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ホリー・ガーデン

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『ホリー・ガーデン』  江国 香織 著


 これは恋愛小説である。何を隠そう、本書は人に薦められて読んだ本である。

 はっきり言ってしまうと、今まで恋愛小説を読んだことがなかった。むしろ恋愛小説を読むのは時間の無駄とさえ思っていた。しかしながら読んでみると、私自身に無かったモノの見方や様々な人生が世の中にはあり得るということを知ることができた。思っていた以上に収穫は大きかったようだ。

 この小説は、過去の失恋を引きずり心から人を愛せずいくらかの男とカラダの関係だけを続ける女、その事を知りつつもその女を慕う男、さらに妻のいる男と付き合う女の話である。社会的な常識にのっとって考えれば、この三人の行動は理解し難いものであろう。しかしながら、非常識的なことを当たり前のように描写される三人の生活を読み進めるうち、次第にこのような生活・人生もあってもいいのかもしれないと思ってしまった。私の心の中に、三百頁の中に綴られる三人それぞれの価値観を受け入れる隙間があったのだろう。常識という固定観念の中では有り得ないと考えている事でも、その確固たる価値観を見せつけられると受け入れざるを得ないことがあるようだ。

 価値観とは多様である、多様すぎる。小説の中ではあるが現実にも十分あり得ることである故に、多くの考え方を受け入れる姿勢の必要性を感じさせられてしまった。今後も時間を見つけて読んでいこうと思う。


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