『──織田信長』
「織田信長……」
「織田信長……」
黒尽くめの男、ジンはらしくなく呟いた。
ジンは裏社会の人間だ。その引鉄は軽く、わずかでも生かすよりも殺すリスクが上回れば即座に殺し、その後は死体のことなど忘れる。
ゆえに、その反応は極めて珍しいものだった。舎弟のように振る舞うウォッカなどが見ればその呟きに思わず声を上げていただろう。
ジンは裏社会の人間だ。その引鉄は軽く、わずかでも生かすよりも殺すリスクが上回れば即座に殺し、その後は死体のことなど忘れる。
ゆえに、その反応は極めて珍しいものだった。舎弟のように振る舞うウォッカなどが見ればその呟きに思わず声を上げていただろう。
「織田信長……」
それほどまでに、今放送された名前は衝撃的だったのだ。
ジンは織田信長を殺した。教科書に載っているような、あの絵の信長だ。比喩では無い、本当にあの絵の信長だ。
ペラペラだった。ペラペラの信長の肖像画に首輪が付いていて、殺したら血を流して動かなくなったのだ。
思わず現実を疑った。己が何らかの薬物の影響下にある可能性を今も疑い続け、先程の放送でその疑念は深まる。
ジンは織田信長を殺した。教科書に載っているような、あの絵の信長だ。比喩では無い、本当にあの絵の信長だ。
ペラペラだった。ペラペラの信長の肖像画に首輪が付いていて、殺したら血を流して動かなくなったのだ。
思わず現実を疑った。己が何らかの薬物の影響下にある可能性を今も疑い続け、先程の放送でその疑念は深まる。
「織田信長……」
二次元の存在が動き、それを殺したという事実。理解できない現実に、思わずタバコを取り出しかけ、構えたスナイパーライフルがズレて舌打ちをする。もう何時間も狙撃の機会を伺っていて、その間わけのわからない現実にタバコ無しで向き合っている。いい加減に我慢の限界が近づいてきていた。
ジンは殺しを躊躇わない。それはここでも変わらない。無論、誰かにスタンスを聞かれれば口では殺し合いに乗る気などないと言うだろう。ジンに気づかれ殺されずに話しかけることができたのなら。だがそうでないのならば、殺すことに抵抗など無い。異様に武器が放置されている建物を見れば、他の人間は即座に抹殺すべきと判断するのは当然とまで思っていた。警察もいないであろう場所にこれだけの銃器があるという状況はよほどの失敗国家でも見られない。自分以外は全て敵だ。でなければ流れ弾で脳味噌をぶちまけるようなマヌケなことにもなりかねない。
よって、ジンは見つけた子供が顔を出すのを待ち続けていた。
ジンは殺しを躊躇わない。それはここでも変わらない。無論、誰かにスタンスを聞かれれば口では殺し合いに乗る気などないと言うだろう。ジンに気づかれ殺されずに話しかけることができたのなら。だがそうでないのならば、殺すことに抵抗など無い。異様に武器が放置されている建物を見れば、他の人間は即座に抹殺すべきと判断するのは当然とまで思っていた。警察もいないであろう場所にこれだけの銃器があるという状況はよほどの失敗国家でも見られない。自分以外は全て敵だ。でなければ流れ弾で脳味噌をぶちまけるようなマヌケなことにもなりかねない。
よって、ジンは見つけた子供が顔を出すのを待ち続けていた。
『──追加ルールは……ジャン! キルスコアレース! 6時間で一番殺した参加者は、優勝者とは別にゲームから勝った扱いになるぜぇ──』
流れ続ける放送はスマホで録音している。ジンは500m先の小学校と思わしき校舎を狙い続ける。
かれこれ3時間以上前に見つけた少女、安西こころが山本ゲンキと共に校舎に入っていってから、校舎に動きはない。そのことがジンの警戒心を刺激する。
