【名前】風狸(ふうり)
【性別】不明
【所属】魔術/科学
【能力】『不死空想』
【能力説明】
化け狸の一種である風来坊風狸が操る『不死』と『蘇生』の魔術。風生獣や風母などの別名を持つ風狸は、その名の通り風の化身となって地球上を流れる大気…すなわち空気に自分を『化けさせる』。そして、自身を『化けさせた』空気を己の体とし、『不死』と『蘇生』の性質で満たす。
『化けさせる』行為は一部でも可能で、圧縮した空気を蹴る事で山の1つ2つを一瞬で跳び越える跳躍力を持つ。故に、意思を持つ空気となり大気の流れに『乗る』風狸に撃墜術式は効かない。
空気に化けられる特性上、風の操作や大気内成分の調査・掌握はお手の物。酸欠・爆発・竜巻なども起こせる。
『不死空想』の真髄とは周囲に空気が存在する環境で風狸が化けた空気に包まれたものは、それがたとえ霊魂やあやふやな空想生物であったとしても風狸の弱点を突いた攻撃や反則的な力を除いて一定時間の間どんな事があっても死なず消滅しない。
また、上記の環境下で肉体的に死亡したとしても魂がこの世に存在する限り、どんなに肉体が破壊し尽されていたとしても風狸の弱点を突いた攻撃や反則的な力を除けば魂を呼び戻し蘇生・再生するというものである。
これは大気に化けていない風狸自身にも当て嵌まる。そもそも大気状態の風狸には物理的攻撃がまず通じない。
そんな風狸を殺すためには風狸の力を超える規模で風狸の周囲を一切大気が存在しない真空状態にし続けるか、大気が存在していても大本である霊装を一定時間の間破壊し続ければ殺害できる。
狸が化ける時によく葉っぱを用いられるのをイメージする者達は多いだろうが、風狸が用いるのは霊的な力を宿す霊草『陰草葉(いんそうよう)』。
「あの世とこの世の狭間」を意味するこの草葉は、風狸の製作主が風狸の伝承を元に研究・解明し、特殊な魔術処理を施した薬草である。
黄泉の番人として『不死』と『蘇生』を自分や他者へ施す風狸は、幾つも所持する『陰草葉』を用いる事で風以外でも対象を(外見だけだが)色んなものに化けさせる化け狸らしい能力を持つ他、『陰草葉』を(多少離れたくらいの距離までだが)目標の生物に念じながらかざすだけで目標を金縛り状態にして行動不能に陥らせる事ができる。
仮に誰かが風狸から『陰草葉』を奪い同様の行為を行った場合、自らも金縛りに陥る。『陰草葉』を扱えるのは風来坊風狸だけである。
【概要】
唱和園高校に巣食う四体の魔獣『四霊装獣』唯一の例外。とある魔術結社に所属する四人の魔術師の内の1人が作り出した魔術生命体の一体。
他の魔獣が『夢』と深く関わる伝承を持つ中で唯一『夢』に関わる伝承を持たない風狸は、『夢(=あやふや)』を主軸とする『創作魔法陣』の効果の1つである「『完璧』なまでに唱和園に縛り付ける効果」に体を縛られない魔獣である。言い換えれば「『不完全』だが唱和園に縛り付ける効果が風狸に与えられている」。
とはいえ、依り代が『創作魔法陣』の要となっている関係で現在の行動範囲は学園都市内に限られている。だが、当の風狸は別段不快に思うでもなく、『化けさせる』特性を利用して人間に化け、学園都市で生活する人間に混じって風狸曰くの「隠居生活」を面白おかしく過ごしている。『不死空想』があれどさすがにずっと唱和園に帰ってこないのはまずいが、風狸の足ならあっという間に戻ってくる事が可能。
風来坊である風狸は、製作主の性格も相俟って掴みどころがない自由な性格をしている。「おもしろき こともなき世を おもしろく」というとある人間の句がお気に入り。
