(3-3)
絶好のチャンスを御坂姉妹に横取りされた姫神秋沙は突然のことに言葉を失っていた。
絶好のチャンスを御坂姉妹に横取りされた姫神秋沙は突然のことに言葉を失っていた。
「…………はっ!しまった。先を越された。…………でも次は私の番。…………ふふっ」
残念そうな顔をしたのも束の間、不穏な笑みを残して姫神秋沙も控え室のドアを閉じた。
一方、御坂達の控え室に連れ込まれた上条は部屋の中央にある丸イスに座らされていた。
目の前では丸イスに座った御坂美琴が背後の机に左肘をつきつつ上条を見据えているし、
背後では御坂妹が壁際に立って上条を見下ろしている。三人が身に着けている着ぐるみの
せいで少し間の抜けた空気が室内には漂うものの御坂美琴と御坂妹から発せられる妙なプ
レッシャーに上条は内心ビクついていた。
目の前では丸イスに座った御坂美琴が背後の机に左肘をつきつつ上条を見据えているし、
背後では御坂妹が壁際に立って上条を見下ろしている。三人が身に着けている着ぐるみの
せいで少し間の抜けた空気が室内には漂うものの御坂美琴と御坂妹から発せられる妙なプ
レッシャーに上条は内心ビクついていた。
(いったい上条さんはこれから何をされるのでしょう?)
「脱ぎなさい!」
「え”っ?何を仰っているのですか?御坂さん」
「なに赤くなってんのよ。私はそのライオンの着ぐるみを脱ぎなさいって言ってんの」
「あっ、そうか?」
「変な想像してんのよ。こんの馬鹿!」
「アハッ、アハハハ、そうだよな」
「脱ぎなさい!」
「え”っ?何を仰っているのですか?御坂さん」
「なに赤くなってんのよ。私はそのライオンの着ぐるみを脱ぎなさいって言ってんの」
「あっ、そうか?」
「変な想像してんのよ。こんの馬鹿!」
「アハッ、アハハハ、そうだよな」
上条がバツが悪そうに頭を掻くと着ぐるみのファスナーを下ろして着ぐるみの上半身を腰
の位置まで下ろした。1ステージを終えてかいた汗と御坂美琴に流し込まれたジュースの
せいでTシャツはずぶ濡れだった。それなのに汗は少しも止まる気配はなく思わず愚痴が
こぼれ落ちる。
の位置まで下ろした。1ステージを終えてかいた汗と御坂美琴に流し込まれたジュースの
せいでTシャツはずぶ濡れだった。それなのに汗は少しも止まる気配はなく思わず愚痴が
こぼれ落ちる。
「ふいーっ、あっちぃぃーっ」
気付くと御坂美琴も着ぐるみの上半身を腰まで降ろしていた。
首にタオルを引っ掛けたTシャツ姿の御坂美琴はテーブルの上にあった水筒を手に取ると
左手に持ったカップにスポーツドリンクをトクトクと注いでいた。
首にタオルを引っ掛けたTシャツ姿の御坂美琴はテーブルの上にあった水筒を手に取ると
左手に持ったカップにスポーツドリンクをトクトクと注いでいた。
(本当なら今頃クーラーの効いた姫神の控え室で麦茶を飲んでたはずなのに…………
なんで他人が美味そうにスポーツドリンクを飲むのを見てなきゃなんねえんだ。
なんたる不幸)
なんで他人が美味そうにスポーツドリンクを飲むのを見てなきゃなんねえんだ。
なんたる不幸)
上条が頭の中でブツブツ文句を言っていると上条の目の前にそのカップが差し出された。
「はい」
「えっーと、御坂。これは何かな?」
「カップに入った美琴さん特製スポーツドリンクよ。見て判んない?」
「それは判るんだけど、渡されたこれを俺は一体どうすれば…………」
「えっーと、御坂。これは何かな?」
「カップに入った美琴さん特製スポーツドリンクよ。見て判んない?」
「それは判るんだけど、渡されたこれを俺は一体どうすれば…………」
「アンタにあげる。ノド乾いてるんでしょ」
「えっ?俺が飲んで良いの?」
「なに、意外そうな顔してんのよ。たまたま今日は水筒いっぱいに作っちゃったのよ。
