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プレゼントの準備

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だれでも歓迎! 編集
「いるかい?」
  平日の昼下がり、鉄鉱石が訪ねて来た。あいかわらず、唐突なところは変らないのね。
「あら、いらっしゃい。紅茶でいいかしら?」
「ニルギリを頼む。ミルクは――」
「自分で入れるから、ミルクジョグで別にしてくれ……だったわね。変わらないわね、そういうところ」
「変わらないのはお互い様だろう」
  言ってくれるじゃないの。
「そうね。それで、今日は? 貴女がお茶を飲みに来ただけってことはないわよね」
「ああ、途中経過の報告と、もう一つ」
「もう一つ?」
  何かしら……。
「『鎌』を出せ。そろそろ時期だろう」
「そういえばそうね。頑張って手入れしてはいるのだけれど……」
「地金はしっかりしているが、刃が持たないな。思ったとおりだ。預かるよ。一度、鋳潰して鍛え直す。溶鉱炉(アトリエ)に取りに来れるか?」
  ぶっきらぼうを装っていても、マメなところも相変らずね。
「いつごろかしら?」
「年末までには仕上げよう。今度は素材にも工夫してみようと思う。この国の刀鍛冶の技法で面白そうなものがあった」
「ありがとう。楽しみだわ。それと、もう一つ。途中経過は?」
「ああ、妹たちのリサーチはこれからだ。いまはまだ挨拶まわりをしている。何年も放っておいて、いきなりリサーチもないからな」
「気にすることないのに……でも、そういうことを気にするほうが貴女らしいかしら」
「なっ!」
  頬が赤いわよ。ふふっ。
「みんな、喜ぶわ。思いがけないサンタクロースがやってくるのですもの」
「何度もやらんぞ……たまに……姉としてだな……」


「いいのよ、取り繕わなくても。貴女と私の間ではね」
「ふっ、そうだな……また、寄らせてもらう。プレゼントは……当日までには間に合わせるよ」
「お願いね」
  マメで、姉妹思いで、優しくて、気配りと目配りも行き届いて、行動力と実力もあるのに。ぶっきらぼうな態度と物言いで照れ隠しをするものだから……。
黒曜石には会ったのかしら?」
「あ、ああ」
「容姿が一番似ているあの娘を一番可愛がっていたわね。『一緒にするな……』いまも同じ考えかしら?」
「あの娘は……素直な良い娘だ。私のようになってはいけない……」
「自分を卑下する必要なんてないのに。貴女だって……」
「いいのだよ、ペリドット。私は私。変えようもない。いまの自分が一番性に合っている。いい思い出もある。それだけで充分さ。これからも、陰ながら彼女の成長を見守ることができれば、それでいい。さて、長話が過ぎたな。まったく、お前といると私のペースが崩れる。あいかわらずやりずらい女だな」
「お互い様よ。またいらしてね。今度はお菓子も焼いておくわ」
「それは楽しみだ。クローデットクリームは――」
「食感を優先でしょ。ラズベリーとアプリコットのジャムも煮ておくから」
「よろしく」
  表舞台には立たない陰の存在。でも、そのほうが貴女らしいのかしら。
  遠ざかる背中を見送りながら、今度のクリスマスのことを考える。今年は、いいパーティになりそうね。


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