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誓約

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記紀

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古事記【原文】 古事記【現代語】 日本書紀【現代語】 日本書紀【原文】 備考
故於是、速須佐之男命
 そこで速須佐之男命は、
「然者、請天照大御神
、將罷。」
「それなら天照大御神に申しあげて黄泉の国
に行きましょう。」
乃參上天時、山川悉動
、國土皆震。
と仰せられて天にお上りになる時に、山や川
が悉く鳴り騷ぎ国土が皆振動しました。
素戔嗚尊が天に昇られる時、大海も轟き渡り
、山岳も鳴り響いた。これはその性質が猛々
しいからである。
始、素戔嗚尊昇天之時
、溟渤以之鼓盪、山岳
爲之鳴呴、此則神性雄
健使之然也。
爾天照大御神、聞驚而
天照大御神が驚かれて、 天照大神は、もとから素戔嗚尊が荒く良から
ぬことをご存じであったため、やってくる様
子をごらんになると、顔色を変えて驚かれ、
天照大神、素知其神暴
惡、至聞來詣之狀、乃
勃然而驚曰
「我那勢命之上來由者
、必不善心。欲奪我國
耳。」
「わたしの弟が立派な心で天に上ってくると
は思えない。私の国を奪おうと思っているの
だろう。」と仰せられて、
「我が弟がやってくるのは、きっと善い心で
はないだろう。思うに、きっと国を奪おうと
する志があるのだろう。父母はそれぞれの子
供たちに命じて、それぞれの境界を設けられ
た。なぜ自分の行くべき国を棄てておいて、
わざわざこんな所に来るのか」
「吾弟之來、豈以善意
乎。謂當有奪國之志歟
。夫父母既任諸子各有
其境、如何棄置當就之
國而敢窺窬此處乎」
卽解御髮、纒御美豆羅
而、乃於左右御美豆羅
、亦於御𦆅、亦於左
右右御手、
髮を解き、左右に分けて耳のところに輪に巻
いて、その左右の髮の輪にも、頭に載せた鬘
にも、左右の御手にも、
と言われ、髮を結いあげて角髪とし、裾をか
らげて袴とし、
乃結髮爲髻、縛裳爲袴
各纒持八尺勾璁之五百
津之美須麻流之珠而自
美至流四字以音、下效
此、曾毘良邇者、負千
入之靫訓入云能理、下
效此。
皆大きな勾玉の沢山ついている玉の緒を纏き
持たれて、背には矢が千本も入る靱を負われ
大きな玉をたくさん緒に貫いたものを、髪や
腕に巻きつけ、背には矢入れ、
便以八坂瓊之五百箇御
統御統、此云美須磨屢
纒其髻鬘及腕、又背負
千箭之靫千箭、此云知
能梨
自曾至邇以音、比良邇
者、附五百入之靫、亦
所取佩伊都此二字以音
之竹鞆而、弓腹振立而
、堅庭者、於向股蹈那
豆美三字以音、
胸にも五百本入りの靱をつけ、また威勢のよ
い音を立てる鞆をお帯びになり、弓を振り立
てて力強く大庭をお踏みつけになり、
腕には立派な高鞆もをつけ、弓弭を振り立て
、剣の柄を握りしめ、地面をも踏みぬいて、
與五百箭之靫、臂著稜
威之高鞆稜威、此云伊
都振起弓彇、急握劒柄
、蹈堅庭而陷股、
如沫雪蹶散而、伊都二
字以音之男建訓建云多
祁夫蹈建而待問
泡雪のように大地を蹴散らかして勢いよく叫
びの声を挙げ、
土を雪のように踏み散らし、勇猛な振舞いと
厳しい言葉で、
若沫雪以蹴散蹴散、此