一人じゃ飲みきれないからカップ一杯ぐらいならアンタに恵んであげるわ。
優しい美琴さんに感謝しなさい」
「ホントに良いんだな!後で返せって言っても無理だからな」
「馬鹿言ってないでさっさと飲みなさい!」
「じゃあ遠慮無く。ゴクゴクッ…………プッファーッ、美味い!生き返るぜ」
「えっ?俺が飲んで良いの?」
「なに、意外そうな顔してんのよ。たまたま今日は水筒いっぱいに作っちゃったのよ。
一人じゃ飲みきれないからカップ一杯ぐらいならアンタに恵んであげるわ。
優しい美琴さんに感謝しなさい」
「ホントに良いんだな!後で返せって言っても無理だからな」
「馬鹿言ってないでさっさと飲みなさい!」
「じゃあ遠慮無く。ゴクゴクッ…………プッファーッ、美味い!生き返るぜ」
「そっ、そう?じゃあもう一杯飲んでみる?」
「えっ、いいの?ホントに?」
「あんなに美味しそうに飲んでくれたんだから、もう一杯ぐらいなら良いわよ」
「えっ、いいの?ホントに?」
「あんなに美味しそうに飲んでくれたんだから、もう一杯ぐらいなら良いわよ」
そう言って御坂美琴がカップに注いでくれたスポーツドリンクを上条は一気に飲み干した。
「ゴクゴクッ…………やっぱり美味い!これならいくらでも飲めるぜ!」
「そんなに美味しい?じゃあもっと飲んで良いわよ!」
「いいのか?そんなことしたら御坂が飲む分がなくなっちゃうだろ!」
「気にしなくていいわよ。私ならいつも飲んでるし。
それに今そんなにノド乾いていないからアンタが全部飲んだっていいわよ」
「そんなに美味しい?じゃあもっと飲んで良いわよ!」
「いいのか?そんなことしたら御坂が飲む分がなくなっちゃうだろ!」
「気にしなくていいわよ。私ならいつも飲んでるし。
それに今そんなにノド乾いていないからアンタが全部飲んだっていいわよ」
額に汗を滲ませている御坂美琴が顔を真っ赤にしてそんなことを言っても説得力はない。
しかし今が上条のポイントを稼ぐ絶好のチャンスとみた御坂美琴は多少の不自然さはこの
際押しの一手でなし崩しにするつもりだった。
それにこの特製スポーツドリンクも本当はこの日のために土御門舞夏に頼み込んで作り方
を教えて貰ったものだったし、昨夜遅く黒子が寝入ったの見計らってこっそりベッドを抜
け出して準備した苦労の一品であった。
その甲斐あって上条が絶賛してくれたのだからこうして何回もカップにスポーツドリンク
を注ぐことができるのが楽しくて仕方がない。自然とその頬も弛んでしまう。
しかし今が上条のポイントを稼ぐ絶好のチャンスとみた御坂美琴は多少の不自然さはこの
際押しの一手でなし崩しにするつもりだった。
それにこの特製スポーツドリンクも本当はこの日のために土御門舞夏に頼み込んで作り方
を教えて貰ったものだったし、昨夜遅く黒子が寝入ったの見計らってこっそりベッドを抜
け出して準備した苦労の一品であった。
その甲斐あって上条が絶賛してくれたのだからこうして何回もカップにスポーツドリンク
を注ぐことができるのが楽しくて仕方がない。自然とその頬も弛んでしまう。
「いや、そういう訳にはいかない。作ったお前に言うのも変だけど滅茶苦茶美味いぞ!
そうだ、今度俺にもこいつの作り方を教えてくれよ」
「えっ!?…………いっ、いいわよ。教えてあげる!
でもさすがに常盤台の学生寮でって訳にはいかないから私がアンタの下宿に行って教え
てあげる。じゃあアンタの下宿の住所を教えてよ」
「ああ、良いとも。俺の下宿は第7学区………………」
「ふんふん。………………のとある学生寮の7階ね」
そうだ、今度俺にもこいつの作り方を教えてくれよ」
「えっ!?…………いっ、いいわよ。教えてあげる!
