私には生誕の記憶がない。
初めからこの世界に存在したのかも知れないし、ついさっきこの世界に生まれたばかりかも知れない。
世界はこれから誕生するのかもしれないし、もう破滅を迎えているのかもしれない。
私にはよく分からない。
私には成長の記憶がない。
今の形に成ったのか。それとも、はじめからこの形だったのか。
離れていくものもいたのかもしれないけれど、最初から別々の個体だったのかもしれない。
私にはよく分からない
私には終末の記憶がある。
だから前進の意味だけは理解できる。
暗い。怖い。大きい。小さい。
無形の怪物の結末なんて、たかが知れている。
私の存在はあやふや。
私の証明はどろどろ。
私の居場所は、きっとぐちゃぐちゃ。
揺れる世界。
揺られる私。
ゆらゆら。
ふらふら。
蜃気楼は全てを受け入れ、全てを映すけれど。
外界に依存しているだけ。
なにがどうしてどうなっているのか。
私一人ではわからない。
私は本当は、どうなっているのだろう。
私は私の本質を知りたい。
世界のための私なのか。
私のための世界なのか。
鏡が必要だ。
私を映す、大きな鏡。
それは不動の大地。
それは幻想の大気。
それは胎動する息吹。
―――それらは世界。
私のために、もう一つの鏡へ続く扉を開こう。
とっびきりの自分勝手で、とびっきりな我侭を貫こう。
- 誰なのか何なのかは分かりませんが世界にそのものが出てきたというのは確かですかなんでしょうか -- (名無しさん) 2013-04-17 19:49:17
- これはレギオンのお話なのだった、まる。 -- (名無しさん) 2013-04-17 23:22:15
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最終更新:2013年08月08日 22:45