「盛り上がりも増し大バトル大会も二回戦の試合が全て終了しました。審議侯キエムです」
「新天地で毎日冒険者ギルドが半壊するような喧騒に巻き込まれる私でも驚きの連続でしたね~。赤い山脈です」
「一回戦を勝ち抜いた猛者共は一味違うという試合の連続でした」
「そして今回の解説にはゲストをお招きしています!大会出場選手であるカナヘビさんの師匠でもあります青鬼人の ──
「お師匠さんじゃ。ふぉーふぉー」
「聞けば武器全般に通じる武術の達人と名高いお師匠さん、その一言一言は注聴です」
「ふぉふぉふぉ。それはそうとワシの徳利を知らんかの?なみなみと酒が入っておる」
「お師匠さん、それならさっき飲み干してましたよ!」
ミルミ&ルミル ● ― ○ カナヘビ
「一回戦は戦闘ではなかったためにその戦法は未だ未知数の
ケンタウロス姉妹と」
「一回戦を見事な体捌きを駆使して勝利した傭兵カナヘビとの試合です!」
「通常舞台での戦闘となりましたが、そこそこの広さに遮蔽物がないということで勝負はすぐにつくかと思われました」
「しかしどうでしょう!始まってみれば接戦も接戦!四肢+一尾のトリッキーかつパワフルに攻め立てるカナヘビに対して防御ではなく疾風の攻めで応じるミルミ!」
「一回戦と同じように後方で支援にあたるルミルを真っ先に狙ったカナヘビでしたが、律儀に強固に彼女を護るのは石床から出でたる土精霊。そして攻めの背後から襲いくる風の旋刃」
「攻め手を止めれば即座に背中を取られると、ミルミとの決着を優先しましたカナヘビ!」
「直接攻められるのに弱い後方を狙うのは戦法としては正解じゃが、どうみても武器を持っとらん女子を狙うとは…男としてはだめだめじゃのー!」
「いやはやこれは弟子に厳しいお師匠さんです。そうなると分が悪いのはカナヘビ、的確な精霊使役支援と変幻自在の四脚舞踏により秒毎に回転と威力を増していく風精霊ですからね」
「草原のキャラバンへの訪問の際に襲ってきた野盗の一団を吹き飛ばし退けたという連携、
踊・援・精!巻き起こる土煙の中で遂に決着がー!」
「土煙が晴れ、そこに倒れていたのは何とミルミの方でした。あ、カナヘビさんの応援の方々には申し訳ございません」
「一体何が起こったというのでしょうか?!」
「ワシは見えておったが、風の刃で弟子のズボンのヒモが切れてすとーんとモロ出しになったのじゃ。ミルミちゃんはそのモロになった二股のナニを見て一瞬隙ができたんじゃ。
そこに弟子が柄で鳩尾に一撃見舞って失神、じゃな」
「成程、だからカナヘビは裸だったのですね」
「そしてカナヘビそのまま残ったルミルにおどりかかるとルミルは絶叫。思わず舞台から飛び退いて試合は決着となりました」
「二股が勝利の鍵じゃったのー。ただのイチモツじゃったら慣れてそうなミルミちゃんはピクリともせんかったろうな」
シキョウ&スイメイ ○ ― ● 髑髏王
「この試合、会場の熱気に反して双方向かい合う時から周囲の空気を凍り付かせる雰囲気を醸し出します」
「言葉一切出さずに互いを見やって測る力!どう見てもタダでは済みそうにありませんよ!」
「この時前に出たのはスイメイだったのー。シキョウは後ろに引いて我関せずの見で立つと」
「試合開始直前ともなるともう会場も静まり返り固唾を飲みます」
「そして試合開始!圧倒的大容量の闇が髑髏王から拡がりました!ました!が、一体どういうことでしょうか、それは一瞬で収束し髑髏王は溜め息一つつき降参の意をもって舞台を降りたのです」
「闇から無数無量の屍兵が鼻先まで出てきておったんじゃがのー、スイメイは目にもとまらぬ一振りでそれら全てを闇の中に押し戻したのじゃな」
「成程、だから髑髏王は舞台を降りる際に「勝つには消耗が過ぎる上に用意が足らぬ」と言ったのですね」
