「やった! やったぞ! ふふふふ……ははははははははは!」
「お、お兄様!? どうなさったんですの?」
ここは学園都市、五本の指に入る名門校・常盤台中学校の寮内。
高笑いしている彼は学園都市に七人しかいないレベル5の一人である御坂美琴。
その隣でびっくりしているのは、どうみても女にしか見えないが、れっきとした男の白井黒子(本名は不明であり、何故か生徒名簿にもこの名前で記載されている)。
「ゲフッ……うぇ。いや、なんでもないよ」
「そう言われると余計気になりますわ」
「だから、何でもないってば」
美琴が誤魔化し、黒子が追求する。そんな無駄な遣り取りをかなり長時間続けていた。
正直、疲れ始めてきていた。もう話しても良いんじゃないかと何処かで思っていた。しかし、美琴は黒子に話さなかった。
何故ならうっかり漏らしてしまえば、彼の計画は全て水の泡になってしまうからだ。
「お、お兄様!? どうなさったんですの?」
ここは学園都市、五本の指に入る名門校・常盤台中学校の寮内。
高笑いしている彼は学園都市に七人しかいないレベル5の一人である御坂美琴。
その隣でびっくりしているのは、どうみても女にしか見えないが、れっきとした男の白井黒子(本名は不明であり、何故か生徒名簿にもこの名前で記載されている)。
「ゲフッ……うぇ。いや、なんでもないよ」
「そう言われると余計気になりますわ」
「だから、何でもないってば」
美琴が誤魔化し、黒子が追求する。そんな無駄な遣り取りをかなり長時間続けていた。
正直、疲れ始めてきていた。もう話しても良いんじゃないかと何処かで思っていた。しかし、美琴は黒子に話さなかった。
何故ならうっかり漏らしてしまえば、彼の計画は全て水の泡になってしまうからだ。
食事も終わり黒子が風呂に入っている間、美琴はベッドの上で“アイツ”の事を考える。
(アイツはどんな水着を着てくるんだろうか……金がない金がない言ってたから学校指定水着か? いや……)
レベル5だなんだと言われようと、彼だって健全な中学男児である。多少の妄想は仕方がない。
ただ、妄想に没頭するあまりうっかり“水着”と言う単語を口にしてしまい、丁度風呂から出てきた黒子に聞かれたのは「残念だったね」としか言いようがない。
(アイツはどんな水着を着てくるんだろうか……金がない金がない言ってたから学校指定水着か? いや……)
レベル5だなんだと言われようと、彼だって健全な中学男児である。多少の妄想は仕方がない。
ただ、妄想に没頭するあまりうっかり“水着”と言う単語を口にしてしまい、丁度風呂から出てきた黒子に聞かれたのは「残念だったね」としか言いようがない。
翌日
しきりに時計を確認する美琴を、物陰から見つめる影が二つ。
「お兄様は一体誰を待ってるんですの? あの方でしょうか」
「さー、僕はわかりませんねぇ……あ、来たみたいですよ」
美琴に近づいていく一人の女性。
「やはりあの方とでしたか……くっ、雌豚めが私のお兄様に手ぇだしやがって」
「黒子さん落ちついて! つけてるのがばれちゃいますよ!」
しきりに時計を確認する美琴を、物陰から見つめる影が二つ。
「お兄様は一体誰を待ってるんですの? あの方でしょうか」
「さー、僕はわかりませんねぇ……あ、来たみたいですよ」
美琴に近づいていく一人の女性。
「やはりあの方とでしたか……くっ、雌豚めが私のお兄様に手ぇだしやがって」
「黒子さん落ちついて! つけてるのがばれちゃいますよ!」
(まだかな……)
時計を何度も見てしまう。
約束の時間からまだ5分しか経っていないが、何かあったんじゃないか、いつものように何かに首を突っこんでいるのではないか、と心配で仕方がない。
いつもはそこまで時間を気にしない方なのだが、今は1秒がかなり長く感じる。
ザリ、と砂利が擦れる音に反応して顔を上げると申し訳なさそうなアイツの顔があった。
「遅れちゃった……かな? ごめんね」
「あ、いや、俺もちょうど来たところだから」
「ふふ、男の子だね……それじゃあ行こうか?」
時計を何度も見てしまう。
約束の時間からまだ5分しか経っていないが、何かあったんじゃないか、いつものように何かに首を突っこんでいるのではないか、と心配で仕方がない。
いつもはそこまで時間を気にしない方なのだが、今は1秒がかなり長く感じる。
ザリ、と砂利が擦れる音に反応して顔を上げると申し訳なさそうなアイツの顔があった。
「遅れちゃった……かな? ごめんね」
「あ、いや、俺もちょうど来たところだから」
「ふふ、男の子だね……それじゃあ行こうか?」
