※この先は色々とゲシュタルト崩壊を起こしている危険性が御座います。
暗い、暗い空間がある。
それは病人が傷を癒し、体を休める病院の一室だ。
ちなみにベッドは個室のため部屋の隅に一つのみだけである。
現在、その消灯されて闇に満ちた部屋のベッドの上には二つの影があった。
「せ、先生何でこんな時間に……?」
一つは黒い薄い布で出来た寝間着を着込んだ黒い短髪の少年。
「ふふふ……それはだね、上条当麻君」
もう一つはそれを押し倒した体勢の先生と呼ばれた白衣の女性だ。
先生の表情は妖艶な笑みで暗がり故に良く解からないが、かなり色っぽい。
思わず当麻の表情が引き攣るが対する彼女は全く意を解する様子も見せずに更に身を寄せる。
先生の耳に付けられた蛙の形をしたピアスが動きに合わせて揺れた。
自然と心臓の鼓動が跳ね上がる。
暗闇の中、女性に身を寄せられるという事態。
男としてとんでもない桃源郷にいるかもしれない当麻の思考は混乱していた。
が、
「そ、それは、なんなんでせう……?」
彼も男だという事を察して欲しい。
故に、先生の言葉の続きが気になってしまうのも仕方が無い事なのであろう。
当麻の疑問を待つ様に言葉を区切っていた先生はそれを聞くと笑みを更に強めて身を密着させた。
鼓動が破裂しそうな程に加速を始める。
いかん、このままでは震えるハートが燃え上がるヒートでサンライトオーバードライブしてしまう。
しかし、そんな当麻の危機感も彼女の前では無力。
彼女は形の良い唇をゆっくりと、一音一音を区切りながら言う。
「そ、れ、は」
それは病人が傷を癒し、体を休める病院の一室だ。
ちなみにベッドは個室のため部屋の隅に一つのみだけである。
現在、その消灯されて闇に満ちた部屋のベッドの上には二つの影があった。
「せ、先生何でこんな時間に……?」
一つは黒い薄い布で出来た寝間着を着込んだ黒い短髪の少年。
「ふふふ……それはだね、上条当麻君」
もう一つはそれを押し倒した体勢の先生と呼ばれた白衣の女性だ。
先生の表情は妖艶な笑みで暗がり故に良く解からないが、かなり色っぽい。
思わず当麻の表情が引き攣るが対する彼女は全く意を解する様子も見せずに更に身を寄せる。
先生の耳に付けられた蛙の形をしたピアスが動きに合わせて揺れた。
自然と心臓の鼓動が跳ね上がる。
暗闇の中、女性に身を寄せられるという事態。
男としてとんでもない桃源郷にいるかもしれない当麻の思考は混乱していた。
が、
「そ、それは、なんなんでせう……?」
彼も男だという事を察して欲しい。
故に、先生の言葉の続きが気になってしまうのも仕方が無い事なのであろう。
当麻の疑問を待つ様に言葉を区切っていた先生はそれを聞くと笑みを更に強めて身を密着させた。
鼓動が破裂しそうな程に加速を始める。
いかん、このままでは震えるハートが燃え上がるヒートでサンライトオーバードライブしてしまう。
しかし、そんな当麻の危機感も彼女の前では無力。
彼女は形の良い唇をゆっくりと、一音一音を区切りながら言う。
「そ、れ、は」
○
「というわけでね」
『―――』
白衣姿の女性は言うが、携帯電話の向こうからは無音しか返って来なかった。故障だろうか。
不安になったので、一度振ってから再度耳に当ててみると僅かな音がした。
電子的なスイッチのプッシュ音だ。
小気味良いその音を聞きつつ、蛙型のピアスを揺らし女性は思わず意地の悪い笑みを浮かべ思う。
「嫉妬しているね?そうなんだね?」
『黙れ。今すぐにその病院にミサイルを落としてやるから待っていろ』
「おや、この病院にはまだ上条当麻君がいるのに、良いのかい?」
『――ッ!』
「ふふふ、君にしては迂闊だね。そんなに上条当麻君が好きかい?否、好きなんだろう!?さぁ、あらいざらいをぶちまけると良いよ!?」
『五月蝿いこの馬鹿医者。お前は専用回線をわざわざその様な事を言うために――』
「うん。だって君に話したら楽しそうじゃないか」
『……待っていろ。今特殊部隊をそちらに送り込んでやる』
「おんや~」
蛙ピアスの女性は笑みを更に深める。それも黒い雰囲気を多分に纏ったものへとだ。
「良いのかな?僕は構わないけど――きっと上条当麻君はそうなったら僕を助けてくれるよ?」
『!?』
「ふふふ、今日の君は本当に焦っているね?解かるだろう?そうすれば――」
一息。
「フラグが立つ」
『くぅ――ッ!』
「あはは、いつも引き篭もっているからフラグの一つも立てれないんだよ、アレイスター?たまには外に出てフラグの一つでも立てなさい」
『母親の様な事を』
「母親じゃないか」
言うと沈黙が帰ってきた。
しかし、それは重いものではなく。
……やっぱり、口では悪く言っても慕ってくれているという証拠かな?
