ラスティール山脈から吹き下ろされる冷たく乾いた風が吹く荒涼とした大地、東部
イストモスの大部分は乾いた平野で占められている。
この地に暮らす人々は雨雲を追ってこの平野を家畜と共に移動する暮らしを長く続けている。
雨雲が大地に雨を降らせてしばしの間、赤茶けた大地は生命の賑わいを取り戻す。
家畜たちは新鮮な新芽を食み、肥えた家畜は仔を産み、そうして得られる毛や乳や肉を日々の糧として人々は逞しく生きている。
ラダン平原の中央、西部レーネ湖と同じく星神の涙によって生まれたと伝えられるロロカヌイ湖の畔に東部最大の都市カヤはある。
東部の民の大多数は放牧を主体とした遊牧民であり、氏族ごとに古くからの取り決めに従って土地を巡回する生活を送っているが、一部の氏族は定住に適した土地に留まって生活を営んでいる。
カヤはそうした東部では数少ない定住に適した土地に建設された都市であり、分かたれた星王の末裔の一族が統治する東イストモの無数の氏族が集う星地でもある。
カヤは大規模なバザールを擁する東部最大の都市であり、東部星巡りの拠点であることからその人口は平時でもイストモス有数だが、一年に一度、星月の頃はその人口は10倍近くに膨れ上がる。
一年に一度、星月の間、カヤに東部全土から無数の氏族が集う、ロロカヌイの湖畔は無数のマクヤと呼ばれる移動式住居と夥しい数の家畜で埋め尽くされる。
人々はこの時期に普段は会えぬ遠方の親類縁者や友との無事な再会を互いに祝い、家畜や交易品の商談をし、そして息子や娘達の縁談をまとめる。
東部では子供の結婚相手は親同士が決めるというのが揺るがぬものとなっており、星月の間、子供の将来の良き結婚相手を親が方々に声をかけて捜すという光景がこの時期のロロカヌイの湖畔ではよく見受けられる。
星月の終わり頃、ロロカヌイの西岸には色とりどりの婚礼装束を身にまとった者達が集まる。
サーシェと呼ばれる集団結婚式は東部では古くから行われる伝統行事であり、その年のサーシェで夫婦となる男女とその家族はその年の星月の半分を婚前の祝いに費やす。
色とりどりの一族の象徴や縁あるものを象った刺繍で彩られた婚礼衣裳を身にまとった男女が親類縁者と共に集まってくる。
方々から結婚を祝う歌や音楽が響きひどく騒がしいものとなるが、一帯に婚姻の儀式の開始を知らせる鐘の音が響くと辺りは急速に静けさを取り戻していく。
儀式そのものは東部神星教会の祭司が星句を詠み、新たに夫婦となる男女に祝いの言葉を述べるという簡素なもので、これによってこの場に集った男女は晴れて夫婦となる。
婚礼の儀式が終われば新たに夫婦となった二人の門出を祝う宴が方々で開かれ、この宴は数日間続くこととなる。
カヤを訪れるならサーシェの騒がしくも厳かな光景を見るために星月の終わりに訪れるか、あるいは星月の時期を外して落ち着いた頃に来るかのどちらかにするべきだろう。
- そう目立った建物はなく寄り添うように多くの営みが集まった湖畔の都市…が浮かんできた。草原の風香る要素満載と暖かい家庭の様子がほっこり -- (名無しさん) 2014-09-02 23:25:36
- カヤ、ロロカヌイといった言葉の響きが好き -- (名無しさん) 2014-09-04 22:56:21
- 遊牧民族の停留生活で大きなコミュニティって意識改革というか国として一まとまりになったからこそできたことって感じがする -- (名無しさん) 2018-09-06 22:33:30
最終更新:2014年09月06日 22:58