「開始から数秒!しかし見ていた私達には数十分にも感じた重い刻でした!」
「いやはやあの大延の二人、まともに戦えば舞台なんぞ消し飛ぶぞい」
ネビオラ ● ― ○ ラニ
「そして注目の異色対決ですね。一回戦は屈強な
オーガなどを召喚し勝利したラニですが、相手はあの狂医者ネビオラです。一筋縄ではいかないでしょう」
「しかし一筋縄ではないのはラニの方も同じでした!何と試合は戦闘ではなく目利き鼻利き勝負!毒を選んだ方が負けというものです」
「上手く相手を土俵の上に乗せたラニが取った手はどうみても戦闘向きではない鬼人の給仕シィでした」
「もう完全に戦闘以外の流れでしたが、それでもネビオラには必勝の策があったようで…」
「しかし策士策に溺れるが如し足元の泥に滑り致命傷、という形でネビオラがどろどろに溶けての敗北、ラニの勝利となりました」
「完全にダークホースの勝利、準決勝へと駒を進めます!」
「いやあれでも最初から筋書き決まっておったようなもんじゃろ?ちらちら視線で合図送ったり会話がちょい不自然なとこで止まったりしておったし」
ディエル ● ― ○ 岩窟王&監獄姫
「そして二回戦最後の試合です」
「一回戦を眩い閃光を放ち相手を下したディエルと圧倒的パワーで大勢を押し飛ばした巌窟王と監獄姫との対戦です!」
「いやはや、あの毛むくじゃらを倒そうと思ったら武器か何ぞ必要じゃろうにあの猫人の意地を張って粗末な短剣一つでやるとはのー」
「試合は開始と共に低い位置から速度を維持して手数で攻めるディエルと床を粉砕する巌窟王の連続打撃の応酬となりました」
「一撃食らわば即時終了のディエルですが、如何に毛の薄い足先と言えども万年素足のムークスラヴィアン、その皮は最早鋼鉄よりも固く分厚いもの!全く歯が立たない状況!」
「お互いに決定打を出せぬまま流れる時間に業を煮やしたのか、巌窟王の頭上から監獄姫が指示をだしました」
「見通す眼、その力によりディエルの一歩先を見た監獄姫の指示は正確無比!遂にディエルは大岩の拳により舞台にめり込んだのです!」
「あそこから立ち上がってくるとは思わなんだのー。あの若造、素晴らしい頑丈さと気合じゃぞ」
「そうです、ディエルはなんと立ち上がったのです」
「しかし体力は残り僅か、攻撃は全く効かない相手にどうしようというのか!?と、その時 ──
「一回戦と同じく煌めく光がディエルの体から放たれたのです」
「しかし!何とそれを怒号により霧散させてしまったディエル!一体どうした?!」
「あの若造、「いらん!」と言いよったな。何が何でも己の力だけで戦うと何かに言い放ちおったわい。良い根性をしておる、弟子にして鍛えてやりたいくらいじゃ」
「素晴らしい気迫です。そして渾身の力を振り絞り突撃」
「そして見事に会場外に叩き飛ばされました!場外負けです!」
「そりゃまー気合だけではどうにもならんことの方が世の中多いもんじゃ」
「二回戦も素晴らし試合ばかりでした」
「これで勝ち進んだ四組により準決勝二試合となります!」
「ほっほっほ。こりゃワシも楽しみになってきたぞい。とりあえず酒のおかわりくれんかのー」
- シキョウとスイメイの片方だけでもやばいのに決勝どうなるんだラニちゃん。カナヘビは猥褻物陳列負けじゃないのかよ! -- (名無しさん) 2016-10-15 23:46:58
- どれも納得できる試合決着だけど力同士のぶつかり合いだとフィジカルが決め手になっちゃうな -- (名無しさん) 2016-10-16 20:36:30
- ガチのガチな髑髏王だったらスイメイといい勝負になってた? -- (名無しさん) 2016-10-27 06:55:55
最終更新:2016年10月15日 18:09