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僕以外の3人でニィアの服を買いに行ったため、僕は一人家に残されることとなった
ストーブを運び込み一息をつく
こんな田舎では服を買いに行くにもそれなりに遠くに行かなければならず、
つまり僕はしばらく一人で時間をつぶさなくてはならないのだけど、
さて、何をしようか
そういえば、と思いたち、かつてに自分の部屋へと足を運ぶ
昨日はこの部屋には入っていない
色々と慌ただしかったし、寝る時も居間に布団を敷いて寝たから
数年ぶりに部屋の戸を開く
そこは昔暮らしていた時と変わっていなくて、
そして、何年も使っていないにもかかわらず、染み込んだ匂いも薄れていない
「絵の具の匂いがする」と
思わず口から出たその言葉は、思っていた以上に感情がこもっていて、
僕はこの匂いが好きだった、
一人になってから忘れていた気持ちを、思い出した
この家から出る前の僕は、
つまり両親がなくなる前の僕はよく絵を描いていた
水彩が中心で、油絵もたまに
だから僕の部屋には絵の具の匂いが染みついていて、
家を出て、ずっと帰っていなくてもその匂いは部屋に残っていた
僕が部屋にいなくとも
そう思うと、なんとなくこの匂いがこの部屋を守っていてくれたような、
そんな気がした
部屋の隅にまとめてある絵をのぞいてみれば、
学生時代の絵に懐かしさを感じる
壁際に備えてある棚から画材を漁れば、
そこにはすっかり埃が積もってしまっていた
家を出てから絵なんてずっと描いていなかったのに、
手入れしないといけないな、なんて思うあたり我ながらいいかげんだなと思う
「掃除、してみようかな」
そして僕は部屋の掃除を始める
画材も一つ一つ丁寧に手入れをして、
この部屋で過ごした日々の思い出を思い起こしながら
人物はあまり描いたことはなかったけれど、今度あの子に描かせてもらおうか、なんて
なんとなく考えながら
部屋の掃除をしているうちに、すッかり日が暮れている事に気付いた
姉さん達が出かけてから大分経ったし、そろそろ帰ってくるかもな
そう思って食事の用意でもしようかと考えたところで携帯電話がメールの着信を知らせた
メールは姉さんからで、「夕飯は適当に買って行くよ」というような内容を絵文字と無駄話だらけにしたものだった
正直、姉さんのメールは長いので、流し見てしまってほとんど読まなかったけれど、
あの子の服はスゴイ地味になっちゃった(。_。)
という文が目に入り、ひとまずは安心した
流石にこんな田舎では姉さんのいつも着ているような派手で露出度の高い服は買えなかったのだろう
ていうか、あの子には似合わないと思うんだけど
あの子には、もっと、こう
と考えて、こういうのはやめようと思い直す
あの子とはこれから結構な期間一緒に暮らすことになるのだから
変に意識して気まずくなるのは困る
それに、あの子はまだ中学生くらいの年齢に見えるわけだし
実際の年齢は聞いてないけど、20歳以上という事はないだろう
まぁ人種どころか種族が違うのだから思っていた以上の年齢である可能性もあるかもしれないけど
その逆もあるかも?と考えたあたりすこし怖くなったのでこのことは今後あまり考えない様にすることにしt
二十日大根なんて単語が頭をよぎったりはしない
「ただいまー」
玄関から姉さんの声が響いた
この家でその言葉を聞くのは何年振りだろうかと少し感傷に浸りそうになったけれど
まずは玄関へと出迎えに行こう
玄関へといった僕の目に最初に飛び込んで来たのは学生時代散々見た服
「あれ?着替えては来なかったんだ」
ニィアが着ていたのは僕が貸したジャージのままだった
てっきり買った服を店で着て帰ってくると思っていたのだけど
「がっかりした?」
期待してたんでしょ?とニヤニヤしながら姉さんが訊ねてくる
「期待してたって言うか、姉さんがジャージを着せたままにしておくと思ってなかったから」
姉さんのことだから多少強引にでも着替えさせてくると思っていた
「私は着替えさせようと思ったんだけどねー」
そう言いながら姉さんはニィアに目を向ける
彼女は何か考え事をしていたようで、
姉さんの視線にはっとしたように顔を上げた
「あっええと、もう今日はこの服を着てしまいましたし」
今日の所はこの服で過ごします
そういう彼女はどこか上の空のようにも見えた
疲れてるのかな?