でもさすがに常盤台の学生寮でって訳にはいかないから私がアンタの下宿に行って教え
てあげる。じゃあアンタの下宿の住所を教えてよ」
「ああ、良いとも。俺の下宿は第7学区………………」
「ふんふん。………………のとある学生寮の7階ね」
(3-4)
御坂美琴は携帯端末を取り出し上条の住所を登録し始めたがその手は震えていた。
平静を装っていたが心臓は8ビートを打ち鳴らし頭の中では天使達が舞い踊っていた。
ようやく上条の自宅住所をゲットできたのだ。
これからは上条に会いたくなれば放課後に繁華街を歩き回って上条の姿を探す必要はない。
上条の下宿前で偶然を装って待ち伏せすれば良いのだ。
その上スポーツドリンクのおかげで上条家に上がり込む正当な口実まで手に入った。
御坂美琴は携帯端末を取り出し上条の住所を登録し始めたがその手は震えていた。
平静を装っていたが心臓は8ビートを打ち鳴らし頭の中では天使達が舞い踊っていた。
ようやく上条の自宅住所をゲットできたのだ。
これからは上条に会いたくなれば放課後に繁華街を歩き回って上条の姿を探す必要はない。
上条の下宿前で偶然を装って待ち伏せすれば良いのだ。
その上スポーツドリンクのおかげで上条家に上がり込む正当な口実まで手に入った。
(こっ、ここにコイツは住んでいるのね。
ありがとう!舞夏。アンタが友達で本当に良かったと生まれて初めて思ったわ。
ありがとう!舞夏。アンタが友達で本当に良かったと生まれて初めて思ったわ。
アンタのおかげでコイツの下宿に行く大義名分が手に入ったし。
だけどその時ってどんな格好で行けば良いのかしら?
たまには私服なんてのも良いかな?
そしたら『私服の美琴も可愛いな』とか思ってくれるかな、えへっ、えへへっ。
だけどその時ってどんな格好で行けば良いのかしら?
たまには私服なんてのも良いかな?
そしたら『私服の美琴も可愛いな』とか思ってくれるかな、えへっ、えへへっ。
でっ、でもそれなら私服のスカートの下まで短パンっていうはおかしいわよね。
そうよね。もしもってことがあるから………………ってもしもっていうのは万一転んで
スカートがめくれちゃったりした時に短パンだったら笑われるかなってだけの話で……
…………って誰に言い訳してんだろ?私。
そうよね。もしもってことがあるから………………ってもしもっていうのは万一転んで
スカートがめくれちゃったりした時に短パンだったら笑われるかなってだけの話で……
…………って誰に言い訳してんだろ?私。
一体どんな格好(下着)だったら笑われないかな?
お気に入りのUSAちゃん柄やカエル柄っていうのは子供っぽいわよね?やっぱり。
でも大人っぽい下着なんて持ってないし、どんなのが良いかも分かんないし……
頼りになるのは黒子なんだけど…………ダメ!黒子に知られるのだけは絶対にダメ!
となると残るのは佐天さんと初春さん…………はぁっ、やっぱり自分で行くしかないか。
よしっ!黒子と行ったランジェリーショップへ今度一人で行ってみよう!
覚悟して待ってなさい。にへへへっ」
お気に入りのUSAちゃん柄やカエル柄っていうのは子供っぽいわよね?やっぱり。
でも大人っぽい下着なんて持ってないし、どんなのが良いかも分かんないし……
頼りになるのは黒子なんだけど…………ダメ!黒子に知られるのだけは絶対にダメ!
となると残るのは佐天さんと初春さん…………はぁっ、やっぱり自分で行くしかないか。
よしっ!黒子と行ったランジェリーショップへ今度一人で行ってみよう!
