扉をくぐると本当に暗やみで、誰もいないのではとの不安を持った。
だから、震える口で光を喚ぼうとした。
そっと、唇にやわらかい指が触れた。
息が止まる。
あの娘の口が紡ぐのは、俺とはうってかわって穏やかな音。
その余裕にわずかな嫉妬を抱くも、ほのかな光が灯るとともに吹き飛んだ。
あまりにも薄手のヴェールから垣間見えるのは、驚くほど滑らかな毛並み。
その橙色が、抱き締めた暖かさを否が応でも想像させる。
ほのかな光は影を一層際立て、陰影に体の流れを強調させながらも肝心要は楚々と隠している。
俺はもう理性が限界で、飛び掛かるぞ、という意味を込めて眼差しを投げた。
色欲一辺倒だった俺がその時はじめてあの娘の顔を見た。
目を伏せていた。ヒゲをひそやかに震わせていた。
首から下とは裏腹な、初々しさ。
つんっと立てた耳が何かを期待する見えて、俺は穏やかな気持ちになれた。
理性が勝利したのではなく、また別の感情が主導権を手に入れたのだ。
つたない褒め言葉に予想外に喜色をあらわにしてくれて、嬉しさがこみあげた。
と、同時にさっきまでの俺は本当に馬鹿だったと胸の内に苦笑する。
無毛の手のひらが、あの娘の被毛に触れる。
流れるように心地よく、逆立て撫でるとあの娘が声を漏らした。
ぎゅっと抱き締めた。勢いのまま寝床に傾れ込んだ。
手が体毛に沈み込み、指の肌と横腹の肌が触れ合う。
しなやかな感触。にじむ熱。
脈々とドキドキしてるのは、どちらだろうか。
たぶん、二人とも同じ気持ちだ。
あの娘の舌が喉元の毛を梳く。心地よさに喉を鳴らす。
あの娘もそれに満足するように喉を鳴らした。
戯れ合うように愛撫する。互いの吐息をわずかに荒げながら。
楽しげなようすに釣られて、光と闇の精が揺らめきはじめた。
ときおりの偶然が生み出す妖艶さに、ささやかな忘我。
軽く爪を立てた。甘い声があがった。
あの娘の瞳が悪戯に輝いた。のしかかられ、首元を強く噛まれる。
俺の喉から飛び出たのは、自分のものとは思えないほどの繊細な。
くすぐりながら、互いに爪立て牙立て傷つけ合う。
俺もあの娘も、痛みの中の甘やかさを必死に探っていた。
あの娘が爪を振るうたびに悦びをみせて、もっと傷をと言外にせびる。
そう、愛とは試練だ。
そして、愛とは一方的なものではいけない、と思う。
あの娘が、いいよ、と言った。
俺も、限界だった。
あの娘の視線が下がる。向かう先には、トゲ付の凶悪な。
あの娘の瞳に涙がにじむ。
我ながら顔を背けたくなるけれど、覚悟を決めなくてはいけない。
視線を絡ませ、決心を互いに確認する。確信する。
そして、突き入れた。収縮した。放出した。悲鳴が裂いた。
達成感と疲労感と罪悪感と快感がないまぜになったものに、俺はひたされた。
あとは、二人寝床に倒れて沈むように気を失った。
敷き布に、血がにじんでいた。
Q:R18ですか?
A:アニマルプラネットもナショナルジオグラフィックもR18ではありません。つまりそういうことです。
Q:トゲちんこ?
A:はい、トゲちんこです。猫は痛みで強制排卵して受精します。
交尾に時間をかけていられない野生空間において、ぬるい快感よりも手っとり早く鮮烈な痛覚が重宝されました。
じゃあ、文化を手に入れた猫人さんはトゲいらないんじゃね?
と、言われたらそのとおりです。他の多くのssもトゲちんこ設定ではないでしょう。
しかし「猫人さん先天的ドM説」を捨てがたく、トゲちんこ設定を採用しました。
- 情熱的でとても艶かしく猫人を表現していました。トゲはやはり痛いのでしょうか -- (名無しさん) 2014-07-27 17:13:33
最終更新:2014年07月27日 17:12