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高良の家の奥方は

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 昔むかし、今から何百年と前からみたら遠い未来にあたる現代。
 武蔵の国に高良という家族が暮らしていたんだと。
 夫婦の間にはみゆきという娘がおり、たいそう可愛がっていたそうな。
 日中、親父さんは『かむぱにい』へお仕事に、娘さんは『すくうる』へお勉強をしに通っていた。
 その間、奥さんが何をしていたかというと……これが、誰もその事を知らんかったらしい。

 ある日のこと、みゆきは委員会が長引き、『すくうる』を発つのが遅くなってしまった。
 空はすでに茜色を通り越し藍色。みゆきは、これは急がなくては、と歩を速めたそうな。
 みゆきの乗った『とれいん』の中では、くたびれた『りいまん』がぎょうさん萎びており、生気を吸い取っとるようだった。
 陰気な雰囲気が襲いかかり、早くここから出なければ、とさらにあせったそうな。

 『とれいん』を抜け出し、みゆきは母親の待つ家へと駆けた。
 このような時間に帰るのは初めてだったゆえ、道がここまで暗いとは知らなんだ。
 灯りと灯りの間がやけに長く感じ、風の音一つも気にかかった。

 やっとのことで家の前に着く。そのときみゆきは妙な音に気がついたそうな。
 プチッ……プチッ……プチッ。
 中から聞こえてくる。何の音だろう、と怪しく思うも玄関の戸を開ける。
「ただいま戻りました」
 プチッ……プチッ……プチッ。
 返事のかわりに怪音が返ってくる。出所は居間のようだ。
「お母さん?」
 プチッ……プチッ……プチッ。
 廊下を進み、一歩、また一歩と近づいていく。
 と、みゆきは見てしまった。自らの母親がその両手で――

  ***  ***  ***

「――あらお帰り。今日はおそかったわね」
 プチッ……プチッ……プチッ。
「あの、なにをなさっているのですか」
 プチッ……プチッ……プチッ。
「これ? 今、品切れ続出中で流行ってるらしいわよ。名前はなんて言ったかしら……プチプチなんとか……」
 手には小さなおもちゃが握られていた。
 プチッ……プチッ……プチッ。
「さっきから何回も押してるのに……ああもう! みゆき、ちょっとやってみない?」
 おもちゃを渡す動作は、半ば強制的だった。
 そのキーホルダーのような物体にはいくつかの押しボタンがついている。
 ボタンを押すと先ほどのプチッという音がした。
「これはエアパッキンですか」
 プチッ……プチッ……プチッ。
「さっきから鳴っていたのはこれだったんですね」
 プチッ……プチッ……プチッ。
「面白いでしょ」
 プチッ……プチッ……ぱふぱふ!
「?」
「あ~~!! 百回に一回しか鳴らない音! その音を出したくて頑張ってたのにぃ~」
「ご、ごめんなさい」
「も~、やりなおすから貸して」
 今度は半ば強制的にとられてしまった。
「今から百回だから、いち、に、さん、し」
 プチプチプチプチ――――。

  ***  ***  ***

『プチプチぱふぱふ』は夜まで続いたとさ。めでたしめでたし。













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  • ぱふぱふ母娘~ -- 名無しさん (2011-05-02 02:15:09)
  • 最近わかったんですが、「東京」って「江戸」と「武蔵」に分かれるみたいですが…、徳川家康が江戸に入府した時に、現在の東京都形は周りが山ばかりだった為で、家康自ら朝廷に赴き「武蔵国」から江戸を独立させ、「江戸国」と名付けたそうです。 -- 名無しさん (2008-12-04 00:36:36)
  • 暇なんすかwwwwwしかし娘も気が付いたら深夜に及びそう・・・ -- 名無しさん (2008-12-03 19:38:12)
  • 何か微妙だけど笑える
    -- 九重龍太∀ (2008-05-05 14:01:29)

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