――帰りましたか。さてと。もしもし?

……。

――返事、出来ますか?あなたですよ、ミスター・ジョースター。

……う、う。む……

――少しは落ち着きましたか?ずいぶん呻いていましたもんね。
  まぁ……あれだけやって落ち着かないと言ったら流石に私も怒りますが。
  さて、話が出来るとわかれば早速本題です。私と会話、出来ますね?
  まあ会話と言っても私の意見にあなたが答えてくれればよろしい。いいですね?

ふむ……ああ、いいだろう。私も君と話をしてみたい。

――ありがとうございます。では、前置きとして【現状】を説明しましょう。
  簡潔に言いますと、そろそろゲームが終盤に差し掛かろうとしています。
  さて、ここで一つ質問です。
  【あなたはこの先、どうするおつもりですか?】

それは……もちろん息子たちに会い、彼らを保護する事が第一だ。
そして、皆で協力してこの殺し合いを止めて見せようではないか。
ジョジョは私を刺した事を気にしているだろうがきっと立ち直る。
この世界で知り合った私の友であるブラフォード君とも協力してくれるはずだ。

――素晴らしい。自分の肉体よりもまずは子供。父親の鑑ですね。
  ですが……あなた、自分の体の事分かっていますか?
  あなたの身体は今やただの人形なのですよ。気絶とは訳が違う。

それが何だと言うのだ?やれる、やれないではなく、やらねばならんのだ。

――なるほど、さすがです。が……もう少し、あなたの身体について話しましょうか。
  あなたは現在、私の製作した人形にその魂を宿らせています。
  では肉体は?というと……刺された傷口から血液が流れ続けた結果、生物学的にはもう死んでると言って差し支えないでしょう。
  つまり……あなたが私の人形から解放されたとしても、その瞬間にあなたは死んでしまうのです。

……もう一度言おう、それが何だと言うのだ?

――本当にあなたの意思には感服させられます。まったく素晴らしい。
  では……少しだけ話題を変えましょうか。ここからは私の話です。
  私もあなた方と同様に、主催者……荒木氏に命を握られています。
  私の首輪、見えますか?こういう時に相手が人形って便利ですね。持ち上げて視線を自由に動かせる。
  ……と、話がそれました。要するに、私だってあなた達のようにいつ死んだっておかしくない、という訳です。

ふむ。

――それで……あっと、その前に私のスタンドについて説明しましょう。
  スタンドが何かっていうのは長くなるので詳しくは省きますが、まぁ超能力の一種だと思ってください。
  私の持つ能力。あなたが今体験しているとおりです。人間の魂をつかみ取り、それを人形に込める、と。

随分と突飛な話だが、信じるしかないようだ。この世界は不思議な事が多すぎる。

――ありがとうございます。
  そして、この能力なんですが、本体である私が死んでしまえば能力は消滅してしまいます。
  ここで……普通なら私が死んだ場合、魂は肉体に戻る事なく天に昇って行ってしまいます。
  ですがこの場ではどうもそうとは限らないようでして。解放された魂は元の肉体に戻るかも知れません。
  まぁ、こればっかりは死なないと分からないですがね。
  荒木氏が私のスタンドに細工した僅かな可能性、と思っていただければそれで結構。

なるほど……話はおおよそ呑み込めたよ。

――ご理解が早くて助かります。でもまぁ、せっかくですから最後まで聞いてください。時間もありますし。
  とりあえず結論から言いますと【私は死ぬ。どっち道】って事です。
  溢れんばかりの正義を心に持つあなたのような人が荒木氏の打倒に成功した場合、共犯である私もただでは済みません。
  また、逆に荒木氏が全ての参加者を意のままにした時。この時も私は用済みになって殺されてしまうでしょう。

……。

――そして、それが何を意味するか分からないあなたではないでしょう。
  私と共に【あなたも死ぬのです。どっち道】って事です。

確かに深刻な事態だ……君が冷静に話しているのがより恐怖を煽るよ。

――別にあなたをビビらそうと言う訳ではないんですがね。
  そうそう、もうひとつ重要な話をしましょうか。
  【あなたは今、この世界の人間達に忘れられています】。
  ミスター岸辺が帰った後も来訪者が幾人かありましたが、彼等がここに来た理由は、多少方向性は違えど己の欲望のため。
  あなたを、また、そこで未だ唸ってるミスター・ツェペリを救う気はないでしょう。きっとね。

私の耳にも彼らの声は多少届いていたが、まさかそんな……

――世の中にはそういう連中も多いものです。
  さて……改めて聞きましょうか。
  【あなたはこの先、どうするおつもりですか?】

私は……それでもここで指を咥えて死を待つ訳にはいかん。
ジョジョを、ディオを、多くの人を荒木の魔の手から救い出したい。もちろん君の事もだ。
この殺し合いの根幹に近い場所にいる君が私達に力を貸してくれれば荒木の打倒もも不可能ではないッ。

――素晴らしい。本当に素晴らしい。
  敵である立場の私にも手を差し伸べるあたり、本物の紳士です。
  ですが……その手を今取る訳にはいきません。

何故だ!?君はここで死を待つ事を選ぶのか?

