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【愛おもふ】

「“愛”ってなんだろうね」
研究室にてサンプルにメスを入れるサツキがボソリと呟く。
空間を裂く一閃の後、棚や机上のビーカーフラスコが鋭く揺れ、刺し並ぶ刃物類が端から端へ順に打ち鳴らされていく ──
「ような気がしました」
「クーリエ?」
「いえ。とりあえず薬をお持ちしましたので飲んで下さいサツキ様。 カエルの標本もたまらず跳ねてゲコゲコと鳴き出す強烈な気付けです」
「ちょっ!無理矢理何を飲ませようと!」
「変態が一周回って解脱し殻を破って世に這い出そうとしているのを阻止するためです」
じたばたと暴れるツインテールエルフを、スラヴィアン持ち前の怪力で抑えるメイドエルフがぐいぐいと怪しい茶色瓶を口に押し込んでいく。
周囲に人がいれば誰かが止めたのかも知れないが、生憎研究室には二人しかおらず事件はクライマックスへと向かっていく。
「先輩がついにトチ狂ったと聞いて! バーン!」
自分で効果音を叫び扉を開き現れたのは、ポニーテールを激しく揺らす人間の女子高生。
「莉々ちゃん!丁度いいところに!助けてー!」
「おや?メス犬が臭いを嗅ぎつけましたか。 キャンパス見学はいつでもOKなのを良いことにしょっちゅう来ますね」
「クーリエさん!いきなりはマズいので言い訳くらいは聞いてあげて下さい! 魔女裁判でもそういうのはありますよ!」

「…何で縛られているのかな?」
「下手人が逃げないようにしているのですが?」
「ウイルスが回ってゾンビになったりしたら困るじゃないですか」
サツキは後ろ手に頑丈に荒縄で縛られており、その前にクーリエと莉々が縄と蝋燭を持って立っている。
「何故突然“愛”など口走ったのですか?変態」
「いや、ね。異種族間の付き合いの中でそういう感情が生まれるのかな~って。 性態学の見地からも興味がわくじゃない?」
「この大学って異種族結構カップル多いですよね」
「傍から見ても目を覆いたくなるようなのがいますね。色んな意味で」
コホンと仰々しく咳をしてサツキが語りだした。

 町を歩いていると前から人間と樹人がやってきた
 ひょんなことからその樹人と触れたときにその寿命がもう僅かであると気付く
 それを人間に教えたが、彼は一瞬考えた後に笑顔で頭をさげて去っていった
 「悲しい別れがすぐそこにあるのに別れようとは思わないのかい?」
 「不思議と全く思いませんでした。最後まで一緒にいます」

「帰った後に色々調べたんだけども、“愛”というのがその不思議な行動の要因になっているんじゃないかなーって思ってさ。 …どうしたの?二人とも」
「これはこれは… まさか変態ではなく外道でしたかサツキ様」
「先輩見損ないました!空気読むことできないんですか?!」
二人が手に持った道具を振り上げると、研究室にひき潰された両生類の様な悲鳴が響いた。

「う~ん…結局“愛”ってなんだろう?」
「そうですねー 周囲が何も見えなくなっちゃうのが“好き”で、何もかもを乗り越えてしまうのが“愛”なので愛し合ってる二人はどんなプレイもできる って」
「莉々ちゃん、それどこ情報なの」
「えへへ♪深夜ラジオのトークでーす」
「サツキ様は大事な存在なのでどこまでも一緒ですよ(棒」
「うわー。クーリエのそれは多分“愛”じゃないよ」


  • エルフの性観念とかだと愛とか恋とか縁遠いものなのかなぁ -- (名無しさん) 2015-03-30 20:45:29
  • サツキの研究者ってデータ主義結果重視みたいなのが見えるな。寿命の違いって永遠の課題だ -- (名無しさん) 2015-03-31 02:11:52
  • でも、クーリエのそれも愛のかたちの1つかもね -- (名無しさん) 2016-10-09 21:08:50
  • とりあえず精気であればだれのでもいいけどそれをあえてサツキ君だけに限定し一蓮托生していることで何かパワーが生み出されているのかも -- (名無しさん) 2016-10-10 16:46:16
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最終更新:2015年03月29日 20:49