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イエス

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『イエスの生涯』  遠藤 周作 著



 本書は著者が聖書、福音書の他、過去に書かれたイエス伝から真のイエスを推理した小説である。強引な推測も多々見受けられるものの、全体としてはなるほどと頷けるものであった。

 イエスは生涯に渡り彼の描きつづけた神の愛、愛の神を誰に理解されることもなかった。人々は無力な愛よりも現実的な効果をもたらす力を神に求めていたのだ。それ故、人々は愛を唱えるだけのイエスが無力と知るや否や彼を見捨てる。弟子たちでさえも彼を裏切り見捨てた。そして、全てに見捨てられたイエスは磔刑を宣告され、その生涯を終えることになる。

 私はイエスがその死後に神とたりえた所以は数多くの伝説ではなく、十字架につるされながら語った言葉にあるように思う。彼を見捨てた人々や裏切った弟子たちにさえ、彼は許しを神に請うたのである。私には到底理解できぬ心境である。こんな人がいるのかと素直に驚いてしまった。

 いずれにせよ、これらが事実かどうかは不明である。しかしながら、著者は言う「これらは事実ではないかもしれないが真実である」と。確かに事実ではないかもしれない真実の存在がイエスを支えているのかもしれない。

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