チェチェン・テロ、武装勢力の最高指導者が関与否定(2004/05/11)
【モスクワ=古本朗】ロシア・チェチェン共和国のイスラム武装勢力の最高指導者であるアスラン・マスハドフ・チェチェン前大統領は10日、親モスクワ現地政権のアフマト・カディロフ大統領が暗殺された爆破テロ(9日発生)への関与を否定し、テロは連邦政府の自作自演、との見方を示した。
武装勢力のサイトに声明を掲載したもので、マスハドフ氏は「我々はあらゆる形態のテロを糾弾する」とした上で、「占領者(露政府)の特務機関が、既に能力が尽きてしまった(故カディロフ大統領の)傀儡(かいらい)政権を始末するため、テロを仕組んだと疑う論拠は十分だ」と述べている。
他方、親モスクワ政権は、マスハドフ氏、最有力野戦司令官のシャミル・
バサエフ氏がテロの黒幕、との立場をとっている。
一方、チェチェン共和国のセルゲイ・
アブラモフ大統領代行は10日、暗殺されたカディロフ大統領の息子、
ラムザン・カディロフ氏を第一副首相に任命した。ラムザン氏は大統領の警護隊長を務めていた。
大統領代行にアブラモフ氏 チェチェン共和国(2004/05/10)
ロシア南部チェチェン共和国のカディロフ大統領暗殺を受け、同共和国のアブラモフ首相が9日、次期大統領選出までの間、臨時の大統領代行に就任した。
プーチン大統領は同日、モスクワで
アブラモフ氏と会談し、「今日起きた悲劇的なテロが、チェチェン人の生活に否定的な影響を与えないようにしなければならない」と述べた。(共同)
暗殺のチェチェン大統領、KGBスパイ説が浮上(2004/05/10)
【モスクワ=古本朗】ロシア南部チェチェン共和国の首都グローズヌイで9日に暗殺された親モスクワ現地政権のアフマト・カディロフ大統領(52)は、実は旧ソ連国家保安委員会(KGB)のスパイだったとする情報が浮上した。
チェチェン・イスラム武装勢力の元メンバーで、現在は「有力政治家」という人物がカタールのネット・メディアに証言し、それを10日、人気ラジオ局「エコー・モスクワ」が伝えた。
同元メンバーによると、カディロフ氏はブレジネフ時代(1964―82年)から秘密警察KGBに雇われ、「アダム」の暗号名で活動した、という。
これまで知られる経歴では、
カディロフ氏は、チェチェン生まれで
ウズベキスタンのイスラム神学校、イスラム大学を経て、90年代にチェチェンのムフティ(宗教指導者)となり、第1次チェチェン戦争(94―96年)では「聖戦」を唱え武装勢力の側で露軍と戦った。現在の第2次戦争ではクレムリン側に付き、2000年にチェチェンの臨時行政府長官に任命され、昨年秋の大統領選で当選した。証言内容は検証不可能だが、元メンバーはカディロフ氏を「偽ムフティ」と酷評している。
チェチェン大統領暗殺 独立派が式典狙い爆弾テロ(2004/05/09)
ロシア南部チェチェン共和国の首都グロズヌイのスタジアムで9日、対ドイツ戦勝記念日の式典の最中に爆弾テロが起きた。タス通信は非常事態省当局者の話として、カディロフ共和国大統領(52)ら4人が死亡、約50人が負傷したと伝えた。
チェチェン独立派がインターネットサイトを通じて犯行声明を出した。ロシア国防省も、国際テロ組織アルカーイダと連携するチェチェン独立派武装勢力のテロと断定。共和国内務省は容疑者として5人を拘束した。
7日に2期目の就任式を終えたばかりのプーチン・ロシア大統領は、親ロシアのカディロフ政権を通じてチェチェン紛争の収拾を図ろうとしていただけに、カディロフ氏の暗殺は大きな打撃となった。プーチン大統領は「テロリストは必ず報復を受ける」と述べ、独立派の掃討作戦を強化する姿勢を示した。
爆発は会場に設けられた貴賓席の下で発生し、カディロフ大統領らを直撃。共和国の議会に相当する国家評議会のイサエフ議長も死亡、現地でチェチェン問題を指揮するバラノフ連邦軍司令官も重傷を負った。このほかロイター通信のチェチェン人記者も死亡した。
ロシア国営テレビは、3カ月前から行われていたスタジアムの改修工事の過程で爆弾が仕組まれた可能性があると伝えた。チェチェン独立派系サイト「カフカス・センター」は、チェチェン人女性による自爆テロと主張している。
民間テレビNTVは、最初の爆発から20分後に爆発するようセットされたタイマー付きの別の爆弾が爆発現場近くで見つかったと報じた。
今回の暗殺事件は、独立派指導者の
ヤンダルビエフ元共和国大統領代行が今年2月にカタールで、ロシア情報機関員により爆殺されたことへの報復との見方も出ている。(共同)
親ロ派大統領の当選を発表=連邦政府が介入強化へ-チェチェン(2003/10/06)
【グロズヌイ(ロシア・チェチェン共和国)6日時事】5日に行われたロシア南部チェチェン共和国の大統領選挙で、共和国中央選管は6日、親ロシア派のアフメド・カディロフ共和国行政府代表(52)が当選したと発表した。プーチン政権やチェチェンの親ロシア派にとっては既定方針通りの結果で、チェチェン新政権は連邦政府との一体化を強めるとみられる。
選管によれば、開票率77%の段階で、カディロフ氏の得票は81・1%。他の6人の候補者はそれぞれ、1-6%にとどまった。投票率は86・8%。独立国家共同体(CIS)などの選挙監視団は、選挙は公正だったと論評した。
プーチン大統領は選挙結果について、「高い投票率は、住民が平和な生活と前向きな変化を望んでいることを示した。連邦政府抜きにチェチェンの社会、経済問題解決は不可能だ」と述べ、チェチェン介入を強化する方針を表明。安全の問題は引き続きチェチェン駐留連邦軍が対処すると語った。 (時事通信)
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最終更新:2014年08月30日 10:28