ジンは見敵必殺である。その基本原則を崩してまで2人を殺さなかったのは、彼女らが学校に入ったためである。
この会場西部の小学校がそうであるように、学校というものは避難場所として思いつきやすいものである。参加者の多くが小中学生ということもあってなおさらだ。それは会場北部にある小学校に50名近くの参加者が集まったことを考えれば明らかだろう。そしてゲームの制限時間がわからないという問題。後出しされるかもしれないタイムアップを警戒し、ある程度人数が集まってから狩りに行くことにした。
誤算だったのは、既に数名の死者が出ていたことだ。校門前には折り重なるように3つの死体がある。更に問題なのは中に入った2人が一向に姿を見せないこと。窓の多くはカーテンが開いているにもかかわらずまるで顔を出さない。中に叫び声も上げさせずに殺す手練がいたか、はたまたあの不用心な連中をしっかりと手なづけられる警察でもいたか。どちらにせよ、高確率であの小学校には一筋縄ではいかない敵がいるとみなしていた。
かれこれ3時間以上前に見つけた少女、安西こころが山本ゲンキと共に校舎に入っていってから、校舎に動きはない。そのことがジンの警戒心を刺激する。
ジンは見敵必殺である。その基本原則を崩してまで2人を殺さなかったのは、彼女らが学校に入ったためである。
この会場西部の小学校がそうであるように、学校というものは避難場所として思いつきやすいものである。参加者の多くが小中学生ということもあってなおさらだ。それは会場北部にある小学校に50名近くの参加者が集まったことを考えれば明らかだろう。そしてゲームの制限時間がわからないという問題。後出しされるかもしれないタイムアップを警戒し、ある程度人数が集まってから狩りに行くことにした。
誤算だったのは、既に数名の死者が出ていたことだ。校門前には折り重なるように3つの死体がある。更に問題なのは中に入った2人が一向に姿を見せないこと。窓の多くはカーテンが開いているにもかかわらずまるで顔を出さない。中に叫び声も上げさせずに殺す手練がいたか、はたまたあの不用心な連中をしっかりと手なづけられる警察でもいたか。どちらにせよ、高確率であの小学校には一筋縄ではいかない敵がいるとみなしていた。
「!」
放送は未だ続く中、Gewehr 98の銃口を即座に動かし引鉄を引いた。
この帝政ドイツ時代に設計されたボトルアクションライフルは21世紀に入ってなお狩猟などに用いられており、現代的な狙撃銃とは比べるべくもない古典的とも言える銃ではあるが、それゆえにジンはこの戦場で扱うに足る得物として選んだ。
落ちている銃を拾わないことは鉄則ではある。だがそれを言っていられないのも実情、簡単に分解点検して扱うことになるが、さすがに本格的な道具は持ち込めていない。シンプルな設計であるがゆえに分解組立が比較的容易でなおかつ調整もしやすいGewehr 98を頼りとすることにした。
窓から見えた赤い何かに即銃撃する。2から3m左にズレた。即座に調整し、再度射撃、わずかな間を置いて赤いものが弾けたのを見えて、ジンは眉間にしわを作った。
妙だ。2発目を撃つまでにかかった時間は約2秒弱。それだけあれば、銃声が届いていたはずである。にもかかわらず、頭だと思ったものは何の反応も示さなかった。
この帝政ドイツ時代に設計されたボトルアクションライフルは21世紀に入ってなお狩猟などに用いられており、現代的な狙撃銃とは比べるべくもない古典的とも言える銃ではあるが、それゆえにジンはこの戦場で扱うに足る得物として選んだ。
