ついカッとなってやった。反省はしている。
【古のもの】
古より世界は三つに別れていた。
三界には、それぞれ古のものたちが住んでいた。一の世界には神が、ニの世界には巨人が、三の世界には龍が暮らしていた。
神々は一の世界で精神を創り、巨人はニの世界で物質を造った。そして、龍は三の世界であらゆる破壊を行った。
三つの次元世界はそれぞれ星界・地上・奈落と呼ばれた。
この三つの世界は同一座標に在りながら、異なる次元に存在していた。古のものたちは互いの世界を覗きながらも、互いに干渉することが出来なかった。限りなく近くに在りながら、三つの世界は交わらないでいた。
しかし、一つだけ例外が在ることに気がついた。何故か精神だけが、この三界を移動することが出来た。
はじめに、神は精神を地上に落とした。
地上へ落ちた精神は、巨人の造った物質と重なり、生物となった。
次に、神は精神を奈落に堕とした。
奈落へ堕ちた精神は、龍の破壊によって散っていった。
古のものたちのなかで唯一、三界に干渉する術を持つと知った神々は、次々と精神を地上と奈落に送りこんだ。
地上には生物が溢れ、奈落には精神の残滓が堆積していった。
やがて、地上の生物が知能を持つようになった。
やがて、奈落の残滓が知識を持つようになった。
地上の生物は、自らを生んだ神と巨人を崇めた。彼らは未だ見ぬ片親である神を求めた。
奈落の残滓は、自らを生んだ龍と神を崇めた。彼女らは未だ見ぬ片親である神を求めた。
この信仰により、三界が繋がった。
これまでは、古のものたちによる一方通行の観察が、精神の認識を経て連結された。
道が造作され、三つの世界は一つになった。
【精霊たち】
地上にやってきた奈落の残滓たちは巨人の創造物質と結びつくことがなかった。代わりに、地上世界の法則・現象と結びつき安定した。
地上に存在していた生命たちは、奈落から来た新たな住人のことを精霊と呼んだ。
【神龍戦争】
神は天界を下り、地上へと降りた。
龍は奈落を昇り、地上へと現れた。
巨人だけが自らの本質を忘れることなく物質を造り続けた。
地上の生命は神との再会に喜び震え、龍の偉大さに畏怖の念を抱いた。
地上の生命は神の庇護のもとに多いに栄えた。
地上の大地は龍の破壊のもとに削られ、海を造った。
あるとき、龍の破壊によって、一つの生命が砕け散った。
珍しいことではなかった。大規模な龍の破壊は、これまでも多くの生命を灰へと解していた。
しかし、今回は事情が違った。
その一つの生命は、神に捧げられるはずの供物だった。
激昂した神が龍を殺した。
仲間を殺された龍は荒れ狂い、同胞を殺した神を破壊した。
破壊の連鎖が次々に起こり、神も龍も巨人もたくさん消えた。
地上は滅却の世界となった。
【イレヴンズ】
神と龍の闘争は永く、永く続いた。
神も龍も巨人も、そのほとんどが失われた。
古のものたちは戦いの終焉を望みながらも、殺し合いをやめることはなかった。
戦いの中、神九柱、龍一体、中立の巨人一個が神々の怒りを抑え、龍の暴走を沈めた。
そして、彼らは『法』と『門』を造った。
法は地上における神と龍の戦いを禁止した。
門は古きものたちが三界を自由に行き来することを封じた。
生き残った神々を星界へと帰し、龍たちを在るべき奈落へと戻した。
神龍戦争を終結させたイレヴンズは地上に残り、三界の調停者となった。
【その後】
神九柱の一柱が地上の生物を使った遊戯を思いついた。
九柱の内、どの神が最も信仰を集めるか
くだらない遊戯であった。反対する神もいた。しかし、神々はその遊戯を行うことにした。
神々が遊戯を行なっている間も、龍の王は大地を喰らい海を作り、巨人の長はただ黙々と物質を作りつづけた。
その姿を見た地上の生命は、龍の王と巨人の長に対しても神々九柱と同様の信仰を向けた。
いつしか、龍の王は破壊の神となり、巨人の長は鍛冶の神となった。
地上への干渉を嫌った神一柱と信仰の対象となることを嫌った巨人の長は、『門』を開いて天界へと登った。
天界へと登った一柱は、我が身を信仰していた民草のことを思い夜空に一つ映し身を立てた。
同じく天界に登り、信仰の対象から逃れた巨人の長は、地上世界に居たときのように物質を作り続けた。
精神を想造する場所である天界で、巨人の長によって創造された物質は、自我を持った。
しかし、巨人の長は気にもとめずに創造を続けた。
【ゲート】
地上世界が安定期に入ると、人々の信仰の変動も乏しくなった。
遊戯の終わりは近い。
遊戯の終わりを恐れた神が、言った
そうだ
―――異界へと続く、新たな門を作ろうじゃないか
古きもの
人とは異なる次元の存在。
彼らを構成する物体は神力と呼ばれ、あらゆる奇跡を成すと言われる。
人が生まれるよりずっと前、世界の始まりと共にあるもの。
存在する世界によって次の三種類に分類される
・神:精神の想造者。古きものたちの中で最も人に近いもの。
・巨人:物質の創造者。古きものたちの中で最も自然に近いもの。
・龍:事象の破壊者。古きものたちの中で最も無に近いもの。
道
三界全てに精神が満ちたことにより生じた三つの異次元世界を繋ぐもの。
地上の生物
神々が想造した精神が巨人の造った物質体に宿り安定したもの。
精霊
奈落の残滓が道を通って地上に降り、現象・法則と結びつき安定したもの。
神龍戦争
遠い昔に地上で起こった神と龍との戦争。『法』と『門』を作るきっかけとなった戦争。
イレヴンズ
神龍戦争を終結させた古きものたちの総称。
九柱の神、龍の神一体、巨人の神一個が集まり、戦を終わらせたと言われる。
見やすい方式だと思ったので構成を丸パクりした。反省はしている。
- 非常に面白い発想だと思う。この設定はいずれお借りしたい。 -- (名無しさん) 2013-01-19 02:36:36
- 登場する種族は既存のファンタジーのものが多いけど世界観はごっつ独特な11Gにはやっぱりこういう独自色のある神話とかが合うねー -- (とっしー) 2013-02-01 00:42:16
- 歴史とか神とか手を出し辛い雰囲気は少なからずあるんだろうけどどんどんやっちゃっていいと思うんだよね。 この話からまた広がるきっかけができたと思う -- (名無しさん) 2013-02-01 23:09:16
- 作者がどれだけ異世界の神話大系が頭の中ででき上がっているのか気になった -- (名無しさん) 2013-02-08 00:30:08
- 異世界の構造は共通認識になっている設定ですが地上以外はどうなっているのかについてはまだまだ考察の段階ですね。今は伝説となった昔の出来事や大きな存在たちもまだまだ作りこむ余地があると思います -- (名無しさん) 2015-12-20 19:44:47
最終更新:2013年01月19日 04:06