異世界でも稀有な種族であるトロールは生物としての法則の外に幾何か踏み出していると言われている。
対象の重量、質量を物ともしない剛力や地中、水中をも苦にしない行動力、そして圧倒的な防御力がその理由である。
元々人里から離れた土地で暮らす彼らが人の中で共に働くなどするのは珍しいことえあり、真に心を許すか認めるかした証でもある。
そんなトロールの天職とも言える“船牽き”は書いて字の如く、海底を進むトロールが艦船を曳航するというものである。
浮いてはいるものの大型船を波や風で動かし始めるのは、大きな強さが必要でありその扱いは当然難しくなる。
逞しい水夫達の力による推進も主流ではあるが、それには船体に彼らに働いてもらう場所が必要となってくる。
兎に角一つの船に一つでも多く荷を積もうとした思案のゴールの一つが、精霊の力を大きく借りて気象を動かし船の推進力とし
船体内部に人の働くスペースを減らせるだけ減らすというものであった。
名うての精霊交渉士や精霊術士を時には複数人用意するなどしてそれは実現した。
しかしそこで問題が発生する。港湾で強い気象を起こせば港や陸地に影響が大きいということなのである。
そこで重用されるのが“船牽き”なのである。
波風お構いなしに少し沖まで船を曳航し、精霊の力で気象を起こし船を進める。
船が進み出すとそれまで海底を歩いていたトロールがみるみるうちに海面へと浮かんでくるのだ。
彼らが「沈みたい」と思えば沈み、「浮きたい」と思えば浮く…のかは定かではなく、口数の少ない彼らから真相を聞こうにものんびりとした雰囲気にはぐらかされるかにこやかに笑い返されるのが関の山である。
長く大きな労力と理解の果てにトロールを専属の船牽きとして雇っている商人は間違いなく大商人の中の大商人であろう。
波に乗り風に押され進む船から延びる荒縄がえいやえいやと引き戻されていく。
縄の先に体を括り付け大きなお腹を空に向けて浮かび、空を飛び鳴く影を眺めるトロールの心の中を知るものはいるのだろうか。
スレで話になっていた荷物だけを積む輸送船はどう動かす?という考察から一本
- 自身へ悪影響のあるあらゆる現象をシャットダウン可能とかスーパー盾役なイメージがあるトロール -- (名無しさん) 2019-04-02 01:48:17
最終更新:2019年03月20日 04:05