云倶穢簸邏邏箇須、奮
稜威之雄誥雄誥、此云
鳥多稽眉、發稜威之嘖
讓嘖讓、此云舉廬毗、
「何故上來。」 「どういうわけで上って来たのか。」とお尋
ねになりました。
素戔嗚尊を激しく詰問された。 而俓詰問焉。
爾速須佐之男命答白 そこで速須佐之男命は、 素戔嗚尊は、 素戔嗚尊對曰
「僕者無邪心、唯大御
神之命以、問賜僕之哭
伊佐知流之事。故、白
都良久三字以音、僕欲
往妣國以哭。爾大御神
詔、爾大御神詔、汝者
不可在此國而、神夜良
比夜良比賜。故、以爲
請將罷往之狀、參上耳
。無異心。」
「私に邪心はありません。ただ父上に、私は
母上の国に行きたいと思って泣いております
と申し上げたところ、父上に追い払われまし
たのでお別れの挨拶に参りました。変な考え
は持っておりません。」と答えました。
「私は始めから汚い心はありませぬ。父母の
厳命があって、まっすぐ根の国に行くつもり
です。ただ、姉上にお目にかかりたかっただ
けです。それで雲霧を踏み分けて、遠くから
やってきました。姉上の厳しいお顔にお会い
するとは、これは思いがけないことです」と
言った。
「吾元無黑心。但父母
已有嚴勅、將永就乎根
國。如不與姉相見、吾
何能敢去。是以、跋渉
雲霧、遠自來參。不意
、阿姉翻起嚴顏。」
爾天照大御神詔「然者
、汝心之淸明、何以知
。」
そこで天照大御神は、「あなたの心の正しい
ことはどうしたらわかるでしよう。」と問わ
れたので、
すると、天照大神がまた尋ねられた。「もし
それなら、お前の赤い心を何で証明するのか
于時、天照大神復問曰
「若然者、將何以明爾
之赤心也。」
於是、速須佐之男命答
白「各宇氣比而生子。
」自宇以下三字以音、
下效此。
速須佐之男命は、「誓約を立てて子を生みま
しょう。」と申されました。
素戔嗚尊は答えた。「どうか姉上と共に誓約
しましょう。誓約により、必ず子を生むこと
を入れましょう。もし私の生んだのが女だっ
たら、汚い心があると思って下さい。もし男
だったら清い心であるとして下さい。」
對曰「請與姉共誓。夫
誓約之中誓約之中、此
云宇氣譬能美儺箇必當
生子。如吾所生是女者
則可以爲有濁心、若是
男者則可以爲有淸心。
故爾各中置天安河而、
宇氣布時、天照大御神
、先乞度建速須佐之男
命所佩十拳劒、打折三
段而、
よって天安河で向かい合い、誓約を立てる時
に、天照大御神はまず速須佐之男命の長い剣
をお取りになって、それを三つに折り、
そこで天照大神は、素戔嗚尊の十握剣を借り
て三つに折って、
於是、天照大神、乃索
取素戔嗚尊十握劒、打
折爲三段、
十握剣
└宮崎県:東霧島神社
奴那登母母由良邇此八
字以音、下效此振滌天
之眞名井而、佐賀美邇
迦美而自佐下六字以音
、下效此、於吹棄氣吹
之狹霧所成神御名、
音もさらさらと天の眞名井の水で滌いで噛み
に噛んで吹き棄てる息の霧の中から現れた神
様は、
天の真名井で振り濯いで、カリカリと嚙んで
吹き出し、その細かい霧から生まれ出た神を
濯於天眞名井、𪗾然咀
咀嚼𪗾然咀嚼、此云
佐我彌爾加武而吹棄氣
噴之狹霧吹棄氣噴之狹
霧、此云浮枳于都屢伊
浮岐能佐擬理所生神、
多紀理毘賣命此神名以
音、亦御名、謂奧津嶋
比賣命。次市寸嶋上比
賣命、亦御名、謂狹依
毘賣命。次多岐都比賣
命。三柱、此神名以音
多紀理毘売命(奧津嶋比売命)でした。次に