落ちている銃を拾わないことは鉄則ではある。だがそれを言っていられないのも実情、簡単に分解点検して扱うことになるが、さすがに本格的な道具は持ち込めていない。シンプルな設計であるがゆえに分解組立が比較的容易でなおかつ調整もしやすいGewehr 98を頼りとすることにした。
窓から見えた赤い何かに即銃撃する。2から3m左にズレた。即座に調整し、再度射撃、わずかな間を置いて赤いものが弾けたのを見えて、ジンは眉間にしわを作った。
妙だ。2発目を撃つまでにかかった時間は約2秒弱。それだけあれば、銃声が届いていたはずである。にもかかわらず、頭だと思ったものは何の反応も示さなかった。
(やられたか。)
このGewehr 98を撃ったのはこれが初めてだ。試し撃ちもしていない銃で500m先の目標に2発目には当てるというのは、一流のスナイパーであっても無条件に賞賛できるものだ。たとえこの殺し合いの会場が全くの無風という理想的な環境であっても、単身で狙撃に成功したジンの優秀さは微塵も損なわれない。
それでもジンは単なるスナイパーではない。的に当てるのが仕事では無く、人間に当てて殺すのが仕事なのだ。なにより、これまで全く動きを見せなかった敵が、あの放送程度で不用心に動くとは思えない。
膨れる疑問の答えは、音としてジンの耳を打った。
校舎の近くから1台の車が猛然と走り出したのだ。
それでもジンは単なるスナイパーではない。的に当てるのが仕事では無く、人間に当てて殺すのが仕事なのだ。なにより、これまで全く動きを見せなかった敵が、あの放送程度で不用心に動くとは思えない。
膨れる疑問の答えは、音としてジンの耳を打った。
校舎の近くから1台の車が猛然と走り出したのだ。
「スバル・360だと!」
古臭い車が広い道を往く。なるほど、狭い道では待ち伏せや罠などがあっても対処できないと踏んだか。だがそれは悪手、ジンは即座に撃つ。着弾までの1秒の間に、標的は銃口の先から消えた。
(なにっ。)
あんな旧車で的確に射線を切るように運転する。とんでもないドライビングテクニックにはジンも舌を巻く。
Gewehr 98の弾数は5。ジンならば瞬く間に再装填を終えられるが、それはこの一瞬では致命的な隙。あと2発で決着をつけなければならない。
Gewehr 98の弾数は5。ジンならば瞬く間に再装填を終えられるが、それはこの一瞬では致命的な隙。あと2発で決着をつけなければならない。
(来い、そうだ。)
猛進するスバル・360はジンの方へと進んでくる。途中で交差点を折れればその瞬間に撃つ、ドリフトの軌道は読みやすい、ジンならば当てられる、当てる。
だがジンの予想とは裏腹にあくまでも蛇行運転をしながら直進する。その胆力には驚かされるが、銃口は離さない。
ジンの狙撃の腕を理解しているのだろう。隙を見せずに速度を上げ、かと思えば細かな減速を入れる。だが曲がらなければジンに近づくことになる。あと3秒、3秒あれば道も狭くなりどんな動きをしようとぶち当てる、ジンの冷徹な瞳はピタリと止まった。
だがジンの予想とは裏腹にあくまでも蛇行運転をしながら直進する。その胆力には驚かされるが、銃口は離さない。
ジンの狙撃の腕を理解しているのだろう。隙を見せずに速度を上げ、かと思えば細かな減速を入れる。だが曲がらなければジンに近づくことになる。あと3秒、3秒あれば道も狭くなりどんな動きをしようとぶち当てる、ジンの冷徹な瞳はピタリと止まった。
ブオオオオオオ!!!
(──なんだと?)
