彼らが道を間違えたかどうかは俺は知らない。
でも、彼らはみんな選択した。
その上で、一人の命が奪われた。
このゲームは殺し合い。
その一人が死んだ事で、大勢の命が助かったかもしれない。
その一人が死ななければ、助かった命があったかもしれない。
でも、俺も彼らもそんな事は知らない。
誰の選択が正解だったのかは、これからの一連の流れを見た君たちに任せる。
何にせよ、見てもらわなくちゃ始まらない。
それじゃ、始まりだ。
★
僕の名前は
川尻早人。
ごく一般の、どこにでもいるような小学生だ。
ただ、一つだけみんなと違うところがある。
僕は、パパを二回失った。
そのうち一回は、間接的に僕がパパを殺した。
夏休みの中で、僕は劇的に変わり、出会うはずの無かった人々と出会った。
そして、ママを守ると誓った。
猫草を持って家を出たあの時の気持ちは忘れてない。
全ては、救急車とパパがぶつかって終わった。
はずだった。
あの場所にはママと、そしてパパがいた。
あのパパはどっちのパパなんだろう。
どっちにせよ、ママは僕が守る。
決意を胸に秘め、僕は歩き出した。
瞬間、頭の中を駆けめぐる殺気、危険信号。
逃げろ にげろ ニゲロッ!
脚が震えて動けない。
顔だけ前を向けると、30m?いや、20mくらい先に筋肉の塊のような巨大な『ナニカ』が立っていた。
「あ……あっああ……ああっあ……」
パパなんか比べ物にならないくらいの圧倒的殺意。
死への好奇心。
僕は『アレ』に殺される。
直感的に理解してしまった。
「うあ……あ……あう……うっあ……」
こっちを……向いた…………
近づいて……くる…………
目の……前にいる…………
「NN?子供か。
喰うほどの大きさでもあるまい。
質問に答えられたら逃がしてやるぞォ。
お前は『スタンド』とやら、持っているのかァ?」
「あ……ああ……あうっあ……」
『アレ』はニヤリと笑って口を開く。
「答えられなかったかァ。」
僕は……死ぬんだ。
ママ……ごめん。
守れそうにないや。
先にあっちで待ってるよ。
僕の体に『アレ』の手が触れようとする。
その時だ。
「見てらんねーな、弱い者いじめはよォ。」
ヒーローだ。
「相手は俺がなってやる。」
僕の目の前に。
「かかってこいよ、デクノボー。」
ヒーローが現れた。
★
「NN?子供か。」
見ると、そこには巨大な男と鬼気迫る顔の子供がいた。
「おい、ありゃ何だ。
まさか取って喰おうなんてわけじゃあねぇだろうな。」
助けるか?
俺があの場に行けば、あの子供は助けられる。
だが、いくら腕っ節が強いからって俺じゃああいつに適わない。
『ムーディー・ブルース』も、戦えるスタンドじゃない。
だとしても、ここで逃げたらブチャラティ達に顔向けできないな。
子供を守って死ぬなんてカッコいいじゃないか。
チームの誰か、フーゴあたりが通りかかるのを願ってるぜ。
「結果より過程だな。」
二人の元へと走り込み、そのまま滑り込むように間を突き抜ける。
「見てらんねーな、弱い者いじめはよォ。
相手は俺がなってやる。
かかってこいよ、デクノボー。」
巨大な男は首の関節を鳴らし、ゆっくり口を開く。
「相手になる……かァ。
MUH……良いだろう。
お前から先に喰らってやるわッ!」
隙を見計らって子供に一言俺は、
「逃げろ。
余裕があったら戦える味方を連れてこい。
さぁ、走れ!」
「死なないでね、絶対に帰ってくるから。」
あの子供は、何度も死線をくぐり抜けてきたような目をして走っていった。
「さぁ、邪魔者はいないぜ。」
互いの拳が同時に飛び出した。
★
僕は行く当てもなく走った。
杜王町の勇者を探して走った。
「ハァッ……ハァッ……どこにも……いないッ。」
クソッ!
僕は無力だ……本当に……
「君、そんなに急いでどうしたんだい?