市寸嶋上比売(狹依毘売命)、次に多岐都比
売命のお三方が現れました。
名づけて田心姫といった。次に湍津姫。次に
市杵嶋姫。全部で三神である。
號曰田心姬。次湍津姬
、次市杵嶋姬、凡三女
矣。
速須佐之男命、乞度天
照大御神所纒左御美豆
良八尺勾璁之五百津之
美須麻流珠而、
次に速須佐之男命が天照大御神の左の御髮に
纏いておいでになった大きな勾玉の沢山つい
ている玉の緒をお請けし、
素戔嗚尊は、天照大神が角髪と腕に巻いてい
た、八坂瓊の五百箇の御統を乞われて、
既而、素戔嗚尊、乞取
天照大神髻鬘及腕所纒
八坂瓊之五百箇御統、
奴那登母母由良爾、振
滌天之眞名井而、佐賀
美邇迦美而、
音もさらさらと天の眞名井の水に滌いで囓み
に囓んで
天の真名井で振り濯ぎ、カリ力リ嚙んで噴き
出し、
濯於天眞名井、𪗾然咀
咀嚼、
於吹棄氣吹之狹霧所成
神御名、正勝吾勝勝速
日天之忍穗耳命。
吹き棄てる息の霧の中からあらわれた神は正
勝吾勝勝速日天之忍穗耳命。
その細かい霧から生まれた神を、名づけて正
哉吾勝勝速日天忍穂耳尊という。
而吹棄氣噴之狹霧所生
神、號曰正哉吾勝勝速
日天忍穗耳尊。
亦乞度所纒右御美豆良
之珠而、佐賀美邇迦美
而、於吹棄氣吹之狹霧
所成神御名、天之菩卑
能命。自菩下三字以音
次に右の御髮の輪に纏かれていた珠をお請け
になって囓みに囓んで吹き棄てる息の霧の中
から現れた神は天之菩卑能命、
次に天穂日命。これは出雲土師連の先祖であ
る。
次天穗日命是出雲臣・
土師連等祖也、
埼玉県:鷺宮神社
亦乞度所纒御𦆅之珠而
而、佐賀美邇迦美而、
於吹棄氣吹之狹霧所成
神神御名、天津日子根
命。
次に鬘に纏いていた珠をお請けになって囓み
に囓んで吹き棄てる息の霧の中から現れた神
は天津日子根命、
次に天津彦根命。これは凡川内直・山代直ら
の先祖である。
次天津彥根命是凡川內
直・山代直等祖也、
又乞度所纒左御手之珠
而、佐賀美邇迦美而、
於吹棄氣吹之狹霧所成
神御名、活津日子根命
次に左の御手に巻いていた珠をお請けになっ
て囓みに囓んで吹き棄てる息の霧の中から現
れた神は活津日子根命、
次に活津彦根命。 次活津彥根命、
亦乞度所纒右御手之珠
而、佐賀美邇迦美而、
於吹棄氣吹之狹霧所成
神御名、熊野久須毘命
。自久下三字以音。
次に右の御手に纏いていた珠をお請けになっ
て囓みに囓んで吹き棄てる息の霧の中から現
れた神は熊野久須毘命、
次に熊野櫲樟日命。 次熊野櫲樟日命、
幷五柱。 合わせて五方の男神が御出現になりました。 皆で五柱の男神である。 凡五男矣。
於是天照大御神、告速
須佐之男命
ここに天照大御神は速須佐之男命に仰せにな
って、
このとき天照大神は、 是時、天照大神勅曰
「是後所生五柱男子者
、物實因我物所成、故
、自吾子也。
「後から生まれた五人の男神はわたしの身に
つけた珠によって現れた神ですから、当然わ
たしの子です。
「その元を尋ねれば、八尺瓊の五百箇の御統
は私の物である。だからこの五柱の男神は全
部私の子である」とおっしゃられた。そこで
引取って養われた。
「原其物根、則八坂瓊
之五百箇御統者是吾物
也。故、彼五男神、悉
是吾兒。」乃取而子養
焉。
先所生之三柱女子者、
物實因汝物所成、故、
乃汝子也。」如此詔別
也。
先に生まれた三人の姫御子はあなたの身につ
けたものから現れたのですから、あなたの子