その止まった瞳が見開かれる。
ジンは数秒の間硬直した。
そして2発の弾丸を放った。
ジンは数秒の間硬直した。
そして2発の弾丸を放った。
「……チッ、仕切り直しだ。」
撃ち過ぎた、もう位置は割れているだろう。拳銃に持ち替えると迅速に移動を開始する。
なんにせよ、これで2人だ。先のルールと呼ばれた人数を考えれば、まあ悪くはない。
ジンはしばらく駆けたあと追手がないのを確認するとタバコに火をつける。
久々の一服は、思いの外気持ち良くなかった。
なんにせよ、これで2人だ。先のルールと呼ばれた人数を考えれば、まあ悪くはない。
ジンはしばらく駆けたあと追手がないのを確認するとタバコに火をつける。
久々の一服は、思いの外気持ち良くなかった。
「う、動くなあっ! こ、こ、殺し合いなんてやめようよ! でないと、こ、こ、この子撃つぞぉー!」
「……君は殺し合いをしたいのか? したくないのか?」
「そ、それは……」
「ぼ!」
「わっ!?」
「……君は殺し合いをしたいのか? したくないのか?」
「そ、それは……」
「ぼ!」
「わっ!?」
顔色の悪い小学生らしき子供が、幼稚園児ぐらいの子供を人質にして支離滅裂なことを言っている。と思ったら幼稚園児の鼻水に銃をあっさり絡めとられ武装解除、尻餅をついていた。
一体何だこれは、あのわけのわからない子供はともかくその鼻水は何なんだ、念能力とかそういうのなのか。
白銀御行(まんが版)が、藤木茂がボーちゃんを人質にしているところに出くわしたのはゲーム開始から4時間は経った頃のことだった。
一体何だこれは、あのわけのわからない子供はともかくその鼻水は何なんだ、念能力とかそういうのなのか。
白銀御行(まんが版)が、藤木茂がボーちゃんを人質にしているところに出くわしたのはゲーム開始から4時間は経った頃のことだった。
「大丈夫かい?」
「ぼお。」
(……この子もこの子で大丈夫なのか?)
「藤木さんと、いっしょに、おとなの人を、探してます。」
(意外と話せるな……)
「ぼお。」
(……この子もこの子で大丈夫なのか?)
「藤木さんと、いっしょに、おとなの人を、探してます。」
(意外と話せるな……)
いやなんで仲間を人質にしてたんだよ、そうは思ったが、明らかに錯乱しているのでツッコむのはやめておいた。
白銀の4時間は全く誰とも会わなかった。というのも、この付近にいた人間はほぼ死んでいるか小学校に立て篭っていたからだ。もちろん、白銀が慎重に動いていたのもあるが、さすがに4時間も誰とも会わないというのはなかなか精神に堪えた。身も知らぬ街に学ラン1つで放り出された上に街には赤い霧となれば、さすがの白銀も深刻なストレスである。ああせめてコーヒーの1杯ぐらい飲ませて落ち着かせてほしい、そう思いながら街をさまよい、途中で見つけた自動販売機で缶コーヒーを買うかを神妙に悩んでいた時に見つけたのが、藤木とボーちゃん達であった。
白銀の4時間は全く誰とも会わなかった。というのも、この付近にいた人間はほぼ死んでいるか小学校に立て篭っていたからだ。もちろん、白銀が慎重に動いていたのもあるが、さすがに4時間も誰とも会わないというのはなかなか精神に堪えた。身も知らぬ街に学ラン1つで放り出された上に街には赤い霧となれば、さすがの白銀も深刻なストレスである。ああせめてコーヒーの1杯ぐらい飲ませて落ち着かせてほしい、そう思いながら街をさまよい、途中で見つけた自動販売機で缶コーヒーを買うかを神妙に悩んでいた時に見つけたのが、藤木とボーちゃん達であった。
(切るなら今か。)
そして今、第一回放送が流れ始めて、白銀御行(まんが版)は目の前の子供たちを見ながら思った。
「や、やっぱりドッキリだよ。ほら、織田信長とか言ってるんだし、ね?」
「ネネちゃん……」
「ネネちゃん……」
荒唐無稽な名前が呼ばれていく。当然白銀の知り合いの名は呼ばれることはない。まあこの現象は薬物か何かだと考えているのであまり驚きもないのだが、しかし足手まといといつまでいるかは悩みどころと思い始めた。
それまで涙を堪えていたボーちゃんが耐え切れないとばかりに嗚咽する。そんな彼に思うところがないわけではない。が、それは共に殺し合いを戦う仲間としてはあまり価値がない。
白銀は冷酷ではないが、計算というものはする。オカルトを信じる気はないが、全く信じずに動けるほど向こう見ずでも図太いわけでもない。
こんな殺し合いを真に受ける気はない、誰かを殺す気などない、それでも主催者の放送はある程度信じている。織田信長というのもあだ名などであり、実際に81名死亡しているとも考えている。そんな矛盾が、白銀に藤木たちを見捨てるように囁くのだ。
冷静になれば、彼らはなんの役に立つのだろうか。どちらも10歳もいかない子供ではないか。銃だってまともに撃てない、そんな人間と付き合う価値があるのか? これは優先順位の問題だ、見ず知らずの子供をお守りするために、巻き込まれているかもしれない家族や、生徒会の仲間や、四宮かぐやを見捨てられるのか? そうだ、これはかぐやを見捨てるかという問題だ。彼女を助けるための行動がボーちゃん達といることでできないのなら、それは見殺しにしているのと同じではないのか?