――まぁまぁ、落ち着いてください。
  私だってこんなとこで死にたはないですよ。その言葉と差し伸べられた手にはすぐにでも飛びつきたい。
  ですが……それがどういう事かわからないあなたではないでしょう?
  下手すれば「はい」と言ったその瞬間に頭と胴体が泣き別れするかも知れません。
  そして私の死はあなたの死。先ほど言ったとおりです。
  ドゥー・ユー・アンダスタン(ご理解いただけましたか)?私たちはここから動けないのですよ。

な……なんという事だ。

――まぁ、そう悲観的にならないでください。チケットを持ってる人は現在四人もいるんですから。
  彼らが誰かにチケットを譲る、あるいは奪われるなどした場合、状況は大きく転がるのです。

ふ……む。だが、それならば私の言葉も君に届いていると考えて間違いはないね?
私は本心で君を救いたい。君だって荒木の犠牲者なのだ。

――そのお言葉、もちろん忘れはしませんよ。
  私の話はとりあえず以上です。また話がしたくなったらいつでもどうぞ。

こちらこそ。私はいつでも戦うつもりだからね。


* * * *



――さて、今度はあなたですよ、ミスター。

……。

――まさか、まだ敗北の事でウジウジと言っているのですか?

……命を握られてる相手に軽々とお喋りするほど腐っちゃいねぇ。

――なるほど。ですがまァ、話くらいは聞いてくださいよ。
  とはいっても、今まで聞いていたでしょう?
  一度でいい事を二度言うってことは……

聞いてるからさっさと話せ。

――これはこれは。失礼しました。では答えてもらいましょう。
  【あなたはこの先、どうするおつもりですか?】

俺はまず、テメェをブチのめす。
俺の身体をこんなにしやがったんだからな。

――おお、怖い怖い。
  ですが、それも当分は無理な話ですね。

くッ……!

――ま、そうなるとミスター・ジョースターと共に脱出の機会を練り、そして祈る事。
  あなたに今できる事はそのくらいですかね?

……クソッタレが!

――ふぅ、あなたはあまり私と話していたくないようですね。
  ではこの辺で切り上げましょうか。
  私をブチのめす時が来るまでゆっくり休んでいては?


* * * *



――とまぁ、こんな感じです。どう思われますか?

どうもこうもないだろう?
それよりも君は連絡してくるなよ。ルール違反じゃあないか。
そもそも君にそんな立場を与えたつもりではないけど?てゆうか会話なら聞いてた。筒抜けだもの。

――すみません。ですが私とて自分の命は惜しい。

僕にどうしろって言うんだい?まさか今すぐ僕のところに乗り込んできてやりあう、っていうのかい?
君だって参加者なんだ。そして……僕だって立場は主催者だが広い視点で見れば参加者でもあるんだよ。

――分かりました。少々考える時間を頂きたい。

頂くも何も、他の八十八人はみんな考えて行動してるんだ。
っていうか、少々、なんて生ヌルイよ。じっくり考えたら?
ほら、岸辺露伴との決着だってまだみたいに見えたし。第一、君はスタンドの足首ほったらかしだろ?
っていうか【永遠に終わらないスピード勝負をしてる内に考えるのをやめた】なんて結末だってあるんじゃない?
そうなったら最高に面白いと思うけどな、僕は。
まぁ、君のプレイヤーとしてのプライドがどう答えるかな?ってとこだね。
それ以外にだってほら、僕に勝つ勝算とか己の命とか、そもそもあの小島を出て他の人と合流する方法は?とか……。
考えるべき事は山ほどあると思うんだけど。
あなたはこの先、どうするおつもりですか?って、君が言ってたセリフじゃあないか。

――……失礼いたします。

……フン、せいぜい頑張る事だね。
さてと。僕もそろそろ動こうかなぁ。でもまだ早いかなぁ~。
まだ放送にも時間あるし、僕が介入したらやっぱりルール違反になりそうな気もするしなぁ~。
やる気のある連中が減った訳でもなさそうだし……とりあえず、本でも読もうかな。


To be continued ...