自信過剰かもしれないが、思うだけならば自由だろう。
故に蛙ピアスの医者は口を開き、言葉を続ける事にした。
「だからこそ言うよ……素直になりなさい」
『……』
「まぁ、確かに君は年齢的にはアレだけど、見た目はまだまだ現役高校生でいけるだろうしね」
『一言余計だ』
『―――』
白衣姿の女性は言うが、携帯電話の向こうからは無音しか返って来なかった。故障だろうか。
不安になったので、一度振ってから再度耳に当ててみると僅かな音がした。
電子的なスイッチのプッシュ音だ。
小気味良いその音を聞きつつ、蛙型のピアスを揺らし女性は思わず意地の悪い笑みを浮かべ思う。
「嫉妬しているね?そうなんだね?」
『黙れ。今すぐにその病院にミサイルを落としてやるから待っていろ』
「おや、この病院にはまだ上条当麻君がいるのに、良いのかい?」
『――ッ!』
「ふふふ、君にしては迂闊だね。そんなに上条当麻君が好きかい?否、好きなんだろう!?さぁ、あらいざらいをぶちまけると良いよ!?」
『五月蝿いこの馬鹿医者。お前は専用回線をわざわざその様な事を言うために――』
「うん。だって君に話したら楽しそうじゃないか」
『……待っていろ。今特殊部隊をそちらに送り込んでやる』
「おんや~」
蛙ピアスの女性は笑みを更に深める。それも黒い雰囲気を多分に纏ったものへとだ。
「良いのかな?僕は構わないけど――きっと上条当麻君はそうなったら僕を助けてくれるよ?」
『!?』
「ふふふ、今日の君は本当に焦っているね?解かるだろう?そうすれば――」
一息。
「フラグが立つ」
『くぅ――ッ!』
「あはは、いつも引き篭もっているからフラグの一つも立てれないんだよ、アレイスター?たまには外に出てフラグの一つでも立てなさい」
『母親の様な事を』
「母親じゃないか」
言うと沈黙が帰ってきた。
しかし、それは重いものではなく。
……やっぱり、口では悪く言っても慕ってくれているという証拠かな?