白銀は冷酷ではないが、計算というものはする。オカルトを信じる気はないが、全く信じずに動けるほど向こう見ずでも図太いわけでもない。
こんな殺し合いを真に受ける気はない、誰かを殺す気などない、それでも主催者の放送はある程度信じている。織田信長というのもあだ名などであり、実際に81名死亡しているとも考えている。そんな矛盾が、白銀に藤木たちを見捨てるように囁くのだ。
冷静になれば、彼らはなんの役に立つのだろうか。どちらも10歳もいかない子供ではないか。銃だってまともに撃てない、そんな人間と付き合う価値があるのか? これは優先順位の問題だ、見ず知らずの子供をお守りするために、巻き込まれているかもしれない家族や、生徒会の仲間や、四宮かぐやを見捨てられるのか? そうだ、これはかぐやを見捨てるかという問題だ。彼女を助けるための行動がボーちゃん達といることでできないのなら、それは見殺しにしているのと同じではないのか?
「しん、ちゃん! うああ……!!」
「な、泣かないでよ! 誰も死んでなんかないよ、これはテレビの演出だよ、そうさ、演出さ!」
(状況がわかっていないな、現実逃避してもしかたないだろ。)
「な、泣かないでよ! 誰も死んでなんかないよ、これはテレビの演出だよ、そうさ、演出さ!」
(状況がわかっていないな、現実逃避してもしかたないだろ。)
白銀は何杯目かの缶コーヒーの缶を握り潰さんばかりに持ちながら考え続ける。
足手まといを保護するのは無理だ、自分1人を守るので精一杯だ。こうなったら、彼らはどこか、理解ある人間に保護を求めるしかない。今すべきは、警察が救助に来るまでどこかに隠れていて、かぐやを探すこと──
足手まといを保護するのは無理だ、自分1人を守るので精一杯だ。こうなったら、彼らはどこか、理解ある人間に保護を求めるしかない。今すべきは、警察が救助に来るまでどこかに隠れていて、かぐやを探すこと──
ダァン、ダァン!!
(待て、何を考えている。考えが……まとまらない。)
銃声が白銀を正気に戻した。今、自分は何を考えていた?
自分は何がしたいんだ? 隠れる? 知り合いを探す? 子供を誰かに預ける? どこかに隠す? 保護する?
自分は何がしたいんだ? 隠れる? 知り合いを探す? 子供を誰かに預ける? どこかに隠す? 保護する?
ブオオオオオオ!!!
「ひいっ!! な、なんの音!?」
「さっきの、は、銃の音?」
「じゅじゅ、銃!?」
「さっきの、は、銃の音?」
「じゅじゅ、銃!?」
冷静になれ、自分よりも慌てている子供たちを見て白銀はそう思えた。自分は冷静さを欠いている。この殺し合いに巻き込まれてからの肉体的精神的疲労によるものだ。まずはカフェインを採る、カフェインは心身を活性化させる、その上でボーちゃんと藤木を落ち着かせる、そうだ、1つずつ、1つずつやるべきことをやっていく、それはどこでも変わらない。
ダァン!
