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【仮説・サミュラ誕生】

 西暦千四百年代ヨーロッパ
 ルネサンス旺盛なりし中でも教会の分裂や銃器の出現など
 人々は戦争を忘れる事が無かった

「我は勝利する者! 我の行く先は戦いのみ!
倒したければ続け! 猛りたければ並べ!」
国と国に挟まれた、国と言うにはおこがましい小さな小さな国からそれは始まった。
十三の宴の最中、王である父を討ち、その首を掲げ王を名乗った王女。
“闘争”を掲げ自ら国を焼き、背水の狂兵を引き連れ隣国へ攻め入った。
小国故に黙されて来た存在が、十倍にも及ぶ兵力と衝突した。
故国を失い退く事が出来ぬ兵達は只管に己が感情を押し潰し先頭を駆ける女王を追った。

 “首冠の戦女王”“赤き狂身”“紅”
虚を突き怒涛の勢いで王の下まで攻め上がり、その首を刈った女王を畏れ称える銘。
血を全身に浴びながら首を掲げる姿を目の当たりにした兵達の中で何かが壊れた。
「支配など眼中に無し! 故にお前達に構う事も無い!
我はすぐさま次なる戦いへ赴く! 続きたければ続け!」
無謀な突撃戦の結果、兵を幾分か失った筈だが
更に隣国へと攻め入る女王に続く群れの数は倍以上に膨れ上がっていた。

曜日も月日もまどろみの中に沈んだ血まみれの日々。
しかし彼女は理解していた。
その日が十四の祝い日だと言う事を。
そして彼女は悟っていた。
「貴女以外は投降…もしくは倒れました。
貴女は…どうなされますか」
伝染病よりも国土を脅かす赤黒い渦の脅威に、諸国連合が討伐へと動いたのだ。
しかし、三十倍の兵力に囲まれ、地の利に於いても不利な状況にも関わらず
その渦は、あわや軍の首を噛み切る寸前まで至った。
しかし、圧倒的敗北の様相は兵の魂を折り、無力化させる。
残り僅かになりながらも本拠を喰らわんと絶壁を駆けた女王の前に最後の障壁が立ち塞がったのだ。
「信仰は闇よりも強し、か」
「己を闇と分かっておいでなら…貴女はまだ救われます」
目を合わさずに夜を見上げる女王に馬足半歩寄る障壁。
「貴女の名を教えて下さりませんか? 私の名はジャ ──
名乗ろうとした女騎士を、女王は鋭い切っ先により制する。
「フフ… “次”の考にさせてもらうとしよう。 我の魂が我であるために」
月光に照らされし紅く染まった蒼銀の鎧。
千りに破れながらも血の滴り止まぬ外套。
聖女の微笑みを携えながら谷底へ背落ちる王女を止めようと動く者は誰一人いなかった。
圧倒的な何かに気圧されたために。


 何も感じぬ 空気も音も 光も闇も
 我は消えるのか それとも生まれ変わろうとしているのか
 消える
 掴んだ
 手繰り寄せる

暗い森。 異質な巨木と聞いたことも無い鳥獣の鳴き声。
白く染まる瞬きの後、地に足で立っている事に気付く。
しかし、それ以外は何も分からない、思い出せ無い。
ふと左腕が誰かの右腕を握っているのを認識する。
振り向くとそこには少女。 黒い髪と黒い瞳。
そしてその瞳に映るのは、その少女と同じ顔の ──
  ── 私


サミュラ誕生の経緯を考えて見ました。
あくまで仮説、一つの案という事なので他にも考えてみたいと思います。

  • スレに出てくる逆の性格?死んで反転したのかそっちが素だったのか -- (とっしー) 2012-08-29 15:58:53
  • モルテに生前の負の感情がごっそり吸われたのがサミュラ? -- (としあき) 2012-09-01 02:07:58
  • サミュラが一体誰だったのか何だったのかっていまだに謎だよね。昔と今とで性格変わっててもおかしくないか -- (名無しさん) 2013-11-02 20:17:44
  • 生前の記憶を失うことのあるスラヴィアンその祖であるサミュラの心優しい今が後に生まれた人格だとしたら?と考えさせられました -- (名無しさん) 2014-12-14 17:24:04
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最終更新:2012年08月29日 04:44