シルヴィエ「緊急よ。通しなさい。」
クリス「副司令!
先程、パッドファルト周辺の宇宙空間で、2体のグジャが発見されたとの報告が。」
シルヴィエ「種類は?」
クリス「ヘルドコルムです。最下級とはいえ金眼の破片の影響を受けた個体だと思われ、拡大して見た特徴が、第六空想学研究室の研究員と一致したとも。」
シルヴィエ「金眼の影響ともなれば、鉱物体を持つヘルドコルムが多いのも納得よ。
グジャの所在を追いなさい。一刻も早く!」
クリス「VUND部隊の指揮権をいただきます。よろしいですね?」
シルヴィエ「許可するわ。
……ヴァルディクス、あなたが……。」
クリス「副司令!
先程、パッドファルト周辺の宇宙空間で、2体のグジャが発見されたとの報告が。」
シルヴィエ「種類は?」
クリス「ヘルドコルムです。最下級とはいえ金眼の破片の影響を受けた個体だと思われ、拡大して見た特徴が、第六空想学研究室の研究員と一致したとも。」
シルヴィエ「金眼の影響ともなれば、鉱物体を持つヘルドコルムが多いのも納得よ。
グジャの所在を追いなさい。一刻も早く!」
クリス「VUND部隊の指揮権をいただきます。よろしいですね?」
シルヴィエ「許可するわ。
……ヴァルディクス、あなたが……。」
中はツンとくる匂いが立ち込めている。先程まで抗空想剤が効いていた影響だろう。
やがて第六空想学研究室が見えてきた。
ドアは大破し、壁もほぼ欠損している。
宇宙空間が丸見えの吹き抜け状態だが、酸素圏内のためなんとか呼吸ができている。
中には一人の男が膝をついてか細い呼吸音を響かせていた。
シルヴィエ「………ヴァルディクス!」
ヴァルディクス「シルヴィエ……時が来た。」
シルヴィエ「あなた……肌が……。」
ヴァルディクスの肌は剥がれ始めており、鉱物体が見え隠れしている。
シルヴィエ「ダメよヴァルディクス、まだ……」
ヴァルディクス「来たのだ。
シルヴィエ……たしかに私も後悔は残っている。
だが……いつまでもこんなジジイが、最高司令の座についているわけにはいかない。
ここでお前に、最高司令として覚えておくことは全て教えた。
お前が……沈黙者の、新しい最高司令だ。」
シルヴィエ「……私はあなたに甘えながら生きてきたというのに、どうやって沈黙者を率いるというの。」
ヴァルディクス「本当にそうか?
お前はもう、たくさんの部下がいるじゃないか。
オリヴィア、ルーディウス、クリス、ここまでお前を信頼してついてきた仲間は、お前をそのようには見ていない。
お前は、自分たちの力でこの船を動かすことができる。
シルヴィエ、もう一度言う。
時が………来たのだ。」
シルヴィエ「………
あなたはどうするの……」
ヴァルディクス「そこだけが、お前を苦しめてしまった、私の後悔だ。
私がこの船を攻撃したときは、ためらわずに……殺せ。」
シルヴィエ「最後に……あなたに見てもらいたいものがある。」
シルヴィエはポケットから一枚の写真を取り出した。
シルヴィエ「……デゼール星で、あなたの誕生日を祝った時のものよ。」
ヴァルディクス「はは。まだ憶えていてくれたか。
ありがとう。私はここで、一生を終える。」
ヴァルディクスは双剣を抜き、一歩引き、シルヴィエに向けた。
ヴァルディクス「シルヴィエよ!
お前を第三代沈黙者最高司令として認める!
この船を、現実が救われる道へと導いていくのだ!!
………あとは、頼んだぞ。シルヴィエ。」
ヴァルディクスは無くなった壁へ向かい、上を向いた。
そして外へと飛び降りていった。
シルヴィエ「ヴァルディクス……
沈黙者を束ねるのは、最高司令としての責任だけではない。
私自身としての責任でもある。
これからの沈黙者は、私が導いていく。」
シルヴィエは船の外を見た。
一体のグジャが船の後部に飛んでいったのが見える。
シルヴィエ「この事態を止めなければならないわ。
まずはここを出ましょう。」
一同は実験棟を後にした。
やがて第六空想学研究室が見えてきた。
ドアは大破し、壁もほぼ欠損している。
宇宙空間が丸見えの吹き抜け状態だが、酸素圏内のためなんとか呼吸ができている。
中には一人の男が膝をついてか細い呼吸音を響かせていた。
シルヴィエ「………ヴァルディクス!」
ヴァルディクス「シルヴィエ……時が来た。」
シルヴィエ「あなた……肌が……。」
ヴァルディクスの肌は剥がれ始めており、鉱物体が見え隠れしている。
シルヴィエ「ダメよヴァルディクス、まだ……」
ヴァルディクス「来たのだ。
シルヴィエ……たしかに私も後悔は残っている。
だが……いつまでもこんなジジイが、最高司令の座についているわけにはいかない。
ここでお前に、最高司令として覚えておくことは全て教えた。
お前が……沈黙者の、新しい最高司令だ。」
シルヴィエ「……私はあなたに甘えながら生きてきたというのに、どうやって沈黙者を率いるというの。」
ヴァルディクス「本当にそうか?
お前はもう、たくさんの部下がいるじゃないか。
オリヴィア、ルーディウス、クリス、ここまでお前を信頼してついてきた仲間は、お前をそのようには見ていない。
お前は、自分たちの力でこの船を動かすことができる。
シルヴィエ、もう一度言う。
時が………来たのだ。」
シルヴィエ「………
あなたはどうするの……」
ヴァルディクス「そこだけが、お前を苦しめてしまった、私の後悔だ。
私がこの船を攻撃したときは、ためらわずに……殺せ。」
シルヴィエ「最後に……あなたに見てもらいたいものがある。」
シルヴィエはポケットから一枚の写真を取り出した。
シルヴィエ「……デゼール星で、あなたの誕生日を祝った時のものよ。」
ヴァルディクス「はは。まだ憶えていてくれたか。
ありがとう。私はここで、一生を終える。」
ヴァルディクスは双剣を抜き、一歩引き、シルヴィエに向けた。
ヴァルディクス「シルヴィエよ!
お前を第三代沈黙者最高司令として認める!
この船を、現実が救われる道へと導いていくのだ!!
………あとは、頼んだぞ。シルヴィエ。」
ヴァルディクスは無くなった壁へ向かい、上を向いた。
そして外へと飛び降りていった。
シルヴィエ「ヴァルディクス……
沈黙者を束ねるのは、最高司令としての責任だけではない。
私自身としての責任でもある。
これからの沈黙者は、私が導いていく。」
シルヴィエは船の外を見た。
一体のグジャが船の後部に飛んでいったのが見える。
シルヴィエ「この事態を止めなければならないわ。
まずはここを出ましょう。」
一同は実験棟を後にした。