0415:アビちゃんの撤退大作戦
15:30
琵琶湖、小屋の部屋内。
仙道は、再び眠りに就いていた。
本当は少年と話したかったが、薬のせいか徐々に意識が遠くなり、抵抗する間もなく闇に落ちた。
外では
アビゲイルとサクラが見張りをしている。彼らには世話になりっぱなしだ。
(――――次に目を覚ました時には、必ず・・・)
香は仙道の額のタオルを取替え、泥に塗れた新八の身体を拭いた。
夕方に四国に向けて出立するまで、まだ時間はある。
出来ることは少なくてもやれる事は全てやっておかなくてはならない。
新しい仲間の荷物も新調した方がいい。部屋の中央に山積みの道具類からデイパックを2つ。リョーマに渡した。
アビゲイルが沢山ありすぎて不要だと呟いていたから、あげてしまって構わないだろう。
リョーマはずっと俯いたまま床を見ている。言ってしまった事を後悔してるのだろうか。
あれから言葉を一言も発しない。香も何か声をかけるべきだと思ったが、気まずい空気が邪魔をする。
結局、いくら考えたって彼の処遇は星矢達が決めることだ、事情が事情だから酷いことにはならない、と信じたい。
せっかく助かったのだから。
「すんません。迷惑かけて。星矢たちが嫌がったら、ちゃんと出ていきます」
「出て行ってどうするのよ!?野垂れ死にしたって何の償いにもならないじゃない!!」
「すんません・・」
香の剣幕に、硬直している。
「謝らなくていい!私が怒ってるのは、あんたのその自暴自棄で投げやりな態度よっ!」
「これ素だし」
「口答えしないっ!もう・・・そうだ、あんたお昼食べてないでしょ」
「・・・ハイ」
「アビゲイルさんがどっさりくれたから好きなの選んで。私も食べるからさ」
食料の中から適当に選んで、リョーマに放った。
「・・・ハイ」
「機械的な返事をしないっ、はい食べる。食べる」
「はい・・・」
「お湯飲みなさい。身体が冷えてるだろうって、さっきサクラちゃんが沸かしてくれたわ。
せっかく助かった命大事にしなさい。これから四国まで歩くんだから、うんと体力つけなきゃ。
また出てくなんて言ったら引っ叩くからね・・・ね、しっかり私の顔見なさい。約束できる?」
「・・・・・・」
沈んだままのリョーマの肩を香が掴む。手は大きくないけど強い力だ。
リョーマは眠っている新八を見た。香の顔がまともに見れない。
これが麗子だったら?自分は逃げずに告白できるだろうか。
「約束しなさいっ!そんな病気の死神みたいな顔で謝られたって、星矢君たち何にも言えないわよ。
本当にそれでいいの?ちゃんと話し合いがしたいなら、後ろ向きな事を考えるのは止めなさい」
「そんなの、わかってるよ」
「わかってないわよ、じゃあ、どうして私と目を合わせようとしないの!?」
香の言葉に、リョーマはゆっくりと顔を上げる。
彼女もまた、傷だらけだ。
「もし、出てけって言われたら・・・」
「まだそんなことを・・・!」
「斗貴子さんを探すよ」
「なに馬鹿なこと言ってるの!斗貴子さんて、彼女に襲われて殺されかけたんでしょう?