姉さんの買い物の相手はなかなか疲れるし
異世界の人だと自動車も不慣れだろう
「とりあえず、ご飯にしようか」
買ってきてくれたんでしょ?
と、そう言いながら居間へと向かう
しかし、そこで
「あっ私達これで帰るから」
そう言ったのは姉さんだった
私達、というのは鈴木さんも、ということだろうけれど
「え?食事くらいしてからにすれば?」
「ちょっと仕事があるんだよねー」
また2~3日もしたらまた顔を出すから、と
そう言って姉さん達はそそくさと帰って行ってしまった
本当にどんな仕事をしているのだろう
興味がないと言えば嘘になるけれど、あまり聞く気にはならない
きっと姉さんは聞いて欲しくないだろうから
普段は聞きたくない事でも自分から行ってくる様なひとだから
そんな姉さんが言わないということは、つまりそうなのだろう
でも、きっと何をしていても姉さんは変わっていないと思うから
だから僕は聞かない事にした
まぁ姉さんのことだからどんなことがあってもなんとかしていくだろう
それだけは確信を持って言える
何せ姉さんなのだから
姉さん達の買ってきた食事はハンバーガーだった
夕食にハンバーガーってどうだろうと少し思ったけれど
ニィアは割と気にいったようだったので良いだろう
ハンバーガーを両手でもってもぐもぐと食べる様子は可愛らしい
小学生にしか見えないけど
軽く話をしながら食事をしていた僕らだけど
彼女はこちらのショッピングセンターに大分驚いたようだった
エレベーターやエスカレーター、ファストフードの店にも驚いたと楽しそうに語っていた
「精霊の力も借りずにあんなことができるのですね」
そう言う彼女はほほえましくて
思わず頭を撫でようとしたけれど、これまで何度か撫でたときに嫌がられたことを思い出し自重する
食事を終え、入浴した後の彼女の姿は新鮮に感じた
これまでの、僕のお古のジャージではなく新しく買ってきたパジャマを着ていたから
青いそれは少し大人びているようにも思えたけれど、白い肌と同じく白い髪にあっているように思えた
彼女の後に僕も入浴し、寝ようか、と思ったところで
「今日も一緒に寝るの?」
なんと彼女はまたもや同じ布団で寝ようとしてきた
「寒いと死にます」
もしやそれは嘘ではなかったのか
冗談だと思っていたことが何やら信憑性を帯びてきた
防寒対策、もっとちゃんとしないとかなぁ
電気毛布でも買おうか
そう思いながら僕はすぐ横で眠る彼女の頭を撫でる
うん、眠ってるね
別に何もしないけどさ
眠っている彼女の頭を撫でつつ、自分の物ではない体温を感じながら
やっぱり電気毛布は買わないでおこう、と思い直した
- 改めて今を思いなおすというものでもなぜだかむずがゆいたまらない。日常の一時ですら長く明るく感じる描写だった。これひょっとして姉さんパートとかもやったりするのかな -- (名無しさん) 2014-01-27 23:28:21
- 見た目の年の差がちょっぴり背徳感。じわじわとニィアがいないと駄目になっていってるような気も? -- (名無しさん) 2014-01-28 22:38:45
- 拾った日だけだと終わり終わりでまとまっているんだけど拾われたを合わせるとどうしても次の話が気になって仕方がない -- (名無しさん) 2014-04-29 01:23:50
最終更新:2014年01月29日 00:16