数十年前の逃走劇では魔術『不死空想』にて重要な役割を果たした風狸の行動理由は、生を受けたこの世を自身の寿命を迎えるまで思い切り謳歌したいという単純明快なものである。
近年魔獣としての体にも遂に限界が訪れようとしている事を察し、留守しがちであった隠居生活の中心地である唱和園高校を今一度己の目に焼き付けておこうと観察していたところ違和感を抱き始めた。その違和感は段々確信へと近付き、仲間である他の魔獣達に問う事で確信に至る。
実は、唱和園高校とその周辺一帯を覆う『創作魔法陣』は風狸達魔獣の衰えと共に真の効果である『都市伝説の創世記』と及び『都市伝説の神隠し』作用が薄まりつつあったのだ。
それなのに唱和園の都市伝説の発生・消失は収まらない。しかも、仲間である麒麟反枕はその事実に気付かないどころか風狸が事の詳細を説明しても『理解できない』。つまり、「お前は何を言っているんだ」状態である。

後の風狸の調査で判明した事だが、元々『創作魔法陣』には陣内外の生物達へ「唱和園高校の都市伝説発祥・消滅の異様なサイクルはこの地域では『普通』の事である」と認識させる効果が存在する。
この効果が20年という時を経て『夢』と深い関係性を持つ麒麟達にも浸透してしまっており、風狸を除く魔獣達は己の認識を『創作魔法陣』の『化け術』で誤認させられてしまっている状態なのである。
さすがに都市伝説のサイクルに大きな変化があればいかに誤認させられてしまっている麒麟達でも、大きな変化により発生するであろう齟齬により風狸が言うところの『化け術』を打ち破れるだろうが、実際問題唱和園の都市伝説の発生・消失サイクルペースは一向に落ちない。
つまり、これは『創作魔法陣』の効果では無く正真正銘人間の手によるものであると予想した風狸はイグナイターのトップ七種臥鳶と彼が秘密裏に組織する『七草』、そして七種と一種の協力関係にある学生研究者右河跡取に行き着く。
彼等の活動は、『四霊装獣』が事の始まりとなる20年にも渡る唱和園の都市伝説サイクルを打ち崩しつつあった。それは『創作魔法陣』の劣化だけでは決して無い。20年という月日は唱和園一帯に収まらず、今や学園都市全体へ唱和園特有の都市伝説を知らしめる結果となり、それは特に唱和園高校で生活する人間の意識を何時の間にか変革させ、『創作魔法陣』に頼らない新たな都市伝説サイクルを構築し始めていたのだ。
人間の素晴らしき可能性を素直に「面白い」と評価した風狸だが、警戒心を解いたわけでは無い。それでも唱和園高校生に危害を加えられない―それこそ自分の命を投げ出す自殺の覚悟でなければ―故に状況を観察する事しかできない風狸はある時知った。右河跡取が行っている研究の真相…『第二の我門構圓子の再現』の存在を。
以前から風狸は花盛学園に存在する風狸曰くの『空想生物』である我門構圓子と面識があった。我門構圓子発生のメカニズム上、人間では無い風狸は我門構を認識しても彼女に影響を与える事は無い。
風狸の我門構という『空想生物』に対する認識は「何にでもなれる可能性を持つのにその可能性に意義を感じられない虚な『空想生物』」である。
虚ろなので風狸には我門構が女とも男とも、そもそも人間とも見えなかったのだが当人が一応女性を主張するので、会って会話する時だけ『化けさせる』特性を用いて我門構の外見だけ彼女の主張通りの姿にしてあげている。気が合うのか仲は良好である。
そんな彼女から我門構圓子の誕生メカニズムを教えられていた風狸は戦慄した。もし、七種の『究極の都市伝説』を見出すために起こしている『都市伝説の淘汰(レジェンドセレクター)』と右河の『第二の我門構圓子の再現』が予期せぬ化学反応を起こしたら。
