(5.)
結局何もすることがなくなった上条は仕方なくインデックスとTVを見ていた。
しばらくすると台所から漂ってくる香りが上条の鼻腔をくすぐり始めた。
TVに釘付けのインデックスですら香りが気になるのか時々鼻をヒクヒク動かしている。
結局何もすることがなくなった上条は仕方なくインデックスとTVを見ていた。
しばらくすると台所から漂ってくる香りが上条の鼻腔をくすぐり始めた。
TVに釘付けのインデックスですら香りが気になるのか時々鼻をヒクヒク動かしている。
そうしている内に姫神秋沙と吹寄制理ができあがった料理をトレイにのせて運んで来た。
テーブルから溢れんばかりに並べられていく料理に上条は再び感動の涙を流してしまった。
だから、つまみ食いしようとしたインデックスの手を上条はペシッと叩いた。
テーブルから溢れんばかりに並べられていく料理に上条は再び感動の涙を流してしまった。
だから、つまみ食いしようとしたインデックスの手を上条はペシッと叩いた。
「こら!インデックス。行儀良く待ちなさい」
「むーっ、味見してあげようと思っただけなのにーっ」
「どんぶり片手にかっ喰らうことを世間では味見とは言いません!」
「もーっ、お腹空いた、お腹空いたよーっ!」
「むーっ、味見してあげようと思っただけなのにーっ」
「どんぶり片手にかっ喰らうことを世間では味見とは言いません!」
「もーっ、お腹空いた、お腹空いたよーっ!」
上条が暴食シスターを押さえている間に料理を並べ終えた姫神秋沙と吹寄制理が上条の右と左に腰を下ろした。
4人揃ったところで上条がいただきますと手を合わせると、左右から同時に声を掛けられた。
4人揃ったところで上条がいただきますと手を合わせると、左右から同時に声を掛けられた。
「はい。上条君」
「ほら、上条当麻」
「ほら、上条当麻」
姫神秋沙が箸でつまんだ鶏肉と吹寄制理がスプーンにすくったパンプキンスープが同時に上条に差し出されていた。
その瞬間、今まで和やかだったリビングの空気がピーーンと張りつめた。
上条を見つめる二人の美少女は一見微笑んでいるようだが、目は笑っていない。
その瞬間、今まで和やかだったリビングの空気がピーーンと張りつめた。
上条を見つめる二人の美少女は一見微笑んでいるようだが、目は笑っていない。
(えっ?なに、この状況?
今から楽しい夕飯じゃないの?
この緊張感は何?
こいつら、俺が何から食べる始めるかで賭でもしているのか?
なんだか良くわからないけどこの状況は危険だ。
根拠はないけど、どっちから食べてもろくでもない結果が待っている気がする。
どっ、どうする?上条当麻)
今から楽しい夕飯じゃないの?
この緊張感は何?
こいつら、俺が何から食べる始めるかで賭でもしているのか?
なんだか良くわからないけどこの状況は危険だ。
根拠はないけど、どっちから食べてもろくでもない結果が待っている気がする。
どっ、どうする?上条当麻)
上条はヘビに睨まれたカエルのように固まってしまった。
しかも(だめだ。先に動いた方の負けだ)などと思考も完全に空回りしている。
この上条当麻の絶体絶命のピンチを救ったのは、意外なことにインデックスだった。
しかも(だめだ。先に動いた方の負けだ)などと思考も完全に空回りしている。
この上条当麻の絶体絶命のピンチを救ったのは、意外なことにインデックスだった。
「むーっ、とうまったら!私の前でイチャイチャして!もう、こうしてやるんだからーっ」
そういうなり姫神秋沙の箸を左手で吹寄制理のスプーンを右手で握ると鶏肉とスープを一気に口に放り込んでしまった。
「「あーーっ!」」
「(ナイスだぞ!インデックス)さあ、それじゃ俺も食べようかなっ!」
「(ナイスだぞ!インデックス)さあ、それじゃ俺も食べようかなっ!」
今日ばかりは暴食シスターに感謝しつつ最も無難な白ご飯に手をつけた上条当麻であった。
インデックスも二人の料理が気に入ったらしくものすごい勢いで食べ始めた。
姫神秋沙と吹寄制理は二人揃って大きなため息をついたものの、視線が合わさるとどちらからとはなくクスクスと笑いだした。
インデックスも二人の料理が気に入ったらしくものすごい勢いで食べ始めた。
姫神秋沙と吹寄制理は二人揃って大きなため息をついたものの、視線が合わさるとどちらからとはなくクスクスと笑いだした。
「それじゃ私達もいただきましょ」
「そうね」
「「いただきます」」
「そうね」
「「いただきます」」
上条にとって4人でたわいもない話をしながら食べる夕食はとても美味しいものだった。
上条は並べられた料理を全て平らげ、インデックスに至っては3度もおかわりをした程だ。
食事が終わって食器を片付け始めたその時、グラッと床が揺れた。
突然の地震にちょうど立とうとしていた姫神秋沙は手を滑らしトレイに乗せていた大皿を落としてしまった。
上条は並べられた料理を全て平らげ、インデックスに至っては3度もおかわりをした程だ。
食事が終わって食器を片付け始めたその時、グラッと床が揺れた。
突然の地震にちょうど立とうとしていた姫神秋沙は手を滑らしトレイに乗せていた大皿を落としてしまった。
運悪く大皿が直撃する位地にインデックスがいたが、一瞬の出来事に誰も動けなかった。
大皿が当たると覚悟したインデックスは硬く目を閉じたがいくら経っても何も起こらない。
正確にいうと何も起こらなかった訳ではなかった。
インデックスが目を開けるとなぜか目の前に超機動少女カナミンが大皿を持って立っていた。
大皿が当たると覚悟したインデックスは硬く目を閉じたがいくら経っても何も起こらない。
正確にいうと何も起こらなかった訳ではなかった。
インデックスが目を開けるとなぜか目の前に超機動少女カナミンが大皿を持って立っていた。
(6.)