子供は嫌いなんだが、話しかけられただけ光栄だと思ってくれ。」
「露……伴……先生?」
「君みたいな子供が僕を知ってい「早く来てください!人が!化け物が!早く!」
何を言っているんだ?
全く訳が分からない。
言葉も切れ切れで聞きづらいしな、少しのぞかせてもらうよ。
「『ヘブンズ・ドアー』ッ!」
ん?
なんだ?
僕が死んで?
未来の記憶?
キラー・クイーン?
化け物?
「解除。」
何を見たのか自分でも理解できていない。
だが、僕の推理として一つ確信した事がある。
彼と僕は時間軸が違う。
そして……
助ける事は取材になりそうだ。
「早く!早くしてくだ「分かった。千帆さん早く準備して。取材開始だ。」
「は、はい!分かりました。」
君にとってのヒーロー、死んでなければいいが。
★
「カハッ……ッ!」
まだだ、まだ死なねぇ……
あの目は、あの子供の目は、約束を破らない目だった……
あいつが来るまでに死んだらカッコわるいしな……
「UGAAAAA!しぶとい人間だなッ!」
「……まだ……死ぬわけには…………いかないんでな……」
けど……もう無理…………かもな……
「MUHH!ならばこれで終わりだァ!」
ブチャラティ……すまねぇ…………
「『ヘブンズ・ドアー』ッ!」
「NN?なんだ貴様は?」
「チッ……かわされたか。」
なんだ……ちゃんと助けにきたじゃねぇか…………
良い大人になるぜ…………あいつは……
「千帆さんッ!彼の所にいてくれッ!」
「はいッ!」
凄まじい身体能力だな。
あの子供の記憶に『化け物』としてインプットされても無理は無いか。
さて、次で落としてネタにさせてもらう。
「『ヘブンズ・ドアー』ッ!」
「甘いッ!」
「『ヘブンズ・ドアー』ッ!」
「無駄無駄ァッ!」
「『ヘブンズ・ドアー』ッ!」
「死ィねェェェィッ!」
なぜだ……なぜ当たらない……
あのスピードは本当に人間業じゃないぞ……
スタンドか?いや、どこにもスタンド像が無い。
「動きを止めたなァァァァッ!
そこだァァァ死ねェェェッ!」
なんだと……?速度が上がった……?
僕は死ぬのか?
「ムー…………ディー……ブルー…………ス……
ガハッ……ッ!」
男の拳は人型のスタンド像を突き破って止まり、それと同時に倒れ伏していた男の胴体にも大きな穴が開いた。
「今……だ…………攻撃を……当て……ろ…………」
スタンド像は男の腕を押さえつけている。
「ありがとう。
これであいつを倒せるよ……『ヘブンズ・ドアー』ッ!」
男は動きを止めた。
キャアァァァァァァァァッ!
悲鳴が空を包んだ。
満身創痍の彼はもう長くないだろう。
こんな時になんであのクソッタレ仗助はいないんだッ!
せめてもの手向けだ……倒した証でもみせてやるか…………
僕はそう思って男の本を手に取った。
すると、奇妙な文字列が並んでいた。
それは、アラビア語だとかロシア語だとかそういう意味での奇妙じゃあない。
人間を喰った?
とても直視できないような、無惨で胸糞悪い記憶。
だが、僕は気づいてしまった。
この行為を犯せば、人道的に、倫理的に批判されるだろう。
だが、無差別殺人犯を生かして、子供を助ける人間を殺すなんてそんな事はできない。
可能性があればやるべきじゃないのか?
罪は僕が背負う。
そうして僕は男に命令を書き込んだ。
★
「ろ、ろ、ろ……はん…………せん……せい?」
「あぁ、千帆さん。やっと目を覚ましたか。
何で驚いているかはだいたい分かっている。
この男の事だろう。」
彼、
岸辺露伴は、レオーネ・アバッキオの脳を
エシディシの体内に移植した。
柱の男の力を使い、レオーネ・アバッキオの脳を神経系に繋げ、その後、エシディシ自身にエシディシの脳を『喰わせた』。
気を失ってはいるが、呼吸や脈は落ち着いている。
と、ここまで話した所で、
双葉千帆が怒声を上げた。
「どうしてそんな事できるんですか!