「ほら行ったみたいですよ」
「お兄様はわたさねぇ……」
「はぁ……。あ、学生二枚お願いします」
「お兄様はわたさねぇ……」
「はぁ……。あ、学生二枚お願いします」
「どう? 似合う?」
上条の着ている水着は美琴の予想に反して学校指定水着ではなく、ビキニタイプの水着だった。
どうやら彼女は着やせするタイプらしく、いつもあっているときにはわからなかったが、意外と胸が大きい。
好きな人の水着、予想外に大きな胸。それは健全な青少年には少し刺激が強かったのか、美琴は面白い様に真っ赤になってしまった。
「もしもーし。御坂君? どうしたの?」
「な、なんでも……ない」
「ん~? ……! そっか~、ふふふ。御坂君は上条さんの水着に見とれちゃったのかな?」
某正義の味方を弄る某女性の様な笑みを浮かべ、上条は美琴に尋ねる。わざと美琴に体を密着させながら。
「――っ!!」
「ふふふ。冗談だよ」
上条の着ている水着は美琴の予想に反して学校指定水着ではなく、ビキニタイプの水着だった。
どうやら彼女は着やせするタイプらしく、いつもあっているときにはわからなかったが、意外と胸が大きい。
好きな人の水着、予想外に大きな胸。それは健全な青少年には少し刺激が強かったのか、美琴は面白い様に真っ赤になってしまった。
「もしもーし。御坂君? どうしたの?」
「な、なんでも……ない」
「ん~? ……! そっか~、ふふふ。御坂君は上条さんの水着に見とれちゃったのかな?」
某正義の味方を弄る某女性の様な笑みを浮かべ、上条は美琴に尋ねる。わざと美琴に体を密着させながら。
「――っ!!」
「ふふふ。冗談だよ」
「あのアマ……私のお兄様にい、色仕掛けなんて! うらやま……じゃなくて何て事を!」
「お、落ち着いてー!」
「お、落ち着いてー!」
「!!?」
ゾクリ、と美琴の背筋を寒気が駆け上っていった。何処からかいつも聞いている声が聞こえる気がする。
「どうしたの?」
「い、いや。なんでもない」
(気のせいか……黒子の声が聞こえた気がしたんだけど)
無論気のせいではない。
「ちょっと、休憩しようか? 連れ回しちゃったから疲れちゃった?」
「いや、そう言う訳じゃ……」
「ふふふ。こういうときは年上の言うことを聞いておくもんだよ?」
上条は何かと年下に対してはお姉さんぶろうとする。とは言っても、彼女の知り合いで彼女よりも年下の者はかなり少ないのだが……。
上条主導の下、二人は近くにあるカフェの様なところで休憩することにした。
「ん~、泳いだなー。ふぅー」
上条はテーブルの上にぐでぇとなる。そして、何処を見たのか美琴は面白いように赤くなり顔をそらす。
ゾクリ、と美琴の背筋を寒気が駆け上っていった。何処からかいつも聞いている声が聞こえる気がする。
「どうしたの?」
「い、いや。なんでもない」
(気のせいか……黒子の声が聞こえた気がしたんだけど)
無論気のせいではない。
「ちょっと、休憩しようか? 連れ回しちゃったから疲れちゃった?」
「いや、そう言う訳じゃ……」
「ふふふ。こういうときは年上の言うことを聞いておくもんだよ?」
上条は何かと年下に対してはお姉さんぶろうとする。とは言っても、彼女の知り合いで彼女よりも年下の者はかなり少ないのだが……。
上条主導の下、二人は近くにあるカフェの様なところで休憩することにした。
「ん~、泳いだなー。ふぅー」
上条はテーブルの上にぐでぇとなる。そして、何処を見たのか美琴は面白いように赤くなり顔をそらす。
「あぁぁぁ!! お兄様お兄様ぁ!! 今、私が助けに!」
「だから、ダメですってば! 御坂さん怒りますよ、絶対に!」
「邪魔するな初春!」
「あぁぁ!」
「だから、ダメですってば! 御坂さん怒りますよ、絶対に!」
「邪魔するな初春!」
「あぁぁ!」
「おいテメェ。誰のお兄様に手ぇ出しとるんじゃ?」
「あれ? 御坂君といつも一緒にいる、白井……君でいいのかな?」
「黒子! お前、どうしてここに……」
黒子は素晴らしいまでの笑みを浮かべ、美琴に言う。
「お兄様は黙っていて下さいな」
そして、くるりと優雅に回って、上条を睨み付ける。
「テメェにお兄様は渡さねぇ」
「あはは……そんなこと言われてもなぁ」
「あれ? 御坂君といつも一緒にいる、白井……君でいいのかな?」
「黒子! お前、どうしてここに……」
黒子は素晴らしいまでの笑みを浮かべ、美琴に言う。
「お兄様は黙っていて下さいな」
そして、くるりと優雅に回って、上条を睨み付ける。
「テメェにお兄様は渡さねぇ」
「あはは……そんなこと言われてもなぁ」