ある漫画家がこういうセリフを言っている。
いわく、『キャラクターにはシンボル化が重要だ』と。
なるほどなるほど。確かにその通りだ。
黒い丸を三つ並べれば何故だかネズミに見えてくるように。
あるいはギャンブルをするときの心境といえば“ざわ・・・”であるように。
――という前置きをして、次の説明をされたら、それは『何』だと思う?
まずは顔。上下の唇は鋭く長く伸び。
後頭部には舟の舵を思わせる大きなトサカ。
わき腹から手首まで、身体の側面に伸びた一対の薄い膜は翼を思わせる。
さあ、一体これは『何』だ?
多少の知識がある人ならそれを『プテラノドン』と呼ぶだろう。
仮にそんな専門的な固有名詞を知らなくとも、多くの人が『怪獣』とか、あるいは。
『恐竜』と――そう言うだろう。
では、地面に潜る彼がなんでまたこの姿になってしまったのか。
“根拠”を問われたのなら……まあ、飛ぶように泳ぐ姿から、といったところだろう。
“原因”を問われたのなら……それは彼がこれから会う男にある。
「よう」
それは返事を求めて発したモノじゃあない。発言した男自身が――ご存知、
ディエゴ・ブランドーが――よくわかっている。
相手がまともに言葉を発するとも思っていない。
ただ、ほんのチョッピリの反応があれば充分だった。
――皆は知ってるだろうけど、一応補足をしておこう。
これは
ディエゴ・ブランドーがスタンド使いだから云々といった理屈ではなく、持って生まれた才能だ。
農場にいる暴れ馬たちを手懐けていた彼にとっては、たかだか頭の弱い恐竜一匹の言わんとしていることくらい容易に分かる。
動揺と警戒をしつつ、若干の威嚇を含んだその姿勢を見て、また方角と時間から察するに――作動した未知の禁止エリアに迷い込んだといったところだろう、と。
――ちなみにもう一つ補足するなら。
さっきのスキルとは違い、こちらは
ディエゴ・ブランドーが身に付けたスタンド能力で成しえたことだ。
夜のジョギングというにはいささか速すぎるペースで“同族”の匂いをたどっていけば、他者に遭遇することなく相手を追跡することも容易も容易だろう。
もっとも、こんなことをドヤ顔で解説してやるような相手も近くにはいないのだが。
いや、いた――あ、いや、解説するかどうかという意味でなく、“相手が”という意味で。
その正体はどこからともなくひょっこりと現れた一枚のカード。
「あー、話はまとまった。今現場に向かってる……オメーも第四放送までに来い」
簡潔極まりないそのセリフに対してフム、と小さく漏らすディエゴ。
今、このタイミングでの報告は互いにとってどう影響するものなのか。言葉の内容とその裏に潜む意図はどうなのか。
わざわざムーロロが(ジョニィとルーシーはともかく)自分を放って
セッコだけを尾行をしていたとは思えないし、かといってこの“合流”を無視するようなマヌケを晒すこともまたないだろう。
言うことだけ言っていつの間にか視界から遠ざかっていくトランプを追うべきか追わざるべきか。あのトランプは最初から自分の速度についてきていたのか?それとも他で何かを見てから此処へ来たのか?
などなど――考えるべき問題は決して少なくない。
だが、ここで急にディエゴは思考を遮られることになる。
つい先ほど自分の呼びかけに反応し、それ以来ずっと俯いていたセッコノドン……変なネーミングだな、やっぱり素直にセッコ恐竜と呼ぶか。
とにかく――そいつが今このタイミングで、低い声で唸りながらぶつぶつと呟き始めたのだ。
「……タイ……アマ……
クイ……タ……ツク……イ……」
何言ってんだコイツは、と目線を向ける。
恐竜化してなお喋ることは決して珍しい現象ではないが、その言葉は本当に文字通りの意味で『何言ってんだ』だったから。
ここで、先ほどの漫画家からもう一つ言葉を借りよう。
いわく、『キャラクターの行動には何かしらの動機が必要である』と。
たとえ“なんとなく”であろうが、キャラクターが動くということは、そこに何かしらの動機がなければならないそうだ。
――という前置きをして、今の
セッコの動機は、一体『何』だと思う?
だらしなく開かれた口からは止まることなくヨダレが溢れ。
指先は柔らかな肉を揉みほぐすような手つきで握り、開きを繰り返し。
ギョロギョロと動かしていた視線がディエゴのそれと一瞬だけ交錯し、瞳孔が一際大きくなった。
さあ。彼の『動機』は一体どこにある?
“根底”を考えるのなら……まぁ、彼自身が生み出した好奇心、といったところだろう。
“原因”を考えるのなら……それは彼がかつて出会った男にある。
「ディ……っディDIOオオォォオッッ」
それは返事を求めて発されたモノじゃあない。
――
セッコの言う“ディオ”は自分の事ではないのだろう。
話にこそチラリと聞いていたがディエゴ自身は直接
セッコと関わった時間など僅かも僅かだったのだから。
そういう意味では、ルーシーのところから呼び寄せておいた名も知らない恐竜のほうがよっぽど付き合いが長い。
さておき。いくら突然のことと言えど、猛獣使いのスキルがあろうと、いくら素早く反応が出来ようと。
この顛末を予め想定出来無かったのは迂闊だった――いや、言い直そう。
ディエゴ・ブランドーほどの男が想定していなかったわけでは、決してない。
純粋に、ただただ純粋に。ディエゴの想像以上だったのだ。
『DIOの残したモノ』の大きさが。異常さが。
「――おいッ!」
予備動作もなく着水……おっと、着地かな?羽根を器用に使って泳ぎ出す
セッコを逡巡ののちに追うディエゴ。
護衛を先に動かすあたり、まだディエゴにも戦略的余裕が見受けられるが、それでも動揺は彼の腹の中にだって少なからずある。
直感だがアレを放置したらヤバい。
恐竜化したキッカケこそ自分ではあるが、その火の粉が降りかかってくる可能性が僅かにでも存在するのなら。
自分が悪だと思ってもいない、最もドス黒い悪。そんなヤツの!ブレーキが!壊れてしまったのならッ!