【G-10 北西部 小島(ダービーズアイランド)/1日目 午後】

【テレンス・T・ダービー】
[時間軸]:承太郎に敗北した後
[状態]:健康 精神疲労(小)
[装備]:人形のコレクション
[道具]: 世界中のゲーム
[思考・状況]
思考1.私だって死にたくはないですよ。
思考2.この先の方針を考える。
思考3.露伴と決着をつける(勝負もあるが、足首は回収したい)と思っている、が……?
状況1.参加者ではなく、基本はG-10にある島でしか行動できない。
状況2.荒木に逆らえば殺される筈だが……?
状況3.参加者たちとゲームをし、勝敗によっては何らかの報酬を与える(ように荒木に命令されている)。
[備考]
※ダービーは全参加者の情報について、名前しか知りません(原作3部キャラの情報は大まかに知ってます)。
※ダービーズ・アイランドにも放送は流れるようです。
※アトゥム伸の右足首から先を露伴の体内に食い込ませています。(原作を見る限り)ダービー本体の足首はちゃんと存在しています。
※第二放送を聞き逃しました。
※ジョージ・シーザーと会話をしました(情報の交換ではありません)


ジョージ・ジョースター1世
[時間軸]:ジョナサン少年編終了後
[状態]:【肉体】右わき腹に剣による大怪我(貫通しています)、大量失血で血はほとんど抜けました。
    【魂】テレンスの作った人形の中。禁止エリアに反応して爆破する首輪つき。
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本行動方針:ジョナサンとディオの保護
1.むう、なんということだ……!
2.今は状況の好転を祈るばかり。シーザーと脱出法を練る?
[備考]
※テレンスに一回勝利しないとジョージの魂は開放されない。 ただしテレンスの死はジョージの死。
※肉体を治療しないと魂を解放しても失血死する可能性大
※第二放送を聞いてはいましたがメモ等は出来ていません。記憶しているかも不明です。
※ジョージの人形がどこまでちゃんと喋れるのか不明(話相手ぐらいにはなる?)。
 →話し相手にはなります。肉体(人形の手足)を動かす事はほぼ不可能です。
※テレンスと会話をしました(情報の交換ではありません)


シーザー・アントニオ・ツェペリ
[時間軸]:ワムウから解毒剤入りピアスを奪った直後。
[状態]:【肉体】疲労(大)、ダメージ(大)、ヘブンズ・ドアーの洗脳
    【魂】テレンスの作った人形の中。禁止エリアに反応して爆破する首輪つき。
[装備]:スピードワゴンの帽子。
[道具]:支給品一式、エリナの人形、中性洗剤。
[思考・状況] 基本行動方針:ゲームには乗らない。リサリサ先生やJOJOと合流し、 エシディシ、ワムウ、カーズを殺害する。
0.精神的敗北から立ち直った。テレンスをブチのめしたい。
1.今は状況の好転を祈るばかり。ジョージと脱出法を練る?
2.荒木やホル・ホースの能力について知っている人物を探す。
3.スピードワゴン、スージーQ、ストレイツォ、女の子はできれば助けたい。
[備考]
※テレンスに一回勝利しないとジョージの魂は開放されない。 ただしテレンスの死はシーザーの死。
※さらにテレンスに一回勝利しないとシーザーの魂は解放されない。
※シーザーの人形がどこまでちゃんと喋れるのか不明(話相手ぐらいにはなる?)。
 →話し相手にはなります。肉体(人形の手足)を動かす事はほぼ不可能です。
※第一放送を聞き逃しました。
※第二放送を聞いてはいましたがメモ等は出来ていません。記憶しているかも不明です。
※ヘブンズ・ドアーの命令は『岸辺露伴の身を守る』の一つだけです。
※テレンスと会話をしました(情報の交換ではありません)


投下順で読む


時系列順で読む


164:ペッシ・サウンズ テレンス・T・ダービー 168:プロモーション・キング(前編)
164:ペッシ・サウンズ ジョージ・ジョースター1世 168:プロモーション・キング(前編)
164:ペッシ・サウンズ シーザー・アントニオ・ツェペリ 168:プロモーション・キング(前編)
151:涙の乗車券 荒木飛呂彦 168:プロモーション・キング(前編)

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2010年04月21日 18:00