覚悟して待ってなさい。にへへへっ」
現在、御坂美琴は心ここにあらず妄想の彼方へトリップ中である。
そんなこと分かるはずもない上条は携帯端末に住所登録していたハズの御坂美琴が画面を
見つめたまま彫像のように全く動かなくなったことに気付いて「どうした御坂?」と声を
掛けようとした。
しかしその直前御坂美琴の口元がニヤリと緩むと「にへへへっ」と不気味に笑いだしたも
のだから一瞬躊躇してしまった。話しかけるタイミングを完全に外された上条は御坂美琴
がこちらの世界に帰ってくるをただ待つしかなかった。
そんな上条に背後から御坂妹が声を掛けてきた。
そんなこと分かるはずもない上条は携帯端末に住所登録していたハズの御坂美琴が画面を
見つめたまま彫像のように全く動かなくなったことに気付いて「どうした御坂?」と声を
掛けようとした。
しかしその直前御坂美琴の口元がニヤリと緩むと「にへへへっ」と不気味に笑いだしたも
のだから一瞬躊躇してしまった。話しかけるタイミングを完全に外された上条は御坂美琴
がこちらの世界に帰ってくるをただ待つしかなかった。
そんな上条に背後から御坂妹が声を掛けてきた。
「ではミサカが当麻さんの背中の汗を拭いて差し上げます、とミサカはおもむろに当麻さ
んのTシャツと背中の間にタオルを突っ込んで背中をフキフキしてみます。」
「うひゃひゃっ、くすぐったい!御坂妹。自分でやるからタオルを渡してくれ」
「そうですか?とミサカは残念そうな顔で当麻さんにタオルを渡します。
では当麻さんの着替えのTシャツはここに置いておきますね」
んのTシャツと背中の間にタオルを突っ込んで背中をフキフキしてみます。」
「うひゃひゃっ、くすぐったい!御坂妹。自分でやるからタオルを渡してくれ」
「そうですか?とミサカは残念そうな顔で当麻さんにタオルを渡します。
では当麻さんの着替えのTシャツはここに置いておきますね」
「サンキュー…………って、ときに御坂妹!」
「何でしょう?とミサカは当麻さんの問い掛けに間髪入れずに返事をします」
「確か俺の着替えは電子鍵をかけた俺の控え室に置いといたハズなんだが…………」
「ミサカの前ではあんな電子鍵なんて無いのと同じですよ、とミサカは胸を張って答えます」
「何でしょう?とミサカは当麻さんの問い掛けに間髪入れずに返事をします」
「確か俺の着替えは電子鍵をかけた俺の控え室に置いといたハズなんだが…………」
「ミサカの前ではあんな電子鍵なんて無いのと同じですよ、とミサカは胸を張って答えます」
「そんなこと言ってるんじゃなくて…………」
「心配要りません。ミサカが手にしたのはこのTシャツだけです、とミサカは当麻さんの
心配が杞憂であることを前もって宣言します。ミサカは決してバックの中にあった当麻
さんの青いトランクスを取り出したとか、それをじっくり観察したとか、ホッペで感触
を確認したとか、ましてや頭に被ったりとかした訳ではありませんとミサカの潔白を念
には念を入れて力説します」
「心配要りません。ミサカが手にしたのはこのTシャツだけです、とミサカは当麻さんの
心配が杞憂であることを前もって宣言します。ミサカは決してバックの中にあった当麻
さんの青いトランクスを取り出したとか、それをじっくり観察したとか、ホッペで感触
を確認したとか、ましてや頭に被ったりとかした訳ではありませんとミサカの潔白を念
には念を入れて力説します」
「あのなぁーっ」
「なんでしょう?」
「…………もういい」
「そうですか。では最後に、いくら男性の衣服の洗濯とはいえ柔軟剤を入れた方が下着は
ゴワゴワせずに済みますよ、とミサカは少しヒリヒリする頬をさすりながら当麻さんに
柔軟剤の使用を強くお薦めしてみます」
「…………」
「なんでしょう?」
「…………もういい」
「そうですか。では最後に、いくら男性の衣服の洗濯とはいえ柔軟剤を入れた方が下着は
ゴワゴワせずに済みますよ、とミサカは少しヒリヒリする頬をさすりながら当麻さんに
柔軟剤の使用を強くお薦めしてみます」
「…………」
それ以上御坂妹につっこむのが怖くなった上条は右手に持っていたカップを机に置き、渡
されたタオルを頭に乗せると両手でガシガシと汗を拭きはじめた。
次に濡れたTシャツを脱いで身体の汗を拭うと新しいTシャツに袖を通した。
この時、上条はたとえ上半身だけとはいえ自分の裸を晒しているのが思春期の女子中学生
の前であることに全く気付いていなかった。
されたタオルを頭に乗せると両手でガシガシと汗を拭きはじめた。
次に濡れたTシャツを脱いで身体の汗を拭うと新しいTシャツに袖を通した。
この時、上条はたとえ上半身だけとはいえ自分の裸を晒しているのが思春期の女子中学生
の前であることに全く気付いていなかった。
(3-5)
妄想トリップからようやく帰還した御坂美琴が携帯端末から視線をあげると最初に目に飛
び込んできたものは上半身の裸を晒した上条当麻だった。
妄想トリップからようやく帰還した御坂美琴が携帯端末から視線をあげると最初に目に飛
び込んできたものは上半身の裸を晒した上条当麻だった。
(きゃっ!なんでレディーの前で裸を晒してんのよ。コイツ!