です。」と仰せられました。
また、天照大神は、「その十握剣は、素戔嗚
尊のものである。だからこの三柱の神はすべ
てお前の子である」とも言われた。
又勅曰「其十握劒者、
是素戔嗚尊物也。故、
此三女神、悉是爾兒。
故、其先所生之神、多
紀理毘賣命者、坐胸形
之奧津宮。
先にお生まれになった神のうち多紀理毘売命
は、九州の宗像の沖津宮においでになります
福岡県:宗像大社沖津宮
次市寸嶋比賣命者、坐
胸形之中津宮。
次に市寸嶋比売命は宗像の中津宮においでに
なります。
福岡県:宗像大社中津宮
次田寸津比賣命者、坐
胸形之邊津宮。
次に田寸津比売命は宗像の辺津宮においでに
なります。
福岡県:宗像大社辺津宮
此三柱神者、胸形君等
之以伊都久三前大神者
也。
この三人の神は、宗像の君たちが大切にお祭
りする神樣であります。
そしてこの三柱の神を素戔嗚尊に授けられた
。これが筑紫の胸肩君たちが祀る神である。
便授之素戔嗚尊、此則
筑紫胸肩君等所祭神是
也。
故、此後所生五柱子之
中、天菩比命之子、建
比良鳥命此出雲國造・
无邪志國造・上菟上國
造・下菟上國造・伊自
牟國造・津嶋縣直・遠
江國造等之祖也、
そこでこの後でお生まれになつた五人の子の
中に、天菩比命の子の建比良鳥命、これは出
雲国造・无邪志国造・上海上国造・下海上国
造・伊甚国造・津島縣直・遠江国造たちの祖
先です。
次天津日子根命者。凡
川內國造・額田部湯坐
連・茨木國造・倭田中
直・山代國造・馬來田
國造・道尻岐閇國造・
周芳國造・倭淹知造・
高市縣主・蒲生稻寸・
三枝部造等之祖也。
次に天津日子根命は、凡川内国造・額田部湯
坐連・木国造・倭田中直・山代国造・馬来田
国造・道口岐閉国造・洲羽国造・倭淹知造・
高市縣主・蒲生稻寸・三枝部造たちの祖先で
す。
別伝1によると、日の神は、もともと素戔嗚
尊が猛々しく、負けぬ気の強いことを知って
おられた。素戔嗚尊が登ってくる様子につい
て思われたのは、弟が来るわけは、善い心か
らではないだろう。きっとわが高天原を奪お
うというのだろうと思われ、硬い武備をされ
た。身には十握剣・九握剣・八握剣を帯び、
背中に矢入れを負い、腕には高柄をつけ、手
に弓矢をとって、自ら迎えて防がれた。
一書曰、日神、本知素
戔嗚尊有武健凌物之意
、及其上至、便謂「弟
所以來者、非是善意。
必當奪我天原。」乃設
大夫武備、躬帶十握劒
・九握劒・八握劒、又
背上負靫、又臂著稜威
高鞆、手捉弓箭、親迎
防禦。
このとき、素戔嗚尊がいわれるのには、「私
は元より悪い心はありません。姉上にお目に
かかりたいだけで、参上しました」そこで日
神は、素戔嗚尊と向かい合って立たれ、誓約
して言われたことが、「もしお前の心が清く
、奪い取ろうという心がないなら、お前の生
む子はきっと男でしょう」
是時、素戔嗚尊告曰「
吾元無惡心。唯欲與姉
相見、只爲暫來耳。」
於是、日神共素戔嗚尊
、相對而立誓曰「若汝
心明淨、不有凌奪之意
者、汝所生兒、必當男
矣。」
言い終って、身に着けていた十握剣を食べて
、生まれた子を、名づけて瀛津嶋姫という。
また、九握剣を食べて生まれた子を、名づけ
て湍津姫という。八握剣を食べて生んだ児を
、田心姫となづけた。皆で三柱の神である。
言訖、先食所帶十握劒
生兒、號瀛津嶋姬。又
食九握劒生兒、號湍津
