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【車中からクリスマス】

「やはりクリスマスともなると混みますね」
「良い事じゃないか。 賑やかで明るい事はそれだけで何ものにもプラスになるものだよ」
ポートアイランドを南北に縦断する幹路も、新ポートアイランドパークに差し掛かれば今は夜だが昼の明るさである。
クリスマスイベントで光り輝くパークからはあらゆる幸せのオーラが漂ってくる様だ。
「年々、繁忙期の売り上げが伸びていきますね」
「政策も世情も交流へと進む中だ。右下がりになることはないだろうさ。
きっと、いや確実に来年の今はもっと忙しくなっているはずだ」
見て思えば、去年よりも人通りは密度を増していてその中にある異種族も色取り取りになっている。
「確かに去年よりもスーパーの半額セール待ちの人だかりも一回りほど大きくなっていますね」
赤貧ながらも夢と現実を相手に戦う労働戦士も
異質を放ち他と色を合わせない不良も
生の輪廻から離れた朽ちぬ体の純真も
多分いくらかは独り身なのだろうか、今宵の戦いは一層熱く激しいものになるだろうと予感させる。
「これは帰社が一時間以上遅れますね… 部長は大丈夫なのですか?」
「大丈夫とは?」
「家で用事とかあるかと思いまして」
「あぁ、気を使わせて済まないね。 大丈夫だ、心配無い」

 妻と娘がはりきって準備しているパーティーには多くの級友がやってくるとのこと
 日本にやってきて数年の努力と勤労で得たマイホームでも手に余る程の人数がやって来るらしく
 家でもっとも多くスペースを占有する私は「外で楽しんでいらしてね」「プレゼントは明日でいいよ♪」とのことらしい

 去年の今頃知り合った取引先の社員と付き合い始めて半年後に同棲が始まったが、先週別れた
 主な理由は彼女のエンゲル係数に僕の収入が太刀打ち出来なかった事なのだが…
 「御免なさい。貴方の事が大切だから、私はいつも満腹じゃないとダメなの」
 別れる理由を話した時の彼女の潤んだ複眼を、僕は瞼を閉じる度に思い出す

「何ともはや…車中なのに降る雪の寒さが身に染みるようではないか…」
「部長の膝がエアコンの吹き出し口を塞いでいますので…」
運送会社のトラックの中、クリスマス渋滞で頓挫する人間とオーガはサンタクロースも門からやってこないかと雪の夜空に願った。


  • 種族同士のすれ違いはやっぱりあるんだなーと。家が広々しづらいのは日本では仕方がないんだ… -- (とっしー) 2013-12-27 00:10:12
  • 車中で窮屈そうにしているオーガを想像してわむ -- (名無しさん) 2016-12-24 09:29:44
  • 異種族交流が始まった世界には悲喜こもごもが起こるのは間違いないでしょう。辛い立場も別れもその先に幸せがやってくることを願います -- (名無しさん) 2019-03-31 17:05:07
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最終更新:2013年12月25日 00:56