「テメェにお兄様は渡さねぇ」
「あはは……そんなこと言われてもなぁ」
「あはは……そんなこと言われてもなぁ」
一人の男で争う二人の女(厳密には男と女だが、どうみても女に見える)と言う構図は傍目から見れば修羅場である。
「何あれ?」「修羅場?」「あーやっちゃたのか。あの男の子」「あれ……? あれ御坂美琴じゃね?」「お、言われてみれば」
「Lv5でも女には勝てないじゃんよー」「何達観してンだてめェ?」「まぁまぁ」
「Lv5でも女には勝てないじゃんよー」「何達観してンだてめェ?」「まぁまぁ」
「ハァハァ……御坂さん。ごめん……なさい。止められませんでした」
何処からか息を切らせながら初春が走ってきた(プールサイドは走っちゃダメだよ!)。
「初春? お前も来てたのか」
「ええ。黒子さんに連れられて……ってあれ? 御坂さん。怒ってます?」
「気のせいじゃないかな」
何処からか息を切らせながら初春が走ってきた(プールサイドは走っちゃダメだよ!)。
「初春? お前も来てたのか」
「ええ。黒子さんに連れられて……ってあれ? 御坂さん。怒ってます?」
「気のせいじゃないかな」
「エェ? テメェよォ。さっきから見てれば、お兄様にベタベタくっつきやがって。羨ま……じゃない、調子こきやがって」
「そんなこと言われてもなぁ」
まるでヤンキーの様にメンチを切る黒子と、手慣れた様子で受け流す上条。それを見ている美琴と初春。
「それにあんまりくっついてない気がするよ?」
「んだと、糞このアマ! やっ「黒子。ちょっと」……なんですかお兄様。私今忙しいのですけれど」
「良いから来いよ」
美琴の顔は笑っていたが、その声には怒りが篭められていた。
「え? あ、はい」
流石にヤバイと思ったのか黒子は美琴について行き物陰に消える。
「そんなこと言われてもなぁ」
まるでヤンキーの様にメンチを切る黒子と、手慣れた様子で受け流す上条。それを見ている美琴と初春。
「それにあんまりくっついてない気がするよ?」
「んだと、糞このアマ! やっ「黒子。ちょっと」……なんですかお兄様。私今忙しいのですけれど」
「良いから来いよ」
美琴の顔は笑っていたが、その声には怒りが篭められていた。
「え? あ、はい」
流石にヤバイと思ったのか黒子は美琴について行き物陰に消える。
ダン!と壁に拳を打ち付ける音が響く。
顔面すれすれの位置を通った拳に黒子は腰を抜かして座り込んでしまう。
「ねぇ、黒子? 俺がさ、今日の為にどれだけ努力したかわかるよな?」
上から覗き込むような形で美琴は問う。
「そ、それは……でも!」
顔を反らす黒子に美琴は近づき耳元で囁く。
「わかるよな? お前なら、わかってくれるって俺は知ってる。だから、邪魔しないで欲しい。いいかな?」
バチバチと電気を纏いながら言う美琴に、黒子はただただ頷くだけ。
「そっか。ありがとう。あとさ、謝っとこうな?」
顔面すれすれの位置を通った拳に黒子は腰を抜かして座り込んでしまう。
「ねぇ、黒子? 俺がさ、今日の為にどれだけ努力したかわかるよな?」
上から覗き込むような形で美琴は問う。
「そ、それは……でも!」
顔を反らす黒子に美琴は近づき耳元で囁く。
「わかるよな? お前なら、わかってくれるって俺は知ってる。だから、邪魔しないで欲しい。いいかな?」
バチバチと電気を纏いながら言う美琴に、黒子はただただ頷くだけ。
「そっか。ありがとう。あとさ、謝っとこうな?」
「ごめん。黒子が迷惑掛けたみたいで。ほら」
「ご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした……」
「いいよ別に。それにあの位慣れてるし。あ、そうだ! 一緒に泳がない?」
ええ、と応えようとした瞬間、バチと何かの音がして黒子は飛び上がる。
「あ、あの私用事を思い出しましたの! で、では失礼します!」
黒子はかなり慌てた様子で更衣室の方へと走っていった。