そんな人連れてきてどうするの!?考え直しなさい!今度こそ殺されるわよ!」
香は斗貴子に会ったことはない。しかし、彼女がどんな人間かは彼らの傷を見れば分かる。
鋭利な刃物で切り裂かれた酷い傷痕。こんなことをする人間に話が通じるとは到底思えない。
「あのヒトが、今は何を思って、どう動いてるかはわからない。だけど、なんか・・・
上手く言えないけど、俺たちが出会った時より、もっと追い詰められてる気がする」
「・・・どうしてそんなに彼女に執着するの?」
「執着してるのは主に、この人だよ」
眠っている新八は呑気で、幸せそうだ。身体も着物もボロ雑巾のようだけど。
さっきまで死にかけていた人間とは思えないほど無防備だ。
「非常識なくらいお人好しなんだ、この人は・・・俺の罪はキルアを殺しただけじゃない。
他人のために無茶ばっかりして、自分より他人が大事だって人に、俺は人殺しをさせちゃったんだ」
視線が心に突き刺さるようだと、リョーマは思った。それでも香の瞳から目を逸らさなかった。
逸らしたら言葉が続かなくなる。そんな気がした。
「俺が、しっかり自分を守ってれば、あんなことにはならなかった。この世界を甘く見てたんだ。
誰が殺し合いなんてするかよってタカを括って、変なおじさんに斬りつけられた。
実際は狂った連中ばっかりで、この人が助けてくれなかったら俺は死んでたんだよ。
人を殺すのがどんな気持ちなのか、どんだけ辛くて恐ろしいことなのか、俺は思い知った。
こうして話すだけであの嫌な感触が戻ってくる・・・この人もそれを味わったんだ。2回も。
なんで、こんな目に遭うのかな。俺のしたことは許されることじゃない。けど、この人のは違う。
全部、他人を助けるためだ・・・自分だって死んでもおかしくないくらい痛めつけられたくせに、
襲ってきた奴の心配ばっかりして、ホント、馬鹿なんだよ。人の心配より自分の身体心配すりゃいいのに」
袖で乱暴に涙をぬぐう。
自分はなんでこんなこと話しているんだろう。どうして、こんなに泣いてるんだろう。
森の中で弱り、死に近づいていく新八にすら言えずにいた言葉を、知り合って数時間しか経たない女性にぶつけている。
「・・・だけど、この人は・・・それでも笑ってた。
人を殺して、死ぬ以外に償う方法があるってことを、新八さんが教えてくれた。
俺は、この人を死なせたくない。自分を殺そうとした相手を探すなんて正気の沙汰じゃないことくらいわかってるよ。
でもこの人は探す。俺が止めたって駄目だ。地の果てまで探し出して説教する。だって斗貴子さんは迷ってたから。
頑固で石頭で人の話を聞かない。思い込みが激しくて、そのくせ優柔不断でお人好し。この人とそっくりだ。
必死でもがいてる人間を、この人は放っておけないんだよ。
星矢たちの力になれないなら、せめて斗貴子さんを止める。それが俺の償いだ。
わけわかんないかもしれないけど、それが、俺の・・・」
「うん・・・わかった」
何が分かるんだよ。俺だってもう自分でも何言ってんのかわからないのに。
頭が痺れて痛い。苦しい。これが罪悪感か。ずっと新八に言いたかったことだ。
涙でぐしゃぐしゃの拳に、いつのまにか香の手が添えられている。
普通、いきなり泣かれたらドン引きしない?変なお姉さん。
俺、すっげーカッコ悪いな。
ごめん。ありがと。
~~~~
16:15
アビゲイルが戻ってきた。その巨体の脇からサクラが顔を覗かせる。手には陶器。
食欲をそそる良い匂いが部屋中に漂った。
「皆さん、ティ~タァ~イムにしましょう!」
「あ~お腹ぺこぺこ。香さん、仙道さんの具合はどうですか?」
「午前中より大分熱が下がったみたいよ。微熱はあるみたいだけど、ぐっすり眠れてるわ」
「こちらも落とし穴を掘ったりと有意義な時間を過ごさせてもらいました。
明日の朝には猪か吸血鬼が捕れてるかもしれません」
アビゲイルは床にどっかり座り、水を飲む。サクラは持っていた陶器を置いた。
「サクラちゃん、なぁに?それ」
「雑炊です。食料品におにぎりやスープがあったから、一緒に煮込んでみました。
さっきの薬湯と違って味には自信がありますよ。病人にはこれが一番ですからね」
「ここに『おはようマイマザー一番星君グレート』が無いのが残念です」
「何ですか、それ」
「どんな睡眠状態からでもスッキリ起きられる魔法のアイテムです。狸寝入りの場合は死にますけどね」
「仙道君、新八君、早く起きて!!」
香が新八を揺さぶり、サクラが仙道の耳元で叫ぶ。
「うぅ~~んパンツぅ~~」
「いま聞き捨てなら無い言葉が」
「ああ、時々あるんスよ。起きててもそんな状態だから気にしないで」
その瞬間、新八の頭が香の胸に、ぱふんっ―――と倒れこんだ。
「ちょっ・・・!」
「貧血症状です、香さん。鉄拳はまだ閉まっておいて下さい」
「・・・わかってますっ!もう、別にこれくらいで怒ったりしないわよ!」
(・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ?)