今上条家のリビングには5人の人物(?)がいる。
今上条家のリビングには5人の人物(?)がいる。
突然のカナミン出現に目をキラキラさせているインデックス。
予想外の出来事に目が点となり固まってしまった吹寄制理。
この状況をどう説明したら良いものかと頭を抱える上条当麻。
当事者でありながら全くなにも理解できていない姫神秋沙。
そして大皿を持ちニッコリ微笑んでいる超機動少女カナミン。
予想外の出来事に目が点となり固まってしまった吹寄制理。
この状況をどう説明したら良いものかと頭を抱える上条当麻。
当事者でありながら全くなにも理解できていない姫神秋沙。
そして大皿を持ちニッコリ微笑んでいる超機動少女カナミン。
「お、おぉーーっ!カナミンだ!カナミン……って
あれ?このカナミン……なんだか変……まるでテレズマの塊…………」
「あーっ、その、なんだ……これは……」
「え?上条当麻!貴様は何か知ってるの?」
あれ?このカナミン……なんだか変……まるでテレズマの塊…………」
「あーっ、その、なんだ……これは……」
「え?上条当麻!貴様は何か知ってるの?」
出現したカナミンの正体をインデックスが見抜いたため、もはや上条は沈黙を続ける訳にはいかなくなった。
「えーっと、姫神」
「え?」
「気をしっかり持つんだぞ」
「なっ、何?」
「これ(カナミン)がお前の『癒之御使(エンゼルフェザー)』だ」
「え?」
「気をしっかり持つんだぞ」
「なっ、何?」
「これ(カナミン)がお前の『癒之御使(エンゼルフェザー)』だ」
「え?「「え”ーーーー?」」 」
姫神の驚きはインデックスと吹寄制理の驚愕の声にかき消されてしまった。
「そうなの?カナミンの正体はあいさだったの?ホントに?」
「秋沙!ホントにこの子(カナミン)は秋沙の能力なの?ねえ、そうなの?」
「秋沙!ホントにこの子(カナミン)は秋沙の能力なの?ねえ、そうなの?」
未だ状況を飲み込めない所にインデックスと吹寄制理に詰め寄られ姫神秋沙はパニックに陥ってしまった。
「こっ、ここはどこ?私はだあれ?」
「おい、姫神。気をしっかり持つんだ!こっちの世界に戻って来い!」
「ふふっ、カナミン、ふふふっ、カナミン…………ふふふふふふふふ…………」
「ひっ、姫神?だっ、大丈夫か?」
「カナミンだなんて、…………よりにもよってカナミンだなんて。
こんな能力人前で使ったら。きっと私は『カナミンの中の人』とか呼ばれちゃう。
そしてもう誰も私を姫神秋沙って呼んでくれないの。ええ。きっとそう。
やっぱり。影の薄い女はいくらイメチェンしても影は薄いままなのね。
ふふふっ、ははっ、はははっ…………」
「おい、姫神。気をしっかり持つんだ!こっちの世界に戻って来い!」
「ふふっ、カナミン、ふふふっ、カナミン…………ふふふふふふふふ…………」
「ひっ、姫神?だっ、大丈夫か?」
「カナミンだなんて、…………よりにもよってカナミンだなんて。
こんな能力人前で使ったら。きっと私は『カナミンの中の人』とか呼ばれちゃう。
そしてもう誰も私を姫神秋沙って呼んでくれないの。ええ。きっとそう。
やっぱり。影の薄い女はいくらイメチェンしても影は薄いままなのね。
ふふふっ、ははっ、はははっ…………」
力無く乾いた笑い声を上げながら、姫神秋沙は座り込んでしまった。
するとカナミンの姿も徐々に薄くなり、消えると同時に持っていた大皿も落ちてしまった。
今回は反応できた上条が床に落ちる直前で大皿をキャッチした。
するとカナミンの姿も徐々に薄くなり、消えると同時に持っていた大皿も落ちてしまった。
今回は反応できた上条が床に落ちる直前で大皿をキャッチした。
