地球の日本と言う国のある墓地の中に彼女は居た。
そこは裏寂れた寺の墓地で、決まった住職も居らず同宗の坊主が定期的に交代で世話をしに来る程度の所だった。
そんな寺の墓地にもやはりソレはあるようで、あまり手入れの行き届いていない様は妙に悲しげだ。
一話のカラスがソレの上に停まってカァと一声鳴いた。
その声に続くように遠くの方からもカラスの鳴き声が聞こえてきて、ソレに乗っていたカラスはまた一声鳴くと飛び立っていったのだ。
そのときカラスが出した糞がソレの袂に居る誰かの肩に当たった。
だがその人物は微動だにしない。
もうずっと、何日も何日も、雨の日も風の日もここでこうしてピクリとも動かずに座っているのだ。
屍だろうか。いや、違った。
人物と言ったがコレは人ではない。物体だ。人が死んだ物を屍と呼ぶが、コレは始めから物なので屍とは言わない。
ソレとは無縁仏が入る供養塔だった。
その供養塔に腰掛けるようにして壊れているのは、かつて人のように動き人のように話していた人のような物だ。
今はもう動かないその物が何故このような場所にこうして置いてあるのか。
或いはまだ動いていた時、自分の意思でここに来たのだろうか。
それはもしかして、この人形の持ち主がここに眠っているからだろうか。
だが今それを確かめる手段は無い。無縁仏の供養塔には名前など刻まれないのだから。
ただ今はひっそりと、ただひっそりとこうして眠るのみである。
ただひっそりと、ここに二人で。
最終更新:2013年12月01日 03:33