なんだろう、これ?すごくやわらかい。
それは、新八が未だかつて体験したことのないほど柔軟な感触だった。
座布団ともハンペンともマシュマロとも違う、雄大で、暖かい――例えるなら究極の癒し。
この世の一切の苦悩煩悩を吸い取ってくれるかのような、慈愛に満ちた宇宙的な柔らかさ。
これが噂に聞く浄土なのか。僕はいま神秘の深遠にいる。ああ、柔らかい。柔らかいっていいなぁ。
新八は夢の中、至上の安らぎを感じていた。
―――菩薩だ。菩薩が現れた。小さくもなく、大きくもない黄金比率。これが菩薩のお、おお、おおおお
―――おっぱいって本当にやわらかかったんだ・・・!
―――僕、いや、俺、頑張るよ。隊長として。
新八は自分の身体に血よりも熱い、なんだかよくわからんが、とにかく熱い何かが湧き上がるのを感じた。
「・・・なんか、この子の体温、ぐんぐん上がってるような気が」
新八を抱いた形で、口に雑炊を運ぶと、物凄い勢いで噛み付き嚥下していく。
ツバメの雛か、こいつ。「ぱふぱふ・・・ぱふぱふ・・・」なんか呟いてるし。泣いてるし。
あいつに・・・少し似てるかな。
どうしようもなくスケベなトコと頭悪そうなオーラがでてるトコ。
香はちょっとだけ昔を思い出した。色んな依頼があったけど、吸血鬼退治はさすがになかったな。
やっぱり銀の銃弾しか効果はないのかな。
「そーだ、アビゲイルさん。たしか武器の中に銃がありましたよね。私に貸してもらえませんか?」
「そうですね、これはお嬢さんが持っていたほうがいいでしょう」
思いつきで言ったら、あっさり渡してくれた。いいのかなー、私、何の貢献してないのに。
べレッタM92。アビゲイルさんの仲間だった女性。リンスさんの形見らしい。
仙道君のカードや他の道具も全てアビゲイルさんに預けてある。
色々と考えたいことがあるそうだ。
それにしても・・・彼は小屋に来てから、ずうっと忙しそうに動いてる。
仙道君の看病、レーダーで薬草を探しに行ったサクラちゃんの位置の確認。
トランシーバーの修理や武器、道具のチェック。その間もずっと私の話を聞いてくれて。
サクラちゃんが帰ってきてからはこの子達の治療と話。同時に吸血鬼をレーダーで確認。
小屋の警備に、ご飯まで。
怖い顔だけどいい人よね。海坊主さんを思い出すな。そう伝えたら変な顔をした。
後ろめたいことをした人がするギクッ、とした表情。でも元が無表情だから、そういう顔されるとなんか嬉しい。
何を隠してるんだろう。ま、いっか。どうせ大したことじゃないだろーし。
ふん。吸血鬼、来るなら来い。
仙道君たちは私が守るわ。命に代えても。
悔いているなら、生きるしかない。
あの時こうすればよかったって何度も後悔を噛み締めながら。
自分の力の及ばないところでリョウは死んだ。海坊主さんも冴子さんも。
そして、三井君、
デスマスクさん、
太公望さん。皆が精一杯動いても、それでも犠牲者は出る。
生きてるなら、少しでも私達と同じ帰りたがってる人の力になりたいよ。
この子達は人を殺してしまった痛みを抱えたまま、それでも前に進もうとしてる。
いいじゃない。好きよ、君たち。
「なーんかいい雰囲気だな、あっちは」
「え?」
リョーマが振り向くと、さっきまで眠っていた青年が座っている。
大きな身体だ。アビゲイルには及ばないものの、先輩の乾より背が高い。2m近いのではないか。
「えっと、あんたは・・・」
「
仙道彰だ、よろしくな。越前リョーマ」
仙道はリョーマに手を差し出した。大きく分厚い手だった。
(この人、熱がある。まだ体調良くないんだ)
しかし、瞳には強い光を宿している。