「ひ、ひいいぃぃ〜〜!!」
「藤木さん! どこ行くの!」
「逃げるんだよぉ〜〜!!」
「藤木さん! どこ行くの!」
「逃げるんだよぉ〜〜!!」
今やるべきことは、藤木が走り出しているから、捕まえて連れ戻すこと。
「待って、あぶない!」
「危ないから逃げるんだよぉ!!!」
「待て、飛び出したらどこから撃たれるか──」
「危ないから逃げるんだよぉ!!!」
「待て、飛び出したらどこから撃たれるか──」
藤木と、彼を連れ戻そうとするボーちゃんの後ろを追いかけようと駆け出す。アスファルトを切り裂く怪音が、右耳から一気に大きくなる。それに白銀も、先を走るボーちゃんも、更に先を走る藤木も右を振り向く。
車がいた。運転手と目が合った。猿顔の男性だ。派手なジャケットを着ている、不思議と表情まで読み取れる。
驚愕の顔、視線が素早く左右に動く、困惑の顔、口が食いしばられる、苦悩の顔、目が引き締まる、覚悟の顔、そして。
車がいた。運転手と目が合った。猿顔の男性だ。派手なジャケットを着ている、不思議と表情まで読み取れる。
驚愕の顔、視線が素早く左右に動く、困惑の顔、口が食いしばられる、苦悩の顔、目が引き締まる、覚悟の顔、そして。
ドドン。
(跳ねられた……跳ねられたのか、そうか、今のは走馬灯か。違うな、走馬灯は過去のことを思い出すんだから、今のは──)
グシャリ、そう音を立てて白銀の回っていた視界が地面に横たわるものになった。不思議と痛みは感じない。そのことに恐怖を抱いたが、指一本動いてくれない。
藤木とボーちゃんを呼ぼうとするが声が出ない、視界に色がない、そして字面をのたうつボーちゃんの頭が弾けた。
偶然だった。偶然、白銀とボーちゃんの延長線上に、銃を構える男の姿が、ジンの姿が見える気がした。
藤木とボーちゃんを呼ぼうとするが声が出ない、視界に色がない、そして字面をのたうつボーちゃんの頭が弾けた。
偶然だった。偶然、白銀とボーちゃんの延長線上に、銃を構える男の姿が、ジンの姿が見える気がした。
(狙撃、そんなの、どこで、まちが)
ダァン。
最後の一発が白銀の頭を撃ち抜く。残されたのは。
「ボーちゃん……? 白銀さん……? な、なんだよこれ……な、なんで殺し合いのテレビで、こ、交通事故が……」
藤木茂ただ一人。
「どうして……?」
(ボーちゃん……)
シロは、この車に乗る6人の参加者からは、言葉が失われていた。それはハンドルを握るルパン三世も同じだった。
ルパンに言われて決して顔を出さないように校舎ではしつつ、指示があれば直ぐに車で逃げるように言い含められ、放送が始まった瞬間ろくに聞きもせずに素早く校舎を移動して車へと向かった。ルパンはいつの間にか校舎に風船の仕掛けをしていたようで、それに向けて狙撃されたと知ると直ぐに車を出した。
ルパンとしても実際にスナイパーがいる可能性は少ないとは見ていた。単に次元のような何時間でも張るガンマンならやりかねないと思って用心していただけだ。校門前には死体もあるし、ゲームに乗っていると考えられる人間に警戒するのは自然で、警戒する以上は最悪を想定して。
……いや、していたか?
ルパンに言われて決して顔を出さないように校舎ではしつつ、指示があれば直ぐに車で逃げるように言い含められ、放送が始まった瞬間ろくに聞きもせずに素早く校舎を移動して車へと向かった。ルパンはいつの間にか校舎に風船の仕掛けをしていたようで、それに向けて狙撃されたと知ると直ぐに車を出した。
ルパンとしても実際にスナイパーがいる可能性は少ないとは見ていた。単に次元のような何時間でも張るガンマンならやりかねないと思って用心していただけだ。校門前には死体もあるし、ゲームに乗っていると考えられる人間に警戒するのは自然で、警戒する以上は最悪を想定して。
……いや、していたか?
