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【パン・ダー舞う】

『毒顎百足(ガナ・ギグ)!』
「パン、ダッ!」
 ドグッシャアァーーーッッ!
『蟲赤牙千獄(ベルゼ・バルス)ッ!』
「パッンダ!」
 ドドドドッバシュゥウゥッッ!!
『~~ッッ!? 黒黒黒(ググラ・ガ)ァ!!』
「ザ・パンダッ!」
 バシュンッ! ザッバァーーンッッ!!
 ボトッボトトトトッッ グチャッビチャァッ
『あぁアア゛ア゛ぁあア~~~っっ!?』

「見事だな」
「…無傷? 何とあの猛攻を凌ぎきった上に無傷ッ! まさにグレイト!パン・ダー・グレイトっ!」
円舞台上に紫緑の体液を撒き散らし降り注ぐ蟲蟲の残骸。
何処からそんなに出てくるのかと思われた見るもおぞましい地獄の釜をひっくり返した様な大洪水は、
たった一頭のちょっと大きなパンダの力強くも流錬な体舞によって蹴散らされた。
試合開始よりもげっそりと痩せ細った医術着の蜘蛛人は頭部の半分まで割けた口で歯軋りをし、地団駄を踏んで悶絶する。
「打てば檄震、蹴れば絶空。 あれが噂には聞けど遭うこと叶わず一度たりとも手合わせ出来なかった大黒白拳…」
解説席には審議侯キエムとゲストとして第一回戦を終えたスイメイが座っている。
「大黒白と言うと、あの南蛮奥地に生息するという魔獣の?」
「そう。その大黒白の中でも、七つ暗き森の向こうより現れ出でたる野生地獄を統べる武神の如き力の塊。
それは獣を人を超越した存在だと言われている」
「では…今戦っているパン・ダー選手が、その…?」
「それは分からぬ。 だが、あの一切の迷い無き『武』は一撃一撃が必倒。本物だ」
観客一同が息を呑む中でパン・ダーが動く。
 シュバババッ
頭を掻き毟る蜘蛛人、ネビオラの背後に一瞬で回りこんだパン・ダー!
(大人しく降参して下さい。貴女は私に勝つことはできません)
「あア゛っ?!何を偉そうに!」
背後を振り切る右側二腕が爆ぜると同時に飛び出す無数の刃足を持つ線蟲。
だがしかしそれらも全てパン・ダーの飛びのき様の連撃により蹴散らされるのだった。
「も~ぅあっタマきたねィ! 優勝後で神相手に使おうと思っていたんだけどもそうも言ってられないようだしィ…
解剖したかったけど…刺されて砕けなッ!」
勢い良く前に伸ばした指先より無色透明無香の液体が霧となり噴出すと、それらはパン・ダーの体毛に定着した。
『煉獄刺棘(カリ・ユガ)!!』
円舞台の周囲観客席。その中、中心目掛ける対角の八方向で血煙が上がる。
誰とも知れぬ観客の体が爆発四散すると、鋭利な先端角に歪な棘を生え並べた長甲蟲が飛び上がる。
八方のそれらは一斉に円舞台のパン・ダー目掛けて目にも留まらぬ速度で突進!
「パ・ン・ダ・-ッッ!!」
激しく回転する白と黒の体毛が描く空の陰陽。
金切り声を鳴らし突撃してきた八本の槍を嵐風が薙ぐかの如く宙に巻き上げれば、それらは全て直下より打ち上がる拳によって砕かれた。
「何と何と!防ぎきったぞパン・ダー! どうするネビオラ!まだ何か奥の手があるというのかッ?!」
(あ~まずいまずいマズイ! 負けるのは構わない。実験できないのは口惜しいがそんなことは些末なこと。
それよりも問題なのは…会場で張っているエリスとマセバの刺客共だ… 試合後、私が力を使いきったと分かれば即捕縛してくるに違いないねィ)
「分かった、パン・ダーとやら…これで最後にするよ!とくと味わいなッ!」
四肢全てを大きく広げたネビオラの、腹部が突如肥大したかと思えば!
『蜘蛛子々散々(スタコ・ラッサ)ッッ!!』
 ドッシャァアアァーーーーーッッ
弾けた腹部尻部から飛び出したのは小型超小型の蜘蛛蜘蛛蜘蛛!
円舞台を縦横無尽に駆け巡るかと思いきや、一部は舞台を降りて観客席や出入り口へと向かって走る。
「っきゃぁあぁぁあーーっ!背中!背中!お腹!お腹!」
突如転がりだすパン・ダー。舞台上を激しくもんぞり打ったかと思えば今度はぐるぐるぐると走り回る。
それでも勢いは収まらず、七転八倒した挙句怒涛の勢いで坂道を転げ落ちる樽の様にごろごろごろごろと会場の外へと転げ出て行ってしまった。
唖然とする衆人環視の円舞台の上、先ほど爆ぜて顎から上だけになりどこぞへ吹き飛んだかと思われたネビオラの頭部がこそこそと蜘蛛に担がれ中央へ。
「ワタシノカチッテコトデ?」
無理矢理腹話術で蜘蛛ががらんどうの頭部を動かす。周囲を見回した審議侯が深く溜息。
「パン・ダー選手の場外によりネビオラ(頭)選手の勝利っ!」
号令により試合は決着。
すると解説席へネビオラ(頭)がシャカシャカと寄ってくる。
「どうしたのですか?控え室に戻らないのですか?」
「いやちょっと。本体が回復するまでちょっとここにいさせて。今戻ったら確実に捕まるんだねィ」
「面妖な…」

「惜しかったな」
都を囲む湖の中から蜘蛛を洗い落とし出てきたパン・ダーに声をかけたのは猫人の青年。
「パン、ダー」
「いや、何となく気になったから声かけてみただけなんだ。 すぐ俺の試合だから、じゃ」
走り去る猫人ディエルの背中。初めて見るその姿に何故か心惹かれるものを感じるパン・ダーであった。

ネビオラ ○ ― ● パン・ダー・グゥレイトォ 


  • パンダ着ぐるみに力があるのかヴィルヘルミナの潜在能力なのか…謎のパワー! -- (名無しさん) 2015-06-11 01:09:07
  • パンダーだから強い?ヴィルヘルミナ。本体はそんなに強くない?ネビオラ -- (名無しさん) 2015-06-12 23:34:03
  • パンダーの戦闘能力でどのあたりまで勝ち進めれるのか興味がある -- (名無しさん) 2015-06-26 09:09:09
  • アクションモードと巡回モードでなぜか体が変形して見た目が変わってそうなパンダーだ -- (名無しさん) 2015-08-28 23:20:52
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最終更新:2015年06月10日 03:58