第040話 ブタ忍者 ◆JI0DYaB8oI
鷹野神社にたどり着いた高菜とハマー。
しかし神社は何者かによって破壊されていた。
「まずはこれからどうするか考えようYO」
「……そうね」
無惨に破壊された神社の中にいるのはどうも落ち着かないので、二人は神社の外へ出ると、
茂みに隠れて今後の方針を考えることにした。
「(独りよりはマシかもしれないけど、ねぇ)」
「何か言ったでござるか?」
「ううん、なにも」
ハマーに仕切られるのは釈然としない。
しかし、このままここでハマーをどついていても事態が好転しないのは明白だ。
「(とりあえず、仕方ないか…)」
「じゃあまずは互いの支給品を確認するでござるYO。もし敵が来た時に武器があるのとないのとでは大違いだからね」
「敵…って?」
「……殺し合いに乗った人のことだYO」
ハマーがいつになく真剣な顔をしている。
高菜は思わずごくりと喉を鳴らすが…
「まあ、仮に敵が来たとしても拙者の敵ではないけどね!」
やっぱりハマーはハマーであった。
ちょっとでも期待した自分がバカだったと思う高菜。
ため息をついて肩を落とす。
そんな高菜の気も知らずに、ハマーは自分の荷物を探り始めた。
「じゃあまずは拙者のアイテムを……こ、これは!?」
ハマーが取り出したのは、束ねられた手裏剣が20枚ほど。
しかも(高菜は知らないが)懐かしの『ヨーメラン』である。
ヨーメラン…ハマーがヒップホップ術の講師の頃、「YO!」の練習に使うと嘘をついてジャガーたちに渡した手裏剣。
「ふ…ふははははは!拙者にこんな武器を渡すとは、忍者を舐めてるでござるな!?
ふふふははは!これで拙者に怖いものなしでござるYO!高菜どの!」
「……へー(どう見てもただの手裏剣だけど…ちゃんと当たるのかな)」
「あ、その眼…拙者の手裏剣の腕を疑ってない?」
「うん」
「(あっさり頷かれたー!)」(ガビーン)
「じゃあそこで見てるでござるYO。拙者、あの木にビシーッと手裏剣を当てちゃうからね」
「…ウザッ」
「い、いまなんか『うざっ』とか言わなかった?」
「別に」
「(目をそらしてるしー!)」(ガビーン)
今後の方針を決めるはずが、なぜかハマーが手裏剣の腕前を披露することになってしまった。
高菜としては、普段ならそんなもの見たくもなかったが、いざという時のためにハマーの腕前は知っておきたかっので、
仕方なく付き合ってやることにした。
とは言え鬱陶しいことに変わりはなく、早く終わらせて欲しいというのが本音だ。
「じゃあいくでござるYOー!……YO!」
……手裏剣は木の幹を外れて、背後の茂みへと消えて行った。
「今のは練習だYO!もう一度!」
……手裏剣は木の幹を外れて、背後の茂みへと(以下略
「も、もう一回…」
……手裏剣は木の幹を外れて(以下略
――5分後
「今度こそ!」
「いい加減にしろー!」
ベチーン!
「わぶっ!」
頬を思いっきり叩かれ、その場に崩れ落ちるハマー。
その手からこぼれ落ちた手裏剣は、既に半分以下に減っていた。
「さっきからちっとも当たってない!手裏剣がもったいないじゃない、このブタ忍者が!」
「ぶ、ブタ忍者!?」(ドキーン)
引っ叩かれた頬を押さえながら、なぜかときめくハマー。
そんなハマーを放っておいて、高菜は自分の荷物を調べ始めた。
ハマーと遊んでいる暇はない、さっさと支給品を調べてまともな人を見つけたいと思いながら。
「あ、なんだろこれ…ホース?」
高菜の荷物に入っていたのは、二本のホースのようなモノ。
同梱されていた説明書によるとハーモニック・パイプという楽器。振り回すとホワーンと音がなるらしい。
「楽器……がっき…あは、あははは、終わったわ……orz」
「あ、なんでござるか?そのホースは」
「うるさい!」
ビチーン
思いやりのないハマーの一言に、とっさにハーモニック・パイプで引っ叩く。
「痛っ!な、なにするんだYO!」
「うるさい!この!どうせ私はここで死ぬのよ!」
ビチーン
ベチーン
「痛い!それけっこう痛いYO!」
「あー、もう!どうすんのよ!こんなホースと当たらない手裏剣で!敵に襲われたらどうすんのよ!」
「お、落ち着いて高菜どの。拙者の忍術があれば敵なんてイチコロだから安心してYO!」
「安心できるかぁぁぁ!」
高菜の精神は既にかなり疲労していた。
…半分くらいはハマーのせいで。
【G-06/鷹野神社付近/1日目・午前4時ごろ】
【女子5番
白川高菜@ピューと吹く!ジャガー】
状態:健康 精神的に疲労
装備:ハーモニック・パイプ@ピューと吹く!ジャガー
道具:支給品一式
思考:1.ハマーうざい
2.ジャガー、ピヨ彦、またはまともな人と会いたい
3.殺し合いから脱出したい
【男子27番
浜渡浩満@ピューと吹く!ジャガー】
状態:健康
装備:ヨーメラン(手裏剣)×9@ピューと吹く!ジャガー
道具:支給品一式
思考:1.敵が来たら忍術で高菜を守る
最終更新:2008年02月11日 16:16