自信過剰かもしれないが、思うだけならば自由だろう。
故に蛙ピアスの医者は口を開き、言葉を続ける事にした。
「だからこそ言うよ……素直になりなさい」
『……』
「まぁ、確かに君は年齢的にはアレだけど、見た目はまだまだ現役高校生でいけるだろうしね」
『一言余計だ』
「おやおや、反論するなら気概は十分。それに君が素直になれば――」
『?』
相手が首を傾げているであろう雰囲気が携帯電話を通して返って来るが蛙ピアスの女性はにやけ顔で、
『?』
相手が首を傾げているであろう雰囲気が携帯電話を通して返って来るが蛙ピアスの女性はにやけ顔で、
「親子丼が出来上がるかもね」
瞬間、硝子が割れる様な音が携帯電話の向こうから聞えた。
その上で、水が滴り落ちるような音が定期的に携帯電話に響き、濡れた足音もそれに追加される。
『……』
「……えーっと」
『……』
「……あれ?本気で怒った?いや、ちょっと待つんだ。なにか杖みたいなものを掴んだ音が聞えたんだけど」
『……す』
「す?……バルサミコス?」
おどけてみるが、携帯電話越しに伝わってくる剣呑な雰囲気は留まる事を知らない。
思わず携帯電話を耳に当てたまま腰が引けてしまうが、相手に伝わる筈も無し。
ただ、息を吸う音だけが聞え、次の瞬間。
『ぶち殺す♪』
とんでもなく明るい声が聞えた。
しかもそれは聞いた事がある声で、しかし声の主が言う筈がない程明るい口調の言葉だった。
ブツッと電波の糸と共に何か別のものが切れた音が響き、消える。
暫しの間。
……あ、ヤバイかもしれないね。
笑顔のまま数秒固まってしまうが、余裕がないので即座に走り出す。
目指すはとある少年の病室。
昨晩新薬の実験に使ってしまったので禁断症状でも起こしているかもしれないが頼れるのは彼だけだ。
走り難い靴を選んでしまった事を後悔しつつも部屋を跳び出て廊下を全力疾走。
かくしてそれは来た。
「――!」
轟音。
それは病院の玄関方面から聞える爆発音だ。
何もかもが吹っ飛ぶ音と悲鳴が聞え、しかし蛙ピアスの女性は走る足を止めない。
止めたらきっと次の瞬間別世界に旅立ってしまう事だろう。
故に走る。
背後からは己の名前を呼ぶ少女の咆哮が聞えたがそちらを振り向く事はない。
振り向く余裕も無いし、距離もない――だから、蛙ピアスの女性は一段と足を大きく振り上げ、
「お客様一名ご案内!」
廊下に敷き詰められたタイルを力強く踏んだ。
瞬間、蛙ピアスの女性の姿が消える。彼女の真下に巨大な穴が開いたからだ。
落ちて穴が閉まる。
が、次の瞬間――。
「――!?」
再び己の名を呼ぶ咆哮と共に――ドアをぶち開けて病室へと突っ込んだと思われる爆音が聞えた。
それを確認してから蛙ピアスの女性は安堵の溜息を一つ。
続いて胸から古臭いペンダントを取り出して、対して指を動かす事もなく開き、
「……うまくやるんだよ、僕の娘」
柔らかい笑みと共に呟く言葉は穴の中の闇へと消えた。
その上で、水が滴り落ちるような音が定期的に携帯電話に響き、濡れた足音もそれに追加される。
『……』
「……えーっと」
『……』
「……あれ?本気で怒った?いや、ちょっと待つんだ。なにか杖みたいなものを掴んだ音が聞えたんだけど」
『……す』
「す?……バルサミコス?」
おどけてみるが、携帯電話越しに伝わってくる剣呑な雰囲気は留まる事を知らない。
思わず携帯電話を耳に当てたまま腰が引けてしまうが、相手に伝わる筈も無し。
ただ、息を吸う音だけが聞え、次の瞬間。
『ぶち殺す♪』
とんでもなく明るい声が聞えた。
しかもそれは聞いた事がある声で、しかし声の主が言う筈がない程明るい口調の言葉だった。
ブツッと電波の糸と共に何か別のものが切れた音が響き、消える。
暫しの間。
……あ、ヤバイかもしれないね。
笑顔のまま数秒固まってしまうが、余裕がないので即座に走り出す。
目指すはとある少年の病室。
昨晩新薬の実験に使ってしまったので禁断症状でも起こしているかもしれないが頼れるのは彼だけだ。
走り難い靴を選んでしまった事を後悔しつつも部屋を跳び出て廊下を全力疾走。
かくしてそれは来た。