ビックリしたじゃない。………………でも、
服の上からじゃ気付かなかったけど意外と筋肉質なのね。胸板も結構厚いし。
やっぱり人前でも堂々と着替えができるのは身体に自信があるからなのね。
ハーァ、私だったら絶対無理!あーあ。なんで私の胸ってこんなに小さいのよ。
もう少し大きい胸だったらコイツに見られても恥ずかしくないのに…………って何バカ
なこと考えてんのよ!私は)
ビックリしたじゃない。………………でも、
服の上からじゃ気付かなかったけど意外と筋肉質なのね。胸板も結構厚いし。
やっぱり人前でも堂々と着替えができるのは身体に自信があるからなのね。
ハーァ、私だったら絶対無理!あーあ。なんで私の胸ってこんなに小さいのよ。
もう少し大きい胸だったらコイツに見られても恥ずかしくないのに…………って何バカ
なこと考えてんのよ!私は)
あらぬ方向に妄想が脱線しかけた御坂美琴は瞬く間に顔を赤くしていった。
本日なぜか御坂美琴の思考は暴走気味だった。
本日なぜか御坂美琴の思考は暴走気味だった。
「おっ、ようやく還ってきたか?」
「えっ、何の話?」
「いや、携帯端末を睨んだまま身動き一つしないし、時々「にへへっ」と笑ったかと思う
と顔を赤くさせるし、どこかの空想世界にでもトリップしてんじゃないかと思ってさ」
「馬鹿言ってんじゃないの。この部屋が暑いからに決まってるでしょ!
ほらアンタだってまだ汗かいているじゃない!」
「えっ、何の話?」
「いや、携帯端末を睨んだまま身動き一つしないし、時々「にへへっ」と笑ったかと思う
と顔を赤くさせるし、どこかの空想世界にでもトリップしてんじゃないかと思ってさ」
「馬鹿言ってんじゃないの。この部屋が暑いからに決まってるでしょ!
ほらアンタだってまだ汗かいているじゃない!」
御坂美琴は妄想に浸っていたことを誤魔化そうと首に掛けていた自分のタオルを外して立
ち上がると上条の額の汗をゴシゴシと拭きはじめた。
ち上がると上条の額の汗をゴシゴシと拭きはじめた。
「冗談だよ、御坂。サンキューな!」と言いかけて今度は上条が固まってしまった。
今、上条の顔前には立ち上がった御坂美琴のTシャツがある。
首にタオルを掛けていた時は気付かなかったが、御坂美琴の汗を含んだTシャツはその下
の薄いピンクのスポーツブラを透かして見せていた。しかも素肌に貼り付いたTシャツは
そのブラに包まれた慎ましやかな双丘の輪郭をくっきりと浮かび上がらせている。
そして上条はその二つの膨らみの頂きでブラとTシャツを下から押し上げる小さな二つの蕾に気付いてしまった。とたんに上条の心臓は激しく鼓動しはじめ心臓から送り出される
熱い血潮は上条の顔を瞬く間に紅潮させていった。
首にタオルを掛けていた時は気付かなかったが、御坂美琴の汗を含んだTシャツはその下
の薄いピンクのスポーツブラを透かして見せていた。しかも素肌に貼り付いたTシャツは
そのブラに包まれた慎ましやかな双丘の輪郭をくっきりと浮かび上がらせている。
そして上条はその二つの膨らみの頂きでブラとTシャツを下から押し上げる小さな二つの蕾に気付いてしまった。とたんに上条の心臓は激しく鼓動しはじめ心臓から送り出される
熱い血潮は上条の顔を瞬く間に紅潮させていった。
「ん?どうしたのよ?アンタこそ顔が赤いわよ。ひょっとして熱中症?」
「ピ、ピンク……」
「ピンク???何それ」
「いや、なんでも……」
「???変なの」
「ピ、ピンク……」
「ピンク???何それ」
「いや、なんでも……」
「???変なの」
