【蛇神ルガナンとは?】

見える触れることのできる神が異世界にはいる。そして異世界には世界を構成する“世界に溶けた神”がいるという。
地球とは次元の違うその題材に私は大いに興味を持ち異世界での研究を大学に認めさせるに至った。

異世界の各地を回ったところ、そういった神に関する研究については程度の差はあれどの国にも根付いてはいた。
研究の発端は理解、利用、崇拝など様々であり、“溶けた神”の中でもメジャーどころである腐神などは性質や現象と研究が進んでいる。
ひょっとすると異世界の大地や海、空ですら古の神々が世界に溶けて生まれたものではないかと思えてきた中で一際異彩を放つ存在があった。
世界に溶けて言語の礎となった“ルガナン”である。
ルガナンは異世界で使われる言葉を生み出し文字を作り上げ大延国の躍字の起源でもあるという蛇神である。というのが異世界でも一般常識の様に広まっている。
最初に気になったのは決まった名前があるというところである。
もし本人ではない誰かが付けた名の場合は場所や国などが違ってくるとその名も変化する場合が多い。
次に気になったのは言語の礎になったという事象である。
言語が生まれた時から存命である者が存在するというのは無理があるだろう。では生物を超越する神々の誰かが人にルガナンの所業を教えたのだろうか?
そして蛇神という決まった姿を持つという点。
もしその姿を誰かが見たとしても言葉が生まれた頃よりはっきりと伝わり続けるものなのであろうか?
ルガナンを崇める蛇言教がある以上は伝承や教えとして連綿と伝えられてきた可能性は高いが、こうもはっきりと今にその姿が残るのが心に引っ掛かったのである。

一つ見方を変えて考えてみる。
世界を構成する要素に成り得る力を持った神がその後に思考も何もかも失うということがあるのだろうか。
世界に溶けるも意思を残したとすれば、その後の世界の推移を見続けてきたということでもある。
もしもルガナンが再び世界に顕現しようとしているのならば、そのための種を世界に残したとすれば?
一説によると国を司る神の力は民からの信奉や認識から強くなるとも言われている。
もしルガナンという存在に対する心の強さが神を形成するまでに集まったとすればどうなるのだろうか。
その時は蛇神として世界に顕現するのかも知れない。そしてその力と姿は言語のある地球にも波及するのではないか?
私は姿を失ってもまだその威光を失わない蛇神ルガナンに一抹の不安を感じた。
古き神の今の世での再誕というものがどれほどの影響を両世界に与えるのだろうか?と。
神は世界に住む人々のためにその全てを理と化した訳ではないのかも知れない。
ルガナンの、人の理解が及ばぬ壮大な計画の始まりが言語の誕生だったのではないかと。


「…というレポートが此度送られてきまして…いかがいたしましょうか?」
「構わんよ。こちらの世界にも偉大なる神を知ってもらうにはいい機会じゃないか?」
「しかし内容が…」
「分かっていないな君も。良し悪しに関係なく識は広まっていく。そこから先は我々の仕事なのだ」
「それにしても人間の知識欲は目を見張るものがあります」
「地球という器を知り尽くした種にとって未知の異世界でも更に未知である神は欲の向く先になるのは必然。
精々我らが神の力を蓄えてもらうとしよう」

  • 腐れ神様は力の大部分を根幹法則に戻して今はお散歩用のアバターだけ所有してるような感じですけど、ルガナンも実はどこかにそういうアバターが存在するのかも -- (名無しさん) 2017-09-17 12:40:38
  • 遥か太古の神がはっきりと今に伝わっているのは確かに何かありそうと思っちゃう -- (名無しさん) 2017-09-17 14:09:05
  • 世界のシステムを生み出した神ってだけでもスケールがでかすぎる -- (名無しさん) 2017-09-24 16:35:52
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最終更新:2017年09月17日 03:25