姬。又食八握劒生兒、
號田心姬。凡三女神矣
素戔嗚尊は、その首にかけていた五百箇の御
統の瓊を、天淳名井、またの名を去来の真名
井で、振り濯いで食べた。そこで生まれた子
を、名づけて正哉吾勝勝速日天忍骨尊という
。次に天津彦根命。次に活津彦根命。次に天
穂日命。次に熊野忍踏命。全部で五柱の男神
である。
已而素戔嗚尊、以其頸
所嬰五百箇御統之瓊、
濯于天渟名井亦名去來
之眞名井而食之、乃生
兒、號正哉吾勝勝速日
天忍骨尊。次天津彥根
命、次活津彥根命、次
天穗日命、次熊野忍蹈
命、凡五男神矣。
これにより、素戔嗚尊は勝った験を得ること
ができた。ここで日神は素戔嗚尊が、本当に
悪い心がないことが判って、日神が生んだ三
柱の女神を、筑紫の国に降らせられた。そし
て、この三柱の女神に、「お前達三柱の神よ
、海路の途中に降り居て、天孫を助けまつり
、天孫のためにお祀りをされよ」と言われた
故素戔嗚尊、既得勝驗
。於是、日神、方知素
戔嗚尊固無惡意、乃以
日神所生三女神、令降
於筑紫洲、因教之曰「
汝三神、宜降居道中、
奉助天孫而爲天孫所祭
也。」
別伝2によると、素戔嗚尊が天に昇ろうとさ
れるときに、一柱の神がおられた。名は羽明
玉という。この神がお迎えして、瑞八坂瓊の
曲玉を奉った。そこで素戔嗚尊は、その玉を
もって天上に行かれた。このとき天照大神は
、弟に悪い心があるのでないかと疑い、兵を
集めて詰問した。
一書曰、素戔嗚尊、將
昇天時、有一神、號羽
明玉、此神奉迎而進以
瑞八坂瓊之曲玉。故、
素戔嗚尊、持其瓊玉而
到之於天上也。是時、
天照大神、疑弟有惡心
、起兵詰問。
素戔嗚尊は、「私が参上したのは、本当に姉
上にお目にかかりたかったからです。宝であ
る瑞八坂瓊の曲玉を献上したいと思っただけ
なのです。別の心はありません」と言った。
天照大神が尋ねた。「お前の言うことが噓か
本当か、何で証明できるか」
素戔嗚尊對曰「吾所以
來者、實欲與姉相見。
亦欲獻珍寶瑞八坂瓊之
曲玉耳、不敢別有意也
。」時天照大神、復問
曰「汝言虛實、將何以
爲驗。」
素戔嗚尊は答えた。「どうか私と姉上と、一
緒に誓約を立てましよう。誓約の中で女を生
めば黒い心ありと思って下さい。男を生めば
赤い心ありと思って下さい」そして天の真名
井の三箇所を掘って、向かい合って立った。
對曰「請吾與姉共立誓
約。誓約之間、生女爲
黑心、生男爲赤心。」
乃掘天眞名井三處、相
與對立。
このとき天照大神は素戔嗚尊に、「私が今帯
びている剣を、お前に上げよう。お前がもっ
ている八坂瓊曲玉やさかにのまがたまを私に
くれ」と言った。
是時、天照大神、謂素
戔嗚尊曰「以吾所帶之
劒、今當奉汝。汝、以
汝所持八坂瓊之曲玉、
可以授予矣。」如此約
束、共相換取。
このように約束して互いに取り替えられた。
天照大神は八坂瓊曲玉を、天の真名井に浮か
べて、瓊の端を喰い切って、ロから噴き出さ
れた。息吹きの中から生まれた神を、市杵島
姫命と名づけた。これが遠瀛にお出でになる
神である。瓊の中程を喰い切って、吹き出す
息吹きの中から生まれた神を、田心姫命と名
づけた。これは中瀛にお出でになる神である
。瓊の尾を喰い切って、吹きだした息吹の中
から生まれた神を、湍津姫命と名づけた。こ
れは海辺にお出でになる神である。皆で三柱
の女神である。