怪訝そうに上条の汗を拭きながら、ふと御坂美琴は上条が言ったピンクの意味に気付いた。
その瞬間、御坂美琴は慌てて背を丸めると引き戻した両手で自分の胸を隠すように両手を
クロスさせた。
背を丸めた状態でうずくまり上条を見上げる御坂美琴の顔は少し涙目であった。
その瞬間、御坂美琴は慌てて背を丸めると引き戻した両手で自分の胸を隠すように両手を
クロスさせた。
背を丸めた状態でうずくまり上条を見上げる御坂美琴の顔は少し涙目であった。
「みっ、見た?」
「えっ、えーっと…………」
「………………………………」
「そのーっ、ゴメン!」
「………………………………いわよ!」
「な、なに?」
「怒んないわよ!こんなことぐらいで(私だってアンタの着替えを見ちゃったんだし)
不可抗力なんでしょ!」
「えっ、えーっと…………」
「………………………………」
「そのーっ、ゴメン!」
「………………………………いわよ!」
「な、なに?」
「怒んないわよ!こんなことぐらいで(私だってアンタの着替えを見ちゃったんだし)
不可抗力なんでしょ!」
「そりゃ、そうなんだけどさ。やっぱりゴメン!」
「だからっていつまでこっち見てんのよ。早くあっちを向きなさい」
「わっ!ホントにゴメン」
「だからっていつまでこっち見てんのよ。早くあっちを向きなさい」
「わっ!ホントにゴメン」
上条が後を向いたのを確認すると御坂美琴はようやく上体を起こし自分の胸元に視線を落とす。
(うわーっ、汗でスケスケじゃないこのTシャツ…………って、え”っ!!)
その時はじめて御坂美琴は自分の胸の先端がTシャツを押し上げてその存在を主張してい
ることに気付いた。
ることに気付いた。
(なっ、なんで今日に限ってニプレスを着けてないのよ。私。
まさかこれもアイツに見られちゃったわけ?
ひょっとしてエッチな娘(こ)だと思われた?わぁぁーん、どうしよーっ)
まさかこれもアイツに見られちゃったわけ?
ひょっとしてエッチな娘(こ)だと思われた?わぁぁーん、どうしよーっ)
御坂美琴は目に涙を浮かべつつ急いで濡れたTシャツを脱ぎタオルで徹底的に身体の汗を
拭き取ると乾いたTシャツを着込み何度もブラが透けて見えないことを確認した上でさら
に念を入れて胸元を隠すようにタオルを首から掛けるとようやく一安心した。
そして大きく深呼吸してから上条に声を掛けた。
拭き取ると乾いたTシャツを着込み何度もブラが透けて見えないことを確認した上でさら
に念を入れて胸元を隠すようにタオルを首から掛けるとようやく一安心した。
そして大きく深呼吸してから上条に声を掛けた。
「もう良いわよ。こっちを向いても」
「いいのか?じゃあそっち向くぞ!」
「いいのか?じゃあそっち向くぞ!」
振り返った上条と御坂美琴が目を合わせるとどちらも顔を赤らめ照れくさそうにアハハッ
と笑い出した。
上条も御坂美琴も気付かなかったが二人の様子をじっと見つめる御坂妹は少し不機嫌そう
に眉間にしわを寄せていた。
と笑い出した。
上条も御坂美琴も気付かなかったが二人の様子をじっと見つめる御坂妹は少し不機嫌そう
に眉間にしわを寄せていた。
(コードレッド・グレードαの緊急事態発生!発信者ミサカ10032号は本緊急事態に
対して第23017回全ミサカ評議会の即時開催を要求します)
対して第23017回全ミサカ評議会の即時開催を要求します)
ミサカネットワークに発信された御坂妹の呼びかけは瞬時に世界中に散らばる妹達(シス
ターズ)の間を駆け巡った。
ターズ)の間を駆け巡った。