姫神秋沙に声を掛けようと振り向くと、顔に縦線を貼り付けた姫神がドンヨリとした空気をまとわせていた。
予想通りの姫神秋沙の反応に上条は(あっちゃー)っと頭を抱えてしまった。
予想通りの姫神秋沙の反応に上条は(あっちゃー)っと頭を抱えてしまった。
「あの子(カナミン)消えちゃったわよ。どうなったの?」
「多分姫神はまだこの能力を巧くコントロールできないんだ」
「多分姫神はまだこの能力を巧くコントロールできないんだ」
上条は吹寄制理の問いかけに応えつつ姫神秋沙をどうなぐさめようかと思案していた。
そんな上条の苦悩も知らず、興奮気味のインデックスが尋ねてきた。
そんな上条の苦悩も知らず、興奮気味のインデックスが尋ねてきた。
「ねえ、ねえ、とうま。あのカナミンは何ができるの?教えて欲しいかも」
「あー、そうだな。まず弁当が作れる」
「え?」
「それにハンカチにアイロンだって掛けられる。どうだ、すごいだろ?」
「とうま、そんなことじゃなくて。シュプリームフレアは出せる?」
「それは無理だな」
「じゃあスプラッシュウイップは?サンダーボルトハリケーンは?
七色の魔法のどれならできるの?」
「残念だけど、あのカナミンは魔法が使えないんだ」
「え”ぇぇエエエエーー!」
「あー、そうだな。まず弁当が作れる」
「え?」
「それにハンカチにアイロンだって掛けられる。どうだ、すごいだろ?」
「とうま、そんなことじゃなくて。シュプリームフレアは出せる?」
「それは無理だな」
「じゃあスプラッシュウイップは?サンダーボルトハリケーンは?
七色の魔法のどれならできるの?」
「残念だけど、あのカナミンは魔法が使えないんだ」
「え”ぇぇエエエエーー!」
漫画であればインデックスの頭上には「がーーん!」という擬音が鎮座していただろう。
落胆したインデックスもまた姫神秋沙の横にヘナヘナと座り込んでしまった。
落胆したインデックスもまた姫神秋沙の横にヘナヘナと座り込んでしまった。
「カナミンなのに、せっかくカナミンに会えたのに……
そのカナミンは魔法を使えないだなんて…………フフッ、フフフッ」
「おっ、おまえもか?インデックス。おい、気を確かに持つんだ。
インデックス…………あのー、インデックスさん?……もしもーし」
「…………アハッ、アハハハハ、そうだ、そうなんだよ」
そのカナミンは魔法を使えないだなんて…………フフッ、フフフッ」
「おっ、おまえもか?インデックス。おい、気を確かに持つんだ。
インデックス…………あのー、インデックスさん?……もしもーし」
「…………アハッ、アハハハハ、そうだ、そうなんだよ」
突然笑い出したインデックスはガバッと顔を上げて姫神の手を強く握りしめた。
「あいさ。カナミンは私がどうにかしてあげる」
「え?どうにかって?」
「ここはどーんと私にまかせて。
だから、あいさは心配しないで。
フフッ、それじゃ早速イギリスに連絡しなきゃね。フフフッ」
「え?どうにかって?」
「ここはどーんと私にまかせて。
だから、あいさは心配しないで。
フフッ、それじゃ早速イギリスに連絡しなきゃね。フフフッ」
尋常でないインデックスの言動に上条はもはやアハハッと笑うしかなかった。
「あのさ、姫神も吹寄も今日は疲れたろ。
インデックスはあんな感じだから今から二人を家まで送っていくよ。
今日はありがとな」
「インデックスさん。大丈夫なの?」
「まあ、大丈夫だろう。多分……」
「あいさ!あさっての夕方また家にきて欲しいかも。じゃあまたね」
インデックスはあんな感じだから今から二人を家まで送っていくよ。
今日はありがとな」
「インデックスさん。大丈夫なの?」
「まあ、大丈夫だろう。多分……」
「あいさ!あさっての夕方また家にきて欲しいかも。じゃあまたね」