「あ、黒子さん! ……僕はどうしようかな。勿体ないしとりあえず泳ごうかな。あ、二人の邪魔はしませんから。(だって御坂さんの目つき怖いし)それじゃ!」
そう言って初春も何処かへ消える。と言っても同じ施設内には居るので、偶然会うこともあるだろう。
それは兎も角として、再び二人っきりである。
「さ、泳ご? まだまだ泳ぎ足りないし。まだアトラクションも全部遊んでないし」
上条は美琴の手を取り、アトラクションエリアの方を指さす。
「あ、うん」
上条に手を握られた事もあってか、美琴の中の怒りはいつの間にか消えていた。
「ご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした……」
「いいよ別に。それにあの位慣れてるし。あ、そうだ! 一緒に泳がない?」
ええ、と応えようとした瞬間、バチと何かの音がして黒子は飛び上がる。
「あ、あの私用事を思い出しましたの! で、では失礼します!」
黒子はかなり慌てた様子で更衣室の方へと走っていった。
「あ、黒子さん! ……僕はどうしようかな。勿体ないしとりあえず泳ごうかな。あ、二人の邪魔はしませんから。(だって御坂さんの目つき怖いし)それじゃ!」
そう言って初春も何処かへ消える。と言っても同じ施設内には居るので、偶然会うこともあるだろう。
それは兎も角として、再び二人っきりである。
「さ、泳ご? まだまだ泳ぎ足りないし。まだアトラクションも全部遊んでないし」
上条は美琴の手を取り、アトラクションエリアの方を指さす。
「あ、うん」
上条に手を握られた事もあってか、美琴の中の怒りはいつの間にか消えていた。
黄昏時の帰り道。
「ん~、泳いだ泳いだ」
全アトラクション制覇の後も1km弱泳ぐという、一体何処から出てくるのか理解しがたい体力をした彼女は漸く満足した様子だ。と、言ってもまだまだ体力はあるようだが。
そして、対する美琴はかなりグッタリとしている。まぁ仕方ないだろう。
「楽しかったねー」
「……うん」
美琴は俯いたままで、何かを考えているのか生返事だ。
「どうしたの? なんか暗いぞ」
コツン、と拳骨でおでこを突かれる。
「痛っ……ふー。よしっ! ちょっと、言いたいことがある。とても重要な事が」
「?」
上条はなんだかよくわからないと云った様子で、美琴を見る。
美琴は何度か深呼吸して顔を上げ、上条を正面から見据える。
「俺は……俺はお前のことがす」
そこまで言って唇を指で押さえられた。
「それ以上は、言ったらダメだよ。言われたら上条さんは、困ってしまいます」
笑いながら言うその言葉には、何処か哀しみが含まれていた。
「それじゃ、また今度会おうね。バイバイ」
そう言って、上条はさっさと寮に向かって走り去る。まるで、逃げるかのように。
「逃げるなんて、卑怯だ……。くそっ」
美琴の中で、行き場を失った感情が渦巻いていた。
「ん~、泳いだ泳いだ」
全アトラクション制覇の後も1km弱泳ぐという、一体何処から出てくるのか理解しがたい体力をした彼女は漸く満足した様子だ。と、言ってもまだまだ体力はあるようだが。
そして、対する美琴はかなりグッタリとしている。まぁ仕方ないだろう。
「楽しかったねー」
「……うん」
美琴は俯いたままで、何かを考えているのか生返事だ。
「どうしたの? なんか暗いぞ」
コツン、と拳骨でおでこを突かれる。
「痛っ……ふー。よしっ! ちょっと、言いたいことがある。とても重要な事が」
「?」
上条はなんだかよくわからないと云った様子で、美琴を見る。
美琴は何度か深呼吸して顔を上げ、上条を正面から見据える。
「俺は……俺はお前のことがす」
そこまで言って唇を指で押さえられた。
「それ以上は、言ったらダメだよ。言われたら上条さんは、困ってしまいます」
笑いながら言うその言葉には、何処か哀しみが含まれていた。
「それじゃ、また今度会おうね。バイバイ」
そう言って、上条はさっさと寮に向かって走り去る。まるで、逃げるかのように。
「逃げるなんて、卑怯だ……。くそっ」
美琴の中で、行き場を失った感情が渦巻いていた。