元の体の人……エシディシさんだって生きてた!
なのに……どうして…………」
岸辺露伴が反論しようとした時、声を荒げて川尻早人が話し始めた。
「お姉ちゃんはさぁ!甘いんだよ!
ぼくの周りでは、たくさんの人が死んだ!
パパだって死んだし、露伴先生だって何回も死んだ!
今さら殺人鬼が死んだ所でなんだっていうんだよ!
お姉ちゃんなんてさぁ!一緒にいても足手まといだよ!」
「早人君、流石に言い過ぎじゃないか?」
双葉千帆は涙目になりながらつぶやく。
「……そう……ですよね。
私……甘くて…………こんなんじゃ……一緒にいる資格…………無いですよね。
短い間でしたけど、ありがとうございました。」
そのまま双葉千帆は遠くへと走っていく。
「さ、露伴先生、準備しましょう。」
「あ、あぁ……そうだな。
にしても、千帆さんはどうしよ「気にしなくて良いと思いますよ、足手まといは。」
★
彼らが道を間違えたかどうかは俺は知らない。
でも、彼らはみんな選択した。
その上で、エシディシの命が奪われた。
このゲームは殺し合い。
エシディシが死んだ事で、大勢の命が助かったかもしれない。
エシディシが死ななければ、助かった命があったかもしれない。
でも、俺も彼らもそんな事は知らない。
誰の選択が正解だったのかは、これまでの一連の流れを見た君たちに任せる。
岸辺露伴に出会った川尻早人。
エシディシを殺した岸辺露伴。
三人から逃げ出した双葉千帆。
四人の選択。
一人の犠牲。
罪深き者達は何処へ向かう。
【二人の作者:解散】
【エシディシ死亡】
【残り 110人】
★
【E-7 杜王町住宅街 北西・1日目深夜】
【川尻早人】
[スタンド]:なし
[時間軸]:四部終了後
[状態]:健康 漆黒の意志:小
[装備]:無し
[道具]:
基本支給品、ランダム支給品1~2
[思考・状況]
基本行動方針:ママを守る
1.本物の杜王町への手がかりを探す
2.アバッキオさん、露伴先生ありがとう
[備考]
漆黒の意志:小←片足つっこんでるかつっこんでないかくらいに思ってください
一過性のものにしてくださっても結構です
甘ったれてる千帆が多少ムカついた程度に取ってもらっても結構です
あくまでも、漆黒の意志:『小』です
【岸辺露伴】
[スタンド]:『ヘブンズ・ドアー』
[時間軸]:ハイウェイ・スターに「だが断る」 と言った直後
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~ 2
[思考・状況] 基本的思考:千帆が書いた作品を漫画に描きたかった
1:ネタ集めは続ける
2:ゲームには乗らない
3:アバッキオ、すまない
4:川尻早人には多少警戒する
5:承太郎さんが死んだ?
【レオーネ・アバッキオinエシディシ】
[スタンド]:『ムーディー・ブルース』
[時間軸]:JC59巻、サルディニア島でボスの過去を再生している途中
[状態]:気絶
[装備]:柱の男の肉体
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~2
[思考・状況] 基本行動方針:チームと合流し、ボスを倒し、『任務』を全うする
1:新しい体に慣れなくては……
2:余計なことをする気はないが、この『
川尻浩作』には要注意だな……
[備考]
肉体的特性(太陽・波紋に弱い)も残っています
吸収などはコツを掴むまでできない方向でお願いします
【双葉千帆】
[スタンド]:なし
[時間軸]:大神照彦を包丁で刺す直前
[状態]:健康、不安
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~ 2
[思考・状況] 基本的思考:この現実を小説に書きたかった
1:露伴先生があんな人だったなんて……
2:ゲームに乗る気はない
3:琢馬兄さんもこの場にいるのだろう か……?
4:川尻早人君だけ……雰囲気が違った
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最終更新:2012年12月29日 17:59