「水、とってくれないか」
「あ、ウイッス」
~~~
16:40
時はゆっくりと進んでいく。
サクラは落ち着かない様子で何度もレーダーを確認し、外の天候状況を気にしている。
仙道はベッドに横になったまま体力を温存している。香は新八の介抱を続け、リョーマは壊れたラケットを修理している。
アビゲイルは道具、武器のチェック。香に再度カードの使い方を聞き、他の道具の使用法も全て全員に説明した。
※トランシーバー・ザ・グレイト君(アビゲイルが修理した、ただのトランシーバー)
通信距離はせいぜい2~3km。同じ県内ならば充分届く。
ただし、一度は浸水したものなので長くは使えないかもしれない。
※マシンガン。残弾は20発。銃器に関しては香が海坊主直伝の操作方法を皆に教えた。
※「真紅眼の黒竜」「光の護封剣」「闇の護風壁」「ホーリーエルフの祝福」
は本日の真夜中まで使用不可能である。
※五光石。投げれば必ず標的に当たる。ただし、投げた本人の体力が削られる。
首飾り(毒蛇の鎖)については、
リョーマは「・・・そうだったんだ、そっか」と切なそうに呟いた。
猛毒の塗られた装飾具。すでに1人の人間を殺めている。
~~~
17:00
琵琶湖は森と山に囲まれている。この小屋付近には陽を遮るものがないものの、もう夕暮れは近い。
傾いた陽は一層影を大きくする。
(だいぶ、影が長くなってきました。そろそろ吸血鬼どもが積極的に動きだす時間帯です)
(吸血鬼といえばD.Sの配下にもいましたね。
ニンニクも十字架も効かず、首を切られても生きていられる生命力。
月の輝く夜に最大限の力を発揮できるという無茶苦茶さ。
ナルシストで尊大でD.Sそっくりのお馬鹿さんでした。
暗黒の破壊神に操られたカル=スにあっさり返り討ちにされたそうですが・・・
あの程度の男なら私ひとりでなんとかなります。
しかし、サクラさんのあの怯えよう。相当の強敵だと認識を改めなければなりません。
あの再生能力でも首輪からは逃れられないのでしょうか・・・
・・・会ってみたいと言ったら、怒られるでしょうかね。
このまま生き残っていけば遅かれ早かれいずれは対峙する事になる・・・)
アビゲイルとて、内心穏やかではない。
病人怪我人を抱え、危険人物から逃げなくてはならない。
それがどんなに難しいことか。
しかし、足手まといだと感じている一方で、彼らを見ているとなぜか安らぐ。
リンスや
ブルマを失った痛手がそうさせるのか。彼らを生還させてやりたいと、願っていた。
(そういえば元の世界でも、私の周りは騒がしい人ばかりでしたねぇ)
まさか郷愁などという感情が自分に湧くとは思いもしなかった。
仙人太公望のマークしていた危険人物藍染は死んだ。しかし、彼を倒した者がいるという事実。
アビゲイルの脳裏に1人の男の姿が浮かぶ。黒炎を身に纏う戦士、飛影。
そして、斗貴子。はたして彼女は仲間に・・・なるのか?
ピッコロを探し出したとして、かえって絶望が深くなるだけではないのか。
思案を続けるアビゲイルの前に、仙道が立っている。
まだ顔色は悪く微熱があるようだ。しかし、その瞳からは微塵も弱さを感じられない。
「仙道君、容態はどうですか?」
「いけます。心配かけてすみませんでした」
「よろしい。今までの休息は君を待っていたようなものです」
「リョーマ君、新八君が重くなったら香さんに頼むといいですよ。彼女は怪力には自信があるそうですから。
ついでに君が乗っても気が付かないかもしれませんね」
「いつ私が怪力だって言いましたっ!人を象かゴリラみたいに言わないで下さい!
