「一方通行とラブレター 打ち止めと絵本」
学園都市の住民の殆どが寝静まった深夜。
一方通行は一人机に向かい、唸りながら何かを書いていた。
「うーン。これだと押しが足りねェなァ。書き直すか」
漸く完成したソレを丸めてゴミ箱へ放り投げる。
ソレは綺麗な軌道を描き、ゴミ箱から溢れ出てしまっている紙の山にぶつかった。
恐らく一方通行はこれまでにかなりの枚数を書いては捨てているのだろう。
「上条当麻さン。俺は……」
書いている文章が口に出ているのも気が付かないほどに没頭し、学園都市最強とまで言われた彼が、人目に付かない深夜にコソコソと膨大な量の紙を消費してまで書こうとしている物は何か?
「もし、よろしければ俺と付き合って下さい……」
そう。ラブレターである。
手紙を書き終えた一方通行は顔を赤くしながら、手紙の文章を読み直すのに二十秒。目を閉じて上条当麻が受け取って読んだときの光景を浮かべるのに十六秒。目を閉じて浮かんだ光景を元に、この手紙の内容で良いのかを確認するのに三十二秒。
準備は整った。
「さァて、後は……」
この手紙を持って上条当麻に会いに行くだけだ。
手紙を渡した光景を想像したのか一方通行は更に顔を赤くする。
彼は妄想に浸り掛けたその時、床の軋む音がした。
「誰だァ? こンな時間に」
一方通行は部屋の扉を凝視する。
部屋の扉が開かれ、闇の中からとても眠そうな打ち止めが現れた。
「……あれー? こんな時間に何をしてるのってミサカはミサカは寝惚け眼を擦りながら尋ねてみる」
「なんだテメェかびびらせンなよ。……黄泉川かと思ったじゃねェか」
一方通行は手に持った手紙をさっと背後に隠しながら平静を装って言う。
ほぼ一瞬で作り上げたその顔はあまりにも自然で、まさかさっきまでラブレターを書いていたとは思わないだろう。
よく見れば冷や汗でびっしょりなのだが。
「?? こんな真夜中に何をやっていたかは知らないけど、早く寝ないとお肌に悪いよ?ってミサカはミサカは人生の先輩として意見してみる」
「眠そォに目ェ擦ってるヤツが何言ってるンだか。ほら、寝るぞ」
「一緒に寝よーってミサカはミサカはさりげなく誘ってみたり」
全然さりげなくねェよ、と思いながら溜め息を吐く。
いつもなら一蹴するところだが、何だか打ち止めが異様に可愛く思える。
今日ぐらいは一緒に寝てやってもいいだろう。
「あァ。いいぞ」
「ほ、ほんとに!? ってミサカはミサカは目をキラキラさせながら言ってみる!」
「ンなことで嘘付いてどうすンっだつーの」
「やったぁ!ってミサカはミサカは言葉に表せない感動を行動で表現してみる」
打ち止めは、一方通行と一緒に眠れると言うのがよほど嬉しいのか、ぱたぱたと足音を立てて何処か消える。
少しして腕にいっぱいの絵本を抱えて戻ってきた。
「絵本って言うのは少し子供っぽいかもしれないけど、ミサカぐらいの年の子は寝るときにみんな読んで貰うんだってってミサカはミサカは……」
「わァかった、わかった。何でも読んでやンよォ」
まるで子守をする親のようだな、と思いながら一方通行は打ち止めを連れて寝室に入って行った。
一方通行は一人机に向かい、唸りながら何かを書いていた。
「うーン。これだと押しが足りねェなァ。書き直すか」
漸く完成したソレを丸めてゴミ箱へ放り投げる。
ソレは綺麗な軌道を描き、ゴミ箱から溢れ出てしまっている紙の山にぶつかった。
恐らく一方通行はこれまでにかなりの枚数を書いては捨てているのだろう。
「上条当麻さン。俺は……」
書いている文章が口に出ているのも気が付かないほどに没頭し、学園都市最強とまで言われた彼が、人目に付かない深夜にコソコソと膨大な量の紙を消費してまで書こうとしている物は何か?
「もし、よろしければ俺と付き合って下さい……」
そう。ラブレターである。
手紙を書き終えた一方通行は顔を赤くしながら、手紙の文章を読み直すのに二十秒。目を閉じて上条当麻が受け取って読んだときの光景を浮かべるのに十六秒。目を閉じて浮かんだ光景を元に、この手紙の内容で良いのかを確認するのに三十二秒。
準備は整った。
「さァて、後は……」
この手紙を持って上条当麻に会いに行くだけだ。
手紙を渡した光景を想像したのか一方通行は更に顔を赤くする。
彼は妄想に浸り掛けたその時、床の軋む音がした。
「誰だァ? こンな時間に」
一方通行は部屋の扉を凝視する。
部屋の扉が開かれ、闇の中からとても眠そうな打ち止めが現れた。
「……あれー? こんな時間に何をしてるのってミサカはミサカは寝惚け眼を擦りながら尋ねてみる」
「なんだテメェかびびらせンなよ。……黄泉川かと思ったじゃねェか」
一方通行は手に持った手紙をさっと背後に隠しながら平静を装って言う。
ほぼ一瞬で作り上げたその顔はあまりにも自然で、まさかさっきまでラブレターを書いていたとは思わないだろう。
よく見れば冷や汗でびっしょりなのだが。
「?? こんな真夜中に何をやっていたかは知らないけど、早く寝ないとお肌に悪いよ?ってミサカはミサカは人生の先輩として意見してみる」
「眠そォに目ェ擦ってるヤツが何言ってるンだか。ほら、寝るぞ」
「一緒に寝よーってミサカはミサカはさりげなく誘ってみたり」
全然さりげなくねェよ、と思いながら溜め息を吐く。
いつもなら一蹴するところだが、何だか打ち止めが異様に可愛く思える。
今日ぐらいは一緒に寝てやってもいいだろう。
「あァ。いいぞ」
「ほ、ほんとに!? ってミサカはミサカは目をキラキラさせながら言ってみる!」
「ンなことで嘘付いてどうすンっだつーの」
「やったぁ!ってミサカはミサカは言葉に表せない感動を行動で表現してみる」
打ち止めは、一方通行と一緒に眠れると言うのがよほど嬉しいのか、ぱたぱたと足音を立てて何処か消える。
少しして腕にいっぱいの絵本を抱えて戻ってきた。
「絵本って言うのは少し子供っぽいかもしれないけど、ミサカぐらいの年の子は寝るときにみんな読んで貰うんだってってミサカはミサカは……」
「わァかった、わかった。何でも読んでやンよォ」
まるで子守をする親のようだな、と思いながら一方通行は打ち止めを連れて寝室に入って行った。
翌朝、警備員(アンチスキル)の仕事から帰ってきた黄泉川は、絵本を片手に持ちながら眠る一方通行とその胸に頭を埋めて眠る打ち止めの姿を見て、
「ほんっと、幸せそうに寝てるじゃん。まるで、お母さんに甘えながら寝る子供みたいじゃん……」
と言ったとか言わなかったとか。
「ほんっと、幸せそうに寝てるじゃん。まるで、お母さんに甘えながら寝る子供みたいじゃん……」
と言ったとか言わなかったとか。