上級飛行船 - 十の救現主wiki

シルヴィエ「帰ったようね。」
オリヴィア「先輩、ここで何してるんですか？」
シルヴィエ「上級浮遊船を動かせるように調整していたところよ。そろそろ外出しての任務に同行することになりそうだから。」
オリヴィア「何の任務ですか？」
シルヴィエ「あなたたちが今まさに進行している任務よ。一緒にやらせてもらうわ。」
オリヴィア「やったぁ！、先輩がいれば任務がすごく効率的になるんですよ！！
ん〜！ありがとうございます！、やっぱりいい匂い〜。」
シルヴィエ「………猫吸いはやめてと言ったはずよ。
とりあえず、今さっきクリスから報告を受けたわ。行き詰まったそうね。」
オリヴィア「これ以上候補が見つからなくて。」
シルヴィエ「一つアドバイスをするなら……私は眠いわ。」
オリヴィア「え？」
シルヴィエ「睡眠よ。」
オリヴィア「え？
ほんとに言ってます？」
シルヴィエ「大真面目よ。
一度睡眠を経て、集中力の高い間に思考してみれば、何かヒントが浮かぶかもしれないわ。」
オリヴィア「………先輩がそう言うなら、そうしてみるか。
じゃあ、ここはポケットテントを……」
シルヴィエ「その必要はないわ。
私の上級飛行船で寝なさい。少しは快適に眠れるはずよ。」
オリヴィア「いいんですか！？
初めて入るかも………」
シルヴィエ「………今までは、あなたを入れたら散らかると思ってただけよ。」
オリヴィア「うぐっ……否定できない。」
シルヴィエの誘いを受け、上級飛行船に入れてもらえた。

シルヴィエの上級飛行船は非常に整理整頓された綺麗な空間で、空気も自然のように澄んでいた。
シルヴィエ「汚さないように気をつけなさい。
今晩は私が料理を作るから、リラックスして、十分に休息を取りなさい。夢幻領域にいる間は、休めていないから。」
オリヴィア「先輩が料理を……！
楽しみだなぁ〜！」
上級飛行船のキッチンも綺麗に整頓されているが、なぜかキッチンから異様な匂いが漂う。
シルヴィエ「……あら、どうやるんだったかしら？
こう………いや……こう？
ああ、思い出した。ヴァンミィ唐辛子をスパイスに入れるんだったわね。
でも辛いのは遠慮されるだろうから、塩味で代用すれば……
キャットフードも、人間が食べられないわけじゃないわよね。」

オリヴィア「どうしたの？
先輩の独り言？」
シルヴィエ「………できたわ。
さあ、今日はヴァルディクスから教わった、「極南ハルシア風スパイスカレー」よ。」
オリヴィア「……え………えええ？」
シルヴィエ「どうしたの、量が多かったかしら。」
オリヴィア「い…いえ…嬉しいなぁ。あはは……はは…」
カレーは本来、食欲をそそる色をしているものだ。
しかし今目の前にそびえているものは、毒々しい青色に包まれ、もともと猫の形にトッピングされていたであろうご飯と顔の部分は、苦しそうに歪んで、こちらに必死の訴えをぶつけている。
全くもって生を感じない。
これは死、そのものだ。

シルヴィエ「早めに食べると、まだ温かいからおいしいはずよ。」
オリヴィア「………じ……じゃあ、いただきます……」
オリヴィアは完全に、手も声も歯も震えている。
恐怖を拭い、シルヴィエを信じて口に入れた。

オリヴィア「ヴッ………ゴパァ！！！」
ピクリとも動かない。
シルヴィエ「美味しいからか、意識が飛んだようね。
さあ、あなたたちもお食べ？」

食べますか？
A.食べる
B.食べない

B→あら、明日に備えてしっかり食べないとダメよ。

A→ちゃんと味わってね。

死が目の前にいる。
汗が止まらない。
スプーンに一口分すくった。
そのルーは粉がまだ溶けきっておらず、ブルーチーズの匂いもする。
具材を確かめると、ごろごろとした立方体の固形物に、ネズミらしき動物の皮まで混入している。
一目で、この世に存在してはいけないものだとわかる。

それでも口を開けて食べなければならない。
一口、舌が触れた。

突然視界は暗くなっていく。気分が悪くなったと思ったら、次の瞬間には何も感じられなくなっていた。

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