「ルパンさん! はねちまっ、うおっ、こころ!?」
「……だ……うぶ……」
「……だ……うぶ……」
山本ゲンキの声が車内に響く。
ジンの放った3発目。運転手のルパンを狙ったそれは、確かにルパンには当たらなかった。ルパンには。
ギュウギュウ詰めの状態で急制動にもみくちゃにされる後部座席の子供たちとは違い、ルパンはその銃弾の行く末も知っていた。ハンドルを動かしてから、かわしきれないことはわかっていた。後は弾が車体に当たってくれることを祈るしかなかった。でも現実は少しばかり意地悪なようで、7.62mm弾は窓ガラスから安西こころの首を撃ち抜いていた。
そこからはもうチキンレースだ。前から撃たれたのはわかっているが、左右に折れようものなら次は確実に自分がああなる。前へ進み続けるしかない。いずれ自分が撃たれるだろうが、それまでになんとか車を片輪走行させて、どうにか次の一発をかわして、弾切れを祈るか事故覚悟で建物に突っ込むか。
そしてルパンがあえて直進し銃撃を誘い、片輪走行に移ろうとした時。
藤木が、ボーちゃんが、白銀が飛び出すのが見えた。
撃ちおろしてくるジンを警戒して視線を上にあげ続けていて、小柄な子供を見落とした。遅れて飛び出してきた白銀でようやく気づいたときには、もう車体は片輪で、道幅は狭くて、右か左かにハンドルを切るかで。
ジンの放った3発目。運転手のルパンを狙ったそれは、確かにルパンには当たらなかった。ルパンには。
ギュウギュウ詰めの状態で急制動にもみくちゃにされる後部座席の子供たちとは違い、ルパンはその銃弾の行く末も知っていた。ハンドルを動かしてから、かわしきれないことはわかっていた。後は弾が車体に当たってくれることを祈るしかなかった。でも現実は少しばかり意地悪なようで、7.62mm弾は窓ガラスから安西こころの首を撃ち抜いていた。
そこからはもうチキンレースだ。前から撃たれたのはわかっているが、左右に折れようものなら次は確実に自分がああなる。前へ進み続けるしかない。いずれ自分が撃たれるだろうが、それまでになんとか車を片輪走行させて、どうにか次の一発をかわして、弾切れを祈るか事故覚悟で建物に突っ込むか。
そしてルパンがあえて直進し銃撃を誘い、片輪走行に移ろうとした時。
藤木が、ボーちゃんが、白銀が飛び出すのが見えた。
撃ちおろしてくるジンを警戒して視線を上にあげ続けていて、小柄な子供を見落とした。遅れて飛び出してきた白銀でようやく気づいたときには、もう車体は片輪で、道幅は狭くて、右か左かにハンドルを切るかで。
「どうして……?」
「……悪いな、避けれなかった。」
「……悪いな、避けれなかった。」
助手席の高橋蓮が不思議そうに問うてくる。ルパンはそれに、顔を見ずに答える。
真ん中の子供は避けられなかった。どうハンドルを切っても確実に跳ねる。右か左かだった。右は子供で、左は大人に見えた。だから、大人を跳ねることにした。
そのおかげでスナイパーは狙いを変えてくれたようだ。
ルパン達は全滅の危機をたった1人の犠牲で切り抜けたのだ。
真ん中の子供は避けられなかった。どうハンドルを切っても確実に跳ねる。右か左かだった。右は子供で、左は大人に見えた。だから、大人を跳ねることにした。
そのおかげでスナイパーは狙いを変えてくれたようだ。
ルパン達は全滅の危機をたった1人の犠牲で切り抜けたのだ。
「くそっ! 息してねえ! 救急車! 病院に!」
「ウソ……そんな……どうして……」
(ボーちゃん……しんちゃん……ひまちゃん……)
「どうして……」
「ウソ……そんな……どうして……」
(ボーちゃん……しんちゃん……ひまちゃん……)
「どうして……」
子供たちの声が1人足りないのを知りながら、ルパンはスバル・360を走らせた。