「――!」
轟音。
それは病院の玄関方面から聞える爆発音だ。
何もかもが吹っ飛ぶ音と悲鳴が聞え、しかし蛙ピアスの女性は走る足を止めない。
止めたらきっと次の瞬間別世界に旅立ってしまう事だろう。
故に走る。
背後からは己の名前を呼ぶ少女の咆哮が聞えたがそちらを振り向く事はない。
振り向く余裕も無いし、距離もない――だから、蛙ピアスの女性は一段と足を大きく振り上げ、
「お客様一名ご案内!」
廊下に敷き詰められたタイルを力強く踏んだ。
瞬間、蛙ピアスの女性の姿が消える。彼女の真下に巨大な穴が開いたからだ。
落ちて穴が閉まる。
が、次の瞬間――。
「――!?」
再び己の名を呼ぶ咆哮と共に――ドアをぶち開けて病室へと突っ込んだと思われる爆音が聞えた。
それを確認してから蛙ピアスの女性は安堵の溜息を一つ。
続いて胸から古臭いペンダントを取り出して、対して指を動かす事もなく開き、
「……うまくやるんだよ、僕の娘」
柔らかい笑みと共に呟く言葉は穴の中の闇へと消えた。
○
「……」
「……」
上条当麻は混乱していた。
病院では基本的に静かにするものであり、現在の沈黙は確かに病人として適確なものだ。
しかし、それでも一日に二度も女性に押し倒されるというのはどういう事なのだろうか。
ちなみに一度目は言い寄られた後に良く解からない薬を飲まされたが。
ともあれ、目の前には緑色の手術衣を着込んだ長髪の少女が一人。
しかもその衣服はよくわからない液体に塗れており、何時素肌が見えてもおかしくはない。
腰まで以上の長さはある白髪に整った顔立ち。
宝石の様な碧眼も相俟って、現在自宅で待機しているであろう白い修道女を思い出させる。
「……ど、どちらさま?」
「……」
彼女の手には白い杖の様なものが握られていたがそんな事にすら気にはならない。
それほど当麻は混乱を極めていたのだ。
「あ、あのー?」
どもるが、彼女は答えずに顔を赤くするだけだ。
が、次の瞬間、彼女の顔の赤みが最高潮に達し、
「え、あ、俺、何か悪い事って、ピカーッ!?」
少女の悲鳴と共に、部屋内が眩い光が満ちた。
「……」
上条当麻は混乱していた。
病院では基本的に静かにするものであり、現在の沈黙は確かに病人として適確なものだ。
しかし、それでも一日に二度も女性に押し倒されるというのはどういう事なのだろうか。
ちなみに一度目は言い寄られた後に良く解からない薬を飲まされたが。
ともあれ、目の前には緑色の手術衣を着込んだ長髪の少女が一人。
しかもその衣服はよくわからない液体に塗れており、何時素肌が見えてもおかしくはない。
腰まで以上の長さはある白髪に整った顔立ち。
宝石の様な碧眼も相俟って、現在自宅で待機しているであろう白い修道女を思い出させる。
「……ど、どちらさま?」
「……」
彼女の手には白い杖の様なものが握られていたがそんな事にすら気にはならない。
それほど当麻は混乱を極めていたのだ。
「あ、あのー?」
どもるが、彼女は答えずに顔を赤くするだけだ。
が、次の瞬間、彼女の顔の赤みが最高潮に達し、
「え、あ、俺、何か悪い事って、ピカーッ!?」
少女の悲鳴と共に、部屋内が眩い光が満ちた。
○
◇2XXX年XX月XX日X曜日XX時XX分
謎の爆発によりとある病院の病室が破壊された模様。
被害者は病室に入院していた少年一人であったが、病院の被害は大きかった様だ。
学園都市理事会は、この様なテロリズムには決して負けぬと意気込んでいる。
ちなみに病院の修理には学園都市理事会も支援として加わるようだ。
蛇足だが、今回の理事会の対応は今までになく早急であり、背景に何らかの事情があると思われる。
謎の爆発によりとある病院の病室が破壊された模様。
被害者は病室に入院していた少年一人であったが、病院の被害は大きかった様だ。
学園都市理事会は、この様なテロリズムには決して負けぬと意気込んでいる。
ちなみに病院の修理には学園都市理事会も支援として加わるようだ。
蛇足だが、今回の理事会の対応は今までになく早急であり、背景に何らかの事情があると思われる。
――記述者:とある花畑の風紀委員