已而、天照大神、則以
八坂瓊之曲玉、浮寄於
天眞名井、囓斷瓊端、
而吹出氣噴之中化生神
、號市杵嶋姬命、是居
于遠瀛者也。又囓斷瓊
中、而吹出氣噴之中化
生神、號田心姬命、是
居于中瀛者也。又囓斷
瓊尾、而吹出氣噴之中
化生神、號湍津姬命、
是居于海濱者也。凡三
女神。
素戔嗚尊は、持っておられた剣を天の真名井
に浮かべて、剣の先を喰い切って、吹き出し
た息吹の中から生まれた神を、天穂日命と名
づけた。次に正哉吾勝勝速日天忍骨尊。次に
天津彦根命。次に活津彦根命。次に熊野櫲樟
日命。皆で五柱の男神である。
於是、素戔嗚尊、以所
持劒、浮寄於天眞名井
、囓斷劒末、而吹出氣
噴之中化生神、號天穗
日命。次正哉吾勝勝速
日天忍骨尊、次天津彥
根命、次活津彥根命、
次熊野櫲樟日命、凡五
男神、云爾。
別伝3によると、日神が素戔嗚尊と天安河を
隔てて、向かい合って誓約した。日神は、「
お前にもし悪い心がないならば、お前の生む
子はきっと男性だろう。もし男を生んだら私
の子供として、高天原を治めさせよう」と言
った。
一書曰、日神與素戔嗚
尊、隔天安河、而相對
乃立誓約曰「汝若不有
奸賊之心者、汝所生子
必男矣。如生男者、予
以爲子而令治天原也。
そこで日神が十握剣を食べ、お生まれになっ
た児は、瀛津島姫命で、またの名を、市杵嶋
姫命である。九握剣を食べられてお生まれに
なった子は、湍津姫命である。八握剣を食べ
られてお生まれになった子は、田霧姫命であ
る。
於是、日神、先食其十
握劒化生兒、瀛津嶋姬
命、亦名市杵嶋姬命。
又食九握劒化生兒、湍
津姬命。又食八握劒化
生兒、田霧姬命。
素戔嗚尊がその左の髻に巻かれていた五百箇
の御統の瓊をロに含んで、左の掌の中におい
て、男神を生まれた。素戔嗚尊は、「今こそ
私が勝ちました」と言った。この言葉によっ
て、名づけて、勝速日天忍穂耳尊という。
巳而素戔嗚尊、含其左
髻所纒五百箇御統之瓊
而著於左手掌中、便化
生男矣、則稱之曰「正
哉吾勝。」故因名之曰
勝速日天忍穗耳尊。
また、右の髻の瓊をロに含んで、右の掌の中
において、天穂日命を生まれた。首にかけら
れた瓊をロに含んで、左の腕の中において、
天津彦根命を生まれた。右の腕の中から、活
津彦根命を生まれた。左の足の中から烽之速
日命を生まれた。右の足の中から熊野忍踏命
を生まれた。またの名を熊野忍隅命という。
復、含右髻之瓊、著於
右手掌中、化生天穗日
命。復、含嬰頸之瓊、
著於左臂中、化生天津
彥根命。又、自右臂中
、化生活津彥根命。又
、自左足中、化生熯之
速日命。又、自右足中
、化生熊野忍蹈命、亦
名熊野忍隅命。
このように、素戔嗚尊の生んだ子は皆男神で
あった。それで日神は、素戔嗚尊がはじめか
ら赤き心であることを理解されて、その六柱
の男神をとって、日神の子として高天原を治
めさせた。日神が生まれた三柱の女神は、葦
原中国の宇佐嶋に降らせられた。今、北の海
路の中にお出でになられている。これを名づ
けて道主貴という。これが筑紫の水沼君らの
祭神である。
其素戔嗚尊所生之兒皆
已男矣、故日神方知素
戔嗚尊元有赤心、便取
其六男以爲日神之子、
使治天原。卽以日神所
生三女神者、使隆居于
葦原中國之宇佐嶋矣、
今在海北道中、號曰道
主貴、此筑紫水沼君等
祭神是也。熯、干也、
此云備。
大分県:宇佐神宮

