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【月刊アトランティス大延国特集号から一部抜粋】

歌楽茶宴という行事が延の上流・貴族社会では定期的に行われる。
この行事を噛み砕いて説明すれば宮中の有力者達が芸事を披露し互いに品評する行事である。
その演目は多彩多岐にわたり、そのいずれも豪華絢爛である。
歌楽茶宴は宮中のあらゆる場所で舞台が設けられ延の有力者なども招待されて盛大に催され、市井の者が歌楽茶宴に呼ばれるということは一族末代にまで残せる自慢でありステータスなのだ。

また、歌楽茶宴は次期皇帝を決める皇帝指名の前哨戦と捉える向きも強く、この日のために多くの者が己が芸に磨きをかけ、芸をより良く見せるための努力に注力する。
現在の大延国皇帝であり朱王を冠するクウリは詩詠みと巾上架庭に深い造詣があることでも知られ、若き頃のクウリは歌楽茶宴などで斬新でありながら真理を表現した詩や巾上架庭を生み出しては披露し皆を驚嘆させ、そのことが後に多くの精霊の支持を得ることにつながったとも言われている。
芸を極めることとはつまり皇帝への道なのである。

延の上流社会では精霊とのコミュニケーション能力を向上させるという目的から芸事を重視する傾向があり、延の政治を担う官吏の出世にもこれらが深く関与する
延の官吏には大別して文門 武門 芸門 という三つの出世の道があるとされ
文門とは大延国の政治的な書類仕事を一手に引き受ける事務屋のことを指し、文門の最高職は帝付きの助言吏とされ、延のあらゆる情報を掌握し延の影の皇帝などと言われた者も過去には幾人も居たほど途方もない権力を手に入れ動かすことができる。

次の武門とは文字通り軍人や軍略家などを指し、武門の最高職は四方鎮守の四将か大軍師とされ、延の軍事力をいくつかの制限があるものの独自の采配で動かす権限を持つこととなる。

最後が芸門であり、これはかなり特殊かつ狭き門とされる。
文門や武門は家柄が大きく出世に影響する場合が多いが芸門はただ一点「精霊とどれだけ心通わすことができるか」という点が重視される。
多くの精霊と心通わせ強大な精霊魔法という武力を行使できる皇帝を国家安定の礎とする延において精霊との交渉交流に長けた人材というのは是が非でも多く集めておく必要があった
大延国皇祖にして若き霊王と呼ばれた始延帝リホウは歌と琵琶の音色で多くの精霊の心を掴み、その助力を得て多くの難業を成したと伝えられている
この事から延では優れた芸能者は即ち優れた精霊使いでもあり、また特別待遇の官吏でもあるのだ。
芸門の官吏は普段は市井でそれぞれの仕事をこなし、皇帝やそれに近しい者の呼び掛けに応じる形で国家の仕事に関与するという形となっている
街角で琵琶を弾き語る歌人が実は芸門に属する上級官吏扱いの人物ということもありえるのである。

そして、芸門の仕事は皇帝子息の教育から大延国内外の諜報活動まで驚くほど多岐に渡り、また多くの組織の管轄に跨る案件の場合が多い
この事から芸門の官吏には「御免符」と呼ばれる特別な免状が様々な特権の付与と共に交付され、よほどな場所でない限り彼らはあらゆる場所に足を運ぶことができる。
この「御免符」には皇帝が所有する特別な筆によって「この者、朕の手であり足であり目であり耳であり口である」という内容の躍字が書かれ、手渡された者以外の手に御免符が渡ればたちどころに元の主のもとに戻り、主を失えば消滅するという万全の偽造防止が施されている。

このように延という国はその国の成り立ちから強く芸能とつながりのある国ということを知っておいてもらいたい。


月刊アトランティス  2007年12月号から一部抜粋


  • 題目で説明したい部分はしっかり説明しつつも解説がくどくないのがいいですね。最後にワンポイントでゆかりのある品を出してくるなど短い中での構成が光っていました -- (名無しさん) 2013-12-01 17:32:13
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最終更新:2013年12月01日 17:29