一人の老婆がいた、全身穴だらけでしくしく泣いている老婆が。
何故全身穴だらけなのかは割愛するが、老婆は何故泣いているのか?
この殺し合いという異常な状況に対して?いやそうじゃない。
この老婆に限ってそんな事は絶対にありえない。
老婆の"かわいくて"、"誠実で"、"心の清い"息子が死んでしまった事に対する涙である。
その老婆の息子はJ・ガイル。このゲームの参加者の一人、J・P・ポルナレフの妹を惨殺し、さらに彼の仲間である
モハメド・アヴドゥルも殺し(実際には生きていたが)その他にも己の欲望の赴くままに犯罪を重ねた卑劣漢である。
しかし因果というものが巡りに巡ったのか、彼はそのJ・P・ポルナレフに殺された。所謂敵討ちであろうか。
話を戻すが、老婆の中の彼と実際の彼はだいぶ違っている、老婆の眼に巨大な色眼鏡でも掛けてあるのだろうか、恐らくはそうだろう。まあ、そんなわけで……
「ルウエエエエエエエエ~~~~! 」
老婆は泣いていた。最愛の息子が死んでしまったからだ。
「アウッアウッアウッ」
人目もはばからず泣いていた。と言っても人などこの場には老婆を除いて1人たりともいはしないが。
「悲しいよぉおおおおお~~! 」
どれほど泣いただろうか、数分は泣いただろうか、数十分は泣いただろうか、数時間は泣いただろうか。
しかし、程なく悲しみは怒りに変わる、この殺し合いを仕組んだ荒木に対して?もちろん違う。
息子を殺した男と、息子を見捨てて"逃げ出した"一人の男に対して。
そいつら二人共いないものかと名簿を確認する。しかし、老婆は仕えるべき主人の名を見つける。
ディオ・ブランドーの名を。
「おお……DIO様……あなたまでがこの様な呪われた場に……しかし、安心してくださいDIO様。
あなたが手を下すまでもありませぬ。あなたはこの
エンヤ婆がお守りいたしますじゃ……」
主人の名を見つけた老婆はなおも名簿を読み続ける。そして二つの名前を見つけた所で老婆の顔に嫌らしい笑みが広がった。
名簿に記されていたJ・P・ポルナレフと
ホル・ホースの名前を見つけたからだ。
「イッヒッヒッヒッ……お前ら二人ともここへ来ていたのかい……ちょうど良い……わしのスタンド「正義」でお前ら二人とも……」
――――――口から紡ぐは、呪いの言葉――――――
「殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる
殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる
殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやるイヒヒヒヒ~~~ッ! 」
――――――狂気の老婆が、そこにいた――――――
しかし老婆は名簿を見続け、ある一つの名前で眼が止まる、ある筈のない名前、死んだ者の名前――――――
「J・ガイル……」
――――――最愛の息子の名が、そこにあった――――――
またもや老婆の眼から涙が溢れてくる。
「おお…………J・ガイル…………生きてて…………くれたんだね……」
老婆の顔にまたもや笑みが浮かぶ、本当に忙しい人だ……
「そうじゃそうじゃ! 誠実で心の清いお前が死ぬ筈が無い! J・ガイル! 早くお前に会いたいよ! 」
ジョースターの奴らの名前もあった、ついでだから全員ブチ殺してやろう、そんな事を考えながら老婆、エンヤは歩き出した。内なる狂気を秘めたまま――――――
【B-5 タイガーパームガーデン・1日目 深夜】
【エンヤ婆】
[時間軸]:聖痕で全身に穴が開いた直後
[状態]:全身穴だらけ、最高に「ハイ!」ってやつだアアアアアア
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品1~3
[思考・状況]
1.DIO様は守る、J・ガイルに会う、両方やらなくちゃならないのが老婆のつらい所じゃな
2.ポルナレフとホル・ホースを地獄の苦しみの末に殺す
3.ジョースターの奴ら(
ジョセフ・ジョースター、モハメド・アヴドゥル、
花京院典明、
空条承太郎)も殺す
[備考]
※全身穴だらけの老婆が何やらニヤつきながら歩いています。それはもう奇怪な事でしょう。
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最終更新:2008年07月17日 21:36