【スパっと隣】

夏を迎える前の空。 時折海から吹く湿った潮風は梅雨の香。
「積もった赤点計七つ」
「何故だ?我らは三人ぞ?」
「そうだ私が武器所持で点三つ」
学期末が近い。 夏休みはもうすぐなのに。 哀れ待つは補修の嵐よ。
流れる雲を寝転んで見上げる生徒の狐人三人。
改善の兆しも改善の気も見えない学力に打ちひしがれる屋上。 ふと異世界が懐かしくなる。
「( ・●ω●・) ご注文の品です」
三人の枕元に突如降り立つ蜘蛛人。 胸にゼッケン、バイト中。
「おお!鈞よ!慶よ!やってきたぞ!」
「ああ!何と懐かしき大延の匂い!」
「むむ!しかしこの伝票の数字は…」
「「「いくらかまからんか?」」」
狐三兄弟が雁首揃え蜘蛛人を見据える。 睨むと言うより懇願の。
「(´・●ω●・) お代が頂けないのであればさげさせてもらいます」
「あいやまたれい!」
「兄者!」
「梁兄!」
「泣き落としなど愚かであった… 磊令家にあるまじき愚行であった…」
「(^・●ω●・) 毎度ありがとうございます」

 大ゲート祭の一ヶ月。地球にやってくる者、帰ってくる者そのた諸々。
 そんな中にある十津那関係者と生徒達の親睦を深める目的で開かれる学園祭(小)。
 特に異世界に用がなく旅行などしない生徒にとっては目玉の祭事でもある。

『ゆう亭名物 お好み焼き』
狸が微笑む箱を開けると酒で煮しめた果実ソースの湯気が立ち昇る。
豚肉を二枚中心に据える周囲を彩る野菜と、異世界の色、大延国の乾物のもどし。
三人は仲良く三等分。
360割るところの3で120度という計算はできたものの、ではどうやって120度を切り測る?と悩むも長兄の大鉈分けで解決をみる。
「両兄…もう終わってしまいました」
「Mサイズはちと小さかったか」
「うむ。ここは我がへそくりにてLサイズを頼んでみよう」
「「梁兄!」」
「(^・●ω●・)_ロ このチラシと空き箱を持って行けば二割引。渡し忘れていました」
「「「「いつの間に!」」」

今年の学園祭(小)はまだ始まったばかり。
次に門を越えて訪れるのは誰の家族か親戚か。
地球も異世界も、ここぞとばかりにおもてなし。


  • 家族が帰ってきて再会とかいいなぁ。配達バイトは蜘蛛には最適か -- (名無しさん) 2014-06-10 21:00:48
  • 蜘蛛って地球向きな能力持ってるな -- (名無しさん) 2014-06-20 00:53:47
  • こんな日常も地球に適応した異種族ということなんかな -- (名無しさん) 2014-07-01 22:58:01
  • 人間から見て飛びぬけてる能力を持ってる異種族が本腰入れてバイトとかし始めたらって思ったけどそんなに数がいないからバランスとれてるのかね -- (名無しさん) 2014-12-12 22:20:06
  • ゲートと学園は立地と経緯含めて密接な関係にあるのと同時に異種族交流のモデルケースとして試行錯誤があるのだろうかと想像しました -- (名無しさん) 2017-10-22 17:44:30
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最終更新:2014年06月07日 03:17