魔術は全く使えませんかもしれないし」
「いえ、それは無いでしょう。彼女からは魔術を使った形跡も気配も全く感じ取れませんでしたから」
それを聞いた綾狩が適当に手を振った。すると、テーブルの上に小さな水の玉が浮かび上がる。「魔術も使えますよ」と言うことなのだろう。上条が横目で神裂を見ると、
「……ええ、魔術の使用痕跡がありますから、間違いなくそれ(小さな水玉)は魔術でしょうね」
「……ええ、魔術の使用痕跡がありますから、間違いなくそれ(小さな水玉)は魔術でしょうね」
『肉体再生』は本物。今使った魔術も本物。
結論から言うと、彼女の「超能力と魔術を同時に使える」という
突拍子の無い噂は、『本物』。綾狩 優李という人物は紛れ無くイレギュラーな存在だった。
突拍子の無い噂は、『本物』。綾狩 優李という人物は紛れ無くイレギュラーな存在だった。
そして、綾狩がもう一度、
「分かってもらえましたか?」
笑顔で言った。