始まりは種も仕掛けも無い一発の弾丸。
それは一人の不幸な少年の胸を貫いた。
少年の名は上条当麻、彼の死によりとある世界が回り始める。
それは一人の不幸な少年の胸を貫いた。
少年の名は上条当麻、彼の死によりとある世界が回り始める。
「インデックスは、とうまの事が大好きだったんだよ?」
とある世界の白い病室で、白い神父が透明な少女に告げた。
とある世界の白い病室で、白い神父が透明な少女に告げた。
「…あれ、俺死んでない?」
不思議そうに首を傾けた上条当麻は、穴が開いたはずの胸に手を当て。
ふに。
柔らかく盛り上がった二つの山に触れて固まった。
不思議そうに首を傾けた上条当麻は、穴が開いたはずの胸に手を当て。
ふに。
柔らかく盛り上がった二つの山に触れて固まった。
少女の身を介し、少年は自らが過去に在ることを認めた時。
世界は回転を速め始める。
何処かの世界の何時かの未来に死んだ友に向けて土御門元春は囁く。
「なあ、カミやん。本当にこの世界は終わらせて善いのかにゃー。」
遠い世界の遠い場所で勝手に死んだ少年と今いる少女のために御坂美琴は叫ぶ。
「どうしてあんたが自分の幸せを否定しなきゃならないのよ。」
悲しい世界で消えた幸福と共に死んだ不幸に神裂火織は問う。
「あなたが不幸である事は貴方が望んだ事でも、私達が望んだ事でも無いというのに。
何故あなたが不幸となるのでしょうか。」
辿り着く事の無い世界で願いを抱いて死んだ異常者をステイル・マグヌスは罵る。
「どこで君が死のうと僕には関係の無い話だ。
だけどね、あの子を傷つける事だけは赦さないと言った筈だ。」
嘗ていた世界の覆せない過去に死んだ幻想を求め禁書目録は謳う。
「大丈夫だよ、とうま。何度だってやり直すから。」
世界は回転を速め始める。
何処かの世界の何時かの未来に死んだ友に向けて土御門元春は囁く。
「なあ、カミやん。本当にこの世界は終わらせて善いのかにゃー。」
遠い世界の遠い場所で勝手に死んだ少年と今いる少女のために御坂美琴は叫ぶ。
「どうしてあんたが自分の幸せを否定しなきゃならないのよ。」
悲しい世界で消えた幸福と共に死んだ不幸に神裂火織は問う。
「あなたが不幸である事は貴方が望んだ事でも、私達が望んだ事でも無いというのに。
何故あなたが不幸となるのでしょうか。」
辿り着く事の無い世界で願いを抱いて死んだ異常者をステイル・マグヌスは罵る。
「どこで君が死のうと僕には関係の無い話だ。
だけどね、あの子を傷つける事だけは赦さないと言った筈だ。」
嘗ていた世界の覆せない過去に死んだ幻想を求め禁書目録は謳う。
「大丈夫だよ、とうま。何度だってやり直すから。」
終わった世界、終わった物語の主人公は立ち上がる。
造られた安寧の日々を捨て、上書きされた世界の幕を開けるために。
「こんな誰かの世界を踏み潰して得た今が幸せだって言うのなら、俺は不幸のままでいい。」
造られた安寧の日々を捨て、上書きされた世界の幕を開けるために。
「こんな誰かの世界を踏み潰して得た今が幸せだって言うのなら、俺は不幸のままでいい。」
砂上の楼閣のように、脆く儚い願いで出来た世界が軋む。
「俺は不幸だった。けどな、それ以上に幸せだったんだよ。」
還るべき世界でいつか父に告げた言葉。
「夢を見る頃はとうに過ぎてんだ。
まだ、こんな造り物の幸福に囚われ続けるって言うのなら…。
俺はこの世界ごと、その幻想を殺し尽くす。」
幻想である少年の心を宿した少女は、固く握り締めた右手を白い神父に突き出した。
還るべき世界でいつか父に告げた言葉。
「夢を見る頃はとうに過ぎてんだ。
まだ、こんな造り物の幸福に囚われ続けるって言うのなら…。
俺はこの世界ごと、その幻想を殺し尽くす。」
幻想である少年の心を宿した少女は、固く握り締めた右手を白い神父に突き出した。
そして、
願いを重ねた世界が終わり。
望んで見た夢から醒めた。
優し過ぎた幻想は消える。
願いを重ねた世界が終わり。
望んで見た夢から醒めた。
優し過ぎた幻想は消える。
幻想殺しの少年は静かな死に向かい。
幻想殺しの少女は透明な未来に生まれる。
幻想殺しの少女は透明な未来に生まれる。
さようならとはじめましてを、もう重なる事の無い世界に。
とある世界の瓦礫の中心で座り込む少女は、酷く透明な仕草で首を傾げた。
「わたしは、誰?」
「わたしは、誰?」
窓の無いビルでビーカーに浮かぶ『人間』は笑みを思わせる表情を浮かべた。