「後ろ、問題ないか…?」
「ええ、依然問題ありません。前方は…?」
「こっちも大丈夫だ…」
「結局、誰とも会いませんでしたね…」
「ああ、そうだな…」
灰色の空の下、
ティッツァーノとヴェルサスは薄闇に染まる静寂の街並みを、周囲に注意しながら歩みを入れていた。
先程まで降っていた雨は今は止み、折り畳まれた傘がティッツァーノの手中には収まれたいた。
日時は早朝、時計の短針が四つほど進んだ先。
深夜に二人が偶然遭遇してからおよそ二時間、二人は誰かに会い情報を得ようと考えていたが、結局誰とも会うことはなかった。
「放送まであとどれぐらいだろうな…」
「大体、あと二時間弱ぐらいじゃないでしょうか…。空の色も段々と薄くなってきていますし」
「もうちょっとで六時間も経つのか…。とりあえず、何とか最初の放送までは生き残れそうだな」
「油断は禁物ですよ。いつ、誰が私たちの寝首を掻こうと潜んでいるのか分からないのですから」
「とはいってもよ~、結局俺らはまだ誰とも会ってないんだぜ。もしかしたら、こっち側には俺ら以外誰もいないんじゃねぇかぁ?
それとも実はもう、みんな結構な数が殺し合って、ほとんどの奴が既に死んじゃってたりさぁ」
「…、残念ですがそれはまず有り得ないでしょう」
「そうとも言い切れないだろうが…! 現に俺らは…」
先を続けようとしたヴェルサスの口を、ティッツァーノはもううんざりとした表情で塞いだ。
ヴェルサスの言うことも一理ある。
だが、それは自分勝手で軽薄な発想にすぎない。
不確定要素が無限に存在する死地において、そのような思い込みは正に言語道断。
『思い込む』という事は何よりも『恐ろしい』
「そんな甘ったれた考えは止めたほうがいいですよ。いつそれが命取りになるか分かりません。
世の中は自分の思い通りにいくほど、そんなに甘くはない…」
「わ、わかったぜ…。済まなかったな、ティッツァーノ…」
「分かってくれればいいんです。さぁ、先を進みましょう。周囲には存分に注意して下さいね」
二人はしばらく無言のまま北上した。
その間も二人は誰とも遭遇することはなく、遂に午前六時の第一放送まで残すところあと三十分を回っていた。
空からは陽の光が差し込み、辺りもすっかり明るくなっていた。
「遂に放送まであと少しってとこまで来たな。さすがに、もう大丈夫だろ。結局、誰とも会わなかったけど…」
「油断は禁物と言ったはずですよ。 しかし、まさか放送直前まで来て、あなた以外の誰とも会うことが出来なかったのは以外でした。
正直、歩いていれば誰か一人ぐらいには会えると思っていたのですが…」
「確かにな…。俺もそう思ってたぜ」
「私たちには情報が圧倒的に足りません。第一放送後は、もっと積極的に動いたほうがいいかもしれませんね…」
「でもよぉ、危険度も増すんじゃ…」
ヴェルサスがそう思うのも無理はない。 二人のスタンド能力は攻撃型ではないのだ。
当然、襲ってくる敵に対しての手段もヴェルサスの支給品のテイザー銃ぐらいしかなく、圧倒的にディスアドバンテージしか取れないのだ。
「そこは仕方がありません。ここに来て『急がば回れ』では遅いのです。運よく、殺し合いに乗っていない参加者に会えることを祈りましょう…」
それを聞いたヴェルサスの表情は、一気に絶望の色へと変貌した。
鳩が豆鉄砲をくらったように。
「マ、マジかよ……最悪だぁぁぁ~~~……!ああぁぁぁッ、くそがッ!!何でテメェみたいな『雑魚』と俺は出会っちまったんだよッ!!」
「それはこっちの台詞ですよ!私だってあなたみたいな人と会わなければこんなことには…」
「何だとッ!テメェもう一回言ってみろよ、コラァッ!!」
「あまりうるさくしないで下さい!今は、仲間割れなんてしてる場合ではありませんよ!
今、此処で死んでしまっては本も子もありません!とにかく今は第一放送まで此処に待機、分かりましたか!?」
「ちっ、分かったよ、勝手にしやがれッ!」
二人はそのまま黙りこんだ。
この状況下で口論だけで終わったのは、幸いだったのかもしれない。
命の奪い合いにまで発展しなかったのは、やはり二人のスタンド能力によるところが大きかったのだろう。
殺し合いが始まっておよそ六時間弱。―――――第一放送まであと十分
【G-5 住宅街/一日目 早朝(5:50頃)】
【あてのないブラザーズ】
【
ドナテロ・ヴェルサス】
【時間軸】:
ウェザー・リポートのDISCを投げる直前
【状態】 :軽いストレス、荒木に怒り、ティッツァーノと喧嘩中
【スタンド】:アンダー・ワールド
【装備】 :テイザー銃(予備カートリッジ×2)、杜王町三千分の一地図、牛タンの味噌漬け、基本支給品
【思考・状況】
基本行動方針:絶対に死にたくない。
1.どんな事してでも生き残って、幸せを得る。
2.誰か(できればこの町の住人)に会って、仲間にする。
3.プッチ神父にったら、一泡吹かせてやりたい。
4.この先不安…
5.ティッツァーノムカつく
【備考】
※ティッツァーノの『トーキング・ヘッド』の能力を知りました。
※ティッツァーノ以外のマフィアについてはまだ聞いていません。
※荒木のスタンドを「物体をコピーする」能力だと思っています。
※荒木の能力により『アンダー・ワールド』には次の2点の制限がかかっています。
・ゲーム開始以降の記憶しか掘ることはできません。
・掘れるのはその場で起こった記憶だけです。離れた場所から掘り起こすことはできません。
※『アンダー・ワールド』でスタンドを再現することはできません。
【ティッツァーノ】
【時間軸】:ナランチャのエアロスミスの弾丸を受けて、死ぬ直前。
【状態】 :健康、軽いストレス、ヴェルサスと喧嘩中
【スタンド】:トーキング・ヘッド
【装備】 :
ブラックモアの傘、
岸辺露伴のサイン、少年ジャンプ(ピンクダークの少年、巻頭カラー)、基本支給品
【思考・状況】
基本行動方針:生きて町から出る。
1.アラキを倒し、生きて町から出る。
2.誰か(できればこの町の住人)に会って、協力を得る。
3.この名簿は一体?なぜ自分はここに呼ばれたんだ……?
4.この先不安…
5.ヴェルサスムカつく
【備考】
※ヴェルサスの『アンダー・ワールド』の能力を知りました。
※ヴェルサスの知り合いについてはまだ聞いていません。
※荒木のスタンドを「物体をコピーする」能力だと思っています。
※G-5では雨は降っていません。
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最終更新:2009年09月30日 13:39