・・・あ、別に疲れたら交代するから、ちゃんと言いなさいよ!?」
「いいよ。別に」
「アビゲイルさん!いい加減、荷物をまとめないと逃げられなくなりますよ!?」
「はい。食料は均等に振り分けてください」
「えーと、98食分あるから6人で分けると1人16食分で2食余るわね。これはアビゲイルさんの分にしましょ」
「わかりました」
「この超神水っての飲むとどうなんの?」
「
ヤムチャさんみたいになるからやめた方がいいわよ」
「カードは俺が持ってていいんですか?今夜解禁になるらしいから、1人一枚の方が安全だと思いますよ。
どうっすか、アビゲイルさん」
「デビルが、ミニスカパンチラデビルが来る・・・」
「吸血鬼って銃弾で倒せるのかしら。心臓に杭を打ち込むしかないのかな、不安だわ」
「それ吸血鬼じゃなくても倒せるじゃん」
喧々囂々。昼の緊張感はどこへやら。女性陣は騒々しく、実にテキパキと荷物をまとめているし、
少年達には本来の活気が戻ってきたようだ(約一名、錯乱しているが)。
17:20
ついに光点は琵琶湖を挟んだ向かい側の森に差し掛かった。
(来たか・・・)
まだ陽はでている。が、こちらも山道を通らなくては南にいけない。
「そうだ、アビゲイルさん。四国に行く前に、一度兵庫に寄りたいんですけど、いいですか?
明日の朝に兵庫で両津さんと待ち合わせの約束をしているんです。もしかしたら早く到着してるかもしれない」
「そうして下さい。合流できる可能性が少しでもあると思ったなら、その通りに行動するべきです」
「アビゲイルさん、準備できましたけど、武器はどうします?誰がどれを持つか早く決めた方が、」
香は銃を持ち、リョーマは新八を布で背中に括り付けている。
仙道はサクラに支えられ立っている。死が迫っているにしては、実に騒々しい旅立ちの時間だ。
アビゲイルは苦笑しながら、修理したトランシーバーをサクラと香に一台ずつ渡した。
「これはお嬢さん方が持っていて下さい。使い方は教えた通りです。
長時間連続して使用すると調子が悪くなるので注意してください。
部品があれば完璧に直せたのですが・・・恥ずかしいことに、それで精一杯でしたよ」
「いいえ、充分です。太公望さんの残してくれたものだから嬉しいですよ」
「万が一はぐれても、これで連絡をとればすぐ合流できますね」
もう仲間と死に別れることも無いのだと、サクラは微笑んだ。
「はい」
「じゃあ、行きましょう。アビゲイルさん」
返事はなかった。
代わりに、数秒の沈黙を挟んで彼は言った。
「・・・皆さん。恐らく、これからも犠牲者は増え続けます。我々にしても明日の朝まで生きていられる保障すらない。
誰が死んでも構わず仲間の元へ行きなさい。そして1人でも味方を増やし四国へ進んで下さい」
いつも通りの淡々とした口調で、低い声がサクラの頭上を流れる。
なんか、変だ。どうして彼は一歩も動こうとしないんだろう。
「サクラさん。貴女は初めて出会ったとき、なんの躊躇もなく私の傷を癒してくれましたね」
「?・・・先に迷惑をかけたのはこっちですし、アビゲイルさん、酷い怪我だったじゃないですか」
「確かに貴女は感情に振り回される傾向がある。貴女の理想とする忍者には少々不向きかもしれません。
しかし、貴女の選択に救われた者もいることをお忘れなきよう」
「なに、言ってるんですか・・・?早く武器を取ってください、みんな待ってるんですよ!?」
アビゲイルの視線はサクラに向いている。
背筋に悪寒が走った。瞳を見た瞬間、彼の考えてる事がわかってしまった。
サクラの考える最も嫌な展開が。
「しばしのお別れです。お嬢さん」
「・・・!!」
「私がここに残ります。サクラさんは彼らを連れて京都へ行き、そこから電車で四国に向かいなさい。
今から残りの武器と道具の分配をします」
【滋賀県/琵琶湖周辺の小屋/夕方】
【アビゲイル@BASTARD!! -暗黒の破壊神-】
[状態]:左肩貫通創、全身・特に右半身に排撃貝の反動大、無数の裂傷(傷はサクラによって治療済み)
太公望からの情報は香から受け取りました。
[道具]:荷物一式、食料・水18食分