我門構圓子の時は花盛学園の『人間のみ』の認識で済んだが、『創作魔法陣』と『四霊装獣』が絡む唱和園の場合は唱和園一帯の人間に加えて魔獣達の認識と唱和園一帯を覆う『創作魔法陣』の効果が加わる。
20年来ずっと大規模な都市伝説の発生・消失を繰り返してきた唱和園一帯は、もしかしたら誰もが『成った暁にはどうなるのか』を予期できない、第二の我門構圓子のメカニズム再現における格好の『陣』となってしまっていたのではないのか。
七種や右河だけでは無い、仮に他の唱和園高校生達も『創作魔法陣』の効果が及ばないところで都市伝説を生み出しているとして、数多の都市伝説に様々な要素が絡み合う事でいつか本当に『究極の都市伝説』を生み出してしまうのではないのか。
嫌な予感がする風狸は当面の対策として、仲が良い結界管理担当反枕に最近唱和園とは別の学校に存在する都市伝説『我門構園子の失踪秘話』の正体である我門構圓子の話をし、その関連で唱和園高校生右河跡取や、右河や七種と関わりがある飛砂防備の監視を依頼している。
仲間達が未だに『化け術』に囚われているために事の重大さ(麒麟達は、魔術で完璧に管理されている都市伝説で科学発祥の空想生物は発現しないと高を括っている。これは、風狸に監視を依頼され気を払っている反枕の無意識の本音でもある)にどうしても気付かない中、風来坊はようやく唱和園に腰を据えた。
『第二の我門構圓子の再現』や『究極の都市伝説』に確かな面白さを抱きつつも、予期せぬ事態で取り返しのつかない事にならないよう『不死』と『蘇生』を意味する空想生物風狸は日夜動いている。
【特徴】
伝承上の風狸の姿そのもの。色んなものに己を化けさせる事ができるが、人間に変身する時は大抵肩まで届くサラサラした黒髪、分厚いサングラス、毛深い体毛を生やす腕や脚、狸の毛色を参考にしたサイケデリックなシャツや鼠色のカーキパンツにブルーサンダルを身に付ける大人の男性になる事が多い。ニカッと笑う風狸の笑顔は自らの生を心底謳歌している証拠である。好物は焼き鳥。もちろん生きた野鳥も大好き。
我門構圓子を『不死空想』で花盛学園から外へ無事に連れ出せるかは風狸曰く「やってみないとわからない」との事。もし我門構から要望があれば全身全霊で臨む腹積もりはできている。我門構からは、彼女が発生したメカニズムについて色々アドバイスを貰っている。
【台詞】一人称「あっし」。二人称「あんさん」。ノリと歯切れが良い喋りっぷり。
「よしよし。つっかまえた~。ほんじゃいただきます。……ウマ~イ!やっぱ鳥を食うんは生が一番や!焼き鳥も個性的な味付けがあってええけど」
「おいおいおい。何を下手な冗談を言ってんのや麒麟。冗談を言うなんてあんさんらしくねぇ。そうは思わねぇかい獏、反枕?……おいおい。あんさんらまで一体どうしちまったんだい!?」
「さてさて、これからどうなるんやろうな。…あかんあかん。こういう時こそ『おもしろき こともなき世を おもしろく』や!あっしの想い次第で良い方にも悪い方にもいく!ここで気張らんとどこで気張るっちゅーんや!」
「成程なぁ。でもな圓子さん。あっしの『不死空想』でならあんさんをこの学園から外へ連れ出す事も可能かもしれません。どないします?ま、まぁ絶対無事を保障できるかどうかはやってみないとわからん部分もあるのは確かですわ。あっしも、さすがに科学発祥の都市伝説で生まれた空想生物を『不死』にした経験は無いですわ~」
【SS使用条件】
特になし

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最終更新:2015年11月29日 23:24