『飼い主』のなくなった
セッコの能力は
――もはやとどまる所を知らない!
暴 走 “スタンビート” す る ッ !
「クソッ……一体『DIO』は何をしたのか!何なのだあの“置き土産”は!
あんな“邪悪の化身”をほっぽり出したまま死にやがって!
ムーロロの野郎もッ!何が『DIOの事は完全に忘れた』だッ!
――あれじゃあ俺が“思い出させてやった”みたいじゃあないか!
『クズどもを上から支配する』なんて存在はこのDio一人で十分だッ!クソッタレどもめッ!」
そんな悪態をついてやる相手は今度こそおらず――三頭の恐竜が街中に消えていく。
……今のディエゴには考えてる余裕なんかなくなってしまったが。
『ハッキリ言うぞ――――おまえの考えてるようにはいかない』
そうムーロロに言い放った自分自身にも、まさかこんな展開が待っていたとは。
まったく、なんという皮肉だろうかね。自分の生み出した恐竜が原因という意味ではある意味ムーロロ以上かもしれないな。
そして。その余裕のなさが一つ、決定的なことを見落とした。
『話はまとまった』ってのは、実際には全く『まとまって』いないことを。
ディエゴ自身だけでなく、ムーロロもまた抜き差しならない状況に陥り、そして“ブチ切れた”ことを。
――え、一つじゃないじゃあないかって?まあ、そういうなよ――
【E-3 川沿い / 一日目 真夜中】
【
ディエゴ・ブランドー】
[スタンド]:『スケアリー・モンスターズ』+?
[時間軸]:大統領を追って線路に落ち真っ二つになった後
[状態]:健康、なかなかハイ、動揺(小)
[装備]:遺体の左目、地下地図、恐竜化した『オール・アロング・ウォッチタワー』一枚
[道具]:
基本支給品×4(一食消費)鉈、ディオのマント、ジャイロの鉄球
ベアリングの弾、アメリカン・クラッカー×2、カイロ警察の拳銃(6/6) 、シュトロハイムの足を断ち切った斧
ランダム支給品11~27、全て確認済み
(ディエゴ、ンドゥ―ル、
ウェカピポ、ジョナサン、
アダムス、ジョセフ、エリナ、承太郎、花京院、
犬好きの子供、仗助、徐倫、F・F、アナスイ、
ブラックモア、
織笠花恵)
[思考・状況]
基本的思考:『基本世界』に帰り、得られるものは病気以外ならなんでも得る
1.暴走した
セッコに何かしらの対処をせねばヤバイッ!
2.ムーロロを利用して遺体を全て手に入れる
3.ルーシーたちを追う?
カーズ討伐同盟のもとに向かう?支給品確認するタイミングはあるのか……?
[備考]
※DIOから部下についての情報を聞きました。
ブラフォード、大統領の事は話していません。
※装備とは別に『オール・アロング・ウォッチタワー』のカード(枚数不明)が監視についています。
※ディエゴが本来ルーシーの監視に付けていた恐竜一匹が現在ディエゴの手元にいます。
【
セッコ】
[スタンド]:『オアシス』
[時間軸]:ローマでジョルノたちと戦う前
[状態]:健康、恐竜化(進行:ディエゴに近づいたためほぼ100%)
[装備]:カメラ(大破して使えない)
[道具]:
基本支給品(元はジョニィの所持品)、死体写真(シュガー、エンポリオ、重ちー、ポコ)
[思考・状況]
基本行動方針:??
0.暴走状態。喰いたい、作りたい、角砂糖ほしい
1.ルーシーのところへ戻り、甘いのいっぱいもらう……?
2.禁止エリアに引っかからない誰かに変な自分の体、いったいどうなってんだ?
3.人間をたくさん喰いたい。何かを創ってみたい。とにかく色々試したい。新しい死体が欲しい
4.
吉良吉影をブッ殺す
※ディエゴと接触したためほぼ完全に恐竜化しました。見た目はプテラノドンのようです(空を飛べるかは不明)
→このため思考力がほとんど低下し、本能のままに自分の欲望を叶えるモノになりました。
※『食人』、『死骸によるオプジェの制作』という行為を覚え、喜びを感じました。
※千帆の事は角砂糖をくれた良いヤツという認識です。ですが
セッコなのですぐ忘れるかもしれません。
DIOのことは完全に忘れ去りました。
→DIOに与えられた影響は精神の根底に残っています。
見た目が似たディエゴを見て(プラス恐竜化の思考力低下で)フラッシュバックした……?
※ルーシーから不明な禁止エリアを調べてくるよう頼まれていました。
それに伴いジョニィの
基本支給品一式を譲り受けました。
ルーシーたちとどこで待ち合わせしているかなどは次回以降の書き手さんにお任せします。
→
セッコ自身が覚えているかどうかは不明です。
→恐竜化した感覚で匂いをたどって彼らの元へ向かえる、かも?
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最終更新:2020年08月23日 22:20