[思考]:1.吸血鬼『DIO』と交渉。無理なら戦闘。危なくなったら逃げる。
2.香、サクラ、仙道、新八、リョーマが逃げるだけの時間を稼ぐ。
3.なるべく早い内に斗貴子を止めたい。
4.レーダーを使ってアイテム回収、所有者の特定。
5.首輪の解析を進める。
6.協力者を増やす。
7.ゲームを脱出。
【春野サクラ@NARUTO】
[状態]:ナルトの死によるショック中(大分立ち直りました)
仲間の治療のためチャクラを少し消耗、太公望の情報を受け取りました。
[装備]:マルス@BLACK CAT
[道具]:荷物一式、食料・水16食分
[思考]:1.アビゲイルの意見に困惑
2.ケンシロウの敵も討ちたいけど・・・
3.四国で両津、星矢、麗子と合流(その前に一度兵庫に寄る)
4.四国で合流できない場合、予定通り3日目の朝には兵庫県に戻る。
5.仲間を集める
【仙道彰@SLAM DUNK】
[状態]:微熱、小疲労、負傷多数(サクラによって治療済み)、軽度の火傷
太公望から様々な情報を得ている。
[装備]:如意棒@DRAGON BALL
[道具]:荷物一式、食料・水16食分
[思考]:1、何があっても香を守り抜く。
2、四国を巡り、太公望の仲間と接触。太公望からの情報を伝える。
3、追手内洋一を探す。
4、アビゲイルと協力し、首輪の解除。
5、ゲームから脱出し、仲間とともに主催者を倒す。
【槇村香@CITY HUNTER】
[状態]:右足捻挫(治癒済み)、太公望から様々な情報を得ている。
[装備]:ベレッタM92(残弾数、予備含め31発)
[道具]:荷物一式、食料・水16食分
[思考]:1、アビゲイルの意見に困惑。
2、仙道を守る。
3、四国を巡り、太公望の仲間と接触。太公望からの情報を伝える。
4、追手内洋一を探す。
5、アビゲイルと協力し、首輪の解除。
6、ゲームから脱出し、仲間とともに主催者を倒す。
【志村新八@銀魂】
[状態]:中疲労、全身所々に擦過傷、上腕部に大きな切傷、たんこぶ、他骨折等(治療済み)
歯数本破損、貧血、現在の状況が読めていない
[道具]:荷物一式、食料・水16食分
[思考]:1.爆睡、ちょっぴりづつ気力体力回復中。
2.もう一度斗貴子に会いたい。
3.藍染の計画を阻止(藍染が死んだことを知りません)。
4.まもりを守る。
5.銀時、神楽、沖田、冴子の分も生きる(絶対に死なない)。
6.主催者につっこむ(主催者の打倒)。
【越前リョーマ@テニスの王子様】
[状態]:小疲労、脇腹に軽度の切傷(治療済み)、 新八をおんぶ
[装備]:毒牙の鎖@ダイの大冒険
[道具]:荷物一式、食料・水16食分、壊れたラケット@テニスの王子様
[思考]:1.今度は吸血鬼退治?え、逃げるの?
2.新八が無茶をしないよう見張る。
3.四国で星矢、麗子と合流。キルアのことをきちんと話す。
4.藍染を殺した人を警戒。
5.斗貴子、まもりを探す。
6.生き残って罪を償う。
※残りの武器、道具はまだ部屋の中にあります。
雷神剣@BASTARD!! -暗黒の破壊神-、ディオスクロイ@BLACK CAT
排撃貝@ONE PIECE、無限刃@るろうに剣心、首輪
ドラゴンレーダー(オリハルコン探知可能)@DRAGON BALL
ヒル魔のマシンガン@アイシールド21(残弾数不明)、五光石@封神演義
グリードアイランドのカード[漂流]@HUNTER×HUNTER
兵糧丸(3粒)@NARUTO 、超神水@DRAGON BALL
ウソップパウンド@ONE PIECE
アイアンボールボーガン(大)@ジョジョの奇妙な冒険 (弾切れ)
遊戯王カード@遊戯王
「真紅眼の黒竜」「光の護封剣」「闇の護風壁」「ホーリーエルフの祝福」…二日目の真夜中まで使用不可能
「六芒星の呪縛」
※トランシーバーは修理済み。2~3kmの中距離なら使用可能。
※新八は放送を聞いていない為、藍染の死亡を知りません。
※小屋周辺に無数の小さな落とし穴。
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最終更新:2024年07月30日 13:00