とある魔術の禁書目録 Index SSまとめ

TS 1-414

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匿名ユーザー

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☆もしもカエル医者とアレイスターが女医と女性総括理事長だったら~



 暗い病室。
 其処に現在存在しているのは一つの影だ。
 闇の中に僅かだが見える輪郭は細く、それが女性のものだと解かる。
 白のショートカットを持つその女性は耳に携帯電話を当て、カエルの形をしたピアスを揺らしつつ、
「アレイスター、君に言っておく事があるんだけどね」
 とある女性の名前を含んだ声を放った。
 外では雨が降り、人々が先程まで起こっていた騒ぎの収集に奔走しているところだ。
 女性も通話が終わったらすぐさま手伝いにいかねばならない。
 だが、その前に伝える事があった。自分が助け、自分が守ってきた存在へと。
『何だ』
 返って来る声は無機質で、しかし確かに応えた。
 だから女性は耳に携帯電話を押し付けたまま、眉尻を下げた表情で外を見て、
「僕の患者をオモチャにするのは――止めて貰いたい」
 雷が遠方に落ちた。
 遠くに響く、しかし力強い音はすぐさま女性の下へも伝わってくる。
『ふ』
 しかし、強い音の伝播の後に聞えたのは嘲笑とも取れる笑み。
 笑みを放った人物は携帯電話越しに言葉を続ける。
『聞かなかったらどうする?否、何が出来ると言うんだ?』
 それは絶対の自信を持った言葉。
 それも自分の力を、そして己が傘下にある力を確認した上での過信では無い、本物の自信。
 並大抵の事では崩れない意志が篭ったそれを瓦解させるのは不可能に近い。
 だが、
「ああ、そうだね。僕は"君に対しては何も出来ない"だろうね」
 携帯電話越しに眉を顰める様な気配が伝わってくる。
 気配に懐かしさを覚えながらも言葉は止めず、
「ああ、やれる事くらいはわかっているさ。それでも僕は医者なんだ」
 耳に付けたカエルの形をしたピアスを手で触れ、僅かに揺らす。
「アレイスター。わかるだろう?」
 一息。
「かつて僕に命を救われた君なら――」
 再びの雷鳴。
 同時に、やはり先ほどと同じ様に閃光が室内に飛び込む。
 光に照らされたせいか、僅かに部屋が明るくなり、しかしまた暗くなる。
 視線を前へ。
 ガラス張りの窓に映るのは年老いたというのにまだ若さを保った、少女と女性の中間の様な人物。
 その己の鏡像を見つつ女性は一息。
『ああ、あの時、私は確かに死――』
「僕が、今度君が何かする気なら上条当麻に色々するって事くらい」
『――!』
 アレイスターと声が重なり、泡を吹く音が聞えた。
……新しい病気か?
 ならば自分の出番だろう。
 この様な不祥事を起こすとは言え、元は自分の娘の様なものだ。
『……失礼。だが――正気か』
「正気も何も僕はいつもこんな感じだよ?患者に対しては何時も本気さ」
『ふ……相変わらずか、このショタコン変態医師』
「君こそ大切な上条当麻君がどうなっても良いのかい?」
『あれは私のものだ。第一、何をするつもりだ。医師でいる限り大した事も出来ないだろうに』
「妊婦専用の椅子に検査だと偽って開脚させて座らせる――ッ!」
 拳を握って叫んだら携帯電話の向こうから何かをぶつける様な音が響いた。
 カプセルの外郭に頭でもぶつけたんだろうか。特殊素材だからカプセルの方は大丈夫だと思うが。
 そして、泡を大いに吹きまくる音が続いた後、
『この変態がァー!』
 と久方ぶりに長い間聞いてなかった怒号が返って来た。
「耳が痛いじゃないか」
『黙れ。というか、貴方は昔からそうだった。私を助けるためとかいって得体の知れない液体にぶち込んだり、
お前学園都市を作れ、とか適当な事言いつけて人を総括理事長に仕立てあげたり――。
漸く私が独立して己の目的が見えたかと思ったら、今度はまた!貴方という人は……っ!』
 電話の向こうから聞える早口言葉。
 しかし、その最後の方に女性は眉をひそめ、
「君……好きな子苛めるのにこれだけ大規模な事をしでかしたのかい?」
『――!』
 再び泡吹く音。
 今日は良く彼女の感情を感じられる日だなぁ、等と思いつつ女性は一息。
『違う!』
 通話先から聞こえてきた叫びに溜息。
 どうやら通話相手は最近流行りのツンデレとかいうものらしい。
 一過性の精神病の一種だと思っていたがまさか現実に現れるとは。


415 名前:■■■■ 投稿日:2007/04/15(日) 18:22:50 [ MUBG7UpU ]
「まぁ……なんだね」
 空気を入れ替えるために一区切り入れ、
「意志は……変わらないのかい?」
 静かな声音と共に答えの解かりきった疑問を問うてみる。
 対し、声が少しだけ止まったと思えば、
『貴方は私の理由を知っている筈だ』
「……そう、だね」
 思わず溜息が出てきた。
『そういう事だ』
「ああ、それじゃあ」
 通話相手が小さく笑った様な気配。

『さようならだ。優しい、かつて母親だと思えた私の敵よ』

 優しい決別の言葉と共に放たれるのは静寂。
 そして――、



「じゃあ上条当麻は僕が美味しく頂くという事で」
『くたばれ、変態馬鹿親』

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