ゆかりの寺社(御朱印視点)

引続き調査中ですので、掲載もれがあるかも知れません。

【おススメ度 ☆☆★★★】普通の御朱印です。

都道府県 寺社名 所在地 備考
埼玉県 鷲宮神社 久喜市鷲宮1-6-1 天穂日命
大分県 宇佐神宮 宇佐市南宇佐2859 宗像三女神
福岡県 宗像大社沖津宮 宗像市沖之島 宗像三女神:田心姫神【中津宮にて拝受】
福岡県 宗像大社中津宮 宗像市大島1811 宗像三女神:湍津姫神
福岡県 宗像大社辺津宮 宗像市田島2331 宗像三女神;市杵島姫神
宮崎県 東霧島神社 都城市高崎町東霧島1560 十握剣



宗像三女神


宇佐神宮
【前略】
宇佐の地は畿内や出雲と同様に早くから開けたところで、神代に比売大神が宇佐嶋にご降臨されたと『日本書紀』に記されています。
売大神様は八幡さまが現われる以前の古い神、地主神として祀られ崇敬されてきました。八幡神が祀られた8年後の733年(天平5年)
に神託により二之御殿が造立され、宇佐の国造は、比売大神をお祀りしました。
【後略】
宇佐神宮

宗像大社
宗像大社は、日本神話に登場する日本最古の神社の一つです。御祭神は、天照大神の三女神で、沖津宮、中津宮、辺津宮にそれぞれ祀ら
れ、この三宮を総称して、宗像大社
といいます。
・田心姫神 たごりひめのかみ
・湍津姫神 たぎつひめのかみ
・市杵島姫神 いちきしまひめのかみ
『日本書紀(720年)』には、天照大神から宗像三女神へ「歴代天皇をお助けすれば、歴代天皇が祀るでしょう」という言葉が残されて
います。これは宗像が日本における最初の国際港であったため、海外との外交、貿易、国防的な機能を果たせば、天皇が祀るとされ、そ
れは沖ノ島から出土した約八万点の国宝からも国家祭祀の痕跡が裏付けています。
国家祭祀とは、天皇の遣い、勅使(ちょくし)が現地に赴いて、祭りをするというものですが、宗像における国家祭祀は出土した国宝の
品々から、かなり大規模ではなかったかと推測されています。沖ノ島の出土品は四世紀から九世紀のものが多く、その間、国家祭祀がど
の程度行われたかは明確ではありませんが、古い記録などからも天皇の勅使が宗像に遣わされたことを知ることができます。
宗像大社

天穂日命


鷲宮神社
 当神社は、出雲族の草創に係る関東最古といわれる大社である。
神代の昔に、天穂日宮とその御子武夷鳥宮とが、昌彦・昌武父子外二十七人の部族等を率いて神崎神社(大己貴命)を建てて奉祀したの
に始まり
、次に天穂日宮の御霊徳を崇め、別宮を建てて奉祀した。この別宮が現在の本殿である。
崇神天皇の御世には、太田々根子命が司祭し、豊城入彦命、彦狭島命、御諸別王が、それぞれ幣帛を奉納した。
景行天皇の御世には、日本武尊が当神社の神威を崇め尊み、社殿の造営をし、併せて相殿に武夷鳥宮を奉祀した。
桓武天皇の御世には、征夷大将軍坂上田村麿が、武運長久を祈り奥州鷲の巣に当神社の御分社を奉祀した。
中世以降には、関東の総社また関東鎮護の神として、武将の尊崇が厚く、歴史上有名な武将だけでも藤原秀郷・源義家・源頼朝・源義
経・北条時頼・北条貞時・新田義貞・小山義政・足利氏歴代・古河公方・関東管領上杉氏歴代・徳川家康等があげられ、武運長久等を祈
る幣帛の奉納や神領の寄進、社殿の造営等がなされた。なかでも江戸時代には、四百石の神領を与えられ、代々の将軍の名で朱印状が残
されている。
明治天皇の御世には、神祗官達により准勅祭社に定められ、勅使参向のもと幣帛の奉納がなされた。そして明治天皇行幸の際、当神社に
御少憩され、祭祀料として金壱封を賜り、昭和天皇の御世にも、幣帛を賜った。
鷲宮神社

十握剣


東霧島神社
東霧島神社は霧島六所権現の一つで「延喜式」に登場する霧島神社が当社であるといわれる古社であります。
東霧島神社は霧島盆地・諸県地方を代表する奉斎山岳信仰の祈りの宮として祀られ、第五代孝昭天皇の御世に創建されたと伝えられ
る。
その後、第六二代村上天皇の御世、応和三年(西暦九六三年)京都の人、天台宗の僧、性空上人が巡錫参篭し、噴火出土で消失し、埋
没した神殿を再興されました。江戸時代になって東霧島大権現宮と唱えるようになりました。
御祭神は建国の祖とたたえられる伊弉諾尊(イザナギのミコト)を主祭神として地神五代の天照大御神より神武天皇に至る皇祖を合祀
し、ご神宝十握の剣を御奉斎申し上げております
御祭神は日本国土を産み給うた父で、国造りの神・国家の御守護はもちろん、広く農・工・商すべての開運・福寿・治病・航海・縁結
び・安産など世の中の幸福を増進することを計られました人間生活の守護神であらせられます。
特に、霊界の主宰人としてのご霊威は最も高く、古来より式内名社として尊崇されているほか、中世よりは厄除開運の霊験あらたかな
る権現様と親しく呼ばれているほど、根強い庶民信仰の代表的な神社であります。
東霧島神社

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