(次元、とっつぁん、今も死んだとは思ってねえが。)
(そうなっちまっても不思議じゃない場所だって、ようやくわかったぜ。)
(そうなっちまっても不思議じゃない場所だって、ようやくわかったぜ。)
【0605 『西部』海辺近くの繁華街や自然公園の方にある小学校付近】
【ジン@名探偵コナン 純黒の悪夢(名探偵コナンシリーズ)@小学館ジュニア文庫】
【目標】
●大目標
主催者の情報を手に入れるために態勢を整える。
●中目標
殺しまくり追加ルールで首輪解除する。
●小目標
締まらねえな……まあ、これで2人だ。
【目標】
●大目標
主催者の情報を手に入れるために態勢を整える。
●中目標
殺しまくり追加ルールで首輪解除する。
●小目標
締まらねえな……まあ、これで2人だ。
【井上晶子@かがみの孤城(下)(かがみの孤城シリーズ)@ポプラキミノベル】
【目標】
●大目標
殺し合いから脱出する。
●小目標
どうして……
【目標】
●大目標
殺し合いから脱出する。
●小目標
どうして……
【シロ@映画ノベライズ クレヨンしんちゃん ガチンコ! 逆襲のロボとーちゃん(クレヨンしんちゃんシリーズ)@双葉社ジュニア文庫】
【目標】
●大目標
生き残る。
●小目標
???
【目標】
●大目標
生き残る。
●小目標
???
【山本ゲンキ@生き残りゲーム ラストサバイバル でてはいけないサバイバル教室(ラストサバイバルシリーズ)@集英社みらい文庫】
【目標】
●大目標
殺し合いってマジ? やっべーだろ。
●中目標
あの信長死んだのか……
●小目標
こころ! おい、こころ!
【目標】
●大目標
殺し合いってマジ? やっべーだろ。
●中目標
あの信長死んだのか……
●小目標
こころ! おい、こころ!
【高橋蓮@猛獣学園!アニマルパニック 百獣の王ライオンから逃げきれ!(アニマルパニックシリーズ)@集英社みらい文庫】
【目標】
●大目標
帰りたい。
●中目標
アキやルパンと一緒に、つかさを撃った敵を倒す。
●小目標
どうして……
【目標】
●大目標
帰りたい。
●中目標
アキやルパンと一緒に、つかさを撃った敵を倒す。
●小目標
どうして……
【ルパン三世@ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE(名探偵コナンシリーズ)@小学館ジュニア文庫】
【目標】
●大目標
殺し合いから脱出する。
●中目標
首輪を外す方法を探りたいが……嫌な予感がするなあ。
●小目標
犬(シロ)を警戒しつつ、子供たち守る。それに変わりはねえよ、こんなことになってもな。
【目標】
●大目標
殺し合いから脱出する。
●中目標
首輪を外す方法を探りたいが……嫌な予感がするなあ。
●小目標
犬(シロ)を警戒しつつ、子供たち守る。それに変わりはねえよ、こんなことになってもな。
【脱落】
【白銀御行@かぐや様は告らせたい―天才たちの恋愛頭脳戦― まんがノベライズ 恋のバトルのはじまり編@集英社みらい文庫】
【ボーちゃん@映画ノベライズ クレヨンしんちゃん ガチンコ! 逆襲のロボとーちゃん(クレヨンしんちゃんシリーズ)@双葉社ジュニア文庫】
【安西こころ@かがみの孤城(下)(かがみの孤城シリーズ)@ポプラキミノベル】
【白銀御行@かぐや様は告らせたい―天才たちの恋愛頭脳戦― まんがノベライズ 恋のバトルのはじまり編@集英社みらい文庫】
【ボーちゃん@映画ノベライズ クレヨンしんちゃん ガチンコ! 逆襲のロボとーちゃん(クレヨンしんちゃんシリーズ)@双葉社ジュニア文庫】
【安西こころ@かがみの孤城(下)(かがみの孤城シリーズ)@ポプラキミノベル】